種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

文字の大きさ
上 下
515 / 1,095
剣乱武闘編

優勝賞品

しおりを挟む
「その聖遺物ってのは何だい?また聖剣かい?」
「分かりません……ですが、資料によると遥か昔から存在する武器です。恐らくはカラドボルグやエクスカリバーよりも前に製作されたと聞いています」
「つまり……魔族侵攻大戦よりも前の時代か」


恐らくはアイリィの作り出した作品(カラドボルグなど)ではなく、他の誰かが造り出した聖遺物かもしれない。だが、彼女以外に誰がそんな聖遺物を造り出せるのか気にかかるが、可能性としてはアイリィの先祖である「アイリス」だが、こんな世界を作ったにも飽き足らず、そんなの物まで作ったのかと内心呆れる。


「けど……そんなにすごい物がこの都市に眠っているなんて聞いたこともないね……」
「知らなかったす~」
「とうぞ……げほげほっ、バルたちも知らないのは意外だな」
「これは極秘機密です。実際、この情報を知っているのはこの場に居る全員だけです」
「え!?王国側には報告してないんですか!?」
「……センチュリオンは何処に潜んでいるかは分かりません。時期を見て、私の方から直接報告します」
「そうですか……分かりました。そういう事情ならば、私も王には内密にしておきます」


大将軍のレミアとしては王国に関する情報はバルトロス国王に報告する義務はあるが、内容が内容のため、センリの案を受け入れる。


「けど……どんな武器が眠っているのも分からないのに、あいつらが狙いに来るのかい?」
「それは間違いありません。実際、私がこの情報を知る前から彼らは何度もこの都市を訪れています。今考えれば既に彼らはこの地に眠っている「何か」を狙っているんです」
「それで、もう一方の封印されている化け物ってのは何なんだい?また、腐敗竜やバジリスクみたいな化け物じゃないだろうね……」
「それは大丈夫でしょう。仮に復活したとしても、この都市には世界中から腕利きの者達が集まっています。もしもバジリスクと同等の魔物が現れたとしても、十分に対処できますし、何より現在の都市にはレノさんを始めとした聖剣の使い手が何人も集まっています」
「あんな化け物とやり合うのは二度と御免……にしても、その聖遺物の居所が分からない以上、あいつらが派手に動く事はないのかな」
「いえ……そうとは言い切れません」


センリは懐から羊皮紙を取り出し、机の上に置く。全員が確認するように近づくと、


「こいつは……今回の優勝賞品の一覧かい?」
「えっと……嘘っ!?」
「これは……信じられないな」
「わふっ!?」
「……ほわぁっ」
「コトミ、今の声って驚いたの?それとも欠伸?」
「……両方」



――羊皮紙に描かれていた内容はレノを除く全員が驚愕し、それほどまでに各種族が提示した優勝賞品は凄まじい物が揃えられていた。



「森人族からは一部のエルフしか所持を許されない「神木」で造られた弓矢かい!!」
「それだけじゃありません……獣人族からは名刀「獣王剣」ですよ!!欲しいです!!」
「巨人族からは……1トンの「魔石」!?貰う方が困るだろこれ!!」
「人魚族は「オリハルコン」で造られたお守りか……人魚族が作り出すお守りは途轍もない効能だからね」
「……魔人族は「紅魔石」滅多に手に入らない希少金属」
「王国からは「聖剣カリバーン」の選定の権利か……って、聖剣?」



カリバーンとは現実世界(旧世界)では「アーサー王」が選定の岩より引き抜いた伝説の剣であり、別名は「選定の剣」アーサー王の伝説では「エクスカリバー」が有名だが、一説によればカリバーンを打ち直したのがエクスカリバーになったと言われている。


この世界におけるエクスカリバーはレノが所持している「カラドボルグ」を原型としているが、こちらの世界の「カリバーン」は「エクスカリバー」と同時期に造り出された兄弟剣であり、その力はエクスカリバーに匹敵すると言われるが、選ばれた人間は歴史上1人しか居らず、300年近く王国の地下室に封印されていたという。


「私もアルトから聞いていたが……誰も扱えず、処理に困っていたと聞いていたが……」
「へえ……ジャンヌやレミアは見たことは無いの?」
「私は入団直後に拝見したことはありますが……選ばれませんでした」
「その……私の場合は憑依する「英雄(ナナ)」がすごいのであって、私自身は特別な存在ではないんです。一応は触れたことはありますが、弾かれてしまいました……」


2人とも両手を抑え、恐らくカリバーンに触れただけで弾かれてしまったのだろう。レミアはともかく、ジャンヌは後にレーヴァティンに認められたが、カリバーンとは相性が悪かったのかもしれない。


「しかし……いくら剣乱武闘とはいえ、ここまで優勝賞品に力を入れるとは……」
「それが重要なのです。センチュリオンがこの都市にいるとしたら、間違いなくもう一度優勝賞品と選手たちを狙って現れるでしょう」
「ここまで凄い規模なのに?」


今回の大会は前回の二の舞を避けるため、大幅に警備が強化されているはずだが、


「実際に予選を終えた選手の何人かが誘拐されています。彼らは間違いなく、この都市に潜入している事は確かです」
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話

水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。 相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。 義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。 陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。 しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

異世界メイドに就職しました!!

ウツ。
ファンタジー
本日、九ノ葉楓(ここのはかえで)は就職試験に臨んでいた。 普通に仕事をして、普通に生きていく。 そう決めた彼女を突如眩暈が襲う。 意識を失い、次に目を覚ますと、楓はスピカというメイドになっていた。 王国?!魔法?! 「ここって異世界…?!」 見たことのない世界に驚きながらも、彼女はメイドとして働き始める。 なぜ彼女は異世界へ召喚されたのか。 彼女に与えられた使命とは。 バトルあり、恋愛ありの異世界ファンタジー。 漫画版も連載中です。そちらもよろしくお願いします。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

処理中です...