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剣乱武闘編
ソフィアVSゴンゾウ
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「はぁああああっ!!」
「おっと」
ビュオォオオオッ……!!
ソフィア達はハイ・ゴブリンの集落から移動すると、川辺の方に辿り着く。まずはリノンと組手を行うため、二人は構える。
最初にどちらが戦うのかを決め、ャンケンに勝ったリノンが先に対戦する事になり、彼女は長剣で無数の突きを放つが、ソフィアは優れた動体視力と反射神経で難なく躱し続ける。未だに強化術は発動していないが、この状態に変化すると以前よりも身体能力が大幅に上昇している。
「くっ……火炎剣!!」
「出たな得意技」
刀身に炎を纏わせ、攻撃を行うリノンに対し、紙一重で避けたら炎の熱で身体が火傷するのは間違いない。そのため、ソフィアは右腕に魔力の鎧を形成する。
「魔鎧(フラム)」
ボウッ……!!
レノが「紅炎」を纏わせるのに対し、ソフィアは右腕に「蒼炎」を形成し、火炎剣を正面から受け止める。
ガキィイインッ!!
「なっ……!?」
「おおっ!!」
リノンの火炎剣の刃が魔鎧に阻まれ、彼女の剣ではソフィアの魔鎧は破壊出来ず、そのまま膠着状態に陥る。
ゴォオオオッ……!!
(……火力が増してる)
右腕の魔鎧の「蒼炎」が揺らめき、明らかに以前と比べても出力が段違いに上昇しており、リノンも堪らずに離れる。ソフィア自身には分からないが、魔鎧から発せられる熱気は本物の炎を彷彿させる。
「……そう言えばソフィアはダークエルフの血が流れているんだったな。しかし、前に訓練所で検査を受けたときは雷属性が相性が良いという結果だったはずだが……」
「まあ、こっちも色々と訓練してね」
「そうか……流石だな」
攻撃を受け止められ、不利な状況に陥ったにもかかわらず、リノンは笑みを浮かべて長剣を握り直し、
「ならば……私も本気で行くぞ」
「いやいや……明日の本戦に響くから軽めにしなさい」
「……そ、そうだったな」
危うく全力で斬りかかろうとしたリノンに対し、ソフィアは冷静に突っ込みを入れると、彼女は慌てて刀身の火炎を振り払って頭を冷やす。戦闘に夢中になると判断力が鈍るのも彼女の弱点とも言える。
「リノン……そろそろ交代するか?」
「あ、ああ……そうだな。変わっていいかソフィア?」
「いいよ」
ゴンゾウが岩の上から起き上がり、鋼鉄製の棍棒を持ち上げ、リノンと位置を交代する。
「では……行くぞ!!」
「だから全力を出したら明日に響くって……うわっ!!」
ズガァアアアンッ!!
巨大な棍棒が振り落されて咄嗟に回避したソフィアだが、そのまま棍棒は地面に叩き込まれ、無数の石礫が飛び散る。
「おっと」
「ぬっ!?」
ストンッ……
ゴンゾウが地面から棍棒を引き抜く前に、武器の上にソフィアが着地し、そのまま彼の元に突進する。
「だぁっ!!」
「ぐはっ!?」
ズドォンッ!!
顔面に膝蹴りを叩き込み、ゴンゾウの巨体が傾くが、すぐに彼は意識を取り戻して棍棒を握りしめる両腕の血管を浮き上げ、
「ぬおおっ!!」
「おおっ!!」
ドォオオオンッ!!
棍棒を地面から引き抜き、そのまま地面に着地したソフィアに向けて横薙ぎに振り払うが、
「魔鎧(フラム)!!」
ボウッ!!
再び右腕を魔鎧を纏わせ、棍棒を正面から受け止めるために身構える。
ドガァアアアンッ!!
「何……!?」
「ぬぎぎっ……!!」
「そ、ソフィア!?」
以前ならゴンゾウの剛力によって為す術も無く吹き飛ばされていただろうが、今のソフィアの身体能力ならば受け止める事に成功し、かなり押し込まれたが防ぐことは出来た。
「らあっ!!」
「ぐっ……!!」
ガキィンッ!!
右腕の魔鎧で棍棒を弾き返し、そのまま一度距離を取り、ソフィアは助走を付けてゴンゾウに突進すると、
「あぁあああああああっ!!」
ドォンッ!!
地面を強く踏みつけ、そのままの勢いで足の裏から、足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕、右拳の順で身体を回転、及び加速させ、勢いを乗せた魔鎧の拳を放つ。
「魔弾撃!!」
「ぐはぁあああっ!?」
ドゴォオオオオンッ!!
ゴンゾウは咄嗟に両腕を交差させ、何とか寸前で「魔弾撃」を受け止めるが、威力に耐え切れずに彼の巨体が吹き飛ぶ。
「ゴンゾウ!?」
「ぐっ……」
「あ……やばっ……」
リノンの驚愕の声を聞き、冷静さを取り戻したソフィアが流石にやり過ぎたかとゴンゾウの方に視線を向けると、
「……だ、大丈夫だ……」
ガラガラッ……!!
川原の小石を払いのけ、ゴンゾウの巨体が起き上がり、彼の右腕にはくっきりとソフィアの魔弾撃の火傷が残っていた。慌ててリノンとソフィアが駆けつけようとしたが、彼はそれを左手で制止、まだ戦う意思を見せる。
「……続けよう」
「けど……」
「平気だ!!」
「……分かった」
ゴンゾウの意思を尊重し、ソフィアは再び構えると、彼は身体を起き上げ、
「……俺も、とっておきを出す」
「え?」
「……ふぅううう……」
深い息を吐き、ゴンゾウはゆっくりと怪我を負っていない左腕を向け、すぐに異変が生じる。
ビキィイイイッ!!
「鬼人……いや……これは」
――彼の「左腕」の血管が浮き上がり、肌色が赤褐色に変形した。だが、以前までの鬼人化と違い、左腕以外の部分に変化は無く、まるで左腕だけが肉体強化したように思える。
「おっと」
ビュオォオオオッ……!!
ソフィア達はハイ・ゴブリンの集落から移動すると、川辺の方に辿り着く。まずはリノンと組手を行うため、二人は構える。
最初にどちらが戦うのかを決め、ャンケンに勝ったリノンが先に対戦する事になり、彼女は長剣で無数の突きを放つが、ソフィアは優れた動体視力と反射神経で難なく躱し続ける。未だに強化術は発動していないが、この状態に変化すると以前よりも身体能力が大幅に上昇している。
「くっ……火炎剣!!」
「出たな得意技」
刀身に炎を纏わせ、攻撃を行うリノンに対し、紙一重で避けたら炎の熱で身体が火傷するのは間違いない。そのため、ソフィアは右腕に魔力の鎧を形成する。
「魔鎧(フラム)」
ボウッ……!!
レノが「紅炎」を纏わせるのに対し、ソフィアは右腕に「蒼炎」を形成し、火炎剣を正面から受け止める。
ガキィイインッ!!
「なっ……!?」
「おおっ!!」
リノンの火炎剣の刃が魔鎧に阻まれ、彼女の剣ではソフィアの魔鎧は破壊出来ず、そのまま膠着状態に陥る。
ゴォオオオッ……!!
(……火力が増してる)
右腕の魔鎧の「蒼炎」が揺らめき、明らかに以前と比べても出力が段違いに上昇しており、リノンも堪らずに離れる。ソフィア自身には分からないが、魔鎧から発せられる熱気は本物の炎を彷彿させる。
「……そう言えばソフィアはダークエルフの血が流れているんだったな。しかし、前に訓練所で検査を受けたときは雷属性が相性が良いという結果だったはずだが……」
「まあ、こっちも色々と訓練してね」
「そうか……流石だな」
攻撃を受け止められ、不利な状況に陥ったにもかかわらず、リノンは笑みを浮かべて長剣を握り直し、
「ならば……私も本気で行くぞ」
「いやいや……明日の本戦に響くから軽めにしなさい」
「……そ、そうだったな」
危うく全力で斬りかかろうとしたリノンに対し、ソフィアは冷静に突っ込みを入れると、彼女は慌てて刀身の火炎を振り払って頭を冷やす。戦闘に夢中になると判断力が鈍るのも彼女の弱点とも言える。
「リノン……そろそろ交代するか?」
「あ、ああ……そうだな。変わっていいかソフィア?」
「いいよ」
ゴンゾウが岩の上から起き上がり、鋼鉄製の棍棒を持ち上げ、リノンと位置を交代する。
「では……行くぞ!!」
「だから全力を出したら明日に響くって……うわっ!!」
ズガァアアアンッ!!
巨大な棍棒が振り落されて咄嗟に回避したソフィアだが、そのまま棍棒は地面に叩き込まれ、無数の石礫が飛び散る。
「おっと」
「ぬっ!?」
ストンッ……
ゴンゾウが地面から棍棒を引き抜く前に、武器の上にソフィアが着地し、そのまま彼の元に突進する。
「だぁっ!!」
「ぐはっ!?」
ズドォンッ!!
顔面に膝蹴りを叩き込み、ゴンゾウの巨体が傾くが、すぐに彼は意識を取り戻して棍棒を握りしめる両腕の血管を浮き上げ、
「ぬおおっ!!」
「おおっ!!」
ドォオオオンッ!!
棍棒を地面から引き抜き、そのまま地面に着地したソフィアに向けて横薙ぎに振り払うが、
「魔鎧(フラム)!!」
ボウッ!!
再び右腕を魔鎧を纏わせ、棍棒を正面から受け止めるために身構える。
ドガァアアアンッ!!
「何……!?」
「ぬぎぎっ……!!」
「そ、ソフィア!?」
以前ならゴンゾウの剛力によって為す術も無く吹き飛ばされていただろうが、今のソフィアの身体能力ならば受け止める事に成功し、かなり押し込まれたが防ぐことは出来た。
「らあっ!!」
「ぐっ……!!」
ガキィンッ!!
右腕の魔鎧で棍棒を弾き返し、そのまま一度距離を取り、ソフィアは助走を付けてゴンゾウに突進すると、
「あぁあああああああっ!!」
ドォンッ!!
地面を強く踏みつけ、そのままの勢いで足の裏から、足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕、右拳の順で身体を回転、及び加速させ、勢いを乗せた魔鎧の拳を放つ。
「魔弾撃!!」
「ぐはぁあああっ!?」
ドゴォオオオオンッ!!
ゴンゾウは咄嗟に両腕を交差させ、何とか寸前で「魔弾撃」を受け止めるが、威力に耐え切れずに彼の巨体が吹き飛ぶ。
「ゴンゾウ!?」
「ぐっ……」
「あ……やばっ……」
リノンの驚愕の声を聞き、冷静さを取り戻したソフィアが流石にやり過ぎたかとゴンゾウの方に視線を向けると、
「……だ、大丈夫だ……」
ガラガラッ……!!
川原の小石を払いのけ、ゴンゾウの巨体が起き上がり、彼の右腕にはくっきりとソフィアの魔弾撃の火傷が残っていた。慌ててリノンとソフィアが駆けつけようとしたが、彼はそれを左手で制止、まだ戦う意思を見せる。
「……続けよう」
「けど……」
「平気だ!!」
「……分かった」
ゴンゾウの意思を尊重し、ソフィアは再び構えると、彼は身体を起き上げ、
「……俺も、とっておきを出す」
「え?」
「……ふぅううう……」
深い息を吐き、ゴンゾウはゆっくりと怪我を負っていない左腕を向け、すぐに異変が生じる。
ビキィイイイッ!!
「鬼人……いや……これは」
――彼の「左腕」の血管が浮き上がり、肌色が赤褐色に変形した。だが、以前までの鬼人化と違い、左腕以外の部分に変化は無く、まるで左腕だけが肉体強化したように思える。
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