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剣乱武闘編
メダル獲得
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「はい、じゃあメダルと交換ね~」
「どうも」
「……あっさり交換出来たな」
レノ達は広場を徘徊していた人魚族の少女に木札を渡すと、彼女は先ほどデュラハンが所持していた物と全く同じ形のメダルを渡す。今度こそ本物であり、微力ではあるが魔力の類感じられる。
人魚は木札を確認し、本物だと判断したのか何処からか魔導電話(ホノカの物と比べて小さく、軽量化に成功したのか、外見は魚を模したモデル)を取り出して連絡を行う。
プルルルルッ……プツッ!
『はいは~い、どうしました?』
「あ、もしも~し。新しい人が出たよ~」
『分かりました~もう戻っていいですよ~』
「は~い」
――ピンポンパンポンッ!
電話が切れたとと同時に闘技場から警告音が鳴り響き、どうやら審判員は魔導電話を通してラビットに連絡を入れているらしい。ここからならば闘技場の方が距離が近い。
「このメダルは……ポチ子が預かっててくれ」
「わうっ?」
「そうだな。今度はポチ子が離脱する番だな」
このまま3人でメダルを守るより、ポチ子を闘技場に送り込んで合格させた方がいいと判断し、レノは彼女の口にメダルを加えさせる。
「よし、全速力で行って来い」
「わんっ!」
「だ、大丈夫か?」
「ここからはポチ子1人の方がずっと早い」
「行ってきます!!」
ドドドドッ……!
ポチ子はメダルを加えながら、四つん這いの状態で疾走する。肉体強化と獣人族の優れた身体能力が相まって、一瞬で見えなくなる(目測だが時速100キロは超えている気がする)。
「よし……あ、ちょっと待って」
「ん、何?」
そのままふよふよと立ち去ろうとした人魚を引き止め、彼女が首を傾げると試しに尋ねてみる。
「他の審判員は何処に居るか知ってる?」
「さあ?」
「そうすか」
「じゃあね~」
「ばいば~い」
「あっさりとし過ぎじゃないか?」
人魚族に手を振って見送るレノに対し、リノンが突っ込みを入れるが、ここで彼女を無理に引き留めても意味は無い。下手な態度を取ったら失格にされる可能性も否定できない。
「さてと……それじゃあ他の審判員を探すか」
「そうだな……とは言っても、何処を探すか」
レノ達は周囲を見渡し、次に何処へ向かうか考えようとした時、
「ん~……暇だな~」
「「………………」」
会話している最中に新たな人魚族が金魚鉢で浮揚しながら2人の前を通り過ぎる。ゆっくりとレノ達は振り返り、
「……すいませ~ん」
「は~い?」
「メダルと交換してください」
「はいは~い」
彼女はメダルを取り出し、レノが木札が入った皮袋を渡すと、あっさりとメダルを渡してくる。先ほどの人魚のように魔導電話を取り出し、電話を掛ける。
「……よし、行くか」
「だ、か、ら、あっさり過ぎじゃないかっ!?」
「俺に怒られても……」
彼女から回収したメダルを懐に入れ、頭を抑えるリノンに移動を促して広場から立ち去る。
「……私達の今までの苦労は何だったんだ……」
「案外あっさり見つかったね……もしかしたら、他の奴等もこんな感じかも」
どうやら審判員は常に移動しているようであり、特定の場所に待機しているわけではないらしい。この調子だと他の参加者も偶然に出会った審判員薬の人魚族と交換している可能性もある。
「このメダルでリノンが先に帰る?」
「むっ……馬鹿にするな、レノを置いて合格など出来るはずが無いだろう?」
「別に気にしなくてもいい。というか、1人の方が動きやすい」
「あう……は、はっきりと言い過ぎだぞ」
地味に傷ついたリノンが少し涙ぐむが、彼女にメダルを渡そうとした時、
ビュンッ!
「おっと」
「何!?」
ズガンッ!!
2人の足元に矢が深く突き刺さり、瞬時にその場を離れる。矢が放たれた方向を確認すると、一瞬だが少し離れた建物の屋上から人影が見え、そして地面に深く突き刺さった矢を確認すると恐らくは風属性の魔力付与が行われている。
「敵か!?」
「もう逃げたよ」
「むうっ……だが、一瞬も油断は出来ないな」
ここから建物までの距離は50メートル以上離れており、尚且つ地面に突き刺さる威力の矢を放つなど相当な熟練者だ。仮に体に命中していればただでは済まなかっただろう。
「だが、これで分かってくれたな?レノ一人だと色々と危険すぎる。私も同行するぞ」
「ええ~……」
「そ、そんな顔しても駄目だからな!!というか、嫌がり過ぎだろう!!」
別にリノンと共に行動する事が嫌という訳ではないが、レノとしては1人の方が気楽で動きやすく、万が一の場合は奥の手も使用できる。
だが、確かに単独行動を取れば他のエルフ達が好機とばかりに襲ってくる可能性もあるため、ここはリノンに従い、彼女の分のメダルを獲得してから闘技場に逃げるのが得策だろう。
「さて……最後の審判員を見つけないとな」
「また、何処かに散歩してないかな……」
「いや、さっきのような奇跡はもうないだろう……多分」
周囲を見渡すが、流石に3人目の人魚族の姿は見えず、地道に探すしか無いようだ。レノ達は広場を後にし、取りあえずは地上から移動して審判員を探す方式を取る。
「どうも」
「……あっさり交換出来たな」
レノ達は広場を徘徊していた人魚族の少女に木札を渡すと、彼女は先ほどデュラハンが所持していた物と全く同じ形のメダルを渡す。今度こそ本物であり、微力ではあるが魔力の類感じられる。
人魚は木札を確認し、本物だと判断したのか何処からか魔導電話(ホノカの物と比べて小さく、軽量化に成功したのか、外見は魚を模したモデル)を取り出して連絡を行う。
プルルルルッ……プツッ!
『はいは~い、どうしました?』
「あ、もしも~し。新しい人が出たよ~」
『分かりました~もう戻っていいですよ~』
「は~い」
――ピンポンパンポンッ!
電話が切れたとと同時に闘技場から警告音が鳴り響き、どうやら審判員は魔導電話を通してラビットに連絡を入れているらしい。ここからならば闘技場の方が距離が近い。
「このメダルは……ポチ子が預かっててくれ」
「わうっ?」
「そうだな。今度はポチ子が離脱する番だな」
このまま3人でメダルを守るより、ポチ子を闘技場に送り込んで合格させた方がいいと判断し、レノは彼女の口にメダルを加えさせる。
「よし、全速力で行って来い」
「わんっ!」
「だ、大丈夫か?」
「ここからはポチ子1人の方がずっと早い」
「行ってきます!!」
ドドドドッ……!
ポチ子はメダルを加えながら、四つん這いの状態で疾走する。肉体強化と獣人族の優れた身体能力が相まって、一瞬で見えなくなる(目測だが時速100キロは超えている気がする)。
「よし……あ、ちょっと待って」
「ん、何?」
そのままふよふよと立ち去ろうとした人魚を引き止め、彼女が首を傾げると試しに尋ねてみる。
「他の審判員は何処に居るか知ってる?」
「さあ?」
「そうすか」
「じゃあね~」
「ばいば~い」
「あっさりとし過ぎじゃないか?」
人魚族に手を振って見送るレノに対し、リノンが突っ込みを入れるが、ここで彼女を無理に引き留めても意味は無い。下手な態度を取ったら失格にされる可能性も否定できない。
「さてと……それじゃあ他の審判員を探すか」
「そうだな……とは言っても、何処を探すか」
レノ達は周囲を見渡し、次に何処へ向かうか考えようとした時、
「ん~……暇だな~」
「「………………」」
会話している最中に新たな人魚族が金魚鉢で浮揚しながら2人の前を通り過ぎる。ゆっくりとレノ達は振り返り、
「……すいませ~ん」
「は~い?」
「メダルと交換してください」
「はいは~い」
彼女はメダルを取り出し、レノが木札が入った皮袋を渡すと、あっさりとメダルを渡してくる。先ほどの人魚のように魔導電話を取り出し、電話を掛ける。
「……よし、行くか」
「だ、か、ら、あっさり過ぎじゃないかっ!?」
「俺に怒られても……」
彼女から回収したメダルを懐に入れ、頭を抑えるリノンに移動を促して広場から立ち去る。
「……私達の今までの苦労は何だったんだ……」
「案外あっさり見つかったね……もしかしたら、他の奴等もこんな感じかも」
どうやら審判員は常に移動しているようであり、特定の場所に待機しているわけではないらしい。この調子だと他の参加者も偶然に出会った審判員薬の人魚族と交換している可能性もある。
「このメダルでリノンが先に帰る?」
「むっ……馬鹿にするな、レノを置いて合格など出来るはずが無いだろう?」
「別に気にしなくてもいい。というか、1人の方が動きやすい」
「あう……は、はっきりと言い過ぎだぞ」
地味に傷ついたリノンが少し涙ぐむが、彼女にメダルを渡そうとした時、
ビュンッ!
「おっと」
「何!?」
ズガンッ!!
2人の足元に矢が深く突き刺さり、瞬時にその場を離れる。矢が放たれた方向を確認すると、一瞬だが少し離れた建物の屋上から人影が見え、そして地面に深く突き刺さった矢を確認すると恐らくは風属性の魔力付与が行われている。
「敵か!?」
「もう逃げたよ」
「むうっ……だが、一瞬も油断は出来ないな」
ここから建物までの距離は50メートル以上離れており、尚且つ地面に突き刺さる威力の矢を放つなど相当な熟練者だ。仮に体に命中していればただでは済まなかっただろう。
「だが、これで分かってくれたな?レノ一人だと色々と危険すぎる。私も同行するぞ」
「ええ~……」
「そ、そんな顔しても駄目だからな!!というか、嫌がり過ぎだろう!!」
別にリノンと共に行動する事が嫌という訳ではないが、レノとしては1人の方が気楽で動きやすく、万が一の場合は奥の手も使用できる。
だが、確かに単独行動を取れば他のエルフ達が好機とばかりに襲ってくる可能性もあるため、ここはリノンに従い、彼女の分のメダルを獲得してから闘技場に逃げるのが得策だろう。
「さて……最後の審判員を見つけないとな」
「また、何処かに散歩してないかな……」
「いや、さっきのような奇跡はもうないだろう……多分」
周囲を見渡すが、流石に3人目の人魚族の姿は見えず、地道に探すしか無いようだ。レノ達は広場を後にし、取りあえずは地上から移動して審判員を探す方式を取る。
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