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第四部隊編
魔鎧の力
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レノは自分の右腕に魔鎧を纏わせ、先の死霊使いとの戦闘よりも形態が安定している。そして、前方の結界に向けて勢いよく腕を振り抜き、
「せいっ!!」
「「おおっ!?」」
そのまま振り抜いた拳が結界に衝突し、
ズブゥウウッ……!!
「う、腕がぁああああああっ!!」
「「えぇえええええっ!?」」
「レノ殿ぉおおおおおっ!?」
そのまま右腕が正面の結界に飲み込まれ、慌ててカゲマル達が助け出そうと動き出すが、
「まあ、普通に抜けるけどね」
「なんじゃそりゃぁあああああっ!?」
ズボォッ……!!
何事も無く右腕を結界から引き抜くレノに、いつものござる口調を忘れてカゲマルがツッコミを入れる。レノは苦笑いを浮かべながら魔鎧を纏った右腕を確認し、結界に死線を向ける。
「……やっぱり無理か」
もう一度右腕を確認し、特に異常は見当たらない。レノの「防御型」の魔鎧は結界の跳ね返す能力を打ち消して通り抜ける事は出来たが、結界その物を破壊することは出来ないようだ。より正確に言えば防御型の魔鎧は魔法を「打ち消す」というよりは「受け流す」傾向が強く、魔法を崩壊させる事は出来ないようだ。
「ど、どうする気でござる?」
「……仕方ない、少しきついけど……」
レノは今の状態では結界を突破できない事を確認し、仕方なく「奥の手」を使うことにした。
「――ソフィア」
ボウッ……!!
「……おおっ」
「レノ殿!?」
「「ギギギッ!?」」
「こ、これは一体!?」
ゴブリン達の目の前で肉体が変化し、髪の毛の色が少し白みがかった青髪に変色する。胸元が膨らみ、全身から魔力が溢れてくる。
「さて、と……」
完全に変身を終えると、ソフィアへと変化した彼女は右拳を握り締め、再び「魔鎧」の形成を試みた。
――以前に酒場で訓練をしていた際、レグが「ソフィア」の姿に変わったレノを見たいと願った事があり、面倒ではあるが彼女の眼の前でこの姿に変化した事があった。
レグはソフィアの姿を確認すると、試しにこの状態で彼女に魔闘術の訓練を行わせる。そして、ソフィアが魔鎧を形成した時にレノの状態とは明らかに違う魔鎧が発現した。
それはレノの状態では防御型の魔鎧しか形成できなかったが、ソフィアの状態ではレグと同系統の「攻撃型」の魔鎧が形成された。しかも魔力の密度が半端ではなく、初期段階で「鋼鉄」に匹敵する硬度を誇る。恐らく、ソフィアの姿では体質そのものが変化し、レノの姿の時は防御型だがソフィアの状態では攻撃型の「魔鎧」に変換される事が判明した。
ブゥンッ……!!
「……よし」
「おおうっ!?」
「……腕が、青く光ってる……?」
ソフィアの右腕に魔鎧が形成され、レノの状態よりも魔力密度が高く、ヨウカのような魔力眼を持たないはずのコトミたちの視界にも彼女の「魔鎧」が確認出来た。彼女の右腕に「青色の炎」を想像させる魔鎧が形成され、ソフィアは拳を握りしめる。この状態では「強化術」以外の魔法は扱えなかったが、魔闘術は問題なく使用できるのは承知済みである。
「さて……派手に行くか」
先ほどのレノの状態での防御型の魔鎧は右腕の部分だけが通り抜けてしまったが、今回の「攻撃型」の魔鎧ならばある期待が出来る。
「弾……」
ドォンッ!!
大きく足を踏み込み、そのまま足の裏から、足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕、拳の順で身体を回転・加速させ、勢いを乗せた拳を前方の結界に向けて振り抜き、
「撃ぃっ!!」
――ズドォオオオオオオンッ!!
先ほどとは違い、攻撃型の魔鎧を纏ったソフィアの右拳が結界に叩き込まれた瞬間、衝撃が波紋のように広がり、
ビキィイイイッ……!!
拳が触れた個所から徐々に空間に亀裂が走り、
バリィイイイインッ――!!
「「ギギィイイイイイイイッ!!」」
「割れたぁっ!?」
「す、凄すぎる……!!」
「何なんだこの人……!?」
「……耳が痛い」
まるでガラスが割れたような音が響き渡り、周囲一帯に結界の欠片が散布する。ソフィアの前方には大きな亀裂が形成された。
「よし……」
正直に言えば自信はそれほど無かったが、レノは上手く結界を破壊できたことに安堵する。そしてすぐに結界が自動修復する前に皆に脱出を促す。
「早く行こう!!もう罅割れが縮み始めている!!」
「しょ、承知!!」
「は、はいぃっ!!」
「……皆、走る」
「「ギギィッ!!」」
徐々に空間の亀裂が縮まり、慌てて全員が亀裂の間を駆け抜け、その後にレノが続き、遂には完全に全員が脱出すると結界の亀裂が修復される。結界の外側は予想に反して森人族の戦士が伏せている様子はなく、用心のためにレノ達はすぐに結界から離れるために移動を行う。。
「せいっ!!」
「「おおっ!?」」
そのまま振り抜いた拳が結界に衝突し、
ズブゥウウッ……!!
「う、腕がぁああああああっ!!」
「「えぇえええええっ!?」」
「レノ殿ぉおおおおおっ!?」
そのまま右腕が正面の結界に飲み込まれ、慌ててカゲマル達が助け出そうと動き出すが、
「まあ、普通に抜けるけどね」
「なんじゃそりゃぁあああああっ!?」
ズボォッ……!!
何事も無く右腕を結界から引き抜くレノに、いつものござる口調を忘れてカゲマルがツッコミを入れる。レノは苦笑いを浮かべながら魔鎧を纏った右腕を確認し、結界に死線を向ける。
「……やっぱり無理か」
もう一度右腕を確認し、特に異常は見当たらない。レノの「防御型」の魔鎧は結界の跳ね返す能力を打ち消して通り抜ける事は出来たが、結界その物を破壊することは出来ないようだ。より正確に言えば防御型の魔鎧は魔法を「打ち消す」というよりは「受け流す」傾向が強く、魔法を崩壊させる事は出来ないようだ。
「ど、どうする気でござる?」
「……仕方ない、少しきついけど……」
レノは今の状態では結界を突破できない事を確認し、仕方なく「奥の手」を使うことにした。
「――ソフィア」
ボウッ……!!
「……おおっ」
「レノ殿!?」
「「ギギギッ!?」」
「こ、これは一体!?」
ゴブリン達の目の前で肉体が変化し、髪の毛の色が少し白みがかった青髪に変色する。胸元が膨らみ、全身から魔力が溢れてくる。
「さて、と……」
完全に変身を終えると、ソフィアへと変化した彼女は右拳を握り締め、再び「魔鎧」の形成を試みた。
――以前に酒場で訓練をしていた際、レグが「ソフィア」の姿に変わったレノを見たいと願った事があり、面倒ではあるが彼女の眼の前でこの姿に変化した事があった。
レグはソフィアの姿を確認すると、試しにこの状態で彼女に魔闘術の訓練を行わせる。そして、ソフィアが魔鎧を形成した時にレノの状態とは明らかに違う魔鎧が発現した。
それはレノの状態では防御型の魔鎧しか形成できなかったが、ソフィアの状態ではレグと同系統の「攻撃型」の魔鎧が形成された。しかも魔力の密度が半端ではなく、初期段階で「鋼鉄」に匹敵する硬度を誇る。恐らく、ソフィアの姿では体質そのものが変化し、レノの姿の時は防御型だがソフィアの状態では攻撃型の「魔鎧」に変換される事が判明した。
ブゥンッ……!!
「……よし」
「おおうっ!?」
「……腕が、青く光ってる……?」
ソフィアの右腕に魔鎧が形成され、レノの状態よりも魔力密度が高く、ヨウカのような魔力眼を持たないはずのコトミたちの視界にも彼女の「魔鎧」が確認出来た。彼女の右腕に「青色の炎」を想像させる魔鎧が形成され、ソフィアは拳を握りしめる。この状態では「強化術」以外の魔法は扱えなかったが、魔闘術は問題なく使用できるのは承知済みである。
「さて……派手に行くか」
先ほどのレノの状態での防御型の魔鎧は右腕の部分だけが通り抜けてしまったが、今回の「攻撃型」の魔鎧ならばある期待が出来る。
「弾……」
ドォンッ!!
大きく足を踏み込み、そのまま足の裏から、足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕、拳の順で身体を回転・加速させ、勢いを乗せた拳を前方の結界に向けて振り抜き、
「撃ぃっ!!」
――ズドォオオオオオオンッ!!
先ほどとは違い、攻撃型の魔鎧を纏ったソフィアの右拳が結界に叩き込まれた瞬間、衝撃が波紋のように広がり、
ビキィイイイッ……!!
拳が触れた個所から徐々に空間に亀裂が走り、
バリィイイイインッ――!!
「「ギギィイイイイイイイッ!!」」
「割れたぁっ!?」
「す、凄すぎる……!!」
「何なんだこの人……!?」
「……耳が痛い」
まるでガラスが割れたような音が響き渡り、周囲一帯に結界の欠片が散布する。ソフィアの前方には大きな亀裂が形成された。
「よし……」
正直に言えば自信はそれほど無かったが、レノは上手く結界を破壊できたことに安堵する。そしてすぐに結界が自動修復する前に皆に脱出を促す。
「早く行こう!!もう罅割れが縮み始めている!!」
「しょ、承知!!」
「は、はいぃっ!!」
「……皆、走る」
「「ギギィッ!!」」
徐々に空間の亀裂が縮まり、慌てて全員が亀裂の間を駆け抜け、その後にレノが続き、遂には完全に全員が脱出すると結界の亀裂が修復される。結界の外側は予想に反して森人族の戦士が伏せている様子はなく、用心のためにレノ達はすぐに結界から離れるために移動を行う。。
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