種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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聖導教会総本部編

反撃

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「私の魔法を……!?」


センリは自分の精霊魔法が吸収されたことに動揺するが、その間にもテンは自身の大剣を振り上げて接近する。


「おらぁああああああっ!!」


ガキィイインッ!!


「ヌグッ!!」


彼女の攻撃は肉体強化による攻撃のため、直に彼女の身体に触れない限りは魔力は吸収できない。そのため加藤も真面に加速した大剣に対しては防御するしかなく、デュランダルの刃で受け止める。


「フンッ!!」
「ちっ!!」


彼の扱う「マジック・イーター」は大剣越しでは彼女の魔力を奪うことも出来ず、彼女の最大の一撃である「剛撃」と呼ばれる斬撃を正面から受け止めたことになるが、現在の加藤は「ベルセルク」を使用しているため、肉体強化した彼女よりも腕力は遥かに上のため簡単に弾き返す。


ブオンッ!!


「ぐっ……!?」
「ヒャハァッ!!」


大剣を弾かれただけでデュランダルの刃から衝撃波が発生し、テンは吹き飛ばされない様に踏ん張る。


「ふんっ!!」
「行くぞ!!」
「よそ見禁物~」
「「団長!!」」


すぐにリノン達とワルキューレ騎士団、さらにはダンゾウやアクアも動き出すが、加藤はデュランダルを天に掲げると、


「衝風陣!!」



――ドォオオオオオオオンッ!!



頭上に振り上げたデュランダルを床に突き刺し、周囲一帯に衝撃波が放たれる。今度は腕力任せの一撃ではなく、風属性の魔力も感じられるため勇者の魔法(スキル)の魔法剣と考えられる。


「「ぬぅうっ!!」」
「わぅんっ!?」
「くっ……!!」
「わぁ~……」
「くそっ……!!」
「「きゃあぁああああああっ!?」」
「「うわぁああああああっ!?」」


衝撃波によって聖堂内の人間達の大半が吹き飛ばされ、加藤の立っている床に亀裂が走る。


「っ……らあっ!!」
「はぁあああっ!!」
「はっ!!」


最初に体勢を立て直したテンとゴンゾウが立ち向かい、その他にもカゲマルが壁を駆け抜け、彼に向けてクナイを放つ。


「ウゼェッ!!」


加藤はデュランダルの刃を地面に突き刺したまま、向い来るクナイと2人に対して自分の腰に差している短剣を抜き放ち、


「昇風!!」


ビュオォオオオオッ!!


短剣で円を切るように空間を切り裂き、小規模の竜巻が発生する。これも勇者の魔法(スキル)であり、カゲマルが放ったクナイが上空に浮き上がり、テンとゴンゾウも吹き飛ばされない様に身構える。


「厄介な……これが噂に聞く勇者か」
「思っていたより随分とやるね~」
「まさか……これほどとは」


こんな状況にも関わらず、ダンゾウとアクアは感心した風な声を上げる。噂に聞く限り、勇者という輩はせいぜい一流冒険者のやや上程度の存在だと聞いていたが、眼の前の加藤を見る限りは「デュランダル」を抜きにしても相当な実力者であることは伺える。

これでは捕縛どころかここにいる全員が危ない。この聖堂内にいる者の殆どが非戦闘員であり、彼らを守りながらでは実力が出せない者も多い。現にワルキューレ騎士団はテンを除き、他の人間達を守るために彼女に加勢できない。



「はぁああああああっ!!」



ビキィイイイッ……!!



遂にゴンゾウが全身の肌を赤く変色させ、自分の身体能力を引き上げる「鬼人化」を発動させる。以前に風の聖痕を刻んだリュウケンを相手にも打ち勝った力であり、この状態ならば恐らくはこの聖堂内の誰よりも腕力で勝る。


「はっ……それがあんたの奥の手かい?誰か武器を貸しな!!」
「は、はい!!」


ゴンゾウの変化にテンが笑みを浮かべ、すぐにワルキューレの女騎士が反応して長剣を投げ込もうとした時、


「……問題ない!!」


ズドンッ!!


亀裂が走った床にゴンゾウは手を突っ込み、


「ぬぅうんっ!!」


ドガァアアアアアッ!!


「うそっ……!?」
「ほうっ……」
「すごいですっ!!」


そのまま床の一部を持ち上げ、自身と同程度の大きさの瓦礫にも関わらず、抱えながら突進する。ただ瓦礫を投擲しただけではデュランダルの衝撃波に吹き飛ばされるため、武器として扱う事を選んだようである。


「シネェッ!!」
「ぬぅんっ!!」


ドガァアアアアンッ!!


加藤は迫りくるゴンゾウに対してデュランダルを構え、大剣と瓦礫がぶつかり合う。だが、ゴンゾウの瓦礫は一瞬で瓦解し、加藤は笑みを浮かべるが、


「うおぉおおおおおおっ!!」


ガシィッ!!


ゴンゾウはすぐ傍の長椅子にを掴み上げ、片腕だけで引き抜くと、そのまま加藤に向けて横薙ぎに払う。


「ナッ……グハッ!?」


ドゴォンッ!!


流石に予想外の反撃だったのか、デュランダルで受け止める前に長椅子が脇腹の部分に衝突し、そのまま加藤は壁際まで吹き飛ばされる。常人ならば間違いなく即死だろうが、相手も「ベルセルク」と呼ばれる特殊な肉体強化を使用しているため、すぐに起き上がる。

だが、無傷という訳にもいかず、彼の肉体に覆われていたマジック・イーターの能力が消失し、脇腹に血が滲む。


「グッ……コノッ……!!」
「……よそ見は禁物ですよ!!」


その隙を逃さず、センリが無数の光球を周囲に形成して、そのまま鋭利な「刃」へと変化させる。


「ショット!!」


チュドドドドッ!!


彼女が杖を振り下ろした瞬間、光の刃が片膝を着いた加藤に向けて放たれる。
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