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テンペスト騎士団編
腕力勝負
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リュウケンとゴンゾウが両手を組み合い、御互いの力を振り絞って押し合いを始める。片方は死人、もう片方は巨人族、異様な光景だが2人に共通しているのは肌が赤黒く、驚異的な腕力を所有している事だ。
「ぐおぉおおおおおおっ!!」
「ぬぐぅううううううっ!!」
ビキィイイイッ!!
両足で踏ん張るだけで地面に亀裂が入り、お互いの額をぶつけ合い、力の限りに押し合う。見ているだけでも気圧される光景だが、完全に力は拮抗しているため、硬直状態に陥る。
「ご、ゴンゾウさっ……わうっ!?」
「邪魔をするな、男同士の戦いに下手に入れば殺されるぞ」
「で、でも……」
助勢に入ろうとしたポチ子をホノカが止め、三人は動けない。リノンは先の戦闘で力を使い果たし、ホノカの攻撃ではゴンゾウを巻き込みかねない。ヨウカに至っては戦力外であり、唯一動けるポチ子も2人の間に割って入れず、彼女の場合は動きが速くても、耐久力が低い。一撃でも受ければ致命傷に成りかねない。
「ふんっ!!」
「ぬあっ……」
先に膠着を解いたのはリュウケンであり、両手を押し付けるのではなく、逆に引き寄せるように彼を招き入れ、そのまま右足の膝を彼の腹部に叩き込む。
ズドォンッ!!
「ぐふっ……ぬおおっ!!」
だが、腹部を撃たれながらもゴンゾウは巨体を利用してそのまま押し倒すように倒れ込み、彼の身体を拘束する。体格差ならば圧倒的にゴンゾウの方が有利だが、
「がぁあああっ!!」
「ぐっ……!!」
ドスッ!!ドスッ!!
押し込まれながらも悪あがきとばかりにリュウケンはゴンゾウの身体に無我夢中に拳を叩き込むが、地面に倒された状態ではたいした威力は出せない。ゴンゾウは全身を殴りつけられながらも、リュウケンの腰をしっかりと鷲掴み、そのまま勢いよく持ち上げると、
「うおぉおおおっ!!」
ズゥウウウンッ!!
「ぐへぇっ……!?」
そのまま全体重を乗せたプロレスで言う所の「パワーボム」を叩き込み、リュウケンの頭部を容赦なく地面に叩き付ける。仮に相手が生者であれば彼も手加減はしただろうが、今回の相手は自分に匹敵するほどの怪力を持つ死人であり、ここで自分が倒さなければ大勢の被害が生まれる。
だが、ゴンゾウに頭部を叩き付けられたにもかかわらず、リュウケンはそのまま背中に両手を回し、両足をゴンゾウの頭に絡みつける。仮に人間ならば脳震盪を起こした一撃だろうが、今のリュウケンは死人であり、身体を八つ裂きにしない限り暴れ続ける。
「がぁああああっ!!」
「ぐおっ……!?」
リュウケンは死人とは思えないほどに見事な動きでゴンゾウの首元を締め付け、格闘技の「三角締め」に近い形となる。今度はこちらが首元を絞められる形となり、そのまま2人は地面に倒れこむ。
体格差や体重はゴンゾウが上だが、単純な腕力はどちらも同程度。さらには動きの速さはリュウケンであり、だからこそゴンゾウは首を絞められるのを防げなかった。強化されたリュウケンの両足に挟まれ、ゴンゾウは意識が失いかけるが、それでも自分も両足を踏ん張り、
「ぐぅうううううっ……!!」
「があっ……!!」
ブワァッ……!!
そのままリュウケンの身体を持ち上げて立ち上がり、ゴンゾウは再び片腕を封じ込められながらも、そのままもう一度彼の身体を振り上げ、
「ふんっ!!」
「ぐはぁっ!?」
ドォオオンッ!!
背中を強かに打ち付けられ、リュウケンの両足の拘束が一瞬だが緩む。その隙を逃さず、ゴンゾウは頭部を抜け出し、逆に拘束していた両足を掴み上げ、
「うおぉおおおおおおおっ!!」
ブンブンブンッ――!!
勢いよくリュウケンの身体を振り回し、プロレス技の「ジャイアントスルー」の要領で旋回する。相当な速度まで加速すると、ゴンゾウは両足を離してリュウケンの身体が吹き飛ぶ。
ズガァアアアアアンッ!!
吹き飛ばされたリュウケンはすぐ傍の瓦礫に頭から突っ込む。最初にこの都市の中に侵入する際に放った竜巻によって周囲には無数の瓦礫が散らばっている。
「うぐぁあああっ……!!」
流石に死人と言えど身体全体を強く叩き付けられ、動きが鈍くなる。鋼鉄以上の硬度と言えど、今のゴンゾウの怪力で生み出された攻撃は身体に影響を与える。ゴンゾウはを好機とばかりに走り出し、この「鬼人化」の状態ならば彼の両足の筋肉も当然強化されており、直線的な移動ならば誰よりも速い。
「ぬんっ!!」
――ドゴォオオオオオオオンッ!!
「ぐばぁあああああああっ!?」
ゴンゾウの巨体が浮き上がり、起き上がろうとしていたリュウケンの身体に叩き込まれる。しかも今度は勢いも付けているため、先ほどよりもダメージは深い。
リュウケンは苦悶の表情を浮かべるが、すぐにゴンゾウの身体を持ち上げようとする。これほどまでに追い詰められながらも、死人である彼には恐怖や怯えなどの感情は無い。動ける限りは戦い続ける状態だが、
「ふんっ!!」
「げふっ!?」
メキィイイイッ!!
ゴンゾウの拳がリュウケンの顔面にめり込み、周囲の地面に亀裂が生まれた。単語
「ぐおぉおおおおおおっ!!」
「ぬぐぅううううううっ!!」
ビキィイイイッ!!
両足で踏ん張るだけで地面に亀裂が入り、お互いの額をぶつけ合い、力の限りに押し合う。見ているだけでも気圧される光景だが、完全に力は拮抗しているため、硬直状態に陥る。
「ご、ゴンゾウさっ……わうっ!?」
「邪魔をするな、男同士の戦いに下手に入れば殺されるぞ」
「で、でも……」
助勢に入ろうとしたポチ子をホノカが止め、三人は動けない。リノンは先の戦闘で力を使い果たし、ホノカの攻撃ではゴンゾウを巻き込みかねない。ヨウカに至っては戦力外であり、唯一動けるポチ子も2人の間に割って入れず、彼女の場合は動きが速くても、耐久力が低い。一撃でも受ければ致命傷に成りかねない。
「ふんっ!!」
「ぬあっ……」
先に膠着を解いたのはリュウケンであり、両手を押し付けるのではなく、逆に引き寄せるように彼を招き入れ、そのまま右足の膝を彼の腹部に叩き込む。
ズドォンッ!!
「ぐふっ……ぬおおっ!!」
だが、腹部を撃たれながらもゴンゾウは巨体を利用してそのまま押し倒すように倒れ込み、彼の身体を拘束する。体格差ならば圧倒的にゴンゾウの方が有利だが、
「がぁあああっ!!」
「ぐっ……!!」
ドスッ!!ドスッ!!
押し込まれながらも悪あがきとばかりにリュウケンはゴンゾウの身体に無我夢中に拳を叩き込むが、地面に倒された状態ではたいした威力は出せない。ゴンゾウは全身を殴りつけられながらも、リュウケンの腰をしっかりと鷲掴み、そのまま勢いよく持ち上げると、
「うおぉおおおっ!!」
ズゥウウウンッ!!
「ぐへぇっ……!?」
そのまま全体重を乗せたプロレスで言う所の「パワーボム」を叩き込み、リュウケンの頭部を容赦なく地面に叩き付ける。仮に相手が生者であれば彼も手加減はしただろうが、今回の相手は自分に匹敵するほどの怪力を持つ死人であり、ここで自分が倒さなければ大勢の被害が生まれる。
だが、ゴンゾウに頭部を叩き付けられたにもかかわらず、リュウケンはそのまま背中に両手を回し、両足をゴンゾウの頭に絡みつける。仮に人間ならば脳震盪を起こした一撃だろうが、今のリュウケンは死人であり、身体を八つ裂きにしない限り暴れ続ける。
「がぁああああっ!!」
「ぐおっ……!?」
リュウケンは死人とは思えないほどに見事な動きでゴンゾウの首元を締め付け、格闘技の「三角締め」に近い形となる。今度はこちらが首元を絞められる形となり、そのまま2人は地面に倒れこむ。
体格差や体重はゴンゾウが上だが、単純な腕力はどちらも同程度。さらには動きの速さはリュウケンであり、だからこそゴンゾウは首を絞められるのを防げなかった。強化されたリュウケンの両足に挟まれ、ゴンゾウは意識が失いかけるが、それでも自分も両足を踏ん張り、
「ぐぅうううううっ……!!」
「があっ……!!」
ブワァッ……!!
そのままリュウケンの身体を持ち上げて立ち上がり、ゴンゾウは再び片腕を封じ込められながらも、そのままもう一度彼の身体を振り上げ、
「ふんっ!!」
「ぐはぁっ!?」
ドォオオンッ!!
背中を強かに打ち付けられ、リュウケンの両足の拘束が一瞬だが緩む。その隙を逃さず、ゴンゾウは頭部を抜け出し、逆に拘束していた両足を掴み上げ、
「うおぉおおおおおおおっ!!」
ブンブンブンッ――!!
勢いよくリュウケンの身体を振り回し、プロレス技の「ジャイアントスルー」の要領で旋回する。相当な速度まで加速すると、ゴンゾウは両足を離してリュウケンの身体が吹き飛ぶ。
ズガァアアアアアンッ!!
吹き飛ばされたリュウケンはすぐ傍の瓦礫に頭から突っ込む。最初にこの都市の中に侵入する際に放った竜巻によって周囲には無数の瓦礫が散らばっている。
「うぐぁあああっ……!!」
流石に死人と言えど身体全体を強く叩き付けられ、動きが鈍くなる。鋼鉄以上の硬度と言えど、今のゴンゾウの怪力で生み出された攻撃は身体に影響を与える。ゴンゾウはを好機とばかりに走り出し、この「鬼人化」の状態ならば彼の両足の筋肉も当然強化されており、直線的な移動ならば誰よりも速い。
「ぬんっ!!」
――ドゴォオオオオオオオンッ!!
「ぐばぁあああああああっ!?」
ゴンゾウの巨体が浮き上がり、起き上がろうとしていたリュウケンの身体に叩き込まれる。しかも今度は勢いも付けているため、先ほどよりもダメージは深い。
リュウケンは苦悶の表情を浮かべるが、すぐにゴンゾウの身体を持ち上げようとする。これほどまでに追い詰められながらも、死人である彼には恐怖や怯えなどの感情は無い。動ける限りは戦い続ける状態だが、
「ふんっ!!」
「げふっ!?」
メキィイイイッ!!
ゴンゾウの拳がリュウケンの顔面にめり込み、周囲の地面に亀裂が生まれた。単語
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