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腐敗竜編
二つの聖剣
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レーヴァティンの熱線を耐え凌ぐ腐敗竜を確認しながら、レノは右手の「紋様」を光り輝かせ、すぐに掌を翳す。ここで倒さなければ終わりであり、内に秘める最強の聖剣の力の一部を引き出す。
『聖剣の代理者として命じる……』
現実世界の日本語で詠唱を行い、全員の視線が彼に集まる。全く聞いたことが無い言語であり、レノが何を言っているのかは理解できないが、彼の雰囲気が変わったことは理解できた。
『金色の雷撃よ!!』
バチィィイイイイイッ!!
レノの掌から「金色の雷」が発生し、そのまま熱線の内部を伝って腐敗竜に放たれる。
ズドォオオオオンッ!!
「ギィヤァアアアアアアアアアッ……!?」
熱線から離れた金色の雷が腐敗竜の身体に駆け巡り、瞬時に肉体が崩壊を始める。炎を皮膚で受け止める事は出来たとしても、雷ならば一瞬で体内に侵入できる。身体の構造が大きく狂わされ、徐々に腐敗竜の身体は崩壊していき、レーヴァティン熱線に焼却されていく。
「――ガァアアアアアアアアアアッ……!?」
ドガァアアアアアンッ……!!
やがて、腐敗竜の身体が真紅の炎に包まれていき、付近に存在する残された卵も飲み込む。魔法耐性に強い氷壁もレーヴァティンとカラドボルグの二つの「聖剣」によって生み出された砲撃魔法には耐え切れないようであり、完全に消滅する。
レーヴァティンが砲撃魔法を放出してから数十秒後、周囲を火の海と化しながらも、腐敗竜の身体中の皮膚が剥がれ落ち、左半身は完全に溶解する。それでも腐敗竜は残された右半身で地面を踏ん張りながら振り返り、
「グァアアアアアッ……!!」
ズズッ……!!ズズッ……!!
「そ、そんな……」
「化け物……!!」
「集中しろ!!」
あろう事か、顔面に熱線を浴びながらもドラゴンゾンビはレノ達に向けて接近し、徐々に刀身から放たれる熱線が縮小化される。
「うっ……」
ジャンヌは顔色が悪く、当の昔に限界は超えている。それでも尚、ここで踏ん張らなければ皆が殺されてしまう。
「頑張りな!!あんたに全部任せるよ……!!」
「わぅんっ!!ジャンヌさん……!!」
「頼む……!!」
「頑張れ……!!」
「……終わらせるぞ!!」
「……っ……はい!!」
皆に激励され、彼女は最後の力を振り絞って柄を握りしめる。縮小された熱戦が再び拡大化し、腐敗竜の身体に降り注ぐ。
「グガァアアアアアアアッ……!!」
だが、腐敗竜は溶解しながらも突き進み、その距離は徐々に縮まる。このままでは溶かしきる前に到達してしまうが、最早逃げる暇はない。ここで聖剣の力で腐敗竜の肉体を完全に焼却しない限り、体内に残る呪詛が世界中に蔓延してしまう。それだけは避けなければならない。全員がジャンヌとレノの元に集まり、ゴンゾウが後方から抱きしめる形となり、雄叫びが重なる。
「「「おぉおおおおおおおおおっ!!」」」」
全員が最後の気力を振り絞り、声を張り上げながらレーヴァティンに集中し、最大の砲撃を放つ。
「グガァアアアアアッ……!?」
ズズゥウンッ……!!
――やがて、遂に腐敗竜の残された右腕も完全に燃え尽き、腐敗竜の巨体が真紅の炎に完全に覆い尽くされ、美しく輝く炎の中で断末魔の悲鳴を上げながら、伝説に名を刻む魔物は命を終えた。
「……終わっ……た?」
「やった……のか」
「……ああ」
レーヴァティンの刃先から炎が消え去り、全員が前方に視線を向けると、そこには腐敗竜の死骸と思われる「灰」だけが残されており、全員が顔を見合わせ、疲れ切った表情を浮かべながらも、
「うおぉおおおおおおおおおっ!!」
「やったなぁあああああああっ!!」
「勝ちましたぁあああああっ!!」
「私達の、勝利だぁああああっ!!」
「……はい……!!」
「あ~……疲れたぁ」
ジャンヌたちが歓喜の咆哮を上げる中、レノだけはその場にへたり込み、安堵の息を吐いた――
――この日、世界を破滅に導く可能性を秘めた「腐敗竜」は連合軍が動き出す前にワルキューレ騎士団とテンペスト騎士団の協力によって討伐に成功した事が世界中に報告された。
さらには腐敗竜を打ち倒した討伐部隊の中には「ハーフエルフ」がいたという事実も広がり、世界は震撼する。何せ、世界規模で迫害されている種族が世界を救う貢献を行ったのだ。
すぐにもバルトロス王国は討伐部隊を王宮に招き、盛大なパーティーを開催する。当然、世界中の種族の代表もこれに参加し、世界を救ったというメンバーの見極めのため、または新たに「レーヴァティン」に認められた存在を確認するため、そして何よりも噂になっている「ハーフエルフ」の正体を掴むため、様々な思惑が入り乱れながら王宮には大勢の人々が集まる。
――同時に今回の「腐敗竜」の一件で何も行動を起こさなかった勇者達を収集し、その責任を問い正す。
『聖剣の代理者として命じる……』
現実世界の日本語で詠唱を行い、全員の視線が彼に集まる。全く聞いたことが無い言語であり、レノが何を言っているのかは理解できないが、彼の雰囲気が変わったことは理解できた。
『金色の雷撃よ!!』
バチィィイイイイイッ!!
レノの掌から「金色の雷」が発生し、そのまま熱線の内部を伝って腐敗竜に放たれる。
ズドォオオオオンッ!!
「ギィヤァアアアアアアアアアッ……!?」
熱線から離れた金色の雷が腐敗竜の身体に駆け巡り、瞬時に肉体が崩壊を始める。炎を皮膚で受け止める事は出来たとしても、雷ならば一瞬で体内に侵入できる。身体の構造が大きく狂わされ、徐々に腐敗竜の身体は崩壊していき、レーヴァティン熱線に焼却されていく。
「――ガァアアアアアアアアアアッ……!?」
ドガァアアアアアンッ……!!
やがて、腐敗竜の身体が真紅の炎に包まれていき、付近に存在する残された卵も飲み込む。魔法耐性に強い氷壁もレーヴァティンとカラドボルグの二つの「聖剣」によって生み出された砲撃魔法には耐え切れないようであり、完全に消滅する。
レーヴァティンが砲撃魔法を放出してから数十秒後、周囲を火の海と化しながらも、腐敗竜の身体中の皮膚が剥がれ落ち、左半身は完全に溶解する。それでも腐敗竜は残された右半身で地面を踏ん張りながら振り返り、
「グァアアアアアッ……!!」
ズズッ……!!ズズッ……!!
「そ、そんな……」
「化け物……!!」
「集中しろ!!」
あろう事か、顔面に熱線を浴びながらもドラゴンゾンビはレノ達に向けて接近し、徐々に刀身から放たれる熱線が縮小化される。
「うっ……」
ジャンヌは顔色が悪く、当の昔に限界は超えている。それでも尚、ここで踏ん張らなければ皆が殺されてしまう。
「頑張りな!!あんたに全部任せるよ……!!」
「わぅんっ!!ジャンヌさん……!!」
「頼む……!!」
「頑張れ……!!」
「……終わらせるぞ!!」
「……っ……はい!!」
皆に激励され、彼女は最後の力を振り絞って柄を握りしめる。縮小された熱戦が再び拡大化し、腐敗竜の身体に降り注ぐ。
「グガァアアアアアアアッ……!!」
だが、腐敗竜は溶解しながらも突き進み、その距離は徐々に縮まる。このままでは溶かしきる前に到達してしまうが、最早逃げる暇はない。ここで聖剣の力で腐敗竜の肉体を完全に焼却しない限り、体内に残る呪詛が世界中に蔓延してしまう。それだけは避けなければならない。全員がジャンヌとレノの元に集まり、ゴンゾウが後方から抱きしめる形となり、雄叫びが重なる。
「「「おぉおおおおおおおおおっ!!」」」」
全員が最後の気力を振り絞り、声を張り上げながらレーヴァティンに集中し、最大の砲撃を放つ。
「グガァアアアアアッ……!?」
ズズゥウンッ……!!
――やがて、遂に腐敗竜の残された右腕も完全に燃え尽き、腐敗竜の巨体が真紅の炎に完全に覆い尽くされ、美しく輝く炎の中で断末魔の悲鳴を上げながら、伝説に名を刻む魔物は命を終えた。
「……終わっ……た?」
「やった……のか」
「……ああ」
レーヴァティンの刃先から炎が消え去り、全員が前方に視線を向けると、そこには腐敗竜の死骸と思われる「灰」だけが残されており、全員が顔を見合わせ、疲れ切った表情を浮かべながらも、
「うおぉおおおおおおおおおっ!!」
「やったなぁあああああああっ!!」
「勝ちましたぁあああああっ!!」
「私達の、勝利だぁああああっ!!」
「……はい……!!」
「あ~……疲れたぁ」
ジャンヌたちが歓喜の咆哮を上げる中、レノだけはその場にへたり込み、安堵の息を吐いた――
――この日、世界を破滅に導く可能性を秘めた「腐敗竜」は連合軍が動き出す前にワルキューレ騎士団とテンペスト騎士団の協力によって討伐に成功した事が世界中に報告された。
さらには腐敗竜を打ち倒した討伐部隊の中には「ハーフエルフ」がいたという事実も広がり、世界は震撼する。何せ、世界規模で迫害されている種族が世界を救う貢献を行ったのだ。
すぐにもバルトロス王国は討伐部隊を王宮に招き、盛大なパーティーを開催する。当然、世界中の種族の代表もこれに参加し、世界を救ったというメンバーの見極めのため、または新たに「レーヴァティン」に認められた存在を確認するため、そして何よりも噂になっている「ハーフエルフ」の正体を掴むため、様々な思惑が入り乱れながら王宮には大勢の人々が集まる。
――同時に今回の「腐敗竜」の一件で何も行動を起こさなかった勇者達を収集し、その責任を問い正す。
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