231 / 1,095
腐敗竜編
玉砕覚悟
しおりを挟む
ドドドドドッ……!!
「ぐえっ……?」
「がぁああっ……?」
村の前に存在する丘から激しい音が聞こえ、村に存在する村人や王国の兵士のアンデット達が見上げると、
「――行くぞお前らぁあああああっ!!生きて帰れると思うなぁああああああっ!!」
「「ワルキューレに栄光あれ!!」」
そこには丘の上から飛び降りる無数のワルキューレ騎士団の姿が存在し、全員が武具を構えて空中で体勢を整え、地面に着地する。
「がぁああああああっ!!」
「うおぉおおおおおっ!!」
「ああぁあああああっ!!」
アンデットたちもすぐに迎え撃つように集結し、我先にと向かってくるワルキューレに怯まずに襲い掛かる。知能が低い以上、恐怖という感情も薄れており、中には足の遅い者を後ろから踏み台にしてまで突撃する者も存在する。
そして、徐々に距離は縮まり、まずは一番先頭を走る「テン」に向けて数匹のアンデットが飛びかかった瞬間、
「――剛天撃!!」
ズガァアアアンッ!!
「「「ぎぃいあぁああああっ!?」」」
漆黒の大剣を振るいあげ、純粋な肉体強化(アクセル)した腕力で薙ぎ倒す。単純な攻撃だが、その威力は地面にクレーターを生み出すほどだ。だが、吹き飛ばしても新手のアンデットが倒された屍を踏み台にしてテンに襲い掛かる。、
「お前ら!!」
「はい!!」
「お任せ下さい!!」
テンの両脇に並んでいた側近の女騎士が前に出ると、まるで「蜂」の針を思わせる形状の槍を突き出し、槍の柄に填め込まれている魔石を利用して無詠唱で魔法を発現させる。
「火炎槍!!」
ボウッ!!
「「ぎゃあぁあああああっ!!」」
激しく槍の先端が発火し、向い来るアンデットの群れを一気に貫く。聖属性の次にアンデットに効果が高い火属性のため、火に反応してアンデットたちの動きが止まる。その隙を逃さず、他のワルキューレたちも武器を振り上げ、それぞれ詠唱を行うと、
「火剣!!」
「水槍!!」
「雷斧!!」
「風矢!!」
ズドォオオオオンッ!!
「「がぁあああああああっ!?」」
次々と魔法が放たれ、アンデットたちを一掃していく。この調子ならば、もしかしたら腐敗竜の元に全員が無事に辿り着けるのではないかとテンが笑みを浮かべたとき、
「ぎええっ!!」
「なっ……くっ!!」
ガキィンッ!!
村人のアンデットを押しのけ、無数の兵士の格好をしたアンデットが襲い掛かり、女騎士達は咄嗟に防ぐ。恰好から察するに王国に派遣された兵士たちで間違いなく、死亡して尚も装備した武器を手放さずに襲い掛かってくる。
「このっ!!」
「がはぁっ!?」
ズバァアアアッ!!
すぐにワルキューレたちは彼らを斬り伏せるが、完全に行進の勢いを殺されてしまった。他のアンデットたちがそれを確認しんて息を吹き返したように立ち上がり、再度突進を仕掛ける。
「ちっ……失せな!!」
ズバァアアアアッ!!
「があっ……!?」
「げふっ……!?」
テンが大剣を振るうたびに数匹のアンデットの首が飛ぶが、相手はすくなくとも1000を超えており、どれだけ大剣を振っても新手が押し掛かる。何時の間にかワルキューレ騎士団は完全に周囲を囲まれてしまい、前線の騎士がアンデットを抑え込み、中央に居る騎士達が魔法を詠唱し援護を行うが、数の暴力には敵わない。
これが普通の人間相手ならばワルキューレに恐れて無闇な行動は取らないだろうが、アンデットの最も厄介な所は死を恐れないであり、知能が低いために単純な行動しか行えないが、どんな武器を所持していようが、どんな大軍で待ち構えていようが、彼等は躊躇なく襲い掛かる。
「くそっ……まだ半分も行ってないってのに!!」
前方にまるで小山を思わせる腐敗竜の巨体が確認出来るが、その距離はまだ100メートルも離れている。これでは「囮」の役目も行えず、テンは大剣を振るい上げながら一瞬だけ振り返り、配下の女騎士達の様子を伺う。
まだ犠牲者は1人もいないのが幸いだが、全員の顔色が悪い。ここまでたどり着くまでに随分と疲労しており、さらにはこの村全体に呪詛が充満し、まるで身体全体が水中に浸かったかのように動きにくい。先ほどのようにジャンヌがレーヴァティンを使用してくれれば楽になるだろうが、あまりに彼女に頼ると肝心な腐敗竜の浄化に支障が出る。
(ここであいつに頼るわけにはいかないねっ……!!)
テンはありったけの魔力を注ぎ込み、大剣に雷が迸り、柄の部分に埋め込まれた「黄色い魔石」が光り輝いた瞬間、
「斧雷!!」
ズドォオオオオンッ!!
「「「いぎゃあぁああああああああっ!?」」」
彼女が全身の筋肉を震わせて大剣を投擲し、一気に正面に群がっていたアンデットを貫く。今の一撃で100体近くのアンデットが薙ぎ倒され、前方に大きな道が生まれる。
「お前ら!!ついて来な!!」
「「はっ!!」」
テンはすぐ傍のアンデットの頭を鷲摑み、その怪力で振り回しながら前方を走り出す。その後にワルキューレの集団も続き、一気に腐敗竜の元に向かう。完全にワルキューレ騎士団の存在を無視しているのか、腐敗竜は背を向けたまま動かず、その様子が余計にテンを苛立たせ、
「舐めんじゃねえぞこらぁああああっ!!」
「「ぐぎぃいいいっ!?」」
両手に掴み上げたアンデットを振り回しながら、まるで人間ヌンチャクを思わせる動きで突進する。
「ぐえっ……?」
「がぁああっ……?」
村の前に存在する丘から激しい音が聞こえ、村に存在する村人や王国の兵士のアンデット達が見上げると、
「――行くぞお前らぁあああああっ!!生きて帰れると思うなぁああああああっ!!」
「「ワルキューレに栄光あれ!!」」
そこには丘の上から飛び降りる無数のワルキューレ騎士団の姿が存在し、全員が武具を構えて空中で体勢を整え、地面に着地する。
「がぁああああああっ!!」
「うおぉおおおおおっ!!」
「ああぁあああああっ!!」
アンデットたちもすぐに迎え撃つように集結し、我先にと向かってくるワルキューレに怯まずに襲い掛かる。知能が低い以上、恐怖という感情も薄れており、中には足の遅い者を後ろから踏み台にしてまで突撃する者も存在する。
そして、徐々に距離は縮まり、まずは一番先頭を走る「テン」に向けて数匹のアンデットが飛びかかった瞬間、
「――剛天撃!!」
ズガァアアアンッ!!
「「「ぎぃいあぁああああっ!?」」」
漆黒の大剣を振るいあげ、純粋な肉体強化(アクセル)した腕力で薙ぎ倒す。単純な攻撃だが、その威力は地面にクレーターを生み出すほどだ。だが、吹き飛ばしても新手のアンデットが倒された屍を踏み台にしてテンに襲い掛かる。、
「お前ら!!」
「はい!!」
「お任せ下さい!!」
テンの両脇に並んでいた側近の女騎士が前に出ると、まるで「蜂」の針を思わせる形状の槍を突き出し、槍の柄に填め込まれている魔石を利用して無詠唱で魔法を発現させる。
「火炎槍!!」
ボウッ!!
「「ぎゃあぁあああああっ!!」」
激しく槍の先端が発火し、向い来るアンデットの群れを一気に貫く。聖属性の次にアンデットに効果が高い火属性のため、火に反応してアンデットたちの動きが止まる。その隙を逃さず、他のワルキューレたちも武器を振り上げ、それぞれ詠唱を行うと、
「火剣!!」
「水槍!!」
「雷斧!!」
「風矢!!」
ズドォオオオオンッ!!
「「がぁあああああああっ!?」」
次々と魔法が放たれ、アンデットたちを一掃していく。この調子ならば、もしかしたら腐敗竜の元に全員が無事に辿り着けるのではないかとテンが笑みを浮かべたとき、
「ぎええっ!!」
「なっ……くっ!!」
ガキィンッ!!
村人のアンデットを押しのけ、無数の兵士の格好をしたアンデットが襲い掛かり、女騎士達は咄嗟に防ぐ。恰好から察するに王国に派遣された兵士たちで間違いなく、死亡して尚も装備した武器を手放さずに襲い掛かってくる。
「このっ!!」
「がはぁっ!?」
ズバァアアアッ!!
すぐにワルキューレたちは彼らを斬り伏せるが、完全に行進の勢いを殺されてしまった。他のアンデットたちがそれを確認しんて息を吹き返したように立ち上がり、再度突進を仕掛ける。
「ちっ……失せな!!」
ズバァアアアアッ!!
「があっ……!?」
「げふっ……!?」
テンが大剣を振るうたびに数匹のアンデットの首が飛ぶが、相手はすくなくとも1000を超えており、どれだけ大剣を振っても新手が押し掛かる。何時の間にかワルキューレ騎士団は完全に周囲を囲まれてしまい、前線の騎士がアンデットを抑え込み、中央に居る騎士達が魔法を詠唱し援護を行うが、数の暴力には敵わない。
これが普通の人間相手ならばワルキューレに恐れて無闇な行動は取らないだろうが、アンデットの最も厄介な所は死を恐れないであり、知能が低いために単純な行動しか行えないが、どんな武器を所持していようが、どんな大軍で待ち構えていようが、彼等は躊躇なく襲い掛かる。
「くそっ……まだ半分も行ってないってのに!!」
前方にまるで小山を思わせる腐敗竜の巨体が確認出来るが、その距離はまだ100メートルも離れている。これでは「囮」の役目も行えず、テンは大剣を振るい上げながら一瞬だけ振り返り、配下の女騎士達の様子を伺う。
まだ犠牲者は1人もいないのが幸いだが、全員の顔色が悪い。ここまでたどり着くまでに随分と疲労しており、さらにはこの村全体に呪詛が充満し、まるで身体全体が水中に浸かったかのように動きにくい。先ほどのようにジャンヌがレーヴァティンを使用してくれれば楽になるだろうが、あまりに彼女に頼ると肝心な腐敗竜の浄化に支障が出る。
(ここであいつに頼るわけにはいかないねっ……!!)
テンはありったけの魔力を注ぎ込み、大剣に雷が迸り、柄の部分に埋め込まれた「黄色い魔石」が光り輝いた瞬間、
「斧雷!!」
ズドォオオオオンッ!!
「「「いぎゃあぁああああああああっ!?」」」
彼女が全身の筋肉を震わせて大剣を投擲し、一気に正面に群がっていたアンデットを貫く。今の一撃で100体近くのアンデットが薙ぎ倒され、前方に大きな道が生まれる。
「お前ら!!ついて来な!!」
「「はっ!!」」
テンはすぐ傍のアンデットの頭を鷲摑み、その怪力で振り回しながら前方を走り出す。その後にワルキューレの集団も続き、一気に腐敗竜の元に向かう。完全にワルキューレ騎士団の存在を無視しているのか、腐敗竜は背を向けたまま動かず、その様子が余計にテンを苛立たせ、
「舐めんじゃねえぞこらぁああああっ!!」
「「ぐぎぃいいいっ!?」」
両手に掴み上げたアンデットを振り回しながら、まるで人間ヌンチャクを思わせる動きで突進する。
0
お気に入りに追加
485
あなたにおすすめの小説
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
結婚して5年、初めて口を利きました
宮野 楓
恋愛
―――出会って、結婚して5年。一度も口を聞いたことがない。
ミリエルと旦那様であるロイスの政略結婚が他と違う点を挙げよ、と言えばこれに尽きるだろう。
その二人が5年の月日を経て邂逅するとき
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
大好きな母と縁を切りました。
むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。
領地争いで父が戦死。
それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。
けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。
毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。
けれどこの婚約はとても酷いものだった。
そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。
そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる