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腐敗竜編
ゴーレム戦
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ゴーレム・キングの一撃により、地面に亀裂が走り、激しい土煙が舞い上がる。普通に考えれば全員がゴーレムの拳に押しつぶされていただろうが、
「――全員、散れ!!」
ボフッ!!
土煙の中からレノが飛び出し、続けて次々と人影が出現する。流石と言うべきが、全員が今の一撃を難なく避けていた。誰もがこの数年で様々な魔物と戦い続け、熟練の強者揃いである。
「ちょっちょっと!!あなた何処触ってるの!?変態、馬鹿、痴漢!!」
「暴れないで、ほしい」
ただ1人だけ、ミカだけはゴンソウの肩に担ぎ込まれ、彼の上で暴れていた。ゴンソウに助けられた形だが、当の本人は彼の苦労も分からずに好き勝手なことを告げる。
「私は武器の回収に向かいます!!皆さんは避難を!!」
「なっ……無茶だ!!」
ジャンヌの声が響きわたり、すぐにアルトは彼女に制止の言葉を告げる。だが、既に彼女は1人だけゴーレムの方に疾走し、恐らくは体内に突き刺さったままであろう「巨人殺し(ジャイアント・キリング)」の回収に動き出す。
「くっ……リノン!!彼女の援護を!!」
「了解っ!!ポチ子!!」
「わぅんっ!!」
リノンは隣で疾走するポチ子に彼女の装備を私、ポチ子は自分の剣を抜き取ると鞘を放り投げ、先に進むジャンヌの後を追う。このメンバーの中では最も足が速いのはポチ子であり、すぐにもジャンヌの隣にまで移動する。
「ジャンヌさん!!1人じゃ危ないですよ!?」
「ですが……あれが無ければエクスカリバーは完成しません!!」
ジャンヌの所持している「ジャイアント・キリング」もエクスカリバーの欠片で造られた武具であり、聖剣を復活させるには必要不可欠なのだ。
「ォオオオオオッ!!」
ガラガラッ……!!
ゴーレムは地面にめり込ませた右腕を引き上げ、再び腕を振り上げる。しかし、巨体のせいかその動作は遅い。
「はぁああああっ!!」
ゴォオオオオッ!!
その間にもアルトが自分の聖剣を天に掲げ、魔力を集中させる。一方ではリノンは剣を抜き、2人の後を追う。ゴンゾウは安全な場所にミカを放置させ、自分も棍棒を掲げて動き出す。
「アルト様ぁ~!!援護魔法を掛けますよ!!プロテクト・マジック!!マジック・エンチャント!!」
ミカはこんな状況でも関わらずにアルトに声を掛け、彼に向けてあらゆる援護魔法を付与させる。すぐに彼の身体に異変が起き、自分の魔力が上昇していくのを感じ取る。ミカの的確な援護にアルトは驚きながらも、通常状態以上の魔力が湧き上がる。
(これなら……!!)
聖剣に魔力を蓄積させ、ゴーレムに顔を向ける。自分が得意とする最強の魔法を直撃させるため、一瞬の油断も許されない。
「ゴォオオオオオッ!!」
ブォンッ――!!
「くっ!!」
「わふっ!!」
ダァアンッ!!
岩の巨人の第二撃が放たれ、岩石の拳が振り落される。一番近くにまで接近していたジャンヌとポチ子は空中に跳躍し、何とかそれを躱すそうとするが、
ズドォオオオオンッ!!
「きゃあっ!?」
「ぐぅっ……」
「うわっ!?」
再度、地面に拳が放たれ、今度は横薙ぎに右から左へと払われる。何とかリノンとゴンゾウは腕の範囲外に居たことから難を避けられたが、周囲には凄まじい土煙で覆われ、視界が塞がれる。
「しまった……!!」
アルトは目の前の土煙によって正確なゴーレムの位置が捉えきれず、聖剣の力を発揮できない。闇雲に打っても致命傷は与えられるはずがなく、彼は好機を待つことにしたが、その間にもジャンヌは鈍重なゴーレムの岩石の外殻に登り上がり、頭部に目掛けて走り込んでいた。
(……見えた!!)
ゴーレムの後頭部に刃の部分だけが露出した「ジャイアント・キリング」を確認し、先ほどの再生でどうやら柄の部分は岩石に飲み込まれたままだ。
「ゴウッ!!」
ズガァアアンッ!!
「くっ!?」
膝元まで移動した際にゴーレムは掌を彼女に向けて放ち、咄嗟にその場から離れて背後に向けて移動を始める。幸い、無数の岩石で構成されたゴーレムの肉体は罅だらけで足場に事欠かず、肉体強化した脚部で駆けまわる。
ゴーレムは背後に腕を回すが、固すぎる岩石のせいか、上手く背中の部分にまでは両手は伸ばせ無いようだ。そのままジャンヌはロッククライミングの背中を這い上がろうとした時、
「ウゴォオオオオオッ!!」
「「「えっ!?」」」
ドォオオンッ!!
あろう事か、ゴーレムはその巨体を空中に浮き上がらせ、背中向きに地面に向けて落下する。流石のジャンヌも突然のゴーレムの行動に、そのまま背中に張り付いたまま地面が迫っていく光景を目にし、数秒後の光景に目を見開く。
(死っ……!?)
こんな場所で自分が死ぬのかと、ジャンヌの頭に様々な思考が浮かびあがっては消えていく。が、
ジャララララッ……!!
「えっ……きゃあっ!?」
何処からか「鎖」が彼女の身体に絡みつき、そのまま引き寄せられるように移動を開始する。既に地面との距離は迫っており、あと少しでゴーレムの巨体に押し潰されるぎりぎりの距離まで接近すると、
――ズガァアアアアンッ!!
「っ……あっ……!?」
彼女の目には地面に身体をめり込ませるゴーレムの姿が映り込み、
「……おっと」
「あうっ!?」
ガシィッ!!
黒衣の腕から出現させた「銀の鎖」を回収し、何時の間にか移動していたレノが彼女の身体を抱きとめた。
「――全員、散れ!!」
ボフッ!!
土煙の中からレノが飛び出し、続けて次々と人影が出現する。流石と言うべきが、全員が今の一撃を難なく避けていた。誰もがこの数年で様々な魔物と戦い続け、熟練の強者揃いである。
「ちょっちょっと!!あなた何処触ってるの!?変態、馬鹿、痴漢!!」
「暴れないで、ほしい」
ただ1人だけ、ミカだけはゴンソウの肩に担ぎ込まれ、彼の上で暴れていた。ゴンソウに助けられた形だが、当の本人は彼の苦労も分からずに好き勝手なことを告げる。
「私は武器の回収に向かいます!!皆さんは避難を!!」
「なっ……無茶だ!!」
ジャンヌの声が響きわたり、すぐにアルトは彼女に制止の言葉を告げる。だが、既に彼女は1人だけゴーレムの方に疾走し、恐らくは体内に突き刺さったままであろう「巨人殺し(ジャイアント・キリング)」の回収に動き出す。
「くっ……リノン!!彼女の援護を!!」
「了解っ!!ポチ子!!」
「わぅんっ!!」
リノンは隣で疾走するポチ子に彼女の装備を私、ポチ子は自分の剣を抜き取ると鞘を放り投げ、先に進むジャンヌの後を追う。このメンバーの中では最も足が速いのはポチ子であり、すぐにもジャンヌの隣にまで移動する。
「ジャンヌさん!!1人じゃ危ないですよ!?」
「ですが……あれが無ければエクスカリバーは完成しません!!」
ジャンヌの所持している「ジャイアント・キリング」もエクスカリバーの欠片で造られた武具であり、聖剣を復活させるには必要不可欠なのだ。
「ォオオオオオッ!!」
ガラガラッ……!!
ゴーレムは地面にめり込ませた右腕を引き上げ、再び腕を振り上げる。しかし、巨体のせいかその動作は遅い。
「はぁああああっ!!」
ゴォオオオオッ!!
その間にもアルトが自分の聖剣を天に掲げ、魔力を集中させる。一方ではリノンは剣を抜き、2人の後を追う。ゴンゾウは安全な場所にミカを放置させ、自分も棍棒を掲げて動き出す。
「アルト様ぁ~!!援護魔法を掛けますよ!!プロテクト・マジック!!マジック・エンチャント!!」
ミカはこんな状況でも関わらずにアルトに声を掛け、彼に向けてあらゆる援護魔法を付与させる。すぐに彼の身体に異変が起き、自分の魔力が上昇していくのを感じ取る。ミカの的確な援護にアルトは驚きながらも、通常状態以上の魔力が湧き上がる。
(これなら……!!)
聖剣に魔力を蓄積させ、ゴーレムに顔を向ける。自分が得意とする最強の魔法を直撃させるため、一瞬の油断も許されない。
「ゴォオオオオオッ!!」
ブォンッ――!!
「くっ!!」
「わふっ!!」
ダァアンッ!!
岩の巨人の第二撃が放たれ、岩石の拳が振り落される。一番近くにまで接近していたジャンヌとポチ子は空中に跳躍し、何とかそれを躱すそうとするが、
ズドォオオオオンッ!!
「きゃあっ!?」
「ぐぅっ……」
「うわっ!?」
再度、地面に拳が放たれ、今度は横薙ぎに右から左へと払われる。何とかリノンとゴンゾウは腕の範囲外に居たことから難を避けられたが、周囲には凄まじい土煙で覆われ、視界が塞がれる。
「しまった……!!」
アルトは目の前の土煙によって正確なゴーレムの位置が捉えきれず、聖剣の力を発揮できない。闇雲に打っても致命傷は与えられるはずがなく、彼は好機を待つことにしたが、その間にもジャンヌは鈍重なゴーレムの岩石の外殻に登り上がり、頭部に目掛けて走り込んでいた。
(……見えた!!)
ゴーレムの後頭部に刃の部分だけが露出した「ジャイアント・キリング」を確認し、先ほどの再生でどうやら柄の部分は岩石に飲み込まれたままだ。
「ゴウッ!!」
ズガァアアンッ!!
「くっ!?」
膝元まで移動した際にゴーレムは掌を彼女に向けて放ち、咄嗟にその場から離れて背後に向けて移動を始める。幸い、無数の岩石で構成されたゴーレムの肉体は罅だらけで足場に事欠かず、肉体強化した脚部で駆けまわる。
ゴーレムは背後に腕を回すが、固すぎる岩石のせいか、上手く背中の部分にまでは両手は伸ばせ無いようだ。そのままジャンヌはロッククライミングの背中を這い上がろうとした時、
「ウゴォオオオオオッ!!」
「「「えっ!?」」」
ドォオオンッ!!
あろう事か、ゴーレムはその巨体を空中に浮き上がらせ、背中向きに地面に向けて落下する。流石のジャンヌも突然のゴーレムの行動に、そのまま背中に張り付いたまま地面が迫っていく光景を目にし、数秒後の光景に目を見開く。
(死っ……!?)
こんな場所で自分が死ぬのかと、ジャンヌの頭に様々な思考が浮かびあがっては消えていく。が、
ジャララララッ……!!
「えっ……きゃあっ!?」
何処からか「鎖」が彼女の身体に絡みつき、そのまま引き寄せられるように移動を開始する。既に地面との距離は迫っており、あと少しでゴーレムの巨体に押し潰されるぎりぎりの距離まで接近すると、
――ズガァアアアアンッ!!
「っ……あっ……!?」
彼女の目には地面に身体をめり込ませるゴーレムの姿が映り込み、
「……おっと」
「あうっ!?」
ガシィッ!!
黒衣の腕から出現させた「銀の鎖」を回収し、何時の間にか移動していたレノが彼女の身体を抱きとめた。
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