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腐敗竜編
聖天砲天撃
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ゴーレムの口内から高熱の光線が放たれる寸前、レノは銀の鎖を左腕から出現させ、全員の身体に巻き付ける。
「来い!!」
「えっ……うわぁっ!?」
「きゃあっ!?」
「ぬおっ!?」
「な、何を……!?」
レノが鎖を引き戻し、そのまま全員を引き連れてすぐ傍の湖に引き込む。幸いにも、巨体のゴンゾウが湖の傍に居たのが幸いし、彼を湖に突き落とすことで鎖に繋がれた者たちも引き寄せられる。
ザバァアアンッ!!
全員が湖に潜り込んだ直後、
――ドガァアアアアアアアッ!!
先ほどまでレノ達が居たゴーレム・キングから放たれた破壊光線が通過し、そのまま湖の中心地に聳え立つ水人華を横切り、迷宮の壁に衝突した瞬間、凄まじい爆裂が起きる。
「「「……ぷはあっ!!」」」
同時に全員が湖から顔を出し、すぐに壁側に舞い上がる黒煙を見て顔を青ざめる。もしも、あのまま湖の傍で防御行動を行っていれば自分たちは間違いなく消し炭になっていただろう。ミカが事前に発生させた障壁も完全に破壊され、とてもではないが今までの魔物達とは危険度(レベル)が違いすぎる。
「う、嘘でしょ……あんなの、チートじゃない……」
「チート……確かに反則じみてるな」
「えっ?」
ミカの何気ない言葉にレノは反応し、すぐに彼女は驚いた様子で彼の顔を伺う。この席で現実世界のゲーム用語を知っているのは異世界人だけだが、明らかにこの世界の住人であるレノが反応した事に驚きを隠せない。
レノは周囲を見渡し、全員の顔色を伺う。予想通りというか、あまりのゴーレム・キングの戦力差に青ざめ、唯一ジャンヌだけは刀身を抱きしめながらゴーレムを見つめていた。
(この聖剣の力を解放すれば……)
刀身部分だけとは言え、これは正真正銘の伝説の「聖剣エクスカリバー」であり、どうにかして力を引き出せないかと思案する。残されたエクスカリバーの欠片は全て手元に集まっている。だが、それらを全て結合させる技術や時間はない。
「来るぞ!!」
レノの掛け声にジャンヌは顔を見上げ、巨大なゴーレムは再び岩石の皮膚に血管を浮き上がらせ、此方に近づいてくる。動きはゆっくりとしたものだが、その歩幅は大きく、凄まじい速度で接近してくる。
ゴォオオオオオッ……!!
今度は確実にレノ達に狙いを定めるため、湖に向けて顔を傾ける。仮に先ほどと同じ威力の攻撃をされたら、湖そのものが崩壊し兼ねない。
「ちょっ……なにのんびりしてんの!!早く転移してよぉっ!!」
「こんな水面でどうやって魔方陣を敷けと?」
ミカが焦ってレノに声を掛けるが、魔方陣を発動させようにも水中では上手く鎖は操作出来ない。
「な、なら早く地上に上がって……」
「もう、遅い」
ズズゥウウウンッ……!!
「ゴォオオオオオオオッ!!」
既にゴーレムは湖の前まで接近し、再び大きく口を開け、赤い光を灯らせる。全員が目を見開く中、ジャンヌだけはジャイアント・キリングに手を伸ばし、一瞬だけ躊躇いの表情を浮かべたが、顔を上げ、
「――聖天砲天撃!!」
カッ!!
彼女が聖斧を掲げた瞬間、凄まじい発光が放たれ、周囲に水面に波紋を走らせながら、ジャンヌの手元から放り投げられる。
ビュオォオオオオオッ!!
「ゴォオオッ……!?」
そのままゴーレムの大きく開かれた口内に入り込み、
――ズドォオオオオオオオンッ!!
発射される直前に顔面が崩壊し、無数の瓦礫が湖の上に落下する。
「うわっ……!?」
「す、すごい……」
「でも、危ない!!」
ザバンッ!!ザバァアアッ!!
巨大な瓦礫が降り注ぎ、慌ててレノ達は泳いで地上に向かう。激しい波が発生して泳ぎにくいが、何とか陸上に非難する。
「た、助け……がぼっ……!!」
「わふっ……み、ミカさん……掴まないで……!!」
「ポチ子!!ミカ!!」
混乱したミカはポチ子にしがみ付き、2人は水中に沈んでいくが、慌てて地上に上がったゴンゾウが腕を伸ばして持ち上げる。
「ぶはっ!!はあっ……はあっ……最、低……何でこんな事に……!!」
「くぅうん……ぶるぶるっ!!」
「わぷっ!?ちょっ、顔にかかるって!?」
地上に上がり次第、ポチ子は本物の犬のように身体を振るい、周囲に水滴を飛ばす。一方でミカは悪態を吐きながら、顔面が崩壊したゴーレムに視線を向け、
「この……」
「え……」
「ちょ、何を……」
「やめろ!!」
彼女は杖先を向け、レノ達の制止の言葉を無視して炎の球体を生み出し、
「爆裂、波動砲!!」
――ズドォオオオオンッ!!
杖先から炎の光線が放たれ、まっすぐにゴーレムの胸元を貫き、派手な黒煙を舞い上げる。
「うわぁっ……」
「凄いっ……」
「……なんてことを……」
ミカは満足げに笑みを浮かべ、呆れた視線が彼女に向けられるが、レノとジャンヌだけは顔色を変える。
「……なんてことを……」
「……完全に怒らせましたね」
「えっ?」
2人の言葉にミカは顔を向けた瞬間、
メキメキィッ……!!
「えっ……?」
「な、何ですか……?」
「……この音は……まさか!?」
ゴーレムから舞い上がる黒煙の中から不気味な音が鳴り響き、やがて黒煙が消散すると、そこには異様な光景が広がっていた。
顔面の部分を構成していた岩石が崩れ落ちたにも拘らず、首元の岩石が集結し、また新しい「頭部」を再生させ、
「――ゴォオオオオオオオオッ!!」
再び、ゴーレム・キングは凄まじい咆哮を上げて、レノ達に向けて拳を振り上げ、
ズドォオオオオンッ!!
「「「うわぁああああああっ!?」」」
勢いよく地面にめり込ませた。
「来い!!」
「えっ……うわぁっ!?」
「きゃあっ!?」
「ぬおっ!?」
「な、何を……!?」
レノが鎖を引き戻し、そのまま全員を引き連れてすぐ傍の湖に引き込む。幸いにも、巨体のゴンゾウが湖の傍に居たのが幸いし、彼を湖に突き落とすことで鎖に繋がれた者たちも引き寄せられる。
ザバァアアンッ!!
全員が湖に潜り込んだ直後、
――ドガァアアアアアアアッ!!
先ほどまでレノ達が居たゴーレム・キングから放たれた破壊光線が通過し、そのまま湖の中心地に聳え立つ水人華を横切り、迷宮の壁に衝突した瞬間、凄まじい爆裂が起きる。
「「「……ぷはあっ!!」」」
同時に全員が湖から顔を出し、すぐに壁側に舞い上がる黒煙を見て顔を青ざめる。もしも、あのまま湖の傍で防御行動を行っていれば自分たちは間違いなく消し炭になっていただろう。ミカが事前に発生させた障壁も完全に破壊され、とてもではないが今までの魔物達とは危険度(レベル)が違いすぎる。
「う、嘘でしょ……あんなの、チートじゃない……」
「チート……確かに反則じみてるな」
「えっ?」
ミカの何気ない言葉にレノは反応し、すぐに彼女は驚いた様子で彼の顔を伺う。この席で現実世界のゲーム用語を知っているのは異世界人だけだが、明らかにこの世界の住人であるレノが反応した事に驚きを隠せない。
レノは周囲を見渡し、全員の顔色を伺う。予想通りというか、あまりのゴーレム・キングの戦力差に青ざめ、唯一ジャンヌだけは刀身を抱きしめながらゴーレムを見つめていた。
(この聖剣の力を解放すれば……)
刀身部分だけとは言え、これは正真正銘の伝説の「聖剣エクスカリバー」であり、どうにかして力を引き出せないかと思案する。残されたエクスカリバーの欠片は全て手元に集まっている。だが、それらを全て結合させる技術や時間はない。
「来るぞ!!」
レノの掛け声にジャンヌは顔を見上げ、巨大なゴーレムは再び岩石の皮膚に血管を浮き上がらせ、此方に近づいてくる。動きはゆっくりとしたものだが、その歩幅は大きく、凄まじい速度で接近してくる。
ゴォオオオオオッ……!!
今度は確実にレノ達に狙いを定めるため、湖に向けて顔を傾ける。仮に先ほどと同じ威力の攻撃をされたら、湖そのものが崩壊し兼ねない。
「ちょっ……なにのんびりしてんの!!早く転移してよぉっ!!」
「こんな水面でどうやって魔方陣を敷けと?」
ミカが焦ってレノに声を掛けるが、魔方陣を発動させようにも水中では上手く鎖は操作出来ない。
「な、なら早く地上に上がって……」
「もう、遅い」
ズズゥウウウンッ……!!
「ゴォオオオオオオオッ!!」
既にゴーレムは湖の前まで接近し、再び大きく口を開け、赤い光を灯らせる。全員が目を見開く中、ジャンヌだけはジャイアント・キリングに手を伸ばし、一瞬だけ躊躇いの表情を浮かべたが、顔を上げ、
「――聖天砲天撃!!」
カッ!!
彼女が聖斧を掲げた瞬間、凄まじい発光が放たれ、周囲に水面に波紋を走らせながら、ジャンヌの手元から放り投げられる。
ビュオォオオオオオッ!!
「ゴォオオッ……!?」
そのままゴーレムの大きく開かれた口内に入り込み、
――ズドォオオオオオオオンッ!!
発射される直前に顔面が崩壊し、無数の瓦礫が湖の上に落下する。
「うわっ……!?」
「す、すごい……」
「でも、危ない!!」
ザバンッ!!ザバァアアッ!!
巨大な瓦礫が降り注ぎ、慌ててレノ達は泳いで地上に向かう。激しい波が発生して泳ぎにくいが、何とか陸上に非難する。
「た、助け……がぼっ……!!」
「わふっ……み、ミカさん……掴まないで……!!」
「ポチ子!!ミカ!!」
混乱したミカはポチ子にしがみ付き、2人は水中に沈んでいくが、慌てて地上に上がったゴンゾウが腕を伸ばして持ち上げる。
「ぶはっ!!はあっ……はあっ……最、低……何でこんな事に……!!」
「くぅうん……ぶるぶるっ!!」
「わぷっ!?ちょっ、顔にかかるって!?」
地上に上がり次第、ポチ子は本物の犬のように身体を振るい、周囲に水滴を飛ばす。一方でミカは悪態を吐きながら、顔面が崩壊したゴーレムに視線を向け、
「この……」
「え……」
「ちょ、何を……」
「やめろ!!」
彼女は杖先を向け、レノ達の制止の言葉を無視して炎の球体を生み出し、
「爆裂、波動砲!!」
――ズドォオオオオンッ!!
杖先から炎の光線が放たれ、まっすぐにゴーレムの胸元を貫き、派手な黒煙を舞い上げる。
「うわぁっ……」
「凄いっ……」
「……なんてことを……」
ミカは満足げに笑みを浮かべ、呆れた視線が彼女に向けられるが、レノとジャンヌだけは顔色を変える。
「……なんてことを……」
「……完全に怒らせましたね」
「えっ?」
2人の言葉にミカは顔を向けた瞬間、
メキメキィッ……!!
「えっ……?」
「な、何ですか……?」
「……この音は……まさか!?」
ゴーレムから舞い上がる黒煙の中から不気味な音が鳴り響き、やがて黒煙が消散すると、そこには異様な光景が広がっていた。
顔面の部分を構成していた岩石が崩れ落ちたにも拘らず、首元の岩石が集結し、また新しい「頭部」を再生させ、
「――ゴォオオオオオオオオッ!!」
再び、ゴーレム・キングは凄まじい咆哮を上げて、レノ達に向けて拳を振り上げ、
ズドォオオオオンッ!!
「「「うわぁああああああっ!?」」」
勢いよく地面にめり込ませた。
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