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腐敗竜編
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「ピギィッ……!!キュイイイッ……!!」
「逃がしません!!」
斧から発せられる白い光を嫌がるようにレッド・スライムは逃走を始める。この光は魔物が嫌う聖なる光であり、攻撃能力は無い。だが、ドラゴンなどの好戦的な生物を除けば大抵の魔物には効果的である。
ズルズルと地面を這いずりながら逃走を開始するスライムに対し、ジャンヌは追跡を止めて退こうとしたが、好機と判断したカネキが動く。
「逃がすか!!」
「カネキ殿!?」
先ほどの自分の攻撃が有効だったので、調子に乗って追撃を仕掛けようしたカネキはレッド・スライムに向けて駆けだす。すぐにジャンヌは単独行動は控えるように制止の声を掛けようとした時、
ドォオオンッ!!
「えっ……?」
「わぅんっ……?」
「むうっ……!!」
彼女達の後方から轟音が轟き、振り返ると、
「――ウオォオオオオオオッ!!」
ビュオォオオオオッ!!
そこにはゴンゾウに匹敵する筋骨隆々の巨体、明らかに人間ではない赤い肌、頭には二つの角が生えており、恐ろしい容貌の化け物だ。右腕には岩で造られた先端部が丸い棍棒を掴んでいる。それはサイクロプスにも劣らない腕力を誇る魔物の「オーガ」であり、彼らは知性は低く、非常に血の気の多い生物だ。
どうやら上空から降りてきたようだが、一体どのような移動手段を使ったのかが気になる。もしかしたら、壁の上にずっと張り付いて隠れていた可能性も否定できない。知性が低い割にはそのような小狡い手を使う辺り、やはり地下迷宮に住む生物達はジャンヌたちが戦い続けた地上の魔物達とは一味違う。
「ガァアアアァアアッ!!」
「ふんっ!!」
オーガは棍棒を振り上げ、一番後ろに居たゴンゾウに襲い掛かる。彼もすぐに両手の木製の棍棒を交差させ、
ドゴォオオオオンッ!!
「ォオオオッ……!!」
「ぬうっ……!?」
迷宮内に轟音が轟き、ゴンゾウは膝を着く。
「ゴンゾウ!!」
「え、援護します!!」
「な、何……あれ……鬼?」
「君は下がってろ!!」
すぐにアルトたちがゴンゾウを助けるために動き出し、ミカだけが腰が抜けたのかその場に座り込む。ジャンヌもすぐに向かおうとしたが、レッド・スライムを追いかけて通路を進んだカネキの方向に顔をやり、それほど時が経っていないにも関わらずに既に姿が見えない。薄暗闇で視界が悪いと言えど、道は一本道のため普通ならば見失う筈は無いのだが。
「っ……私はカネキ殿を追います!!後は任せますアルト!!」
「っ!?……くっ、分かった!!」
この場を副団長の彼に任せ、ジャンヌはカネキを追って通路を走り出す。
「ガアッ!!」
「ぐはっ!?」
「ゴンゾウ!!」
「ううっ……わぉんっ!!」
一方で、オーガの拳を受けたゴンゾウは壁に強く身体を叩き付けられる。単純な腕力はオーガの方が上らしく、すぐにポチ子とリノンが狭い通路内を跳躍して攻撃を与える。
ガキィイインッ!!
「わぅっ……!?」
「くっ……!!」
しかし、2人の剣の刃はオーガの肌に触れた瞬間に火花を上げ、肉を切る事さえできない。まるで岩を思わせる頑丈な肉体だ。
「ガウッ!!」
ドォオオオンッ!!
「うわっ……」
「くっ……」
「わぅんっ!?」
「……ぐぅううっ……!!」
オーガは地面に向けて棍棒を叩き込み、振動で四人はバランスを崩す。この狭い通路内ではオーガの方が有利であり、戦闘技術は低いただの力任せの攻撃だが、狭い通路内では避けるのも難しい。魔法を使って迎撃しようにも、矢継ぎ早に攻撃されて集中する暇は無く、発動させても仲間に当てる危険性が高い。
「ぬおおおっ!!」
「ウガッ!?」
ガシィッ!!
だが、棍棒を地面に叩き付けた瞬間にゴンゾウが動き出し、そのままオーガの身体に突進して壁に押し付ける。
ドゴォオオオオッ!!
「うわっ……!!」
オーガとゴンゾウの巨体が壁に衝突したことで一際大きい衝撃が走り、すぐにオーガは引き剥がそうとするが、ゴンゾウは渾身の力で抑えつける。
「今の内に……早く!!」
「ゴンゾウさん……!!」
「アルト!!呆けている暇はない!!」
「分かっている!!」
リノンとアルトはそれぞれの剣を翳し、詠唱を始める。
「こっちです!!」
ガキィッ!!キィンッ!!
「ガァアアッ……!?」
ポチ子は何とかオーガの注意を引こうと跳躍して顔面を斬りつける。顔の皮膚も分厚く、傷をつける事は出来ないが、嫌がるそぶりを見せる。その間にもリノンは懐からビー玉ほどの「魔石」を取り出し、刀身に押し込むと、魔石は刃に吸い込まれる様に消え去り、
ボウッ!!
「――火炎剣!!」
リノンの長剣の刀身から名前の通り火炎が発生し、
「……はぁあああっ!!」
ゴォオオオオッ……!!
アルトの聖剣は刀身を白く光り輝かせ、嘗て「マドカ」に使用した「ディバインスラッシュ」の体勢を取る。
ダンッ!!
「旋風(つむじ)!!」
その間にもリノンはゴンゾウが取り押さえるオーガの首元に向け、身体を回転させながら炎の刃を走らせる。
ズバァァアアンッ!!
「ウガァアアアアアッ……!?」
今度は刃も通り、切傷と火傷を同時に胸元に与えると、
「うおぉおおおおおっ!!」
「ウガァッ……!?」
グラァッ……!!
ゴンゾウがオーガの腹部に絡みついたまま、その巨体を持ち上げ、
「ふんっ!!」
ドゴォオオオンッ!!
「ガァッ……!?」
再度、オーガの頭部を迷宮の壁に叩き込み、脳震盪を起こしたのか化け物は膝を着く。その間にも身体中青痣だらけのゴンゾウは距離を取ると、
「皆!!退いてくれ!!」
アルトの合図にリノンたちはすぐに移動し、彼が聖剣を上空に掲げ、刀身を眩く光り輝き、オーガに向けて振り下ろす。
「ディバインスラッシュ!!」
ズガァアアアアアアアアアッ!!
「ウガァアアアアアッ――!?」
凄まじい光の奔流が地面を走り、オーガの巨体を飲み込む。化け物は断末魔の悲鳴を上げながら、跡形も無く姿を消し去る――
「逃がしません!!」
斧から発せられる白い光を嫌がるようにレッド・スライムは逃走を始める。この光は魔物が嫌う聖なる光であり、攻撃能力は無い。だが、ドラゴンなどの好戦的な生物を除けば大抵の魔物には効果的である。
ズルズルと地面を這いずりながら逃走を開始するスライムに対し、ジャンヌは追跡を止めて退こうとしたが、好機と判断したカネキが動く。
「逃がすか!!」
「カネキ殿!?」
先ほどの自分の攻撃が有効だったので、調子に乗って追撃を仕掛けようしたカネキはレッド・スライムに向けて駆けだす。すぐにジャンヌは単独行動は控えるように制止の声を掛けようとした時、
ドォオオンッ!!
「えっ……?」
「わぅんっ……?」
「むうっ……!!」
彼女達の後方から轟音が轟き、振り返ると、
「――ウオォオオオオオオッ!!」
ビュオォオオオオッ!!
そこにはゴンゾウに匹敵する筋骨隆々の巨体、明らかに人間ではない赤い肌、頭には二つの角が生えており、恐ろしい容貌の化け物だ。右腕には岩で造られた先端部が丸い棍棒を掴んでいる。それはサイクロプスにも劣らない腕力を誇る魔物の「オーガ」であり、彼らは知性は低く、非常に血の気の多い生物だ。
どうやら上空から降りてきたようだが、一体どのような移動手段を使ったのかが気になる。もしかしたら、壁の上にずっと張り付いて隠れていた可能性も否定できない。知性が低い割にはそのような小狡い手を使う辺り、やはり地下迷宮に住む生物達はジャンヌたちが戦い続けた地上の魔物達とは一味違う。
「ガァアアアァアアッ!!」
「ふんっ!!」
オーガは棍棒を振り上げ、一番後ろに居たゴンゾウに襲い掛かる。彼もすぐに両手の木製の棍棒を交差させ、
ドゴォオオオオンッ!!
「ォオオオッ……!!」
「ぬうっ……!?」
迷宮内に轟音が轟き、ゴンゾウは膝を着く。
「ゴンゾウ!!」
「え、援護します!!」
「な、何……あれ……鬼?」
「君は下がってろ!!」
すぐにアルトたちがゴンゾウを助けるために動き出し、ミカだけが腰が抜けたのかその場に座り込む。ジャンヌもすぐに向かおうとしたが、レッド・スライムを追いかけて通路を進んだカネキの方向に顔をやり、それほど時が経っていないにも関わらずに既に姿が見えない。薄暗闇で視界が悪いと言えど、道は一本道のため普通ならば見失う筈は無いのだが。
「っ……私はカネキ殿を追います!!後は任せますアルト!!」
「っ!?……くっ、分かった!!」
この場を副団長の彼に任せ、ジャンヌはカネキを追って通路を走り出す。
「ガアッ!!」
「ぐはっ!?」
「ゴンゾウ!!」
「ううっ……わぉんっ!!」
一方で、オーガの拳を受けたゴンゾウは壁に強く身体を叩き付けられる。単純な腕力はオーガの方が上らしく、すぐにポチ子とリノンが狭い通路内を跳躍して攻撃を与える。
ガキィイインッ!!
「わぅっ……!?」
「くっ……!!」
しかし、2人の剣の刃はオーガの肌に触れた瞬間に火花を上げ、肉を切る事さえできない。まるで岩を思わせる頑丈な肉体だ。
「ガウッ!!」
ドォオオオンッ!!
「うわっ……」
「くっ……」
「わぅんっ!?」
「……ぐぅううっ……!!」
オーガは地面に向けて棍棒を叩き込み、振動で四人はバランスを崩す。この狭い通路内ではオーガの方が有利であり、戦闘技術は低いただの力任せの攻撃だが、狭い通路内では避けるのも難しい。魔法を使って迎撃しようにも、矢継ぎ早に攻撃されて集中する暇は無く、発動させても仲間に当てる危険性が高い。
「ぬおおおっ!!」
「ウガッ!?」
ガシィッ!!
だが、棍棒を地面に叩き付けた瞬間にゴンゾウが動き出し、そのままオーガの身体に突進して壁に押し付ける。
ドゴォオオオオッ!!
「うわっ……!!」
オーガとゴンゾウの巨体が壁に衝突したことで一際大きい衝撃が走り、すぐにオーガは引き剥がそうとするが、ゴンゾウは渾身の力で抑えつける。
「今の内に……早く!!」
「ゴンゾウさん……!!」
「アルト!!呆けている暇はない!!」
「分かっている!!」
リノンとアルトはそれぞれの剣を翳し、詠唱を始める。
「こっちです!!」
ガキィッ!!キィンッ!!
「ガァアアッ……!?」
ポチ子は何とかオーガの注意を引こうと跳躍して顔面を斬りつける。顔の皮膚も分厚く、傷をつける事は出来ないが、嫌がるそぶりを見せる。その間にもリノンは懐からビー玉ほどの「魔石」を取り出し、刀身に押し込むと、魔石は刃に吸い込まれる様に消え去り、
ボウッ!!
「――火炎剣!!」
リノンの長剣の刀身から名前の通り火炎が発生し、
「……はぁあああっ!!」
ゴォオオオオッ……!!
アルトの聖剣は刀身を白く光り輝かせ、嘗て「マドカ」に使用した「ディバインスラッシュ」の体勢を取る。
ダンッ!!
「旋風(つむじ)!!」
その間にもリノンはゴンゾウが取り押さえるオーガの首元に向け、身体を回転させながら炎の刃を走らせる。
ズバァァアアンッ!!
「ウガァアアアアアッ……!?」
今度は刃も通り、切傷と火傷を同時に胸元に与えると、
「うおぉおおおおおっ!!」
「ウガァッ……!?」
グラァッ……!!
ゴンゾウがオーガの腹部に絡みついたまま、その巨体を持ち上げ、
「ふんっ!!」
ドゴォオオオンッ!!
「ガァッ……!?」
再度、オーガの頭部を迷宮の壁に叩き込み、脳震盪を起こしたのか化け物は膝を着く。その間にも身体中青痣だらけのゴンゾウは距離を取ると、
「皆!!退いてくれ!!」
アルトの合図にリノンたちはすぐに移動し、彼が聖剣を上空に掲げ、刀身を眩く光り輝き、オーガに向けて振り下ろす。
「ディバインスラッシュ!!」
ズガァアアアアアアアアアッ!!
「ウガァアアアアアッ――!?」
凄まじい光の奔流が地面を走り、オーガの巨体を飲み込む。化け物は断末魔の悲鳴を上げながら、跡形も無く姿を消し去る――
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