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闘人都市編
訓練
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――市街地での交戦から翌日、レノは朝早くから人気の無い路地裏で訓練を行う。まず、当面の目標である「剣乱武闘」に参加すると思われる「ジャンヌ」から聖痕を回収しなければならない。そのために朝早くから自分が無詠唱で繰り出せる魔法を繰り返す。
「乱刃、撃雷、風盾、瞬脚……後は魔力付与」
放浪島での北部山岳の日々は、無駄に魔力を消費する「嵐」系の魔法をより効率よく扱うため、少年期に生み出した魔法の殆どが新しいか形に変化している。
――「嵐弾」「風壁」「撃嵐」の3つは統合されて「乱刃」に変化し、さらに左手の「聖痕」のお蔭でより強化された嵐の刃を生み出せる。昔と比べても威力は3倍ほど上昇しており、上手く使いこなせるようになった。
「反魔紋」を利用した電撃も長年の鍛錬により、スタンガン程度の電圧では物怖じしない程度に身体が慣れていた。少なくとも、随分と「雷」属性の耐性が出来ている気がする。
また、魔力付与に関しては1秒以内に武器に「嵐属性」の魔力付与を可能とし、「反魔紋」の「雷」に関しては未だに上手く付与できないが、少なくとも「嵐」と「雷」を合成させた風雷を槍のような長物の類に纏わせる事は出来るようになった。
最期に身体能力を強制的に強化させる「アクセル」現在では自分の2~3倍近くの筋力を維持し、五感もより優れるようになっている。これらが北部山岳での3年にも渡る修行(?)の成果であり、他にも放浪島で生き残るために魔法ばかりに頼らずに身体を鍛え(というよりは勝手に鍛えられた)、自分の魔力をより上手く操作できるようになった。
「……これじゃあ足りないな」
これだけの手段では到底ジャンヌと戦い抜くことは出来ないだろう。北部山岳では中型の魔獣「グリフォン」「ペガサス」や大型の魔獣「黒狼」などと闘い続けたが、実際にレノは「対人」の経験が少なすぎる。。
聖痕所持者の「ゴウ」や「アルファ」との戦闘はどちらも規格外の能力の持ち主だが、2人とも決して武勇に優れていたとはいえない。アルファに関しては森人族の族長を勤めていたぐらいだから、本来は相当な実力者だったのかもしれないが、少しばかり自分が不利な状況に追い込まれると冷静さを保てない辺りは未熟すぎる。
魔獣や魔物と戦う事と、人間を相手に戦う事はは大きく違う。魔物が相手なら遠慮なく、全力で魔法を繰り出さして戦えるが、もしも相手が人間だった場合は手加減しなければ殺してしまう可能性もある。自分よりも強い魔物と戦い続けたがレノではあるが、仮に自分よりも強い人間との戦闘になればうまく対処出来る自信はない。
「あいつみたいに雷を上手く扱えたらな……」
レノはゴウの事を思い出す。性格は最悪だが、彼はワルキューレの集団とミキと同時に戦い、常時優勢だった。特に雷を周囲に四散させる「紫電」という技は便利そうだが、生憎とレノの「反魔紋」のただの「雷」はそこまで上手く器用な真似は出来ない。
最悪、アルファのように周囲の「植物」を操り、相手を拘束する術ぐらいは習得したいが、どうにも「森人族」と縁が切られたレノに同じ魔法を教えるような酔狂なエルフい居ないだろう。第一に、あの魔法はアルファの言葉通りなら「族長」のみ許された魔法であり、それに彼の場合は「樹」の聖痕(半分だけだが)を利用している節がある。
「魔法剣でも覚えようかな……」
魔力を付与させただけの剣と「魔法剣」は大きく違う。アルトやミキが使用した「ディバインスラッシュ」あの魔法は元々2人が手にした「剣(短剣)」に宿っている「聖」属性の魔力を増幅させて放つのであり、魔力付与とは言えない。
簡単に言うと「魔力付与」は何の変哲もない武器に魔力を注ぎ込み、それぞれの属性の力(「風属性」なら刃に竜巻が纏うを強制的に宿す行為であり、使用すればするほど自動的に魔力は消散される。当然、刀身自体も負荷が掛かり、自分の力量を誤ると刃が砕けてしまう。
一方で「魔法剣」とは一時的に刀身に魔力を注ぎ込み、その力を一気に解放する「砲撃魔法」に近い。分かりやすく言えば魔力付与を最初に行い、蓄積した魔力を砲撃へと変換させて放つ事を意味する。アルトとミキが使用していたのは「ディバインスラッシュ」も刀身に魔力を宿し、一気に解放する魔法剣である。
「そう言えば……これも聖剣の類だったけ」
よくよく考えればミキが渡してくれた「短剣」も「聖剣エクスカリバー」の素材で作られた聖遺物の1つであり、もしもレノが「聖属性」の魔法を習得していたらアルトたち同様にディバインスラッシュのような魔法剣を解き放つことも可能かもしれない。
だが、実際はそんなにうまい話ではなく、「聖属性」の魔法を使えるのは「人間」と「人魚族」だけであり、他の種族では相性が悪い。理由は不明だが、幼いころから聖属性の力を習得しようとした種族は人間と比べると倍近くの年月を必要とし、人間ならば早ければ子供の頃に習得できるはずの聖属性を、他種族の場合は大人を迎えてからやっと覚える事が出来るらしい。
「もう、帰ろうかな………ん?」
レノは路地裏から抜け出すと、偶然にも見知った顔を発見し、慌てて隠れる。どうしてあの2人がこんなに朝早くからいるのかは分からないが、ある事を思いつき、
「ソフィア――」
瞬時に性別変化を行い、たまたま自分が男女どちらが来ても可笑しくない服装だった事が幸いであり、そのままソフィアの姿で接近する。
「乱刃、撃雷、風盾、瞬脚……後は魔力付与」
放浪島での北部山岳の日々は、無駄に魔力を消費する「嵐」系の魔法をより効率よく扱うため、少年期に生み出した魔法の殆どが新しいか形に変化している。
――「嵐弾」「風壁」「撃嵐」の3つは統合されて「乱刃」に変化し、さらに左手の「聖痕」のお蔭でより強化された嵐の刃を生み出せる。昔と比べても威力は3倍ほど上昇しており、上手く使いこなせるようになった。
「反魔紋」を利用した電撃も長年の鍛錬により、スタンガン程度の電圧では物怖じしない程度に身体が慣れていた。少なくとも、随分と「雷」属性の耐性が出来ている気がする。
また、魔力付与に関しては1秒以内に武器に「嵐属性」の魔力付与を可能とし、「反魔紋」の「雷」に関しては未だに上手く付与できないが、少なくとも「嵐」と「雷」を合成させた風雷を槍のような長物の類に纏わせる事は出来るようになった。
最期に身体能力を強制的に強化させる「アクセル」現在では自分の2~3倍近くの筋力を維持し、五感もより優れるようになっている。これらが北部山岳での3年にも渡る修行(?)の成果であり、他にも放浪島で生き残るために魔法ばかりに頼らずに身体を鍛え(というよりは勝手に鍛えられた)、自分の魔力をより上手く操作できるようになった。
「……これじゃあ足りないな」
これだけの手段では到底ジャンヌと戦い抜くことは出来ないだろう。北部山岳では中型の魔獣「グリフォン」「ペガサス」や大型の魔獣「黒狼」などと闘い続けたが、実際にレノは「対人」の経験が少なすぎる。。
聖痕所持者の「ゴウ」や「アルファ」との戦闘はどちらも規格外の能力の持ち主だが、2人とも決して武勇に優れていたとはいえない。アルファに関しては森人族の族長を勤めていたぐらいだから、本来は相当な実力者だったのかもしれないが、少しばかり自分が不利な状況に追い込まれると冷静さを保てない辺りは未熟すぎる。
魔獣や魔物と戦う事と、人間を相手に戦う事はは大きく違う。魔物が相手なら遠慮なく、全力で魔法を繰り出さして戦えるが、もしも相手が人間だった場合は手加減しなければ殺してしまう可能性もある。自分よりも強い魔物と戦い続けたがレノではあるが、仮に自分よりも強い人間との戦闘になればうまく対処出来る自信はない。
「あいつみたいに雷を上手く扱えたらな……」
レノはゴウの事を思い出す。性格は最悪だが、彼はワルキューレの集団とミキと同時に戦い、常時優勢だった。特に雷を周囲に四散させる「紫電」という技は便利そうだが、生憎とレノの「反魔紋」のただの「雷」はそこまで上手く器用な真似は出来ない。
最悪、アルファのように周囲の「植物」を操り、相手を拘束する術ぐらいは習得したいが、どうにも「森人族」と縁が切られたレノに同じ魔法を教えるような酔狂なエルフい居ないだろう。第一に、あの魔法はアルファの言葉通りなら「族長」のみ許された魔法であり、それに彼の場合は「樹」の聖痕(半分だけだが)を利用している節がある。
「魔法剣でも覚えようかな……」
魔力を付与させただけの剣と「魔法剣」は大きく違う。アルトやミキが使用した「ディバインスラッシュ」あの魔法は元々2人が手にした「剣(短剣)」に宿っている「聖」属性の魔力を増幅させて放つのであり、魔力付与とは言えない。
簡単に言うと「魔力付与」は何の変哲もない武器に魔力を注ぎ込み、それぞれの属性の力(「風属性」なら刃に竜巻が纏うを強制的に宿す行為であり、使用すればするほど自動的に魔力は消散される。当然、刀身自体も負荷が掛かり、自分の力量を誤ると刃が砕けてしまう。
一方で「魔法剣」とは一時的に刀身に魔力を注ぎ込み、その力を一気に解放する「砲撃魔法」に近い。分かりやすく言えば魔力付与を最初に行い、蓄積した魔力を砲撃へと変換させて放つ事を意味する。アルトとミキが使用していたのは「ディバインスラッシュ」も刀身に魔力を宿し、一気に解放する魔法剣である。
「そう言えば……これも聖剣の類だったけ」
よくよく考えればミキが渡してくれた「短剣」も「聖剣エクスカリバー」の素材で作られた聖遺物の1つであり、もしもレノが「聖属性」の魔法を習得していたらアルトたち同様にディバインスラッシュのような魔法剣を解き放つことも可能かもしれない。
だが、実際はそんなにうまい話ではなく、「聖属性」の魔法を使えるのは「人間」と「人魚族」だけであり、他の種族では相性が悪い。理由は不明だが、幼いころから聖属性の力を習得しようとした種族は人間と比べると倍近くの年月を必要とし、人間ならば早ければ子供の頃に習得できるはずの聖属性を、他種族の場合は大人を迎えてからやっと覚える事が出来るらしい。
「もう、帰ろうかな………ん?」
レノは路地裏から抜け出すと、偶然にも見知った顔を発見し、慌てて隠れる。どうしてあの2人がこんなに朝早くからいるのかは分からないが、ある事を思いつき、
「ソフィア――」
瞬時に性別変化を行い、たまたま自分が男女どちらが来ても可笑しくない服装だった事が幸いであり、そのままソフィアの姿で接近する。
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