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幼少編
性別変化
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レノは水汲みを終えると、ビルドに連れ込まれて孤児院の彼女の部屋に入り込む。すでにビルドの方は「準備」は終えており、狭苦しい彼女の部屋の中央には手術室の寝台を想像させる大理石製の机が置かれていた。ビルドは荒々しくレノの小さな体を持ち上げ、ボロキレのような服を手慣れた動作で脱がせると、彼の身体を外気に晒す。
「いつ見ても、うっとりするほど綺麗な肌だねぇ……」
「っ……」
孤児院で拷問のような日々を送っているにもかかわらず、レノの肉体には傷一つすら付いていない。また、その肌色は雪のように白く、幼いながらに整った顔立ちから、まるで女の子にしか見えない。怪我を負う事はあってもこの世界には回復させる魔法や薬が豊富であり、どんな傷跡も治療されてしまうからだ。
「さあ、背中を見せな!!」
「あうっ……」
机の上にレノは無理やりうつ伏せにされ、ビルドは彼の背中に手を翳し、何やら早口でレノ理解できぬ言葉(呪文?)を呟くと、
「うあぁああああああああっ……!?」
突如としてレノの背中が淡く発光し、背中に文字の紋様が浮かび上がり、ビルドは指先に魔力を込めて、文字に指を這わせる。
「ふふっ……古代魔法ってのを知ってるかい?面倒な契約を条件に、あんたのような「ハーフエルフ」が生まれ持つ能力を解放するのさ」
「の、能力……?」
「まあ、私も初めてだからこんなに上手くいくとは思わなかったけどね……それだけあんたの力が眠っていたのかね……ちっ」
背中の激痛に耐えながら、レノは自分の身体の変化に気付く。筋肉と骨が変異し、どういう訳か胸元と股関節に違和感を感じる。少し不機嫌そうにビルドが指を動かし、新たに背中に紋様を書き込むと、彼女は指を離し、短めに呪文のような単語を唱えると、レノの背中の文字が消え去り、身体が楽になる。
「はあっ……はあっ……」
「終わったよ、たくっ……自分の姿を見てみな」
「えっ……だ、誰?」
レノは無理やり立たされ、すぐ傍にある2メートル程の「鏡」の前に立たされる。鏡に映ったのはとても可愛らしい少女であり、髪の毛は青みがかった銀髪に、サファイアを思わせる碧眼、幼いながらに肉付きが良い。自分が右手を上げると、鏡の少女も同じ動きを行い、レノは自分が目の前の「小女」だと気づく。
「驚いたかい?あんた達、ハーフエルフだけが本来なら生まれ持っていた体質さ」
「体質……」
「あんたみたいな「半端者」は生まれたときにエルフ共に特殊な術式を施し、今のように私がしたみたいに外部の人間が手を加えないと目覚めない能力になっちまったけどね……そうだね今のあんたは「ソフィア」とでも名乗りな」
「ソフィア……?」
「私の若い頃にそっくりだからね……ちっ、余計なことを思い出しちまった。さっさと着替えな」
ビルドは部屋の壁に立て掛けた鞄から、白いワンピースを放り込み、無理やりレノに着替えさせる。少女となったレノはかなり大きめのワンピースを着こむと、まるで何処かの令嬢を思わせる姿であり、ビルドは「彼女」を見て口笛を吹くと、
「あんたは3年後にとあるお偉いさんに飼われるんだよ。何、取って食われるわけじゃない。年老いた爺さんか、あるいは少年趣味の女に身体を可愛がられるだけさ」
「か、可愛がられる……?」
「……まだ理解できるはずないかね。まあいい、これからは男を喜ばせる方法をしこんでやるよ……ゆっくりと、じっくりとね」
「…………」
精神年齢では「10歳」のレノだが、彼女が何を言っているのかは理解できない。しかし、これからの日々は今まで以上にまともな生活が過ごせないことを悟る。わざわざ着せたにも関わらずにビルドはすぐにワンピースを剥ぎ取り、元の薄汚れた服にレノは着替えさせられ、部屋から放り出された。
「おっと、忘れるところだった。この魔法の解除方法だけは教えて置いてやろうか」
ビルドは思い出したように扉を閉める前にレノの胸元を指さし、怯える彼女に向けて笑みを浮かべて告げる。
「元の姿に戻る方法は名前さ。自分の名前を呟きながら、魔力を胸元に集中させな」
「魔力……?」
「はっ、エルフの血を受け継いでいるくせに、魔法さえ使えないのかい?」
馬鹿にするようにビルドは笑いかけるが、そんな事を言われても、レノには「魔法」の使い方さえ知らないのだ。彼女は一通り笑い終えると、レノの身体を担ぎ込む。
「いいさ、教えてやるよ。その方が高く売れるだろうかな……魔法の使い方を」
――この日から、レノの孤児院での日常は大きく変わる。結局、彼女が元の姿に戻れるのは1年以上もかかり、その間は「魔法」の訓練というビルドの虐待が始まる。
しかし、この「魔法」の訓練とこの「性別変化」の能力こそが、レノの人生を後々に救う事になるとはビルドさえも思いもしなかっただろう。
「いつ見ても、うっとりするほど綺麗な肌だねぇ……」
「っ……」
孤児院で拷問のような日々を送っているにもかかわらず、レノの肉体には傷一つすら付いていない。また、その肌色は雪のように白く、幼いながらに整った顔立ちから、まるで女の子にしか見えない。怪我を負う事はあってもこの世界には回復させる魔法や薬が豊富であり、どんな傷跡も治療されてしまうからだ。
「さあ、背中を見せな!!」
「あうっ……」
机の上にレノは無理やりうつ伏せにされ、ビルドは彼の背中に手を翳し、何やら早口でレノ理解できぬ言葉(呪文?)を呟くと、
「うあぁああああああああっ……!?」
突如としてレノの背中が淡く発光し、背中に文字の紋様が浮かび上がり、ビルドは指先に魔力を込めて、文字に指を這わせる。
「ふふっ……古代魔法ってのを知ってるかい?面倒な契約を条件に、あんたのような「ハーフエルフ」が生まれ持つ能力を解放するのさ」
「の、能力……?」
「まあ、私も初めてだからこんなに上手くいくとは思わなかったけどね……それだけあんたの力が眠っていたのかね……ちっ」
背中の激痛に耐えながら、レノは自分の身体の変化に気付く。筋肉と骨が変異し、どういう訳か胸元と股関節に違和感を感じる。少し不機嫌そうにビルドが指を動かし、新たに背中に紋様を書き込むと、彼女は指を離し、短めに呪文のような単語を唱えると、レノの背中の文字が消え去り、身体が楽になる。
「はあっ……はあっ……」
「終わったよ、たくっ……自分の姿を見てみな」
「えっ……だ、誰?」
レノは無理やり立たされ、すぐ傍にある2メートル程の「鏡」の前に立たされる。鏡に映ったのはとても可愛らしい少女であり、髪の毛は青みがかった銀髪に、サファイアを思わせる碧眼、幼いながらに肉付きが良い。自分が右手を上げると、鏡の少女も同じ動きを行い、レノは自分が目の前の「小女」だと気づく。
「驚いたかい?あんた達、ハーフエルフだけが本来なら生まれ持っていた体質さ」
「体質……」
「あんたみたいな「半端者」は生まれたときにエルフ共に特殊な術式を施し、今のように私がしたみたいに外部の人間が手を加えないと目覚めない能力になっちまったけどね……そうだね今のあんたは「ソフィア」とでも名乗りな」
「ソフィア……?」
「私の若い頃にそっくりだからね……ちっ、余計なことを思い出しちまった。さっさと着替えな」
ビルドは部屋の壁に立て掛けた鞄から、白いワンピースを放り込み、無理やりレノに着替えさせる。少女となったレノはかなり大きめのワンピースを着こむと、まるで何処かの令嬢を思わせる姿であり、ビルドは「彼女」を見て口笛を吹くと、
「あんたは3年後にとあるお偉いさんに飼われるんだよ。何、取って食われるわけじゃない。年老いた爺さんか、あるいは少年趣味の女に身体を可愛がられるだけさ」
「か、可愛がられる……?」
「……まだ理解できるはずないかね。まあいい、これからは男を喜ばせる方法をしこんでやるよ……ゆっくりと、じっくりとね」
「…………」
精神年齢では「10歳」のレノだが、彼女が何を言っているのかは理解できない。しかし、これからの日々は今まで以上にまともな生活が過ごせないことを悟る。わざわざ着せたにも関わらずにビルドはすぐにワンピースを剥ぎ取り、元の薄汚れた服にレノは着替えさせられ、部屋から放り出された。
「おっと、忘れるところだった。この魔法の解除方法だけは教えて置いてやろうか」
ビルドは思い出したように扉を閉める前にレノの胸元を指さし、怯える彼女に向けて笑みを浮かべて告げる。
「元の姿に戻る方法は名前さ。自分の名前を呟きながら、魔力を胸元に集中させな」
「魔力……?」
「はっ、エルフの血を受け継いでいるくせに、魔法さえ使えないのかい?」
馬鹿にするようにビルドは笑いかけるが、そんな事を言われても、レノには「魔法」の使い方さえ知らないのだ。彼女は一通り笑い終えると、レノの身体を担ぎ込む。
「いいさ、教えてやるよ。その方が高く売れるだろうかな……魔法の使い方を」
――この日から、レノの孤児院での日常は大きく変わる。結局、彼女が元の姿に戻れるのは1年以上もかかり、その間は「魔法」の訓練というビルドの虐待が始まる。
しかし、この「魔法」の訓練とこの「性別変化」の能力こそが、レノの人生を後々に救う事になるとはビルドさえも思いもしなかっただろう。
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