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蛇足編
王都の守護者
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「――ようやく戻ってこれたね」
死霊人形と化した熊に乗り込んでミヤは遂に王都へ帰還した。十数年ぶりに戻ってきた生まれ故郷に彼女は笑みを浮かべ、彼女は城壁の前に立つと死霊人形と化した熊を解放した。
「もうお前は用済みだよ」
「アガァッ……!?」
ミヤが掌を構えると死霊人形の体内の死霊石が効力を失い、闇属性の魔力から解放された熊は元の死骸へと戻る。魔力を取り戻したミヤは城壁に視線を向け、彼女は自分の影を変形させて城壁の頂上まで伸ばす。影魔法の応用で彼女は瞬く間に城壁の上に移動すると、城下町を見下ろす。
「相変わらずだねこの街は……しかし、見張りがいないのは気になるね」
城壁に見張りが滞在していないことにミヤは不審に思い、彼女にとっては都合がいいことだが違和感を抱く。ミヤは城壁から城下町に降り立とうとすると、城壁の下から光の柱が誕生した。
「ちぃっ!?」
「聖槍!!」
光の柱の正体は右手に光の槍を思わせる魔力をまとったレミアであり、彼女は地上から城壁まで跳び上がってきた。ミヤは咄嗟に回避するとレミアは城壁の上に降り立って向かい合う。彼女を見てミヤは舌打ちした。
「光の槍……そうか、あんたが噂に聞く大将軍のレミアかい?」
「……先刻から感じていた禍々しい魔力の持ち主はどうやら貴女のようですね」
レミアは聖痕の所有者であり、彼女は王都へ接近するミヤの存在に気が付いていた。ダインの闇の聖痕の対局にある聖属性の聖痕の持ち主のレミアはミヤの持つ禍々しい魔力を感知していた。
何者かが接近していることに気が付いたレミアは城壁の警護を行う兵士達を避難させ、自分一人で対処するためにミヤを待ち構えていた。そして城壁に上り詰めた彼女と相対し、彼女は聖剣エクスカリバーを抜く。
「何者かは知りませんがこの王都の平和を脅かす存在ならば私が排除します」
「ふん、小娘が……」
ミヤが滞在していた時代ではレミアはまだ大将軍の地位に就いておらず、ミヤはレミアのことを噂でしか聞いたことがない。まだ若いが聖剣を扱いこなす実力者であり、聖鎧や聖槍という聖属性の魔力を実体化させて防具や武器を生み出すことも把握していた。
通常であれば闇属性の使い手にとっては最悪の相手ではあるが、ミヤはレミアを前にしても余裕の態度を貫いていた。そんな彼女にレミアは不気味さを抱き、相手の正体は判明していないが彼女は攻撃を仕掛けた。
(何というおぞましい死の気配をまとっているのでしょうか……早々に始末しなければ!!)
ミヤから放たれる死臭と不穏な気配にレミアは危機感を抱き、彼女は聖剣を手にしてミヤに突っ込む。それに対してミヤは両腕を広げると全身から魔力を噴き出す。
「無駄さ!!あんたに私は殺せない!!」
「目眩ましなど……通じません!!」
全身から闇属性の魔力を放出させたミヤにレミアは臆さずに突っ込み、彼女は聖剣を振り払う。エクスカリバーから光の斬撃が放たれ、ミヤの身体を真っ二つに切り裂く。
「聖剣斬!!」
「ぐああああっ!?」
ミヤは呆気なく肉体を切り裂かれて二つに分かれた肉体は倒れた。それを見てレミアはミヤを倒したかと思ったが、あまりの手応えの無さに彼女は戸惑う。
「こ、これは……!?」
「……惜しかったね」
肉体を二つに切り裂かれたはずなのにミヤは笑みを浮かべ、彼女がまだ生きていることにレミアは驚く。だが、すぐに彼女は倒れている肉体がミヤ本人ではなく、ミヤに瓜二つの姿をした人間の死骸だと気が付く。
「まさか……死霊人形!?」
「くくく……気付くのが少し遅かったね」
城壁に忍び込んだのはミヤ本人ではなく、彼女は事前に用意していた影武者を利用していた。ミヤは万が一の場合に備えて自分にそっくりな死体を作り上げて保管しており、死霊人形と変貌させて王都へ先に侵入させた。レミアはまんまと罠に嵌まって本体を取り逃がす。
死霊人形の体内に埋め込まれた死霊石は先ほどのレミアの一撃で破壊され、体内に残っていた魔力が消え去ると死霊人形はただの死骸へと変化する。レミアはミヤの罠に嵌まり、既に彼女は別の場所から王都へ潜入していることを知る。
「くっ!!女王陛下に報告を……いや、それよりも先に侵入者を見つけなければ!?」
レミアは王都にいるはずのミヤの本体を探そうと魔力を探知するが、いくら探してもミヤと思われる魔力は見つからない。死霊人形の発していた禍々しい魔力は感じ取れたが、現在のミヤは魔力を抑えて行動しているのか聖痕の力でも感知できなかった――
――同時刻、城下町に潜入に成功したミヤは路地裏で血を吐いていた。彼女は王都へ侵入するためにまたもや魔法を使ってしまい、寿命を大幅に削ってしまった。これ以上に魔法を使用すれば命が危うく、その前に彼女はシャドウ家の屋敷に辿り着く必要があった。
「あの女……厄介だね。まともに戦えば勝ち目はなかった」
レミアに自分の死霊人形がやられたことにミヤは悔しく思い、万全の状態だとしてもレミアと戦っても勝ち目はなかった。死霊魔術師や呪術師にとってはレミアのような存在は天敵であり、彼女に見つかる前にミヤは目的を果たすためにシャドウ家の屋敷へと向かう。
死霊人形と化した熊に乗り込んでミヤは遂に王都へ帰還した。十数年ぶりに戻ってきた生まれ故郷に彼女は笑みを浮かべ、彼女は城壁の前に立つと死霊人形と化した熊を解放した。
「もうお前は用済みだよ」
「アガァッ……!?」
ミヤが掌を構えると死霊人形の体内の死霊石が効力を失い、闇属性の魔力から解放された熊は元の死骸へと戻る。魔力を取り戻したミヤは城壁に視線を向け、彼女は自分の影を変形させて城壁の頂上まで伸ばす。影魔法の応用で彼女は瞬く間に城壁の上に移動すると、城下町を見下ろす。
「相変わらずだねこの街は……しかし、見張りがいないのは気になるね」
城壁に見張りが滞在していないことにミヤは不審に思い、彼女にとっては都合がいいことだが違和感を抱く。ミヤは城壁から城下町に降り立とうとすると、城壁の下から光の柱が誕生した。
「ちぃっ!?」
「聖槍!!」
光の柱の正体は右手に光の槍を思わせる魔力をまとったレミアであり、彼女は地上から城壁まで跳び上がってきた。ミヤは咄嗟に回避するとレミアは城壁の上に降り立って向かい合う。彼女を見てミヤは舌打ちした。
「光の槍……そうか、あんたが噂に聞く大将軍のレミアかい?」
「……先刻から感じていた禍々しい魔力の持ち主はどうやら貴女のようですね」
レミアは聖痕の所有者であり、彼女は王都へ接近するミヤの存在に気が付いていた。ダインの闇の聖痕の対局にある聖属性の聖痕の持ち主のレミアはミヤの持つ禍々しい魔力を感知していた。
何者かが接近していることに気が付いたレミアは城壁の警護を行う兵士達を避難させ、自分一人で対処するためにミヤを待ち構えていた。そして城壁に上り詰めた彼女と相対し、彼女は聖剣エクスカリバーを抜く。
「何者かは知りませんがこの王都の平和を脅かす存在ならば私が排除します」
「ふん、小娘が……」
ミヤが滞在していた時代ではレミアはまだ大将軍の地位に就いておらず、ミヤはレミアのことを噂でしか聞いたことがない。まだ若いが聖剣を扱いこなす実力者であり、聖鎧や聖槍という聖属性の魔力を実体化させて防具や武器を生み出すことも把握していた。
通常であれば闇属性の使い手にとっては最悪の相手ではあるが、ミヤはレミアを前にしても余裕の態度を貫いていた。そんな彼女にレミアは不気味さを抱き、相手の正体は判明していないが彼女は攻撃を仕掛けた。
(何というおぞましい死の気配をまとっているのでしょうか……早々に始末しなければ!!)
ミヤから放たれる死臭と不穏な気配にレミアは危機感を抱き、彼女は聖剣を手にしてミヤに突っ込む。それに対してミヤは両腕を広げると全身から魔力を噴き出す。
「無駄さ!!あんたに私は殺せない!!」
「目眩ましなど……通じません!!」
全身から闇属性の魔力を放出させたミヤにレミアは臆さずに突っ込み、彼女は聖剣を振り払う。エクスカリバーから光の斬撃が放たれ、ミヤの身体を真っ二つに切り裂く。
「聖剣斬!!」
「ぐああああっ!?」
ミヤは呆気なく肉体を切り裂かれて二つに分かれた肉体は倒れた。それを見てレミアはミヤを倒したかと思ったが、あまりの手応えの無さに彼女は戸惑う。
「こ、これは……!?」
「……惜しかったね」
肉体を二つに切り裂かれたはずなのにミヤは笑みを浮かべ、彼女がまだ生きていることにレミアは驚く。だが、すぐに彼女は倒れている肉体がミヤ本人ではなく、ミヤに瓜二つの姿をした人間の死骸だと気が付く。
「まさか……死霊人形!?」
「くくく……気付くのが少し遅かったね」
城壁に忍び込んだのはミヤ本人ではなく、彼女は事前に用意していた影武者を利用していた。ミヤは万が一の場合に備えて自分にそっくりな死体を作り上げて保管しており、死霊人形と変貌させて王都へ先に侵入させた。レミアはまんまと罠に嵌まって本体を取り逃がす。
死霊人形の体内に埋め込まれた死霊石は先ほどのレミアの一撃で破壊され、体内に残っていた魔力が消え去ると死霊人形はただの死骸へと変化する。レミアはミヤの罠に嵌まり、既に彼女は別の場所から王都へ潜入していることを知る。
「くっ!!女王陛下に報告を……いや、それよりも先に侵入者を見つけなければ!?」
レミアは王都にいるはずのミヤの本体を探そうと魔力を探知するが、いくら探してもミヤと思われる魔力は見つからない。死霊人形の発していた禍々しい魔力は感じ取れたが、現在のミヤは魔力を抑えて行動しているのか聖痕の力でも感知できなかった――
――同時刻、城下町に潜入に成功したミヤは路地裏で血を吐いていた。彼女は王都へ侵入するためにまたもや魔法を使ってしまい、寿命を大幅に削ってしまった。これ以上に魔法を使用すれば命が危うく、その前に彼女はシャドウ家の屋敷に辿り着く必要があった。
「あの女……厄介だね。まともに戦えば勝ち目はなかった」
レミアに自分の死霊人形がやられたことにミヤは悔しく思い、万全の状態だとしてもレミアと戦っても勝ち目はなかった。死霊魔術師や呪術師にとってはレミアのような存在は天敵であり、彼女に見つかる前にミヤは目的を果たすためにシャドウ家の屋敷へと向かう。
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