2,048 / 2,090
蛇足編
閑話 《ゴールドスライムVS冒険者集団》
しおりを挟む
「しかも襲った馬車の荷物を吸収した瞬間、ゴールドスライムに変化したんだ!!」
「ゴールドスライム!?あの有名な!?」
「……ちょっと待ちなさい、荷物を吸収した?」
「ま、まさか……」
ゴールドスライムが現れたと聞いてアイラは驚いたが、マリアはスライムが荷物を吸収したという部分に引っかかった。嫌な予感がしながらもマリアはシュンから襲われた馬車の詳細を尋ねる。
「ちなみに襲われた馬車はまさか……ドルトン商会のかしら?」
「あれ?なんで嬢ちゃんが知ってんだ?」
「ば、馬鹿なっ……」
「マリア殿、まさか!?」
シュンによればスライムが襲った馬車はドルトン商会の物だと判明し、荷物を吸収してゴールドスライムへと変化した。それを聞いてマリアは頭を抑え、カゲマルとハンゾウだけは事情を察した。アイラとシュンは三人の取り乱し様に首を傾げた。
「マリア?どうして襲われた馬車がそのドルトン商会の物だと分かったのかしら?」
「まさか何か心当たりがあるのか?」
「……あると言えばあるけれど、今はそのスライムを捕獲するのに全力を尽くしましょう」
「はっ!!すぐに街に待機している冒険者全員でゴールドスライムの捕獲に当たります!!」
「黒虎の牙竜も応援を頼むでござる!!」
ゴールドスライムを捕まえるとなれば人手が必要であり、カゲマルとハンゾウは急いで動き出した。二人が迅速に行動に移すと、アイラはそれを見て自分も手伝おうとした。
「ゴールドスライムの捕獲なら私も手伝うわ。一度見て見たかったの」
「おお、アイラ嬢ちゃんが一緒なら心強い……」
「駄目よ!!姉さんはここに居て!!これは冒険者の仕事なのよ!!」
「嬢ちゃん!?急にどうした!?」
出向こうとするアイラをマリアは必死に引き留め、シュンはいつものマリアらしからぬ慌てように戸惑う。しかし、アイラも流石にマリアの言葉に疑問を抱く。
「ねえ、マリア……私に何か隠しごとをしていない?怒らないから正直に答えなさい」
「い、いえないわ……」
「なら私の顔をはっきりと見なさい」
「いったい何だってんだ……?」
マリアはアイラに詰め寄られる中、シュンは何が何だか分からない表情で二人を見つめる――
――その後、街中の冒険者がゴールドスライムを追い掛け回す事態に陥った。ゴールドスライムは巨体に似合わずに俊敏で一流の冒険者でも追いつけず、街中を駆け巡った。
「おい、そっちに行ったぞ!!」
「違う、それは残像だ!!」
「何処へ行きやがった!?」
「くそっ、早過ぎる!?」
「プキンッ!!プキキンッ!!」
巨体でありながらゴールドスライムの移動速度はシルバースライムにも匹敵し、並の冒険者では眼で追うこともできなかった。それでも腕の立つ冒険者に何度か追い詰められることもあった。
「へへっ、まさかこんな大物と出くわすなんてな!!」
「ガロ、逃がすなよ!!」
「プキンッ!?」
氷雨の冒険者の中でも上位に位置するガロと相方のモリモがゴールドスライムを行き止まりの路地裏まで追い詰め、二人はゴールドスライムが逃げられないように身構えた。ゴールドスライムは追い詰めたところで屋根の上にいる仲間に合図を出す。
「よし、今だ!!」
「おらぁっ!!」
「捕まえた!!」
「プキンッ!?」
ゴールドスライムに目掛けて屋根に待ち構えていた獣人族の冒険者が網を放り込む。ただの網ではなく、魔物が逃げられないように設計された網であり、ゴールドスライムの全身を拘束する。普通のスライムならば形を変形して逃げ出すが、ゴールドスライムの場合は体内に遺物があるので網目から抜け出すほとの小さな姿に変身できない。
冒険者達の連携でゴールドスライムは拘束され、ガロとモリモは網に絡まったゴールドスライムの元へ向かう。彼等は大物を捕まえたことで興奮が収まらない。
「やったぜ!!遂に俺達の力だけで捕まえられたな!!」
「へっ、これで剣聖の奴等にもデカい顔もできないな」
「それにしてもゴールドスライムなんて初めて見たぞ……でもこいつは元々はただのスライムだったんだろ?馬車の荷物を飲み込んだ途端に変身したとか……」
「あん?じゃあ、運んでいた馬車には黄金でも積まれていたのか?」
「プキキンッ……!!」
自分の前で話し合うガロとモリモに大してゴールドスライムは怒った表情を浮かべ、身体を光らせて形を変化し始めた。それを見た屋根の上の冒険者は慌てて二人に注意した。
「お、おい!!何だか様子がおかしいぞ!?」
「大丈夫だよ、網で捕まえてるんだからなにもできやしな……うおっ!?」
「な、何だこりゃあっ!?」
「プキキーンッ!!」
ゴールドスライムの姿がビキニアーマーを装着した人間の女性のような姿に変化すると、両腕の部分を刃物のように変形させて網を切り裂く。大型の魔物でも捕縛できる特製の網を簡単に切り付け、ゴールドスライムは空中に跳んだ。
「ゴールドスライム!?あの有名な!?」
「……ちょっと待ちなさい、荷物を吸収した?」
「ま、まさか……」
ゴールドスライムが現れたと聞いてアイラは驚いたが、マリアはスライムが荷物を吸収したという部分に引っかかった。嫌な予感がしながらもマリアはシュンから襲われた馬車の詳細を尋ねる。
「ちなみに襲われた馬車はまさか……ドルトン商会のかしら?」
「あれ?なんで嬢ちゃんが知ってんだ?」
「ば、馬鹿なっ……」
「マリア殿、まさか!?」
シュンによればスライムが襲った馬車はドルトン商会の物だと判明し、荷物を吸収してゴールドスライムへと変化した。それを聞いてマリアは頭を抑え、カゲマルとハンゾウだけは事情を察した。アイラとシュンは三人の取り乱し様に首を傾げた。
「マリア?どうして襲われた馬車がそのドルトン商会の物だと分かったのかしら?」
「まさか何か心当たりがあるのか?」
「……あると言えばあるけれど、今はそのスライムを捕獲するのに全力を尽くしましょう」
「はっ!!すぐに街に待機している冒険者全員でゴールドスライムの捕獲に当たります!!」
「黒虎の牙竜も応援を頼むでござる!!」
ゴールドスライムを捕まえるとなれば人手が必要であり、カゲマルとハンゾウは急いで動き出した。二人が迅速に行動に移すと、アイラはそれを見て自分も手伝おうとした。
「ゴールドスライムの捕獲なら私も手伝うわ。一度見て見たかったの」
「おお、アイラ嬢ちゃんが一緒なら心強い……」
「駄目よ!!姉さんはここに居て!!これは冒険者の仕事なのよ!!」
「嬢ちゃん!?急にどうした!?」
出向こうとするアイラをマリアは必死に引き留め、シュンはいつものマリアらしからぬ慌てように戸惑う。しかし、アイラも流石にマリアの言葉に疑問を抱く。
「ねえ、マリア……私に何か隠しごとをしていない?怒らないから正直に答えなさい」
「い、いえないわ……」
「なら私の顔をはっきりと見なさい」
「いったい何だってんだ……?」
マリアはアイラに詰め寄られる中、シュンは何が何だか分からない表情で二人を見つめる――
――その後、街中の冒険者がゴールドスライムを追い掛け回す事態に陥った。ゴールドスライムは巨体に似合わずに俊敏で一流の冒険者でも追いつけず、街中を駆け巡った。
「おい、そっちに行ったぞ!!」
「違う、それは残像だ!!」
「何処へ行きやがった!?」
「くそっ、早過ぎる!?」
「プキンッ!!プキキンッ!!」
巨体でありながらゴールドスライムの移動速度はシルバースライムにも匹敵し、並の冒険者では眼で追うこともできなかった。それでも腕の立つ冒険者に何度か追い詰められることもあった。
「へへっ、まさかこんな大物と出くわすなんてな!!」
「ガロ、逃がすなよ!!」
「プキンッ!?」
氷雨の冒険者の中でも上位に位置するガロと相方のモリモがゴールドスライムを行き止まりの路地裏まで追い詰め、二人はゴールドスライムが逃げられないように身構えた。ゴールドスライムは追い詰めたところで屋根の上にいる仲間に合図を出す。
「よし、今だ!!」
「おらぁっ!!」
「捕まえた!!」
「プキンッ!?」
ゴールドスライムに目掛けて屋根に待ち構えていた獣人族の冒険者が網を放り込む。ただの網ではなく、魔物が逃げられないように設計された網であり、ゴールドスライムの全身を拘束する。普通のスライムならば形を変形して逃げ出すが、ゴールドスライムの場合は体内に遺物があるので網目から抜け出すほとの小さな姿に変身できない。
冒険者達の連携でゴールドスライムは拘束され、ガロとモリモは網に絡まったゴールドスライムの元へ向かう。彼等は大物を捕まえたことで興奮が収まらない。
「やったぜ!!遂に俺達の力だけで捕まえられたな!!」
「へっ、これで剣聖の奴等にもデカい顔もできないな」
「それにしてもゴールドスライムなんて初めて見たぞ……でもこいつは元々はただのスライムだったんだろ?馬車の荷物を飲み込んだ途端に変身したとか……」
「あん?じゃあ、運んでいた馬車には黄金でも積まれていたのか?」
「プキキンッ……!!」
自分の前で話し合うガロとモリモに大してゴールドスライムは怒った表情を浮かべ、身体を光らせて形を変化し始めた。それを見た屋根の上の冒険者は慌てて二人に注意した。
「お、おい!!何だか様子がおかしいぞ!?」
「大丈夫だよ、網で捕まえてるんだからなにもできやしな……うおっ!?」
「な、何だこりゃあっ!?」
「プキキーンッ!!」
ゴールドスライムの姿がビキニアーマーを装着した人間の女性のような姿に変化すると、両腕の部分を刃物のように変形させて網を切り裂く。大型の魔物でも捕縛できる特製の網を簡単に切り付け、ゴールドスライムは空中に跳んだ。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。