2,041 / 2,083
蛇足編
元英雄の実力
しおりを挟む
「シャイニングランス!!」
「ぐはぁっ!?」
「がはぁっ!?」
全身に纏った魔力を一点集中させ、ホネミンは両腕に光の槍を作り出す。原理はジャンヌの「聖槍」と同じだが、何百年も魔鎧術を使い続けたホネミンの方が彼女よりも精巧な槍を作り出せる。男達は持っていた魔道具ごと破壊されて吹き飛ぶ。
「ふっ、こう見えても私は英雄なんですよ。実はわりと戦闘は得意だったりします」
「ぐふっ……な、何だこの女は!?」
「くそっ……こうなったら!!」
ホネミンに吹き飛ばされた男達はどうにか立ち上がると、今度は赤色と緑色の髑髏の水晶を取り出す。左右に分かれてホネミンに髑髏の水晶を向けると、口元の部分から炎と風の魔力が吐き出された。
「喰らえっ!!」
「焼け炭にしてやる!!」
「はわっ!?」
片方は炎を吐き出させ、もう片方は風圧を発生させることで炎と風を組み合わせて火炎放射を行う。火属性の魔力が風属性の魔力を吸収する事で強化され、ホネミンの身体は炎に包み込まれた。
「やったか!?」
「油断するな!!さっきの変な術で防いでいるかもしれん!!吐き出し続けろ!!」
「おうっ!!」
炎に包み込まれたホネミンを見ても男達は油断はせず、魔力が尽きるまで炎を放射し続けた。路地裏から炎が出現する光景を見て街道を歩いていた人たちは慌てふためく。
「な、何だ!?」
「火事か!?」
「皆離れろっ!!」
「だ、誰か警備兵を呼んで来い!!」
街道が騒ぎになったので男達はこれ以上の長居はできず、警備兵が来る前に逃げ出す必要があった。もう既に10秒以上も炎を吐き出し続けているため、ホネミンを仕留めたと判断した男達は退散する。
「もういいだろ!!行くぞ!!」
「お、おう!!」
男達は路地裏の奥へ駆け出す前にホネミンの立っていた場所に視線を向けると、彼女の姿が消えていた。灰も残らない程に焼き尽くしたと判断した男達は安心して逃げ出す。
「いったい何だったんだあの女は……」
「さあな、それよりもさっさと行くぞ!!」
「お、おう!!」
ホネミンを始末できたと安心した男達は逃げ出したが、実は彼等の様子を建物の屋根の上から見下ろす存在が居た。攻撃を受ける直前にホネミンは屋根の上に避難していた。
彼女は自分に目掛けて繰り出された炎に対して魔鎧術の応用で盾を作り出し、その盾で炎を防ぐのではなく、炎の勢いを利用して上昇した。彼女はレナと同様に複数の技能を習得しており、それらのいくつかを利用して建物の壁を器用に登って屋根の上まで移動する。
「何だったんですかねあれは……ちょっと調べてみましょうか」
逃げ出す男達を見てホネミンは疑問を抱き、彼女はリーリスから借りた拳銃型の魔道具を取り出す。こちらの魔道具はリーリスとホネミンが共同開発した魔道具であり、彼女は男の一人に拳銃を撃ちこむ。銃口から発射されたのは黄色の球体であり、男の一人に向かうと球体は形を変形させた。
球体の正体は蜂にそっくりなドローンであり、男の身体に張り付いて追跡を行う。リーリスの拳銃には撃鉄の部分にレーダーが搭載されており、これを確認すればドローンの位置をいつでも確認できる。
「これでよし、と……さあ、レナさんの所に遊びに行きますかね」
男達の正体は気になったがホネミンが冒険都市に訪れたのはレナの元へ向かうためであり、ひとまず彼女はレナの家へ向かった――
――ドローンに追跡されていることも知らずに男達は街中を駆け抜け、彼等は廃屋へと逃げ込む。彼等は酷く疲れた様子で持って来た魔道具の確認を行う。
「くそっ!!あの女のせいで4つも魔道具を無駄にした!!」
「ど、どうする?一度帰還するしか……」
「馬鹿を言うな!!俺達に失敗は許されない……残った魔道具だけで何とかするんだ!!」
ホネミンとの戦闘で男達は所持していた髑髏型の魔道具は2つ破壊され、残りは魔力切れで使い物にならなかった。最後に男達が所持している魔道具は黄色の髑髏の水晶だけだった。
「こいつを使うしかないだろう」
「だが、それはまだ実験段階の魔道具だぞ……」
「なら他に方法があるか!?なんとしてもあの男を捕まえなければ俺達の命は……ぐうっ!?」
「お、おいどうした!?」
会話の途中で男は苦しみもがき、それを見た相方は彼を心配するが男は苦悶の表情を浮かべて倒れ込む。
「がはぁっ……な、何で、俺はまだ……あがぁあああっ!?」
「ま、まさか……止めろ、止めてくれ!?」
倒れた男の身体から瘴気が噴き出し、それを見て相方の男はミヤの仕業だと判断した。どうやら男の体内に埋め込まれた死霊石から魔力が噴き出し、そのせいで男の身体は徐々に変色していく。やがて男は事切れたのか動かなくなると、両目が真っ黒に染まった。
「ちっ……使えない奴等だね」
「ひいいっ!?」
「落ち着きな、まだあんたは殺しはしないよ」
男の口調が変わると相方の男はミヤの術で死霊人形と化したことを知る。厳密には呪術師の力で死体を操っているため、現在の男はミヤが憑依していると言った方が正しい。
「ぐはぁっ!?」
「がはぁっ!?」
全身に纏った魔力を一点集中させ、ホネミンは両腕に光の槍を作り出す。原理はジャンヌの「聖槍」と同じだが、何百年も魔鎧術を使い続けたホネミンの方が彼女よりも精巧な槍を作り出せる。男達は持っていた魔道具ごと破壊されて吹き飛ぶ。
「ふっ、こう見えても私は英雄なんですよ。実はわりと戦闘は得意だったりします」
「ぐふっ……な、何だこの女は!?」
「くそっ……こうなったら!!」
ホネミンに吹き飛ばされた男達はどうにか立ち上がると、今度は赤色と緑色の髑髏の水晶を取り出す。左右に分かれてホネミンに髑髏の水晶を向けると、口元の部分から炎と風の魔力が吐き出された。
「喰らえっ!!」
「焼け炭にしてやる!!」
「はわっ!?」
片方は炎を吐き出させ、もう片方は風圧を発生させることで炎と風を組み合わせて火炎放射を行う。火属性の魔力が風属性の魔力を吸収する事で強化され、ホネミンの身体は炎に包み込まれた。
「やったか!?」
「油断するな!!さっきの変な術で防いでいるかもしれん!!吐き出し続けろ!!」
「おうっ!!」
炎に包み込まれたホネミンを見ても男達は油断はせず、魔力が尽きるまで炎を放射し続けた。路地裏から炎が出現する光景を見て街道を歩いていた人たちは慌てふためく。
「な、何だ!?」
「火事か!?」
「皆離れろっ!!」
「だ、誰か警備兵を呼んで来い!!」
街道が騒ぎになったので男達はこれ以上の長居はできず、警備兵が来る前に逃げ出す必要があった。もう既に10秒以上も炎を吐き出し続けているため、ホネミンを仕留めたと判断した男達は退散する。
「もういいだろ!!行くぞ!!」
「お、おう!!」
男達は路地裏の奥へ駆け出す前にホネミンの立っていた場所に視線を向けると、彼女の姿が消えていた。灰も残らない程に焼き尽くしたと判断した男達は安心して逃げ出す。
「いったい何だったんだあの女は……」
「さあな、それよりもさっさと行くぞ!!」
「お、おう!!」
ホネミンを始末できたと安心した男達は逃げ出したが、実は彼等の様子を建物の屋根の上から見下ろす存在が居た。攻撃を受ける直前にホネミンは屋根の上に避難していた。
彼女は自分に目掛けて繰り出された炎に対して魔鎧術の応用で盾を作り出し、その盾で炎を防ぐのではなく、炎の勢いを利用して上昇した。彼女はレナと同様に複数の技能を習得しており、それらのいくつかを利用して建物の壁を器用に登って屋根の上まで移動する。
「何だったんですかねあれは……ちょっと調べてみましょうか」
逃げ出す男達を見てホネミンは疑問を抱き、彼女はリーリスから借りた拳銃型の魔道具を取り出す。こちらの魔道具はリーリスとホネミンが共同開発した魔道具であり、彼女は男の一人に拳銃を撃ちこむ。銃口から発射されたのは黄色の球体であり、男の一人に向かうと球体は形を変形させた。
球体の正体は蜂にそっくりなドローンであり、男の身体に張り付いて追跡を行う。リーリスの拳銃には撃鉄の部分にレーダーが搭載されており、これを確認すればドローンの位置をいつでも確認できる。
「これでよし、と……さあ、レナさんの所に遊びに行きますかね」
男達の正体は気になったがホネミンが冒険都市に訪れたのはレナの元へ向かうためであり、ひとまず彼女はレナの家へ向かった――
――ドローンに追跡されていることも知らずに男達は街中を駆け抜け、彼等は廃屋へと逃げ込む。彼等は酷く疲れた様子で持って来た魔道具の確認を行う。
「くそっ!!あの女のせいで4つも魔道具を無駄にした!!」
「ど、どうする?一度帰還するしか……」
「馬鹿を言うな!!俺達に失敗は許されない……残った魔道具だけで何とかするんだ!!」
ホネミンとの戦闘で男達は所持していた髑髏型の魔道具は2つ破壊され、残りは魔力切れで使い物にならなかった。最後に男達が所持している魔道具は黄色の髑髏の水晶だけだった。
「こいつを使うしかないだろう」
「だが、それはまだ実験段階の魔道具だぞ……」
「なら他に方法があるか!?なんとしてもあの男を捕まえなければ俺達の命は……ぐうっ!?」
「お、おいどうした!?」
会話の途中で男は苦しみもがき、それを見た相方は彼を心配するが男は苦悶の表情を浮かべて倒れ込む。
「がはぁっ……な、何で、俺はまだ……あがぁあああっ!?」
「ま、まさか……止めろ、止めてくれ!?」
倒れた男の身体から瘴気が噴き出し、それを見て相方の男はミヤの仕業だと判断した。どうやら男の体内に埋め込まれた死霊石から魔力が噴き出し、そのせいで男の身体は徐々に変色していく。やがて男は事切れたのか動かなくなると、両目が真っ黒に染まった。
「ちっ……使えない奴等だね」
「ひいいっ!?」
「落ち着きな、まだあんたは殺しはしないよ」
男の口調が変わると相方の男はミヤの術で死霊人形と化したことを知る。厳密には呪術師の力で死体を操っているため、現在の男はミヤが憑依していると言った方が正しい。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
魔法使いじゃなくて魔弓使いです
カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです
魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。
「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」
「ええっ!?」
いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。
「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」
攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。