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蛇足編
スライム式移動手段「スライムミサイル」
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――時は30秒ほど前に遡り、スラミンとヒトミンの力を借りてレナは移動する方法を思いついた。そのためにはティナの協力が必要不可欠であり、彼女に集めさせた精霊の力を利用する。
「ティナ!!精霊に俺達を吹き飛ばすように命令して!!」
「ええっ!?」
「いきなり何を言い出すのよ!?」
「き、危険過ぎます!?」
レナの考えた作戦はティナが呼び集めた精霊を利用して自分を吹き飛ばして貰い、この方法ならば遠く離れたアランの元まで一瞬で移動できる。無論、ただ吹き飛ばされただけでるではなく、スラミンとヒトミンの力を借りる。
ヨツバ王国の王都から脱する際に似たような方法でレナ達は移動したことがあり、今回も同じようにスライムの弾力性を生かして着地の衝撃を和らげる。スラミンとヒトミンはレナを守るために張り付き、自分達を信じろとばかりに身体を震わせる。
「「ぷるるるっ」」
「ス、スラミンちゃんとヒトミンちゃんが凄いやる気みたいだけど……」
「他に方法はない!!さあ、早く!!」
「待ってください!!ティナ様は精霊魔法を完全に使いこなせません!!もしも失敗すれば大変なことになります!!」
「それならリンダに任せるよ」
「わ、私ですか!?」
ティナの職業は魔物使いなので魔物を従える以外の魔法を不得意としている。だが、リンダは格闘家ではあるが精霊魔法の心得があり、彼女にティナが集めた精霊の力を与えればいい。、
「リンダ!!これ以外に方法はないんだ!!ほら、ティナも手伝って!!」
「わ、分かった!!精霊さん達、リンダに力を貸して!!」
「待ってください御二人とも!!まだ私は……はうっ!?」
「こ、これは……」
「凄い」
「な、何が起きているというんだ!?」
リンダの周りに精霊が集まると彼女の身体が緑色の光に包まれ、精霊が収束したことで風属性の魔力の密度が高まって視認できるようになった。精霊の力が宿ったリンダは戸惑いながらもレナと向き合う。
「さあ、頼むよ!!」
「ほ、本当にいいんですか!?失敗すれば……」
「俺はリンダを信じている!!さあ、早く!!」
「……分かりました。では、準備を!!」
レナの言葉を聞いてリンダは覚悟を固め、彼女は掌を広げた状態で腕を引く。リンダが得意とする「発勁」の戦技を組み合わせた一撃を放ち、精霊の力を加えてレナを吹き飛ばす準備を行う。その前にレナはコトミンに声をかけた。
「コトミン!!スラミンとヒトミンにあれを!!」
「はい」
「「ぷるるんっ♪」」
コトミンは言われてすぐに自分が携帯している水筒を取り出し、それをスラミンとヒトミンに与えた。彼女が持参する水筒は内部に吸水石と呼ばれる特別な水属性の魔石が含まれており、水筒の大きさ以上の水分を保管していた。スラミンとヒトミンは水を浴びるとみるみると大きくなり、やがて人を乗せられる程の大きさと化す。
巨大化したスラミンにレナは乗り込むと、途中で吹き飛ばされないようにスラミンが彼の身体を取り込む。その隣で巨大化したヒトミンにはコトミンも乗り込み、彼女は人魚族の魔法の力で補助を行う。
「私も一緒に行く。スラミンとヒトミンの水分を操作して破裂しないように調整する」
「コトミン……分かった、頼りにしてるよ」
「私も行くわ!!」
「それは駄目、これ以上に人を取り込んだらスラミン達の負担が大きくなる。それにシズネの雪月花を取り込んだら凍る可能性もある」
「くっ……仕方ないわね」
シズネは同行を申し出るがコトミンに却下され、渋々と引き下がった。今は議論する暇もないのでレナはコトミンと並び、リンダは二人の前で両手を構えた。
「行きますよ。いいですか?」
「やってくれ!!」
「お手柔らかに」
「「ぷるぷるっ(←つぶらな瞳)」」
「そ、そんな目で見ないでください!!」
スライム達の可愛らしい顔にリンダは躊躇するが、彼女は心を鬼して全力で技を繰り出す。発勁の戦技を発動するのと同時に精霊の力を解放させ、凄まじい風圧を繰り出す。
「はああっ!!」
「うわっ!?」
「あうっ!?」
「「ぷるるるるんっ!?」」
リンダの両手がスライム達の身体に触れた瞬間、強烈な衝撃が襲い掛かってスライム達は遥か上空に吹き飛ぶ。凄まじい速度で吹っ飛ばされたレナ達はアランの居るところまで向かう――
――時刻は現在に戻り、どうにか着地に成功したレナはスラミンから飛び出す。コトミンも一緒にヒトミンから抜け出すが、スラミンとヒトミンは萎れていく。まるで巨大な風船の空気が抜けるように瞬く間にスラミンとヒトミンは小さくなった。
「「ぷるるっ……」」
「よしよし、よく頑張った」
「コトミン、スラミン達は頼むよ」
「な、何だ貴様等は!?」
アランはいきなり現れたレナ達を警戒するが、そんな彼に対してレナは空間魔法を発動させて退魔刀を抜く。コトミンはスライム達を抱えて離れると、アランは追手だと理解して慌てて剣を抜く。
「ティナ!!精霊に俺達を吹き飛ばすように命令して!!」
「ええっ!?」
「いきなり何を言い出すのよ!?」
「き、危険過ぎます!?」
レナの考えた作戦はティナが呼び集めた精霊を利用して自分を吹き飛ばして貰い、この方法ならば遠く離れたアランの元まで一瞬で移動できる。無論、ただ吹き飛ばされただけでるではなく、スラミンとヒトミンの力を借りる。
ヨツバ王国の王都から脱する際に似たような方法でレナ達は移動したことがあり、今回も同じようにスライムの弾力性を生かして着地の衝撃を和らげる。スラミンとヒトミンはレナを守るために張り付き、自分達を信じろとばかりに身体を震わせる。
「「ぷるるるっ」」
「ス、スラミンちゃんとヒトミンちゃんが凄いやる気みたいだけど……」
「他に方法はない!!さあ、早く!!」
「待ってください!!ティナ様は精霊魔法を完全に使いこなせません!!もしも失敗すれば大変なことになります!!」
「それならリンダに任せるよ」
「わ、私ですか!?」
ティナの職業は魔物使いなので魔物を従える以外の魔法を不得意としている。だが、リンダは格闘家ではあるが精霊魔法の心得があり、彼女にティナが集めた精霊の力を与えればいい。、
「リンダ!!これ以外に方法はないんだ!!ほら、ティナも手伝って!!」
「わ、分かった!!精霊さん達、リンダに力を貸して!!」
「待ってください御二人とも!!まだ私は……はうっ!?」
「こ、これは……」
「凄い」
「な、何が起きているというんだ!?」
リンダの周りに精霊が集まると彼女の身体が緑色の光に包まれ、精霊が収束したことで風属性の魔力の密度が高まって視認できるようになった。精霊の力が宿ったリンダは戸惑いながらもレナと向き合う。
「さあ、頼むよ!!」
「ほ、本当にいいんですか!?失敗すれば……」
「俺はリンダを信じている!!さあ、早く!!」
「……分かりました。では、準備を!!」
レナの言葉を聞いてリンダは覚悟を固め、彼女は掌を広げた状態で腕を引く。リンダが得意とする「発勁」の戦技を組み合わせた一撃を放ち、精霊の力を加えてレナを吹き飛ばす準備を行う。その前にレナはコトミンに声をかけた。
「コトミン!!スラミンとヒトミンにあれを!!」
「はい」
「「ぷるるんっ♪」」
コトミンは言われてすぐに自分が携帯している水筒を取り出し、それをスラミンとヒトミンに与えた。彼女が持参する水筒は内部に吸水石と呼ばれる特別な水属性の魔石が含まれており、水筒の大きさ以上の水分を保管していた。スラミンとヒトミンは水を浴びるとみるみると大きくなり、やがて人を乗せられる程の大きさと化す。
巨大化したスラミンにレナは乗り込むと、途中で吹き飛ばされないようにスラミンが彼の身体を取り込む。その隣で巨大化したヒトミンにはコトミンも乗り込み、彼女は人魚族の魔法の力で補助を行う。
「私も一緒に行く。スラミンとヒトミンの水分を操作して破裂しないように調整する」
「コトミン……分かった、頼りにしてるよ」
「私も行くわ!!」
「それは駄目、これ以上に人を取り込んだらスラミン達の負担が大きくなる。それにシズネの雪月花を取り込んだら凍る可能性もある」
「くっ……仕方ないわね」
シズネは同行を申し出るがコトミンに却下され、渋々と引き下がった。今は議論する暇もないのでレナはコトミンと並び、リンダは二人の前で両手を構えた。
「行きますよ。いいですか?」
「やってくれ!!」
「お手柔らかに」
「「ぷるぷるっ(←つぶらな瞳)」」
「そ、そんな目で見ないでください!!」
スライム達の可愛らしい顔にリンダは躊躇するが、彼女は心を鬼して全力で技を繰り出す。発勁の戦技を発動するのと同時に精霊の力を解放させ、凄まじい風圧を繰り出す。
「はああっ!!」
「うわっ!?」
「あうっ!?」
「「ぷるるるるんっ!?」」
リンダの両手がスライム達の身体に触れた瞬間、強烈な衝撃が襲い掛かってスライム達は遥か上空に吹き飛ぶ。凄まじい速度で吹っ飛ばされたレナ達はアランの居るところまで向かう――
――時刻は現在に戻り、どうにか着地に成功したレナはスラミンから飛び出す。コトミンも一緒にヒトミンから抜け出すが、スラミンとヒトミンは萎れていく。まるで巨大な風船の空気が抜けるように瞬く間にスラミンとヒトミンは小さくなった。
「「ぷるるっ……」」
「よしよし、よく頑張った」
「コトミン、スラミン達は頼むよ」
「な、何だ貴様等は!?」
アランはいきなり現れたレナ達を警戒するが、そんな彼に対してレナは空間魔法を発動させて退魔刀を抜く。コトミンはスライム達を抱えて離れると、アランは追手だと理解して慌てて剣を抜く。
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