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蛇足編
入国許可
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――アルン王子が引き起こした騒動の翌日、遂にレナ達の元に巨人国からの使者が訪れた。使者を勤めるのは巨人国の将軍であり、ギガン並の体躯を誇る大男だった。
「巨人国の大将軍を勤めるゴウカと申す」
「ど、どうも……バルトロス王国の女王ナオの弟のレナです」
ギガン並の迫力を誇るゴウカという名の巨人族にレナは圧倒されるが、一方でゴウカもレナを見定めるような視線を向ける。一件は普通の人間の少年にしか見えないが、何故か強者の風格を漂わせており、武人の本能でレナが只者ではないと悟った。
「闘技祭で優勝を果たした貴方は我が国でも有名だ。まさかこのような形で会うことになるとは思わなかったが……」
「御託は良いわよ。それよりも私達の入国許可は取れたのかしら?」
「シ、シズネ様!!相手は巨人国の大将軍ですよ!?」
三日も待たされたせいかシズネは不機嫌そうにゴウカに尋ねると、慌ててリンダが彼女に注意を行う。しかし、ゴウカはシズネを見て笑みを浮かべた。
「傭兵のシズネ……以前にも会ったことがあるな」
「ええ、その時は貴方は将軍だったわね」
「え!?知り合いなの二人とも?」
シズネはゴウカとは初対面ではないらしく、彼女が巨人国で武者修行の旅をしている時にゴウカと遭遇したことがあった。
「昔の話よ。私が傭兵として商人の護衛を頼まれた時、魔物が現れる地域でこの男が部隊を率いて大型の魔物と交戦していたわ。その時に助太刀しただけよ」
「あの時は本当に助かった。あの頃の俺は自分の実力を過信し、無謀な戦いを挑んでしまった。もしも貴殿の助太刀がなければ命を落としていたかもしれない。礼を言うぞ」
「そんなことがあったんだ……」
「シズネちゃん格好いい!!」
「流石はシズネ……さすシス」
「何よそれは……」
ゴウカが大将軍になる前にシズネは彼の部隊が魔物に襲われているのを見て助太刀に入り、その際に彼女はゴウカと顔見知りになった。魔物の討伐を果たした後はシズネはすぐに立ち去ったが、ゴウカは助けてくれた恩を忘れていなかった。
大将軍にゴウカが昇格したのは最近の話であり、彼の前の大将軍は事故で亡くなってしまった。そのために将軍の中でも武功が一番のゴウカが代わりに大将軍に昇格したらしく、彼が上げた最大の功績はシズネと共に大型の魔物を討伐した一件だったのである意味ではシズネのお陰で彼は大将軍に就けたという。
「シズネ殿の助力がなければ俺の部隊は全滅していただろう。あの時の恩はいずれ必ず報いらせてもらう」
「そんなのはいいわよ。私も助けた後にお金を貰ったんだから気にする必要はないわ」
「あ、お金はちゃんと貰ったんだね」
「当然よ、傭兵なんだから仕事し多分はきっちり払ってもらうわ」
シズネが助力したのは人助けのためだけではなく、魔物を倒すことで恩を売って報酬を得るためだった。当時のシズネはゴウライを倒すために腕を磨くのと同時に生活費を稼ぐために傭兵稼業を始めたばかりであり、ゴウカからも高額の報酬を要求した。しかし、ゴウカはシズネが助けてくれた恩を未だに感じており、お金を払うだけでは恩を返していないと思っていた。
「命を救って貰った恩は金を払うだけでは返しきれない。どうか俺の力が借りたい時は遠慮なく言ってくれ」
「そういうのはいいから用件を伝えなさい。巨人国は私達の入国を許可するの?それともしないの?」
「……国王陛下は貴方達の入国を許可された。但し、貴方達が探している組織の捜索に関しては我々の方で対処を行う。だからくれぐれも勝手な行動は控えて欲しい」
「対処?それってつまり……」
「ここまで来た私達に観光だけして帰れと言っているのかしら?」
ゴウカの言葉は聞き捨てならず、巨人国に潜伏している闇組織の対処は巨人国の軍隊が行い、レナ達には手出しを禁じる。しかし、それではレナ達がここまで来た意味がない。
「ゴウカ大将軍、俺達は旧帝国の残党を捕まえるためにここまで来たんです。旧帝国はバルトロス王国の長年の仇敵、それを放置するなんてできません」
「国王陛下は領地内の問題は我々が解決すべきことであり、他国の人間の力を借りる必要はない。旧帝国の残党だろうとなんだろうと我が領内で犯罪を犯している組織ならば我々が対処するべきだ」
「ですが敵はただの闇組織ではありません!!奴等は勇者様が残した聖遺物である神器を複数所有する危険な……」
「我々を侮るな、ヨツバ王国の騎士よ。如何に相手が厄介な魔道具を所有していようと我々の軍隊は無敵だ。闇組織の情報提供だけは感謝する。しかし、我が領内で好き勝手に行動することは遠慮してもらおう」
「そんな!?」
「むうっ……頭でっかち」
巨人国側としては国内に闇組織が居たとしても対処するべきは自分達であり、他国の人間であるレナ達の力を借りるつもりはない。しかし、相手はただの闇組織ではなく、旧帝国の残党の中でも最大戦力を誇る危険な組織だった。
「巨人国の大将軍を勤めるゴウカと申す」
「ど、どうも……バルトロス王国の女王ナオの弟のレナです」
ギガン並の迫力を誇るゴウカという名の巨人族にレナは圧倒されるが、一方でゴウカもレナを見定めるような視線を向ける。一件は普通の人間の少年にしか見えないが、何故か強者の風格を漂わせており、武人の本能でレナが只者ではないと悟った。
「闘技祭で優勝を果たした貴方は我が国でも有名だ。まさかこのような形で会うことになるとは思わなかったが……」
「御託は良いわよ。それよりも私達の入国許可は取れたのかしら?」
「シ、シズネ様!!相手は巨人国の大将軍ですよ!?」
三日も待たされたせいかシズネは不機嫌そうにゴウカに尋ねると、慌ててリンダが彼女に注意を行う。しかし、ゴウカはシズネを見て笑みを浮かべた。
「傭兵のシズネ……以前にも会ったことがあるな」
「ええ、その時は貴方は将軍だったわね」
「え!?知り合いなの二人とも?」
シズネはゴウカとは初対面ではないらしく、彼女が巨人国で武者修行の旅をしている時にゴウカと遭遇したことがあった。
「昔の話よ。私が傭兵として商人の護衛を頼まれた時、魔物が現れる地域でこの男が部隊を率いて大型の魔物と交戦していたわ。その時に助太刀しただけよ」
「あの時は本当に助かった。あの頃の俺は自分の実力を過信し、無謀な戦いを挑んでしまった。もしも貴殿の助太刀がなければ命を落としていたかもしれない。礼を言うぞ」
「そんなことがあったんだ……」
「シズネちゃん格好いい!!」
「流石はシズネ……さすシス」
「何よそれは……」
ゴウカが大将軍になる前にシズネは彼の部隊が魔物に襲われているのを見て助太刀に入り、その際に彼女はゴウカと顔見知りになった。魔物の討伐を果たした後はシズネはすぐに立ち去ったが、ゴウカは助けてくれた恩を忘れていなかった。
大将軍にゴウカが昇格したのは最近の話であり、彼の前の大将軍は事故で亡くなってしまった。そのために将軍の中でも武功が一番のゴウカが代わりに大将軍に昇格したらしく、彼が上げた最大の功績はシズネと共に大型の魔物を討伐した一件だったのである意味ではシズネのお陰で彼は大将軍に就けたという。
「シズネ殿の助力がなければ俺の部隊は全滅していただろう。あの時の恩はいずれ必ず報いらせてもらう」
「そんなのはいいわよ。私も助けた後にお金を貰ったんだから気にする必要はないわ」
「あ、お金はちゃんと貰ったんだね」
「当然よ、傭兵なんだから仕事し多分はきっちり払ってもらうわ」
シズネが助力したのは人助けのためだけではなく、魔物を倒すことで恩を売って報酬を得るためだった。当時のシズネはゴウライを倒すために腕を磨くのと同時に生活費を稼ぐために傭兵稼業を始めたばかりであり、ゴウカからも高額の報酬を要求した。しかし、ゴウカはシズネが助けてくれた恩を未だに感じており、お金を払うだけでは恩を返していないと思っていた。
「命を救って貰った恩は金を払うだけでは返しきれない。どうか俺の力が借りたい時は遠慮なく言ってくれ」
「そういうのはいいから用件を伝えなさい。巨人国は私達の入国を許可するの?それともしないの?」
「……国王陛下は貴方達の入国を許可された。但し、貴方達が探している組織の捜索に関しては我々の方で対処を行う。だからくれぐれも勝手な行動は控えて欲しい」
「対処?それってつまり……」
「ここまで来た私達に観光だけして帰れと言っているのかしら?」
ゴウカの言葉は聞き捨てならず、巨人国に潜伏している闇組織の対処は巨人国の軍隊が行い、レナ達には手出しを禁じる。しかし、それではレナ達がここまで来た意味がない。
「ゴウカ大将軍、俺達は旧帝国の残党を捕まえるためにここまで来たんです。旧帝国はバルトロス王国の長年の仇敵、それを放置するなんてできません」
「国王陛下は領地内の問題は我々が解決すべきことであり、他国の人間の力を借りる必要はない。旧帝国の残党だろうとなんだろうと我が領内で犯罪を犯している組織ならば我々が対処するべきだ」
「ですが敵はただの闇組織ではありません!!奴等は勇者様が残した聖遺物である神器を複数所有する危険な……」
「我々を侮るな、ヨツバ王国の騎士よ。如何に相手が厄介な魔道具を所有していようと我々の軍隊は無敵だ。闇組織の情報提供だけは感謝する。しかし、我が領内で好き勝手に行動することは遠慮してもらおう」
「そんな!?」
「むうっ……頭でっかち」
巨人国側としては国内に闇組織が居たとしても対処するべきは自分達であり、他国の人間であるレナ達の力を借りるつもりはない。しかし、相手はただの闇組織ではなく、旧帝国の残党の中でも最大戦力を誇る危険な組織だった。
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