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蛇足編
アルンの試練
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「ティナ!!しっかりとこれを持つんだぞ!!」
「わわっ!?」
「では僕は先に待ち合わせ場所に行かせてもらう!!さらばだ!!」
「待てこらっ!!」
「ま、まあまあ、落ち着いて下さい」
「どうかアルン王子様のわがままにお付き合いください」
勝手に去ろうとするアルンをレナは追いかけようとしたが、側近の緑影二人が間に割って入る。いきなり試練と言われても納得できるはずがないが、ティナは受け取った砂時計を見てあることに気が付く。
「あ、これって……レナたん!!」
「ティナ?どうかした?」
「この砂時計、お母様が作ってくれた砂時計だよ!!」
「え?ティナのお母さん?」
ティナの母親は既に亡くなっているはずだが彼女によるとアルンが持ち出した砂時計は彼女の母親の物らしく、それを聞いてアルンは伝えた。
「ティナのいう通り、それは僕達の母が残した大切な砂時計だ」
「そんな物をどうして……」
「言っただろう。これは試練だ、その砂時計は大切な母上の形見だ!!それを壊せば僕だって無事では済まない!!もしも壊したら父上から僕は厳しい罰を受けるだろう!!しかし、それでもこの砂時計以外に試練に扱う道具は相応しい物はない!!」
「兄様!?」
アルンが大切な母親の形見を持ち出したのは彼なりに覚悟を決めたことを証明するためであり、もしも砂時計を壊せば父親からどれほどの重い罰を課せられるか分からない。しかし、自分が罰を受けようとアルンは兄としてティナの婿となる人物を見定める必要があった。
「僕の部下達にはその砂時計を全力で壊すように指示を出している!!もしも砂時計が壊れれば父からも妹達からも軽蔑されるだろう……だが、その砂時計が壊されるということはお前はティナを守り切れなかった証拠だ!!妹の大切にしている品を守り切れないようなら婿の資格はない!!」
「……自分が無茶苦茶なことを言っているのは分かってるんですか?これは貴方にとっても大切な代物でしょう?」
「それでもやらなければならない!!お前もティナのことを本当に愛しているのなら何としても守り切って見せろ!!ティナも、母上の形見もな!!」
「兄様……」
レナはアルンが母親の形見を持ち出してまで自分に試練を与えようとしていることに最初は気でも狂ったかと思ったが、アルンは本気でレナがティナに相応しい男かどうか見極めようとしていた。そのためには自分が家族から軽蔑されようと構わず、大切な妹に嫌われるような真似をしてでもレナを試そうとしていた。
アルンの覚悟を感じ取ったレナは何も言えず、黙って彼を見送ることにした。側近の二人もアルンと共に立ち去り、残されたティナは大切そうに砂時計を抱きしめる。
「レナたん……兄様の試練、受けてくれる?」
「はあっ……分かったよ。何があろうと俺が守ってみせるからね」
「うん!!」
ティナはレナの言葉を聞いて嬉しそうな表情を浮かべ、そんな彼女の笑顔を見てレナは断れるはずがなかった。渡された地図を確認して目的地までの距離を確認し、砂時計を確認してどれほどの余裕があるのかを確かめる。
(砂の量から計算して猶予はあと10分くらいかな。普通に歩いて行っても間に合わない、走ったとしてもぎりぎりだな……)
砂時計が落ち切るまで10分程度だと確認し、試しに砂時計をさかさまにしてもアルンのいう通りに砂は元に戻ることはなく一定の方向に砂が流れ続けた。それを見てレナはティナにしっかりと砂時計を守るように促す。
「ティナ、絶対に砂時計を離したら駄目だよ」
「わ、分かった!!胸に挟んでおくね!!」
「うん、まあ……そこが一番安全かな?」
持ち前の巨乳を生かしてティナは胸に砂時計を挟み、それを見てレナは砂時計が圧縮されて壊れないか心配する。もしもこの場にシズネが居たらどのような反応をするのか少し気になったが、胸に隠すという手段は悪くない。
恐らくはアルンは自分の部下を待ち伏せさせてレナ達を待ち構えているが、ティナの胸に砂時計が挟まっていたら男性の部下は手を出しにくい。アルンがティナのことをどれほど大切に想っているのかは周知の事実であり、そんなティナの胸元に挟まれている砂時計に手を出そうとすれば後が怖い。
(あの王子ならティナを直接狙う様な真似はさせないだろ。仮にティナを狙ってきたとしても……俺が守り切れば問題ない)
この試練はティナをレナが守り切れるかどうか確かめる試練のため、もしかしたらアルンはティナにも攻撃を仕掛けるように部下に命じている可能性もある。勿論、本気で彼女を傷つけるような真似はしないだろうがそれでもレナを試すためにティナに狙いを定める可能性はある。その場合はレナは自分だけではなく、ティナを守り切らなければならない。
考えている間にも時間は過ぎていくためレナはティナを連れて動き出す。北の城壁まで距離は2、3キロは離れており、急がねば間に合わない。レナ一人ならば余裕で辿り着けるが今回はティナを守りながら移動しなければならないので慎重に進む必要があった。
「わわっ!?」
「では僕は先に待ち合わせ場所に行かせてもらう!!さらばだ!!」
「待てこらっ!!」
「ま、まあまあ、落ち着いて下さい」
「どうかアルン王子様のわがままにお付き合いください」
勝手に去ろうとするアルンをレナは追いかけようとしたが、側近の緑影二人が間に割って入る。いきなり試練と言われても納得できるはずがないが、ティナは受け取った砂時計を見てあることに気が付く。
「あ、これって……レナたん!!」
「ティナ?どうかした?」
「この砂時計、お母様が作ってくれた砂時計だよ!!」
「え?ティナのお母さん?」
ティナの母親は既に亡くなっているはずだが彼女によるとアルンが持ち出した砂時計は彼女の母親の物らしく、それを聞いてアルンは伝えた。
「ティナのいう通り、それは僕達の母が残した大切な砂時計だ」
「そんな物をどうして……」
「言っただろう。これは試練だ、その砂時計は大切な母上の形見だ!!それを壊せば僕だって無事では済まない!!もしも壊したら父上から僕は厳しい罰を受けるだろう!!しかし、それでもこの砂時計以外に試練に扱う道具は相応しい物はない!!」
「兄様!?」
アルンが大切な母親の形見を持ち出したのは彼なりに覚悟を決めたことを証明するためであり、もしも砂時計を壊せば父親からどれほどの重い罰を課せられるか分からない。しかし、自分が罰を受けようとアルンは兄としてティナの婿となる人物を見定める必要があった。
「僕の部下達にはその砂時計を全力で壊すように指示を出している!!もしも砂時計が壊れれば父からも妹達からも軽蔑されるだろう……だが、その砂時計が壊されるということはお前はティナを守り切れなかった証拠だ!!妹の大切にしている品を守り切れないようなら婿の資格はない!!」
「……自分が無茶苦茶なことを言っているのは分かってるんですか?これは貴方にとっても大切な代物でしょう?」
「それでもやらなければならない!!お前もティナのことを本当に愛しているのなら何としても守り切って見せろ!!ティナも、母上の形見もな!!」
「兄様……」
レナはアルンが母親の形見を持ち出してまで自分に試練を与えようとしていることに最初は気でも狂ったかと思ったが、アルンは本気でレナがティナに相応しい男かどうか見極めようとしていた。そのためには自分が家族から軽蔑されようと構わず、大切な妹に嫌われるような真似をしてでもレナを試そうとしていた。
アルンの覚悟を感じ取ったレナは何も言えず、黙って彼を見送ることにした。側近の二人もアルンと共に立ち去り、残されたティナは大切そうに砂時計を抱きしめる。
「レナたん……兄様の試練、受けてくれる?」
「はあっ……分かったよ。何があろうと俺が守ってみせるからね」
「うん!!」
ティナはレナの言葉を聞いて嬉しそうな表情を浮かべ、そんな彼女の笑顔を見てレナは断れるはずがなかった。渡された地図を確認して目的地までの距離を確認し、砂時計を確認してどれほどの余裕があるのかを確かめる。
(砂の量から計算して猶予はあと10分くらいかな。普通に歩いて行っても間に合わない、走ったとしてもぎりぎりだな……)
砂時計が落ち切るまで10分程度だと確認し、試しに砂時計をさかさまにしてもアルンのいう通りに砂は元に戻ることはなく一定の方向に砂が流れ続けた。それを見てレナはティナにしっかりと砂時計を守るように促す。
「ティナ、絶対に砂時計を離したら駄目だよ」
「わ、分かった!!胸に挟んでおくね!!」
「うん、まあ……そこが一番安全かな?」
持ち前の巨乳を生かしてティナは胸に砂時計を挟み、それを見てレナは砂時計が圧縮されて壊れないか心配する。もしもこの場にシズネが居たらどのような反応をするのか少し気になったが、胸に隠すという手段は悪くない。
恐らくはアルンは自分の部下を待ち伏せさせてレナ達を待ち構えているが、ティナの胸に砂時計が挟まっていたら男性の部下は手を出しにくい。アルンがティナのことをどれほど大切に想っているのかは周知の事実であり、そんなティナの胸元に挟まれている砂時計に手を出そうとすれば後が怖い。
(あの王子ならティナを直接狙う様な真似はさせないだろ。仮にティナを狙ってきたとしても……俺が守り切れば問題ない)
この試練はティナをレナが守り切れるかどうか確かめる試練のため、もしかしたらアルンはティナにも攻撃を仕掛けるように部下に命じている可能性もある。勿論、本気で彼女を傷つけるような真似はしないだろうがそれでもレナを試すためにティナに狙いを定める可能性はある。その場合はレナは自分だけではなく、ティナを守り切らなければならない。
考えている間にも時間は過ぎていくためレナはティナを連れて動き出す。北の城壁まで距離は2、3キロは離れており、急がねば間に合わない。レナ一人ならば余裕で辿り着けるが今回はティナを守りながら移動しなければならないので慎重に進む必要があった。
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