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蛇足編
アルンからの試練
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「それでなんで急に襲ってきた?俺に恨みでもあるの?」
「そういうわけじゃないんですけどね……」
「じ、実は我々は……」
「それは僕の指示だ!!」
エリナとリンダに化けた緑影が襲った理由を話そうとした瞬間、空き地に男性の声が響く。レナは声のした方に視線を向けると、そこには金髪の青年が立っていた。それを見てティナは驚きの声を上げる。
「あ、兄様!?」
「兄様!?」
「アルン王子!?どうしてこちらに!?」
「隠れように言ったのに……」
いきなり現れた青年の正体はティナの兄であるアルン王子であることが判明し、彼が現れると慌てて緑影の二人組が駆けつける。レナはアルン王子とは初対面ではないがあまり接点はないので最初に見た時は誰だか分からなかった。
(ティナの兄ということはヨツバ王国の第一王子か。でも、なんでこんなに殺気立ってるんだ?)
アルンはレナを憎々し気に見つめ、どうして自分がこんなに睨まれているのかとレナは疑問を抱く。アルンの前に緑影の二人組は跪くと技能を解除したのか二人の顔が別人へと変貌した。リンダに化けていたのは女性のエルフであり、エリナに化けていたのは童顔の少年だった。
「二人ともなんだあの様は!!人間を相手に精霊魔法を破られるとは……」
「も、申し訳ございません!!」
「油断していたつもりはないんですが……」
「あの、ちょっといいですか?二人を襲わせたのはアルン王子の仕業なんですか?」
「ええっ!?兄様酷い!!」
レナは緑影が自分を襲ってきた理由はアルンの差し金であると知って驚き、それを聞いたティナは抗議した。大切な妹に見損なわれるのは嫌なのかアルンは慌てて言い訳を行う。
「ま、待ってくれティナ!!これには訳があるんだ!!」
「どんな理由ですか?」
「くっ……僕は王子として、いや兄として妹の結婚相手を見定める義務がある!!」
「見定めるって……」
「でもレナたんとの結婚はお父様も兄様も姉様も認めてくれたよね?」
ティナとレナの結婚は王族の承諾を得てから実行されたが、アルンは未だに納得はしていない。二人の結婚を認めたのは色々と偶然が重なっただけであり、アルンは本心から妹の結婚を認めたわけではない。
「あの時はカレハ姉さんの問題や西聖将の口車に乗せられて結婚を認めたが、やはり冷静に考えても君がティナを幸せにできるとは思えない!!人間なんてすぐに寿命で死んでしまうし、そもそも他国の王子と結婚なんてしたらティナと気軽に会えないじゃないか!!」
「ええっ……」
「王子、私怨が入ってますよ」
「どうか落ち着いて下さい!!」
アルンの言い分を聞いてレナは愕然とするが緑影の二人組が彼を落ち着かせる。アルンは父親と同様に断固としてレナのことをティナの結婚相手とは認めておらず、何としても二人を別れさせたいと思っていた。
しかし、現実的に考えてもレナとティナを別れさせるのは非常に難しい。バルトロス王国の王子(王弟)とヨツバ王国の王女であるティナとの結婚は両国にとっても大きな益を生み、実際に二人の結婚を切っ掛けに両国の関係は良好になっていた。そもそもレナはバルトロス王国の王子ではあるがハヅキ家の血筋でもあり、ティナの結婚相手としてはこれ以上にないほど相応しい人物はいない。
仮にティナがレナと結婚しなかった場合はヨツバ王国内の貴族と結婚することが決まるが、そんなことをティナが納得するはずがない。だが、アルンも兄として妹の結婚相手を見定める必要があった。
「レナ王子!!いや、ここはレナと呼ばせてもらう!!」
「あ、はい」
「僕は兄として君が妹に相応しいかどうか見定める!!今回の試練は君一人で妹を守り切れるかどうか確かめさせてもらった!!まあ、一応は及第点といったところかな……」
「試練って……じゃあ、さっきのは俺を試すためにその二人を送り込んだんですか?」
「そういうことになりますね」
「先ほどは失礼しました」
アルンの側近と思われる緑影の二人組はレナに頭を下げて襲撃した件を謝罪するが、襲うように指示を出したアルンは悪びれもせずに堂々と伝える。
「言っておくが今回の試練だけで君を認めたわけじゃない!!これからも僕は君に試練を与えるぞ!!」
「兄様!!レナたんに酷いことしないでよ!!」
「いいや、いくらティナの願いでもそれだけは聞き入れられない!!僕は兄としてティナを幸せにできる男しか認めない!!だから次の試練だ!!」
「えっ!?」
先ほど試練が終わったばかりなのにアルンはレナに新たな試練を告げ、彼はこの街の地図を取り出す。地図には北の城壁に丸が描かれており、アルンはレナを指差しながら告げる。
「この砂時計が落ち切る前に地図に記されている場所まで辿り着いてみせろ!!もしも砂が全部落ちたり、あるいは砂時計が壊れたら君の負けだ!!言っておくがこの砂時計には特別な魔法を仕込んでいるからさかさまにしても砂は元に戻らないぞ!!」
「ちょっ、いきなりそんな……」
「この試練を乗り越えれば僕も君達のことを認めよう!!だが、街中に僕が連れてきた緑影を配置させている!!彼等は全力で君を狙うから気を付けることだな!!」
「人の話を聞けよ!!」
いくら相手がティナの兄だといっても一方的に条件を突きつけるアルンにレナは切れるが、アルンは聞く耳持たずにティナに砂時計を渡す。
「そういうわけじゃないんですけどね……」
「じ、実は我々は……」
「それは僕の指示だ!!」
エリナとリンダに化けた緑影が襲った理由を話そうとした瞬間、空き地に男性の声が響く。レナは声のした方に視線を向けると、そこには金髪の青年が立っていた。それを見てティナは驚きの声を上げる。
「あ、兄様!?」
「兄様!?」
「アルン王子!?どうしてこちらに!?」
「隠れように言ったのに……」
いきなり現れた青年の正体はティナの兄であるアルン王子であることが判明し、彼が現れると慌てて緑影の二人組が駆けつける。レナはアルン王子とは初対面ではないがあまり接点はないので最初に見た時は誰だか分からなかった。
(ティナの兄ということはヨツバ王国の第一王子か。でも、なんでこんなに殺気立ってるんだ?)
アルンはレナを憎々し気に見つめ、どうして自分がこんなに睨まれているのかとレナは疑問を抱く。アルンの前に緑影の二人組は跪くと技能を解除したのか二人の顔が別人へと変貌した。リンダに化けていたのは女性のエルフであり、エリナに化けていたのは童顔の少年だった。
「二人ともなんだあの様は!!人間を相手に精霊魔法を破られるとは……」
「も、申し訳ございません!!」
「油断していたつもりはないんですが……」
「あの、ちょっといいですか?二人を襲わせたのはアルン王子の仕業なんですか?」
「ええっ!?兄様酷い!!」
レナは緑影が自分を襲ってきた理由はアルンの差し金であると知って驚き、それを聞いたティナは抗議した。大切な妹に見損なわれるのは嫌なのかアルンは慌てて言い訳を行う。
「ま、待ってくれティナ!!これには訳があるんだ!!」
「どんな理由ですか?」
「くっ……僕は王子として、いや兄として妹の結婚相手を見定める義務がある!!」
「見定めるって……」
「でもレナたんとの結婚はお父様も兄様も姉様も認めてくれたよね?」
ティナとレナの結婚は王族の承諾を得てから実行されたが、アルンは未だに納得はしていない。二人の結婚を認めたのは色々と偶然が重なっただけであり、アルンは本心から妹の結婚を認めたわけではない。
「あの時はカレハ姉さんの問題や西聖将の口車に乗せられて結婚を認めたが、やはり冷静に考えても君がティナを幸せにできるとは思えない!!人間なんてすぐに寿命で死んでしまうし、そもそも他国の王子と結婚なんてしたらティナと気軽に会えないじゃないか!!」
「ええっ……」
「王子、私怨が入ってますよ」
「どうか落ち着いて下さい!!」
アルンの言い分を聞いてレナは愕然とするが緑影の二人組が彼を落ち着かせる。アルンは父親と同様に断固としてレナのことをティナの結婚相手とは認めておらず、何としても二人を別れさせたいと思っていた。
しかし、現実的に考えてもレナとティナを別れさせるのは非常に難しい。バルトロス王国の王子(王弟)とヨツバ王国の王女であるティナとの結婚は両国にとっても大きな益を生み、実際に二人の結婚を切っ掛けに両国の関係は良好になっていた。そもそもレナはバルトロス王国の王子ではあるがハヅキ家の血筋でもあり、ティナの結婚相手としてはこれ以上にないほど相応しい人物はいない。
仮にティナがレナと結婚しなかった場合はヨツバ王国内の貴族と結婚することが決まるが、そんなことをティナが納得するはずがない。だが、アルンも兄として妹の結婚相手を見定める必要があった。
「レナ王子!!いや、ここはレナと呼ばせてもらう!!」
「あ、はい」
「僕は兄として君が妹に相応しいかどうか見定める!!今回の試練は君一人で妹を守り切れるかどうか確かめさせてもらった!!まあ、一応は及第点といったところかな……」
「試練って……じゃあ、さっきのは俺を試すためにその二人を送り込んだんですか?」
「そういうことになりますね」
「先ほどは失礼しました」
アルンの側近と思われる緑影の二人組はレナに頭を下げて襲撃した件を謝罪するが、襲うように指示を出したアルンは悪びれもせずに堂々と伝える。
「言っておくが今回の試練だけで君を認めたわけじゃない!!これからも僕は君に試練を与えるぞ!!」
「兄様!!レナたんに酷いことしないでよ!!」
「いいや、いくらティナの願いでもそれだけは聞き入れられない!!僕は兄としてティナを幸せにできる男しか認めない!!だから次の試練だ!!」
「えっ!?」
先ほど試練が終わったばかりなのにアルンはレナに新たな試練を告げ、彼はこの街の地図を取り出す。地図には北の城壁に丸が描かれており、アルンはレナを指差しながら告げる。
「この砂時計が落ち切る前に地図に記されている場所まで辿り着いてみせろ!!もしも砂が全部落ちたり、あるいは砂時計が壊れたら君の負けだ!!言っておくがこの砂時計には特別な魔法を仕込んでいるからさかさまにしても砂は元に戻らないぞ!!」
「ちょっ、いきなりそんな……」
「この試練を乗り越えれば僕も君達のことを認めよう!!だが、街中に僕が連れてきた緑影を配置させている!!彼等は全力で君を狙うから気を付けることだな!!」
「人の話を聞けよ!!」
いくら相手がティナの兄だといっても一方的に条件を突きつけるアルンにレナは切れるが、アルンは聞く耳持たずにティナに砂時計を渡す。
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