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蛇足編
意外すぎる弱点
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――ビャクの運ぶ乗り物で全員が研究所に引き返すと、到着早々にゴウライは顔色を悪くして研究所内のごみ箱に嘔吐した。
「うおぇえええっ!?」
「ちょ、大丈夫ですか!?」
「う、ううっ……なんだあの乗り物は……おええっ!!」
「……貴方、乗り物に弱かったの?」
「でも前に船に乗った時は平気そうだったのに……」
ゴウライは乗り物に酔ったのか先ほど食べたものを吐き出してしまい、その様子を心配しながらもホネミンは不思議に思う。以前にゴウライは潜水船に乗った時はここまで酷く寄ってはいなかったはずだが、彼女は顔色を青くしながら語る。
「じ、実は子供の頃に空を飛ぶ魔物に攫われた事が合って……それ以来、高い所はどうも苦手なのだ」
「高所恐怖症だったんですか!?」
「地面に足が付く場所なら高い所は平気なんだが……」
「なるほど、要するに空を飛ぶ乗り物だけは苦手なんですね」
意外なことにゴウライは高い場所が苦手だと判明し、空を飛ぶ魔物や乗り物に乗り込むと気分を害するらしい。子供の頃に彼女は飛行能力を持つ魔物に攫われてからトラウマとなったらしく、普段の彼女からは想像もできないほどに弱弱しい姿にシズネはにやける。
「ようやく弱点を見つけたわよ。まさか高い所が苦手なんて子供みたいね」
「ううっ……不甲斐ない」
「シズネ、いじめはよくない」
「そうだよ~私だって苦手なことはいっぱいあるもん。シズネちゃんも一つや二つは苦手なことはあるでしょ?」
「べ、別にいじめているわけではな……」
シズネはばつが悪そうな顔を浮かべてゴウライから離れ、苦しんでいる彼女にリーリスは薬を差し出す。
「これを飲めば少しは楽になりますよ」
「おお、助かる……うぐぅっ!?」
「えっ!?どうしたんですか!?」
「睡眠薬を飲ませただけです。ここで暴れられると面倒ですからね」
薬を飲んだ途端にゴウライは倒れ込み、そんな彼女をリーリスは引きずって連れて行く。研究所内には重要な機材がいくつもあるので彼女はゴウライに破壊されないように先手を打つ。いくら破壊剣聖といえども薬の類は無敵ではなかったらしく、豪快ないびきをかきながら運ばれていく。
「ふがぁあっ……」
「眠っててもうるさい人ですね。防音性が高い部屋に運ぶので皆さんは先に入って下さい」
「何も眠らせなくても良かったのに……」
「あんな魔物の群れを相手に暴れまわる人を研究所には極力入れたくないんですよ」
「……彼女できるわね。あのゴウライをこうもあっさりと眠らせるなんて只者ではないわ」
「そ、そうですね……」
ゴウライを運ぶリーリスにシズネは冷や汗を流し、乗り物に酔って弱っていたとはいえゴウライに一服盛って眠らせた彼女に感心する――
――ゴウライを運んだあと、改めてレナ達はこれからのことを話し合う。当面の目標は他国で活動している旧帝国の残党狩りであり、まずは神器を奪った組織を探し出す必要があった。
「話をまとめますと次の私達の目的地は巨人国です。この巨人国に例の神器を扱う組織がいるみたいです」
「神器は魔道具とは比べ物にならない高い性能を持つ道具ですからね」
「そういえばレナたんも神器を持ってなかった?」
「俺が持っているのは神器チェーンだけだよ。それと神器アックスは……」
「私が保管していますのでご安心ください」
「ブモォッ……」
神器チェーンはレナが暮らしていた屋敷の地中深くに封じ込められていた神器であり、かつて屋敷に隔離されていた王族が封印していた代物である。神器アックスは深淵の森で主として暮らしていたミノが所有していた神器である。
ちなみに神器アックスはミノを倒した後は誰も使いこなせなかったのでレナが保管していたが、現在はリーリスに預けている。この研究所内には神器に匹敵する武器や道具を数多く保管しているため、今後も神器を発見すればこちらで預けることにした。
「そういえばこの間レナたんが倒した人が持っていた神器はどうしたの?」
「ああ、それもリーリスに預けたよ」
「ここに預けて置けば私が責任を持って管理するのでご安心ください」
「確かにここならわざわざ盗みに来る人間なんて現れないわね……」
塔の大迷宮の第五階層は簡単に辿り着ける場所ではなく、生半可な実力では研究所に辿り着くこともできない。研究所にはビャクやリーリスもいるので神器が奪われる可能性は皆無に等しい。
「もしも皆さんの誰かに変装して忍び込もうとする輩が居ても私には通じません。成体スキャンを施せばどんな変装も無意味ですからね」
「言っている意味はよく分からないのだけど……要するにレナのような鑑定眼のような能力を持っていると思えばいいのかしら?」
「そんな感じです」
「ならこれからも神器や貴重そうな魔道具を手に入ればここに預けておくか」
「どうぞどうぞ、私としても勇者の残した代物を管理できるのなら大歓迎です」
今後も神器などの勇者が残した聖遺物を発見した場合はリーリスに管理を任せることが決まり、改めてレナはこれからの方針を話し合う。
「うおぇえええっ!?」
「ちょ、大丈夫ですか!?」
「う、ううっ……なんだあの乗り物は……おええっ!!」
「……貴方、乗り物に弱かったの?」
「でも前に船に乗った時は平気そうだったのに……」
ゴウライは乗り物に酔ったのか先ほど食べたものを吐き出してしまい、その様子を心配しながらもホネミンは不思議に思う。以前にゴウライは潜水船に乗った時はここまで酷く寄ってはいなかったはずだが、彼女は顔色を青くしながら語る。
「じ、実は子供の頃に空を飛ぶ魔物に攫われた事が合って……それ以来、高い所はどうも苦手なのだ」
「高所恐怖症だったんですか!?」
「地面に足が付く場所なら高い所は平気なんだが……」
「なるほど、要するに空を飛ぶ乗り物だけは苦手なんですね」
意外なことにゴウライは高い場所が苦手だと判明し、空を飛ぶ魔物や乗り物に乗り込むと気分を害するらしい。子供の頃に彼女は飛行能力を持つ魔物に攫われてからトラウマとなったらしく、普段の彼女からは想像もできないほどに弱弱しい姿にシズネはにやける。
「ようやく弱点を見つけたわよ。まさか高い所が苦手なんて子供みたいね」
「ううっ……不甲斐ない」
「シズネ、いじめはよくない」
「そうだよ~私だって苦手なことはいっぱいあるもん。シズネちゃんも一つや二つは苦手なことはあるでしょ?」
「べ、別にいじめているわけではな……」
シズネはばつが悪そうな顔を浮かべてゴウライから離れ、苦しんでいる彼女にリーリスは薬を差し出す。
「これを飲めば少しは楽になりますよ」
「おお、助かる……うぐぅっ!?」
「えっ!?どうしたんですか!?」
「睡眠薬を飲ませただけです。ここで暴れられると面倒ですからね」
薬を飲んだ途端にゴウライは倒れ込み、そんな彼女をリーリスは引きずって連れて行く。研究所内には重要な機材がいくつもあるので彼女はゴウライに破壊されないように先手を打つ。いくら破壊剣聖といえども薬の類は無敵ではなかったらしく、豪快ないびきをかきながら運ばれていく。
「ふがぁあっ……」
「眠っててもうるさい人ですね。防音性が高い部屋に運ぶので皆さんは先に入って下さい」
「何も眠らせなくても良かったのに……」
「あんな魔物の群れを相手に暴れまわる人を研究所には極力入れたくないんですよ」
「……彼女できるわね。あのゴウライをこうもあっさりと眠らせるなんて只者ではないわ」
「そ、そうですね……」
ゴウライを運ぶリーリスにシズネは冷や汗を流し、乗り物に酔って弱っていたとはいえゴウライに一服盛って眠らせた彼女に感心する――
――ゴウライを運んだあと、改めてレナ達はこれからのことを話し合う。当面の目標は他国で活動している旧帝国の残党狩りであり、まずは神器を奪った組織を探し出す必要があった。
「話をまとめますと次の私達の目的地は巨人国です。この巨人国に例の神器を扱う組織がいるみたいです」
「神器は魔道具とは比べ物にならない高い性能を持つ道具ですからね」
「そういえばレナたんも神器を持ってなかった?」
「俺が持っているのは神器チェーンだけだよ。それと神器アックスは……」
「私が保管していますのでご安心ください」
「ブモォッ……」
神器チェーンはレナが暮らしていた屋敷の地中深くに封じ込められていた神器であり、かつて屋敷に隔離されていた王族が封印していた代物である。神器アックスは深淵の森で主として暮らしていたミノが所有していた神器である。
ちなみに神器アックスはミノを倒した後は誰も使いこなせなかったのでレナが保管していたが、現在はリーリスに預けている。この研究所内には神器に匹敵する武器や道具を数多く保管しているため、今後も神器を発見すればこちらで預けることにした。
「そういえばこの間レナたんが倒した人が持っていた神器はどうしたの?」
「ああ、それもリーリスに預けたよ」
「ここに預けて置けば私が責任を持って管理するのでご安心ください」
「確かにここならわざわざ盗みに来る人間なんて現れないわね……」
塔の大迷宮の第五階層は簡単に辿り着ける場所ではなく、生半可な実力では研究所に辿り着くこともできない。研究所にはビャクやリーリスもいるので神器が奪われる可能性は皆無に等しい。
「もしも皆さんの誰かに変装して忍び込もうとする輩が居ても私には通じません。成体スキャンを施せばどんな変装も無意味ですからね」
「言っている意味はよく分からないのだけど……要するにレナのような鑑定眼のような能力を持っていると思えばいいのかしら?」
「そんな感じです」
「ならこれからも神器や貴重そうな魔道具を手に入ればここに預けておくか」
「どうぞどうぞ、私としても勇者の残した代物を管理できるのなら大歓迎です」
今後も神器などの勇者が残した聖遺物を発見した場合はリーリスに管理を任せることが決まり、改めてレナはこれからの方針を話し合う。
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