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蛇足編
共倒れ
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「まさかあいつ……」
「共倒れを狙ってるようね。あの三人同士で戦えば無事では済まないわ」
ホムラもハルナもリンダも実力者であり、この三人が争い合えば誰が勝ち残ろうと無事では済まない。それを狙ってヨシテルは挑発している節があった。シズネは卑怯ではあるが効率的な方法だと認める。
「手段は最悪だけど悪くない考えね。流石に本当にあの3人を相手に戦うつもりはないでしょうけど……」
「いや、どうかな。本気で自分なら勝てると思ってるんじゃないかな」
ヨシテルの実力は闘技祭で出場した人間の中でも上位に食い込み、もしも試合でレナが対戦していたら確実に勝てたという保証はない。それほどまでにヨシテルの剣技は素晴らしく、ゴンゾウの師であるギガンを打ち破った剣技は今でも忘れられない。
雷属性の聖痕を持つハルナでさえもヨシテルに辛勝するのがやっとであり、あれから時も経過しているのでヨシテルも腕を上げている可能性は高い。そうでもなければハルナとの再戦を望むはずがなく、もしかしたら対策法を編み出したのかもしれない。
「前からお前の事は気に入らなかったんだ!!ここでぶっ飛ばしてやる!!」
「ガキが……いや、お前は人間じゃなかったな。かかってこい人間もどきがっ!!」
「止めなさい二人とも!!今は争い合っている場合じゃないでしょう!?」
「「うるさい堅物!!」」
「か、堅物!?」
喧嘩を始めたハルナとホムラを止めようとリンダが動くが、そんな彼女に二人は常日頃から思っている言葉を言い放つ。流石のリンダも二人の発言に動揺するが、それでも彼女は止めようとした。
「わ、私達が争っても意味はありません。ここは公平にくじ引きで対戦の順番を決めるのが……」
「くじ引きだと?くだらん、私がこいつを消し炭にすればお前等の出番はない」
「俺が黒焦げにしたらこいつはもう戦えないだろ!!」
「本気で殺すつもりですか!?そんな事をすれば和国と戦争になりますよ!?」
「ふふふっ……私のために争い合う女性の姿は絵になりますね」
「あ、兄上……そんな呑気な事を言っている場合ではないと思います」
喧嘩を初めて一向に先に進まない三人の姿にヨシテルは恍惚の表情を浮かべ、彼の眼には自分のために3人が争い合う姿に見えている様子だった。そんな兄に弟のヨシアキは引いてしまうが、レナはそれを見て呆れてしまう。
「本当に三人が共倒れになるのを期待しているのかな……」
「そうとしか考えられないわ。はあっ……でも、こんな茶番に付き合うのも馬鹿らしいわね。レナ、あそこまで言われたんだから貴方も参加しなさい」
「え?」
「あの三人は私達が何とかするわ」
「私達?」
シズネは何か考えが思いついたのかティナとコトミンの元へ向かい、二人にひそひそと話しかけた。会話の内容は分からないがティナとコトミンは話を聞くとすぐに頷いた。
「うん、いいよ~」
「分かった。やってみる」
「頼んだわよ。レナ、後は貴方に任せるわ」
「え?ちょっと……何をするつもり?」
ティナとコトミンを連れてシズネは三人の元へ向かうと、それを見たレナは心配するが最初に動いたのはティナだった。彼女はリンダの元へ赴き、少し怒った風に語り掛ける。
「もうリンダ!!喧嘩は駄目だよ!!」
「ティナ様!?いえ、これは喧嘩では……」
リンダはティナに叱られると困った表情を浮かべ、彼女の立場的にはティナに逆らう事はできない。その間にコトミンはハルナの元へ近寄り、スラミンとヒトミンを両手に握りしめてハルナの身体を挟み込む。
「必殺、スライムハーレム」
「「ぷるるんっ」」
「ちょ、何だよ急に……あ、柔らかい。眠くなってきた」
スライムに顔を挟まれたハルナはその柔らかくてひんやりとした感覚に癒され、慣れた手つきでコトミンはハルナに膝枕を行う。ハルナは眠たそうな表情を浮かべて動かなくなり、その間にもシズネはホムラに近寄る。
「ホムラ、貴女は闘技祭で私に負けた事を忘れているのかしら?」
「何だと……」
「ヨシテルと決着を付ける前に私が相手をしてあげるわ。あの時のように無様に負けさせてあげるわ」
「……試合では相手を殺さないように加減する必要があった。だが、今度は手加減なんてしないぞ」
「それはこっちの台詞よ」
ホムラに対してシズネは挑発を行い、二人はその場を離れた。ここで戦うと被害が大きいため、人がいない場所で戦うつもりらしい。シズネは去り際にレナに振り返って頷き、彼女の気持ちを汲み取ってレナはヨシテルを睨みつける。
ヨシテルはハルナ達の争いを止めたティナ達を見てシズネの思惑に気が付き、シズネはレナがヨシテルと決着を付ける様に仕組んだのだ。もしもレナが戦おうとすれば他の三人が放置するはずがなく、それを理解してシズネはティナとコトミンと協力して三人の相手を行う。シズネ自身もホムラとの試合では思う所があったのか彼女との再戦を望んだ可能性もあるが、これでレナはヨシテルとの戦闘に集中できた。
「共倒れを狙ってるようね。あの三人同士で戦えば無事では済まないわ」
ホムラもハルナもリンダも実力者であり、この三人が争い合えば誰が勝ち残ろうと無事では済まない。それを狙ってヨシテルは挑発している節があった。シズネは卑怯ではあるが効率的な方法だと認める。
「手段は最悪だけど悪くない考えね。流石に本当にあの3人を相手に戦うつもりはないでしょうけど……」
「いや、どうかな。本気で自分なら勝てると思ってるんじゃないかな」
ヨシテルの実力は闘技祭で出場した人間の中でも上位に食い込み、もしも試合でレナが対戦していたら確実に勝てたという保証はない。それほどまでにヨシテルの剣技は素晴らしく、ゴンゾウの師であるギガンを打ち破った剣技は今でも忘れられない。
雷属性の聖痕を持つハルナでさえもヨシテルに辛勝するのがやっとであり、あれから時も経過しているのでヨシテルも腕を上げている可能性は高い。そうでもなければハルナとの再戦を望むはずがなく、もしかしたら対策法を編み出したのかもしれない。
「前からお前の事は気に入らなかったんだ!!ここでぶっ飛ばしてやる!!」
「ガキが……いや、お前は人間じゃなかったな。かかってこい人間もどきがっ!!」
「止めなさい二人とも!!今は争い合っている場合じゃないでしょう!?」
「「うるさい堅物!!」」
「か、堅物!?」
喧嘩を始めたハルナとホムラを止めようとリンダが動くが、そんな彼女に二人は常日頃から思っている言葉を言い放つ。流石のリンダも二人の発言に動揺するが、それでも彼女は止めようとした。
「わ、私達が争っても意味はありません。ここは公平にくじ引きで対戦の順番を決めるのが……」
「くじ引きだと?くだらん、私がこいつを消し炭にすればお前等の出番はない」
「俺が黒焦げにしたらこいつはもう戦えないだろ!!」
「本気で殺すつもりですか!?そんな事をすれば和国と戦争になりますよ!?」
「ふふふっ……私のために争い合う女性の姿は絵になりますね」
「あ、兄上……そんな呑気な事を言っている場合ではないと思います」
喧嘩を初めて一向に先に進まない三人の姿にヨシテルは恍惚の表情を浮かべ、彼の眼には自分のために3人が争い合う姿に見えている様子だった。そんな兄に弟のヨシアキは引いてしまうが、レナはそれを見て呆れてしまう。
「本当に三人が共倒れになるのを期待しているのかな……」
「そうとしか考えられないわ。はあっ……でも、こんな茶番に付き合うのも馬鹿らしいわね。レナ、あそこまで言われたんだから貴方も参加しなさい」
「え?」
「あの三人は私達が何とかするわ」
「私達?」
シズネは何か考えが思いついたのかティナとコトミンの元へ向かい、二人にひそひそと話しかけた。会話の内容は分からないがティナとコトミンは話を聞くとすぐに頷いた。
「うん、いいよ~」
「分かった。やってみる」
「頼んだわよ。レナ、後は貴方に任せるわ」
「え?ちょっと……何をするつもり?」
ティナとコトミンを連れてシズネは三人の元へ向かうと、それを見たレナは心配するが最初に動いたのはティナだった。彼女はリンダの元へ赴き、少し怒った風に語り掛ける。
「もうリンダ!!喧嘩は駄目だよ!!」
「ティナ様!?いえ、これは喧嘩では……」
リンダはティナに叱られると困った表情を浮かべ、彼女の立場的にはティナに逆らう事はできない。その間にコトミンはハルナの元へ近寄り、スラミンとヒトミンを両手に握りしめてハルナの身体を挟み込む。
「必殺、スライムハーレム」
「「ぷるるんっ」」
「ちょ、何だよ急に……あ、柔らかい。眠くなってきた」
スライムに顔を挟まれたハルナはその柔らかくてひんやりとした感覚に癒され、慣れた手つきでコトミンはハルナに膝枕を行う。ハルナは眠たそうな表情を浮かべて動かなくなり、その間にもシズネはホムラに近寄る。
「ホムラ、貴女は闘技祭で私に負けた事を忘れているのかしら?」
「何だと……」
「ヨシテルと決着を付ける前に私が相手をしてあげるわ。あの時のように無様に負けさせてあげるわ」
「……試合では相手を殺さないように加減する必要があった。だが、今度は手加減なんてしないぞ」
「それはこっちの台詞よ」
ホムラに対してシズネは挑発を行い、二人はその場を離れた。ここで戦うと被害が大きいため、人がいない場所で戦うつもりらしい。シズネは去り際にレナに振り返って頷き、彼女の気持ちを汲み取ってレナはヨシテルを睨みつける。
ヨシテルはハルナ達の争いを止めたティナ達を見てシズネの思惑に気が付き、シズネはレナがヨシテルと決着を付ける様に仕組んだのだ。もしもレナが戦おうとすれば他の三人が放置するはずがなく、それを理解してシズネはティナとコトミンと協力して三人の相手を行う。シズネ自身もホムラとの試合では思う所があったのか彼女との再戦を望んだ可能性もあるが、これでレナはヨシテルとの戦闘に集中できた。
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