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蛇足編

閑話 《レナの人気》

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――バルトロス王国で新たな騎士団が設立される事が正式に決定し、更に一般人からも団員募集が行われた事から人々の間で噂になった。既に騎士団の加入する人間が王都に集まっており、その中には高名な武芸者も数多く含まれていた。


「凄い事になっちまったな。あの坊主に仕えるためにここまで人が集まるとはな……」
『闘技祭の優勝者に護衛の騎士団など必要あるとは思えないがな』


シュンとハヤテは王都に存在する氷雨のギルドの屋根の上にて街道を行き交う人々の様子を伺う。氷雨は各地に支部が存在し、この王都でも最近に建物が建てられた。王妃が健在だった時代は王都に支部を作る事はできなかったが、現在はナオの願いもあって王都に新しい支部が作り出された。

王都の支部ギルドには騎士団の試験に参加するための人員が集まっており、その管理を任されているのはシュンとハヤテだった。試験の際は二人が試験官を勤め、希望者の実力を見計る。ちなみに最初はゴウライが試験官を望んだが、彼女の場合だと希望者全員と戦いかねないので却下された。


『ずるいぞ!!吾輩だって試験官をやりたい!!』
『お前の場合はただ暴れたいだけだろうが!?』
『そんなに試験官をやりたいならやらせてもいいぞ……但し、筆記試験の試験官だがな』
『ぐぬぬっ……吾輩は勉強は嫌いだ!!』


試験官を断られたゴウライは機嫌を損ねて何処かへ行ってしまい、試験官役はシュンとハヤテが任される。ちなみに二人以外にも数名の試験官が存在し、1000人の入団希望者の相手をするとなるとシュン達だけでは手が足りない。


「たくっ、ロウガの奴は何処かへ消えちまうしよ……面倒な仕事を引き受けちまったぜ」
『あの白髪頭は剣鬼を未だに警戒しているからな』


普段ならばマリアの命令は忠実に従うロウガだが、彼は試験官を勤める事は断固拒否した。理由は騎士団の結成理由がレナのためであり、彼を守るための騎士団が設立される事に反感を抱く。ロウガは未だにレナの事を警戒しており、剣鬼である彼はいずれ災いを引き起こすと思い込んでいた。

だが、レナはこれまでに自分から問題を起こした事はなく、厄介事に巻き込まれやすいが人殺しを嬉々と行う人間ではない。剣鬼としての力を完璧に制御しており、誰もが認める立派な剣士に育った。それなのにロウガは素直に認められず、現在は謹慎していた。


「おっさんが昔に剣鬼に酷い目にあわされた事は知ってるけどよ、それは別の剣鬼の話だろ。なんで坊主をあんなに恨むのかね」
『さあな……それは本人に聞いてみないと分からない』
「聞いたところで教えねえよ。あの頭でっかちは……それにしても俺に喧嘩を吹っ掛けてきた坊主が今ではこの国一番の人気者になるとはな」


シュンは昔に変装したレナに襲われた事を思い出し、諸事情でレナは剣聖であるシュンとの戦闘で新しい技能を習得する必要があった。シュンは利用される形になったが今となっては別に恨んではおらず、マリアの甥という事もあって気にかけていた。


(あのアイラ嬢ちゃんが子供を作るとはな……)


実はシュンはアイラとマリアが子供の頃からの付き合いであり、二人が若い頃は相手を良くしていた。アイラとは何度か本気で戦った事があり、二人ともシュンにとっては弟子のような存在だと考えていた。


「あの嬢ちゃん達も大きくなったな」
『……この変態が、何処を想像した!?胸か、それとも尻か!?』
「なんでそうなるんだよ!?」


シュンの言葉にハヤテは腰の刀に手を伸ばし、慌ててシュンも剣を構える。師弟関係ではあるがハヤテはシュンを一人の男性として意識しており、一方でシュンは恋愛事には全く興味ないので二人の関係が進展するのには時間がかかりそうだった――





※待機室

アイラ「あら、貴女何処かで会ったような……」←ビキニアーマーと仮面装着中
マリア「そういう貴女の声も何処かで聞き覚えがあるような……」←仮面とフードで姿を隠している

(´・ω・)Σ(゚Д゚)←鉢合わせる姉妹
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