1,906 / 2,083
蛇足編
閑話 《レナの人気》
しおりを挟む
――バルトロス王国で新たな騎士団が設立される事が正式に決定し、更に一般人からも団員募集が行われた事から人々の間で噂になった。既に騎士団の加入する人間が王都に集まっており、その中には高名な武芸者も数多く含まれていた。
「凄い事になっちまったな。あの坊主に仕えるためにここまで人が集まるとはな……」
『闘技祭の優勝者に護衛の騎士団など必要あるとは思えないがな』
シュンとハヤテは王都に存在する氷雨のギルドの屋根の上にて街道を行き交う人々の様子を伺う。氷雨は各地に支部が存在し、この王都でも最近に建物が建てられた。王妃が健在だった時代は王都に支部を作る事はできなかったが、現在はナオの願いもあって王都に新しい支部が作り出された。
王都の支部ギルドには騎士団の試験に参加するための人員が集まっており、その管理を任されているのはシュンとハヤテだった。試験の際は二人が試験官を勤め、希望者の実力を見計る。ちなみに最初はゴウライが試験官を望んだが、彼女の場合だと希望者全員と戦いかねないので却下された。
『ずるいぞ!!吾輩だって試験官をやりたい!!』
『お前の場合はただ暴れたいだけだろうが!?』
『そんなに試験官をやりたいならやらせてもいいぞ……但し、筆記試験の試験官だがな』
『ぐぬぬっ……吾輩は勉強は嫌いだ!!』
試験官を断られたゴウライは機嫌を損ねて何処かへ行ってしまい、試験官役はシュンとハヤテが任される。ちなみに二人以外にも数名の試験官が存在し、1000人の入団希望者の相手をするとなるとシュン達だけでは手が足りない。
「たくっ、ロウガの奴は何処かへ消えちまうしよ……面倒な仕事を引き受けちまったぜ」
『あの白髪頭は剣鬼を未だに警戒しているからな』
普段ならばマリアの命令は忠実に従うロウガだが、彼は試験官を勤める事は断固拒否した。理由は騎士団の結成理由がレナのためであり、彼を守るための騎士団が設立される事に反感を抱く。ロウガは未だにレナの事を警戒しており、剣鬼である彼はいずれ災いを引き起こすと思い込んでいた。
だが、レナはこれまでに自分から問題を起こした事はなく、厄介事に巻き込まれやすいが人殺しを嬉々と行う人間ではない。剣鬼としての力を完璧に制御しており、誰もが認める立派な剣士に育った。それなのにロウガは素直に認められず、現在は謹慎していた。
「おっさんが昔に剣鬼に酷い目にあわされた事は知ってるけどよ、それは別の剣鬼の話だろ。なんで坊主をあんなに恨むのかね」
『さあな……それは本人に聞いてみないと分からない』
「聞いたところで教えねえよ。あの頭でっかちは……それにしても俺に喧嘩を吹っ掛けてきた坊主が今ではこの国一番の人気者になるとはな」
シュンは昔に変装したレナに襲われた事を思い出し、諸事情でレナは剣聖であるシュンとの戦闘で新しい技能を習得する必要があった。シュンは利用される形になったが今となっては別に恨んではおらず、マリアの甥という事もあって気にかけていた。
(あのアイラ嬢ちゃんが子供を作るとはな……)
実はシュンはアイラとマリアが子供の頃からの付き合いであり、二人が若い頃は相手を良くしていた。アイラとは何度か本気で戦った事があり、二人ともシュンにとっては弟子のような存在だと考えていた。
「あの嬢ちゃん達も大きくなったな」
『……この変態が、何処を想像した!?胸か、それとも尻か!?』
「なんでそうなるんだよ!?」
シュンの言葉にハヤテは腰の刀に手を伸ばし、慌ててシュンも剣を構える。師弟関係ではあるがハヤテはシュンを一人の男性として意識しており、一方でシュンは恋愛事には全く興味ないので二人の関係が進展するのには時間がかかりそうだった――
※待機室
アイラ「あら、貴女何処かで会ったような……」←ビキニアーマーと仮面装着中
マリア「そういう貴女の声も何処かで聞き覚えがあるような……」←仮面とフードで姿を隠している
(´・ω・)Σ(゚Д゚)←鉢合わせる姉妹
「凄い事になっちまったな。あの坊主に仕えるためにここまで人が集まるとはな……」
『闘技祭の優勝者に護衛の騎士団など必要あるとは思えないがな』
シュンとハヤテは王都に存在する氷雨のギルドの屋根の上にて街道を行き交う人々の様子を伺う。氷雨は各地に支部が存在し、この王都でも最近に建物が建てられた。王妃が健在だった時代は王都に支部を作る事はできなかったが、現在はナオの願いもあって王都に新しい支部が作り出された。
王都の支部ギルドには騎士団の試験に参加するための人員が集まっており、その管理を任されているのはシュンとハヤテだった。試験の際は二人が試験官を勤め、希望者の実力を見計る。ちなみに最初はゴウライが試験官を望んだが、彼女の場合だと希望者全員と戦いかねないので却下された。
『ずるいぞ!!吾輩だって試験官をやりたい!!』
『お前の場合はただ暴れたいだけだろうが!?』
『そんなに試験官をやりたいならやらせてもいいぞ……但し、筆記試験の試験官だがな』
『ぐぬぬっ……吾輩は勉強は嫌いだ!!』
試験官を断られたゴウライは機嫌を損ねて何処かへ行ってしまい、試験官役はシュンとハヤテが任される。ちなみに二人以外にも数名の試験官が存在し、1000人の入団希望者の相手をするとなるとシュン達だけでは手が足りない。
「たくっ、ロウガの奴は何処かへ消えちまうしよ……面倒な仕事を引き受けちまったぜ」
『あの白髪頭は剣鬼を未だに警戒しているからな』
普段ならばマリアの命令は忠実に従うロウガだが、彼は試験官を勤める事は断固拒否した。理由は騎士団の結成理由がレナのためであり、彼を守るための騎士団が設立される事に反感を抱く。ロウガは未だにレナの事を警戒しており、剣鬼である彼はいずれ災いを引き起こすと思い込んでいた。
だが、レナはこれまでに自分から問題を起こした事はなく、厄介事に巻き込まれやすいが人殺しを嬉々と行う人間ではない。剣鬼としての力を完璧に制御しており、誰もが認める立派な剣士に育った。それなのにロウガは素直に認められず、現在は謹慎していた。
「おっさんが昔に剣鬼に酷い目にあわされた事は知ってるけどよ、それは別の剣鬼の話だろ。なんで坊主をあんなに恨むのかね」
『さあな……それは本人に聞いてみないと分からない』
「聞いたところで教えねえよ。あの頭でっかちは……それにしても俺に喧嘩を吹っ掛けてきた坊主が今ではこの国一番の人気者になるとはな」
シュンは昔に変装したレナに襲われた事を思い出し、諸事情でレナは剣聖であるシュンとの戦闘で新しい技能を習得する必要があった。シュンは利用される形になったが今となっては別に恨んではおらず、マリアの甥という事もあって気にかけていた。
(あのアイラ嬢ちゃんが子供を作るとはな……)
実はシュンはアイラとマリアが子供の頃からの付き合いであり、二人が若い頃は相手を良くしていた。アイラとは何度か本気で戦った事があり、二人ともシュンにとっては弟子のような存在だと考えていた。
「あの嬢ちゃん達も大きくなったな」
『……この変態が、何処を想像した!?胸か、それとも尻か!?』
「なんでそうなるんだよ!?」
シュンの言葉にハヤテは腰の刀に手を伸ばし、慌ててシュンも剣を構える。師弟関係ではあるがハヤテはシュンを一人の男性として意識しており、一方でシュンは恋愛事には全く興味ないので二人の関係が進展するのには時間がかかりそうだった――
※待機室
アイラ「あら、貴女何処かで会ったような……」←ビキニアーマーと仮面装着中
マリア「そういう貴女の声も何処かで聞き覚えがあるような……」←仮面とフードで姿を隠している
(´・ω・)Σ(゚Д゚)←鉢合わせる姉妹
1
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。