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蛇足編
レナVS土鯨
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「こいつが土鯨……確かに面倒そうな相手だ」
「あ、あんた何してるんだ!?早く逃げろ!!」
「逃げるな!!」
『っ!?』
レナは飛び降りようとする船員達に対して一喝すると、その声を聞いただけで船員達は身体が硬直してしまう。威圧の技能を使用してレナは敢えて船員に威圧感を与え、彼等の無謀な行動を止めた。
砂船から落ちれば砂海に飲み込まれて助からず、だからといって残っていたとしても土鯨に砂船が破壊されてしまう。それを食い止める事ができるのはレナだけであり、迫りくる土鯨に対して退魔刀を構える。
(物質変換で退魔刀をカラドボルグに変化させたとしてもこいつには相性が悪そうだな……)
聖剣の中でも破壊力を誇るのは聖剣カラドボルグであり、大抵の竜種ならばカラドボルグの雷撃で倒す事はできる。しかし、土鯨はどう見てもゴーレムと同系統であり、土属性の魔力を宿す外殻には雷属性の攻撃は無効化される恐れがあった。
悠長に考えている暇はなく、土鯨を止めるためにレナが選んだのは水属性の聖剣である「リヴァイアサン」を作り出す。使用するのは初めてだが自分の剣を信じてレナは砂船から飛び降りた。
「うおおおおっ!!」
『オアアアッ!!』
土鯨に目掛けてレナは落下すると、相手は大口を開いて砂船ごと飲み込もうとしてきた。それを見越してレナは両手でリヴァイアサンを握りしめ、氷塊の魔法を発動させて空中に氷の足場を作り出す。
「おらぁっ!!」
『オアッ……!?』
空中に浮かんだ氷塊を足場に利用してレナは跳躍すると、土鯨の上空から退魔刀を振りかざす。予想外のレナの行動に土鯨は目を見開くが、彼の振り下ろしたリヴァイアサンの刃は土鯨の頭に突き刺さる。
(魔力全開!!)
リヴァイアサンが突き刺さった瞬間、持てる魔力を送り込んで聖剣の力を発揮させた。本来は聖剣は聖痕の所有者でなければ完全な力を発揮する事はできないのだが、レナはありったけの魔力を送り込んで聖剣の力を解放させる。彼の魔力量はマリアにも匹敵し、魔法職の中で最も魔力容量が多い支援魔術師の特性を生かす。
リヴァイアサンが突き刺さった箇所から徐々に凍結化が進み、土鯨の身体の表面が凍り始めた。危機を察知した土鯨は逃げ出そうとするが、既に身体が凍っていて身動きもできず、やがて全身が氷像と化す。ここまでの時間はわずか10秒程度であり、土鯨が凍結化するとレナはリヴァイアサンを引き抜いて元の退魔刀へと戻す。
「はあっ……ちょっと疲れたかな」
以前のレナならば聖剣を使用する度に魔力切れを起こしていたが、今回は意識を失う程に魔力は消耗しておらず、額の汗を拭って凍り付いた土鯨の様子を伺う。場所が場所なので凍結化させても安心はできず、時間が経過すればいずれは溶けて元に戻ってしまう。
「止めを刺さないとな……」
土鯨が動けない隙にレナは止めを刺すため、退魔刀を上段に構えた。体格差はあるがレナは全力の一撃を繰り出して土鯨の破壊を試みた。
「一刀両断!!」
最強の剣技で氷像と化した土鯨にレナは退魔刀を振り下ろすと、凍り付いた土鯨の肉体に亀裂が走る。全体に亀裂が届くまで数秒ほど時間は掛かり、最終的に粉々に砕け散って地面に散らばった――
――難なく土鯨の討伐に成功すると、レナ達は岩山に居た巨人族と砂船に乗っていた船員から歓迎された。話を聞くところ、砂船が土鯨に追跡されていたのは砂船の整備が完璧ではなかった事が発覚した。
「結界石と腐敗石の取り換えを忘れてた!?」
「す、すいません!!今まで船が魔物に襲われた事なんて一度もなかったもんですから……魔石の取り換えを怠っていたんです」
「何という事を……」
砂船は砂漠を移動するためには必要不可欠な乗り物であり、安全管理のために砂船には結界石と腐敗石を取り付ける義務がある。しかし、砂漠を高速移動する砂船を襲う魔物など滅多に存在せず、そのために魔石の取り換えを行わずに運用していた事が発覚した。
「土鯨に襲われたのは結界石と腐敗石を取り付けるのを辞めていたから……ですか」
「本当に申し訳ない……で、でもあんな化物がいるなんて我々も初めて知ったんです」
「伝説として語り継がれる土鯨……この船の運転を任せられてから数十年は経ちますが、あれほどの化物は初めて見ました」
「そうなんですか……」
船員達によれば土鯨を見たのは彼等も初めてらしく、この砂漠にあれほどの巨大な生物が存在するなど夢にも思わなかった。だが、どんな理由があるにせよ魔物に襲われたのは船の整備を怠ったのが原因であり、もしもちゃんと整備を整えていれば今回のような面倒事は巻き込まれなかった可能性が高い。
「これからはちゃんと整備を整えてくださいね」
「はい!!必ず魔石の取り換えを行います!!」
「それとその……非常に申しにくいんですが、砂船の修理に三日ほど時間が掛かります。それまでの間は砂船は動かせません」
「え~!?」
土鯨に追われた際に砂船は大分無茶な扱いを受けたらしく、砂船を完全に修理するまでは時間が掛かる事が発覚した。
「あ、あんた何してるんだ!?早く逃げろ!!」
「逃げるな!!」
『っ!?』
レナは飛び降りようとする船員達に対して一喝すると、その声を聞いただけで船員達は身体が硬直してしまう。威圧の技能を使用してレナは敢えて船員に威圧感を与え、彼等の無謀な行動を止めた。
砂船から落ちれば砂海に飲み込まれて助からず、だからといって残っていたとしても土鯨に砂船が破壊されてしまう。それを食い止める事ができるのはレナだけであり、迫りくる土鯨に対して退魔刀を構える。
(物質変換で退魔刀をカラドボルグに変化させたとしてもこいつには相性が悪そうだな……)
聖剣の中でも破壊力を誇るのは聖剣カラドボルグであり、大抵の竜種ならばカラドボルグの雷撃で倒す事はできる。しかし、土鯨はどう見てもゴーレムと同系統であり、土属性の魔力を宿す外殻には雷属性の攻撃は無効化される恐れがあった。
悠長に考えている暇はなく、土鯨を止めるためにレナが選んだのは水属性の聖剣である「リヴァイアサン」を作り出す。使用するのは初めてだが自分の剣を信じてレナは砂船から飛び降りた。
「うおおおおっ!!」
『オアアアッ!!』
土鯨に目掛けてレナは落下すると、相手は大口を開いて砂船ごと飲み込もうとしてきた。それを見越してレナは両手でリヴァイアサンを握りしめ、氷塊の魔法を発動させて空中に氷の足場を作り出す。
「おらぁっ!!」
『オアッ……!?』
空中に浮かんだ氷塊を足場に利用してレナは跳躍すると、土鯨の上空から退魔刀を振りかざす。予想外のレナの行動に土鯨は目を見開くが、彼の振り下ろしたリヴァイアサンの刃は土鯨の頭に突き刺さる。
(魔力全開!!)
リヴァイアサンが突き刺さった瞬間、持てる魔力を送り込んで聖剣の力を発揮させた。本来は聖剣は聖痕の所有者でなければ完全な力を発揮する事はできないのだが、レナはありったけの魔力を送り込んで聖剣の力を解放させる。彼の魔力量はマリアにも匹敵し、魔法職の中で最も魔力容量が多い支援魔術師の特性を生かす。
リヴァイアサンが突き刺さった箇所から徐々に凍結化が進み、土鯨の身体の表面が凍り始めた。危機を察知した土鯨は逃げ出そうとするが、既に身体が凍っていて身動きもできず、やがて全身が氷像と化す。ここまでの時間はわずか10秒程度であり、土鯨が凍結化するとレナはリヴァイアサンを引き抜いて元の退魔刀へと戻す。
「はあっ……ちょっと疲れたかな」
以前のレナならば聖剣を使用する度に魔力切れを起こしていたが、今回は意識を失う程に魔力は消耗しておらず、額の汗を拭って凍り付いた土鯨の様子を伺う。場所が場所なので凍結化させても安心はできず、時間が経過すればいずれは溶けて元に戻ってしまう。
「止めを刺さないとな……」
土鯨が動けない隙にレナは止めを刺すため、退魔刀を上段に構えた。体格差はあるがレナは全力の一撃を繰り出して土鯨の破壊を試みた。
「一刀両断!!」
最強の剣技で氷像と化した土鯨にレナは退魔刀を振り下ろすと、凍り付いた土鯨の肉体に亀裂が走る。全体に亀裂が届くまで数秒ほど時間は掛かり、最終的に粉々に砕け散って地面に散らばった――
――難なく土鯨の討伐に成功すると、レナ達は岩山に居た巨人族と砂船に乗っていた船員から歓迎された。話を聞くところ、砂船が土鯨に追跡されていたのは砂船の整備が完璧ではなかった事が発覚した。
「結界石と腐敗石の取り換えを忘れてた!?」
「す、すいません!!今まで船が魔物に襲われた事なんて一度もなかったもんですから……魔石の取り換えを怠っていたんです」
「何という事を……」
砂船は砂漠を移動するためには必要不可欠な乗り物であり、安全管理のために砂船には結界石と腐敗石を取り付ける義務がある。しかし、砂漠を高速移動する砂船を襲う魔物など滅多に存在せず、そのために魔石の取り換えを行わずに運用していた事が発覚した。
「土鯨に襲われたのは結界石と腐敗石を取り付けるのを辞めていたから……ですか」
「本当に申し訳ない……で、でもあんな化物がいるなんて我々も初めて知ったんです」
「伝説として語り継がれる土鯨……この船の運転を任せられてから数十年は経ちますが、あれほどの化物は初めて見ました」
「そうなんですか……」
船員達によれば土鯨を見たのは彼等も初めてらしく、この砂漠にあれほどの巨大な生物が存在するなど夢にも思わなかった。だが、どんな理由があるにせよ魔物に襲われたのは船の整備を怠ったのが原因であり、もしもちゃんと整備を整えていれば今回のような面倒事は巻き込まれなかった可能性が高い。
「これからはちゃんと整備を整えてくださいね」
「はい!!必ず魔石の取り換えを行います!!」
「それとその……非常に申しにくいんですが、砂船の修理に三日ほど時間が掛かります。それまでの間は砂船は動かせません」
「え~!?」
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