不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

反鏡盾

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「二人とも大丈夫ですか?」
「え、ええ……助かった」
「……助かった」


ミレトはアマネとカノンの無事を確認すると、彼はロンギヌスを引き抜いてゴーレムの残骸から反鏡盾を取り出す。反鏡盾は円盤型で意外と軽く、これならば今のミレトにも扱える。


「これが反鏡盾……綺麗な盾ですね」
「ま、まさかそれが王妃の遺産!?」
「そんなはずがないだろう……それは次の手掛かりだ」
「手掛かり?」


アマネはミレトから反鏡盾を受け取ると、彼女は裏面を見せつける。反鏡盾の裏面には地図が刻まれており、それは大昔の地図だった。


「これは帝国時代に書き込まれた地図だ。この地図が記した場所に遺産に繋がる手掛かりがあるはずだ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!いったいどういう意味よ!?あんたは遺産の在り処を知っているんじゃないの!?」
「私が知っているのはここに遺産が記された地図があるという話だけだ。王妃様の遺産を手に入れるにはこの地図に記された場所を巡らないと遺産の在り処は分からない」
「なるほど……」


反鏡盾の裏面には複数の箇所に印が残された地図が刻まれており、それらを巡るには大分時間はかかりそうだった。だが、ミレトはロンギヌスを握りしめると二人に告げる。


「じゃあ、探しに行きましょう」
「あ、あんた本気で言ってるの!?これだけの印を探すのにどれだけ手間と苦労が掛かると思ってるのよ!?」
「……嫌ならお前はどっかに行け」
「行けるわけないでしょうが!!私は脱走犯よ!?」


カノンは現在は指名手配されている立場であり、他人のの協力がなければ生きられない立場だった。彼女は他に頼れる人間などおらず、ミレトとアマネに従うしかない。


「カノンさん、落ち着いて下さい。確かに探すのに時間は掛かるかもしれませんけど僕達は行きます」
「そうだ。お前が居なくても私達は行くぞ……犯罪者として一人で惨めに生きたくなければお前は私達に従うしかない」
「こ、このチビガキ……分かったわよ!!もうあんた達の好きにしなさい!!」


カノンはミレト達に従う以外の選択肢はなく、彼女は性格はともかく実力だけは確かなのでミレト達にとっても貴重な戦力だった。ミレトは反鏡盾という新たな防具を手に入れ、次の目的地へと向かう――





――同時刻、獣人国にてレナは鏡刀を夜空に向けて伸ばしていた。特に理由はあるわけではないのだが、鏡刀の映し出す月の光を見てレナは感慨深い表情を浮かべる。


「…………」
「レナさん?どうかしたのですか」
「いや、何でもないよ」


後ろから声を掛けられたレナは振り返ると、そこには寝間着姿のリンダの姿があった。レナは明日には砂漠に向かうため、ゆっくりと休められるのは今だけである。


「夜風は冷えます。風邪を引く前に早く休まれた方がよろしいかと……」
「ありがとう。リンダは優しいな……」
「な、何を言われるのですか……」


レナの言葉にリンダは頬を赤く染め、そんな彼女に笑顔を浮かべながらレナは鏡刀を鞘に戻す。彼女と共に部屋に戻ろうとすると、レナは不意に月に視線を向けた。

この世界の月は地球の月よりも大きくて美しく、最初に見た時はレナはここが自分が暮らしていた世界とは本当に別の世界だと思い知る。そのせいか月を見る度に昔の記憶を思い出す。


(父さんと母さんは元気にしているかな……ルノ君やレア君も達者に暮らしているといいんだけど)


地球ではレナは変わった名前の従弟が二人存在し、どちらも仲は良かった。しかし、何故かこの世界では二人と同じ名前の英雄が歴史上に存在する。


(まさかあの二人もこの世界に……いや、そんなわけはないか)


ルノやレアがこの世界に訪れ、歴史に名前を刻む程の大英雄となったのではないかと考える時もあるが、レナはそれは有り得ないと否定する。風邪を引く前にレナは早々に立ち去る事にした――





※おまけ


壁|ω^)ジー ← 二人とも仲良いいなと呑気に考えるティナ
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