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蛇足編

報われた想い

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「手応えなかったわね……いえ、当然の結果ね。私と貴方が力を合わせれば地竜なんて敵じゃないわ」
「そうだね、というかちょっとやりすぎたかな」


原型を留めていない程に粉々に砕かれた地竜の残骸の中から、レナは目当ての核を取り出して異空間に放り込む。これで仕事は終えたので後は帰るだけだが、シズネは残骸の上に座り込んでレナと向き合う。


「……レナ、貴方に伝えたい事があるわ」
「どうしたの?」
「私は……その、えっと……」


もじもじとシズネは指先を擦り合わせながら頬を赤らめ、そんな彼女の反応にレナは不思議そうな表情を浮かべる。だが、シズネは覚悟を決めたように残骸から飛び降りて雪月花と白百合を構えた。


「ああ、もう!!やっぱりこうした方が早いわ!!勝負よ、レナ!!」
「ええっ!?」
「私が勝ったら貴方は私の物、私が負けたら貴方は私を好きにしていいわ!!」
「どういう事!?」


シズネの言葉にレナは驚いたが、彼女は本気で戦うつもりなのか吸血鬼化して能力を底上げする。身体を成長させたシズネは雪月花と白百合を抜いてレナに襲い掛かる。


「行くわよ、レナ!!」
「うわぁっ!?」


襲い掛かってきたシズネに対してレナは退魔刀と鏡刀を構え、二人は激しい攻防を繰り広げた――





――それから数時間後、夜が明けてもレナとシズネは疲労困憊の状態で立っていた。休む間もなく二人は刃を躱し続け、遂には決着がつきそうだった。


「刺突!!」
「兜砕き!!」


自分が最も得意とする戦技を同時に発動させ、シズネの雪月花とレナの退魔刀の刃が交わる。強烈な衝撃と金属音が鳴り響き、二人の武器は弾かれてしまう。

お互いに武器を失ったが、シズネとレナは同時に駆け出す。武器がなかろうと構わずに二人はお互いの身体に手を伸ばし、最初に仕掛けたのはシズネだった。


「はああっ!!」
「くぅっ!?」


レナを背負い投げをしようとしたシズネだったが、右腕を掴まれた際にレナは反射的に左腕をシズネの胸元に伸ばし、吸血鬼化で大きくなった胸を鷲掴む。


「させるかっ!!」
「ひゃあああんっ!?」


胸が大きくなった事が仇となってシズネは胸を力強く揉まれ、可愛らしい悲鳴を上げて投げ飛ばすのを止めてしまう。捕まれた右腕を振りほどくとレナはシズネを押し倒し、後ろから彼女に抱きつく形で胸を揉む。


「やあっ……ひ、卑怯者ぉっ……あんっ」
「ふうっ……大人状態じゃなかったら負けてたよ」
「馬鹿ぁっ……」


吸血鬼化した事でシズネは肉体を成長させ、大人になっていなければレナの左手は空振りして投げ飛ばされていた。だが、レナは大人になったシズネを抑え込み、彼女を抱きしめながら尋ねる。


「勝負は俺の勝ちでいいね」
「……好きにしなさい」


シズネは観念したように頷き、レナはシズネを抱きしめたまま離さない。シズネは少し不満そうではあるが、彼女はレナに力強く抱きしめられて少し嬉しそうでもあった。


「いきなり襲ってくるからびっくりしたけど、さっきの勝った条件……本気だったの?」
「……ええ、そうよ」
「そっか……」
「勝負は貴方の勝ち……好きにしなさい」


お互いに抱きしめ合う形でレナとシズネは横になり、シズネは緊張した様子でレナの顔を見れない。勢いでレナに勝負を仕掛けたが、もしもこのままレナが何もせずに帰ったら彼女は立ち直れない。

だが、シズネの想いに応える様にレナは彼女を強く抱きしめ、そして彼女の顔に唇を近づける。それを見たシズネは目を見開くが、彼の行動に涙を流して唇を交わす。


「……好きだよ、シズネ」
「あっ……私も、貴方を愛してるわ」


口づけを終えるとレナとシズネは抱き合い、こうして長きにわたるシズネの想いは報われた――





※ちなみにウルはこっそり覗き見してます。

|д゚)ジー
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