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蛇足編
閑話 《もしもの話》
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――レナは夢の世界でアイリスに呼び出され、彼女と雑談を行う機会が増えていた。交信を行えばいつでも彼女と会話はできるが、実際に会って話す方がアイリスは喜んでいる様に見えた。
「レナさんの魂の波長も完全に掴めました。これなら週に一度は呼び出せますね」
「そんな頻繁に呼び出さんでもいいよ」
「何を言ってるんですか、こっちは週に一度しか遊べないんですから付き合ってください!!」
「はいはい、分かったよ」
アイリスに膝枕されながらレナは雑談し、主に彼女と話す内容はこれまでの思い出話が多い。レナはこの数年の間に目まぐるしい程に事件に巻き込まれ、いつの間にか立場も一変した。
「森で暮らしていた時が懐かしいですね。あの時は平穏な生活を望むと言っていたのに、自分から面倒事に巻き込まれに行くんですからこっちはひやひやしましたよ」
「言われてみれば全然平穏に暮らしていない気がする」
「まあ、そのお陰で世界を2、3回は救えたんですけどね」
「そんな大げさな……ああ、でも王妃とか七魔将とか炎龍を放置していたら大変な事になっていたな」
レナが平穏に生きていた場合、バルトロス王国は王妃によって支配されていた可能性が非常に高い。彼女に対抗できるのはマリアだけだが、レナがいなければマリアは冒険都市を守るだけで精いっぱいだっただろう。
七魔将に関してはメドゥーサを倒して復活させたのはレナではあるが、逆に言えば七魔将という脅威をこの時代で倒しておかなければ未来が危うい。将来的にメドゥーサが倒された場合、七魔将が復活すればどうなっていたかは分からない。少なくともラストは炎龍を復活させる事に変わりはなく、そして炎龍は時が経てば経つほどに強大な存在と化す。
他にもヨツバ王国のカレハや旧帝国の残党などといった脅威も存在し、もしもレナが何もせずに暮らしていたら世界は今頃は大変な事になっていた。だが、レナはアイリスに率直に尋ねる。
「ねえ、もしかしてだけど世界の問題を解決したのはアイリスの仕業じゃないの?実は俺を上手く誘導して問題を解決しようとしてたのは……」
「おやおや、何でもかんでも私のせいにされては困りますよ。私が行ったのはレナさんを助けるためですから」
「……まあ、それを言われたら言い返せないな」
レナはこれまでの解決してきた問題は実はアイリスが裏で自分が解決するように仕組んでいたのではないかと思ったが、よくよく考えればどんな選択をするときも彼女はレナに最善の方法を教えてくれた。それにどんな理由があるにせよ、今のレナが居るのはアイリスのお陰である。
「これからも頼りにするよ、相棒」
「ええ、死ぬまで頼りにしてください。何だったら死んだ後でも頼りにしてください」
「どういうこっちゃい」
「そこは私のヒロインルートを読み直して確認してください」
「何の話だ」
アイリスの発言に呆れながらもレナは彼女がいなければ自分がどんな人生を辿っていたのか興味はあった。だが、恐らくは早い段階でレナは殺されていた可能性が高い。王妃にとってはレナは王国を支配するのに最も邪魔な存在であり、アリアを利用して彼を殺していただろう――
――夢から目覚めるとレナはアリアが亡くなった教会に赴く。現在の教会は彼女の墓が建てられており、墓の前でレナは祈りを捧げる。
「アリア……久しぶり」
アリアの事はレナは一生忘れられず、彼にとってはアリアはただの使用人などではなく、姉の様に慕っていた。もしかしたらレナの初恋の相手であったかもしれない。
彼女は屋敷の花壇の世話を任せられており、レナもよく彼女の手伝いで花を育てていた。花束を持って来たレナは墓の前に置くと、彼女に感謝の言葉を告げた。
「本当にありがとう……アリアのお陰で今日まで生き残れたよ」
屋敷にてアリアから訓練を受けていたお陰でレナは強くなれた。アイリスの指導だけではなく、アリアが鍛えてくれたからこそ過酷な森の中でレナは生き残る事ができた。その事に感謝を告げると、レナは二人目の恩人の元へ向かう――
――次にレナが赴いた場所は深淵の森だった。彼は自分が暮らしていた滝の裏の洞窟から少し離れた場所に建てた墓に赴く。そこにはかつてレナを救ってくれたゴブリンの墓があり、今回はウルと共に赴く。
「お前のお陰であの時に俺達は生き残る事ができたよ。本当にありがとう……」
「ウォンッ……」
墓の前でレナとウルは目を閉じて祈りを捧げ、本来ならばゴブリンは人間に懐く生き物ではない。しかし、レナを救ったゴブリンは群れからはぐれてひとりぼっちであり、だからこそ森の中で自分と同じ様に生きていたレナとウルに仲間意識を抱いたのかもしれない。
レナとウルは森の中ではただ一人の人間と白狼種であり、そんな彼等に命を救われたからこそゴブリンは心を許した。もしもレナが他の人間と共にゴブリンを救っていたら姿を現さなかったかもしれない。
「一人は……寂しいよな」
「ウォンッ」
去り際にレナはウルに抱きつき、たくさんの花を墓の傍に植えて立ち去った。
「レナさんの魂の波長も完全に掴めました。これなら週に一度は呼び出せますね」
「そんな頻繁に呼び出さんでもいいよ」
「何を言ってるんですか、こっちは週に一度しか遊べないんですから付き合ってください!!」
「はいはい、分かったよ」
アイリスに膝枕されながらレナは雑談し、主に彼女と話す内容はこれまでの思い出話が多い。レナはこの数年の間に目まぐるしい程に事件に巻き込まれ、いつの間にか立場も一変した。
「森で暮らしていた時が懐かしいですね。あの時は平穏な生活を望むと言っていたのに、自分から面倒事に巻き込まれに行くんですからこっちはひやひやしましたよ」
「言われてみれば全然平穏に暮らしていない気がする」
「まあ、そのお陰で世界を2、3回は救えたんですけどね」
「そんな大げさな……ああ、でも王妃とか七魔将とか炎龍を放置していたら大変な事になっていたな」
レナが平穏に生きていた場合、バルトロス王国は王妃によって支配されていた可能性が非常に高い。彼女に対抗できるのはマリアだけだが、レナがいなければマリアは冒険都市を守るだけで精いっぱいだっただろう。
七魔将に関してはメドゥーサを倒して復活させたのはレナではあるが、逆に言えば七魔将という脅威をこの時代で倒しておかなければ未来が危うい。将来的にメドゥーサが倒された場合、七魔将が復活すればどうなっていたかは分からない。少なくともラストは炎龍を復活させる事に変わりはなく、そして炎龍は時が経てば経つほどに強大な存在と化す。
他にもヨツバ王国のカレハや旧帝国の残党などといった脅威も存在し、もしもレナが何もせずに暮らしていたら世界は今頃は大変な事になっていた。だが、レナはアイリスに率直に尋ねる。
「ねえ、もしかしてだけど世界の問題を解決したのはアイリスの仕業じゃないの?実は俺を上手く誘導して問題を解決しようとしてたのは……」
「おやおや、何でもかんでも私のせいにされては困りますよ。私が行ったのはレナさんを助けるためですから」
「……まあ、それを言われたら言い返せないな」
レナはこれまでの解決してきた問題は実はアイリスが裏で自分が解決するように仕組んでいたのではないかと思ったが、よくよく考えればどんな選択をするときも彼女はレナに最善の方法を教えてくれた。それにどんな理由があるにせよ、今のレナが居るのはアイリスのお陰である。
「これからも頼りにするよ、相棒」
「ええ、死ぬまで頼りにしてください。何だったら死んだ後でも頼りにしてください」
「どういうこっちゃい」
「そこは私のヒロインルートを読み直して確認してください」
「何の話だ」
アイリスの発言に呆れながらもレナは彼女がいなければ自分がどんな人生を辿っていたのか興味はあった。だが、恐らくは早い段階でレナは殺されていた可能性が高い。王妃にとってはレナは王国を支配するのに最も邪魔な存在であり、アリアを利用して彼を殺していただろう――
――夢から目覚めるとレナはアリアが亡くなった教会に赴く。現在の教会は彼女の墓が建てられており、墓の前でレナは祈りを捧げる。
「アリア……久しぶり」
アリアの事はレナは一生忘れられず、彼にとってはアリアはただの使用人などではなく、姉の様に慕っていた。もしかしたらレナの初恋の相手であったかもしれない。
彼女は屋敷の花壇の世話を任せられており、レナもよく彼女の手伝いで花を育てていた。花束を持って来たレナは墓の前に置くと、彼女に感謝の言葉を告げた。
「本当にありがとう……アリアのお陰で今日まで生き残れたよ」
屋敷にてアリアから訓練を受けていたお陰でレナは強くなれた。アイリスの指導だけではなく、アリアが鍛えてくれたからこそ過酷な森の中でレナは生き残る事ができた。その事に感謝を告げると、レナは二人目の恩人の元へ向かう――
――次にレナが赴いた場所は深淵の森だった。彼は自分が暮らしていた滝の裏の洞窟から少し離れた場所に建てた墓に赴く。そこにはかつてレナを救ってくれたゴブリンの墓があり、今回はウルと共に赴く。
「お前のお陰であの時に俺達は生き残る事ができたよ。本当にありがとう……」
「ウォンッ……」
墓の前でレナとウルは目を閉じて祈りを捧げ、本来ならばゴブリンは人間に懐く生き物ではない。しかし、レナを救ったゴブリンは群れからはぐれてひとりぼっちであり、だからこそ森の中で自分と同じ様に生きていたレナとウルに仲間意識を抱いたのかもしれない。
レナとウルは森の中ではただ一人の人間と白狼種であり、そんな彼等に命を救われたからこそゴブリンは心を許した。もしもレナが他の人間と共にゴブリンを救っていたら姿を現さなかったかもしれない。
「一人は……寂しいよな」
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去り際にレナはウルに抱きつき、たくさんの花を墓の傍に植えて立ち去った。
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