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蛇足編
王妃の側近
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「あいつら、全員が妙な能力を持っていただろ?」
「言われてみれば確かに……」
「それにレナから聞いたんだけどあいつの妹達も変な力を持ってたって言ってたんだよ。そう考えると王妃の周りにいた奴等って、明らかに普通の人間じゃないように思えないか?」
「僕はその人たちと会った事がないので何とも言えませんけど、そうなんですか?」
ゴンゾウはダインの言葉を聞いて考え込み、王妃の側近だった子供達は一人一人が変わった能力を身に着けていた。王妃が集めた子供達は最初から持ち合わせていた才能(技能)を生かして育てただけなのか、あるいは何らかの方法で彼等に能力を芽生えさせたのではないかとダインは考える。
実際にレナの場合は幼少期からアイリスの指導を受けて身体を鍛えた結果、短期間で数十の技能を習得する事ができた。これは普通の人間ならば有り得ず、あのゴウライやマリアでさえもそこまでの数の技能は身に着けていない。もしかしたら王妃の側近の子供達も小さい頃から特殊な訓練を受けて様々な能力を芽生えさせたという可能性もあるが、それにしても腑に落ちない点があった。
「王妃の傍にいた奴等は元々はただの貴族の子供だったんだよな。それなのにあんな力を身に着けているなんて少しおかしいと思わないか?」
「おかしい?」
「だってさ、あいつらの能力って殆どが身体を鍛えてどうにか覚えられるような能力じゃないだろ。未来予知とか、付与魔法とか……あんな能力が偶然にも芽生えるなんてあり得るのか?」
「……確かに」
「御二人の話はよく分かりませんが、その子供達は今はどうしてるんですか?」
ミイネは王妃の側近を勤めていた子供達が現在は何をしているのかを問うと、ダインの記憶が正しければ子供達は現在は親元に戻っているはずである。王妃が死んだと知らされた途端に彼等は大人しくなり、現在は親の元で生活していると聞いている。
「確か、実の親の所に戻ったと聞いてるけど……そういえばあいつらは罰とか受けてないな」
「まだ子供だから許されたんじゃないのか?」
「いくら子供と言っても話を聞く限りでは国家反逆に加担してるんですよね?それなのに何の罰も与えないなんて普通はあり得ませんよ」
王妃の側近として子供達は様々な悪事を働いており、その行動は全て王妃が国を乗っ取るためである。いくら子供とはいえ、本来であれば厳罰を受けるのが当たり前である。しかし、当時の状況を考えれば彼等に罰を下す事は不可能だった。
――国王と王妃が亡くなった後、ナオが新しい女王となった。しかし、彼女が女王となったばかりの頃はヨツバ王国との諍いがあり、危うく両国は戦争に発展しそうになった。どうにかレナ達の活躍のお陰で戦争は回避されたとはいえ、女王となったばかりのナオはまだ王国の臣下から信頼を得ておらず、特に元王妃派の派閥との対立もあった。
王妃が側近として傍に置いていた子供達は有力貴族の跡取りばかりであり、もしも彼等を処刑すれば当然ながら有力貴族を敵に回してしまう。だからこそナオは彼等は処刑せずに親元に返す事で有力貴族に借りを作り、現在ではナオはマリアを後ろ盾に王国の臣下を従えている。
マリアは王妃が健在だったころも対等に渡り合った相手であり、しかも現在の彼女はハヅキ家の当主となったため、ヨツバ王国でも王族に次ぐ立場となった。ヨツバ王国の貴族代表といっても過言ではない彼女がナオの味方となったお陰で元王妃派の人間達も逆らえず、現在ではナオに忠誠を誓っている。
例の子供達に関してはナオは未だに罰を与えておらず、そもそも彼等を罰するには時間が経ちすぎていた。彼等の犯した罪は重いが、まだ子供で冷静な判断ができなかった事を考慮し、今の所は情状酌量の余地があるという事で尚は今後も彼等に罰を与えるつもりはない。
「まあ、今更あいつらが何かできるとは思えないけどさ。気になるのはあいつらの能力だよな……どうやったらあんな能力を身につけられたんだ?」
「ダインさんだって変わった魔法を使うじゃないですか」
「僕の場合は特別な血筋だから使えるんだよ。でも、あいつらは僕と違ってただの貴族だぞ?バルトロス王国でシャドウ家以外に特別な血筋の貴族なんて言ったらルトリア家だけなのに……」
「レミア大将軍の家か」
レミアはルトリア家と呼ばれる貴族の生まれで有り、シャドウ家と同様に特別な血筋の人間である。彼女やダインのように特別な血筋の人間ならば特殊な能力を身につけられてもおかしくはないが、王妃の側近の子供達の場合はただの貴族の子供というだけで特別な血筋というわけではない。
「どうしてあいつらだけあんな変わった能力を持ってたんだろうな……実は特別な魔道具を持っていたりしたのかもな」
「そんなに気になるのなら王国に戻りますか?」
「いや、気軽に言うなよ……折角ここまで来たのに王国まで引き返すなんて面倒くさいし」
「僕としてもその子供達の事が気になるんですよ。どんな人たちなのか会ってみたいですね」
「駄目駄目、王国に戻るのは用件を終わらせてからだよ」
「……そうだな」
王妃の子供は気にかかるが、獣人国から王国まで引き返すには時間が掛かるのでダインは戻る事を却下した。
「言われてみれば確かに……」
「それにレナから聞いたんだけどあいつの妹達も変な力を持ってたって言ってたんだよ。そう考えると王妃の周りにいた奴等って、明らかに普通の人間じゃないように思えないか?」
「僕はその人たちと会った事がないので何とも言えませんけど、そうなんですか?」
ゴンゾウはダインの言葉を聞いて考え込み、王妃の側近だった子供達は一人一人が変わった能力を身に着けていた。王妃が集めた子供達は最初から持ち合わせていた才能(技能)を生かして育てただけなのか、あるいは何らかの方法で彼等に能力を芽生えさせたのではないかとダインは考える。
実際にレナの場合は幼少期からアイリスの指導を受けて身体を鍛えた結果、短期間で数十の技能を習得する事ができた。これは普通の人間ならば有り得ず、あのゴウライやマリアでさえもそこまでの数の技能は身に着けていない。もしかしたら王妃の側近の子供達も小さい頃から特殊な訓練を受けて様々な能力を芽生えさせたという可能性もあるが、それにしても腑に落ちない点があった。
「王妃の傍にいた奴等は元々はただの貴族の子供だったんだよな。それなのにあんな力を身に着けているなんて少しおかしいと思わないか?」
「おかしい?」
「だってさ、あいつらの能力って殆どが身体を鍛えてどうにか覚えられるような能力じゃないだろ。未来予知とか、付与魔法とか……あんな能力が偶然にも芽生えるなんてあり得るのか?」
「……確かに」
「御二人の話はよく分かりませんが、その子供達は今はどうしてるんですか?」
ミイネは王妃の側近を勤めていた子供達が現在は何をしているのかを問うと、ダインの記憶が正しければ子供達は現在は親元に戻っているはずである。王妃が死んだと知らされた途端に彼等は大人しくなり、現在は親の元で生活していると聞いている。
「確か、実の親の所に戻ったと聞いてるけど……そういえばあいつらは罰とか受けてないな」
「まだ子供だから許されたんじゃないのか?」
「いくら子供と言っても話を聞く限りでは国家反逆に加担してるんですよね?それなのに何の罰も与えないなんて普通はあり得ませんよ」
王妃の側近として子供達は様々な悪事を働いており、その行動は全て王妃が国を乗っ取るためである。いくら子供とはいえ、本来であれば厳罰を受けるのが当たり前である。しかし、当時の状況を考えれば彼等に罰を下す事は不可能だった。
――国王と王妃が亡くなった後、ナオが新しい女王となった。しかし、彼女が女王となったばかりの頃はヨツバ王国との諍いがあり、危うく両国は戦争に発展しそうになった。どうにかレナ達の活躍のお陰で戦争は回避されたとはいえ、女王となったばかりのナオはまだ王国の臣下から信頼を得ておらず、特に元王妃派の派閥との対立もあった。
王妃が側近として傍に置いていた子供達は有力貴族の跡取りばかりであり、もしも彼等を処刑すれば当然ながら有力貴族を敵に回してしまう。だからこそナオは彼等は処刑せずに親元に返す事で有力貴族に借りを作り、現在ではナオはマリアを後ろ盾に王国の臣下を従えている。
マリアは王妃が健在だったころも対等に渡り合った相手であり、しかも現在の彼女はハヅキ家の当主となったため、ヨツバ王国でも王族に次ぐ立場となった。ヨツバ王国の貴族代表といっても過言ではない彼女がナオの味方となったお陰で元王妃派の人間達も逆らえず、現在ではナオに忠誠を誓っている。
例の子供達に関してはナオは未だに罰を与えておらず、そもそも彼等を罰するには時間が経ちすぎていた。彼等の犯した罪は重いが、まだ子供で冷静な判断ができなかった事を考慮し、今の所は情状酌量の余地があるという事で尚は今後も彼等に罰を与えるつもりはない。
「まあ、今更あいつらが何かできるとは思えないけどさ。気になるのはあいつらの能力だよな……どうやったらあんな能力を身につけられたんだ?」
「ダインさんだって変わった魔法を使うじゃないですか」
「僕の場合は特別な血筋だから使えるんだよ。でも、あいつらは僕と違ってただの貴族だぞ?バルトロス王国でシャドウ家以外に特別な血筋の貴族なんて言ったらルトリア家だけなのに……」
「レミア大将軍の家か」
レミアはルトリア家と呼ばれる貴族の生まれで有り、シャドウ家と同様に特別な血筋の人間である。彼女やダインのように特別な血筋の人間ならば特殊な能力を身につけられてもおかしくはないが、王妃の側近の子供達の場合はただの貴族の子供というだけで特別な血筋というわけではない。
「どうしてあいつらだけあんな変わった能力を持ってたんだろうな……実は特別な魔道具を持っていたりしたのかもな」
「そんなに気になるのなら王国に戻りますか?」
「いや、気軽に言うなよ……折角ここまで来たのに王国まで引き返すなんて面倒くさいし」
「僕としてもその子供達の事が気になるんですよ。どんな人たちなのか会ってみたいですね」
「駄目駄目、王国に戻るのは用件を終わらせてからだよ」
「……そうだな」
王妃の子供は気にかかるが、獣人国から王国まで引き返すには時間が掛かるのでダインは戻る事を却下した。
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