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蛇足編

誘拐未遂

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(そういう事情があったのか……でも、それなら指輪を返せば問題解決だな)


レナはミズネが指輪の持ち主だと確信し、彼女に指輪を返せばいいと思った。しかし、ここで渡すと目立つのでミズネが一人になった時を狙って返す事を決めた。とりあえずは酒場の営業時間を迎えるまでレナは一旦離れ、ホネミンに報告を行いに向かう――





――ミズネが指輪の持ち主だと判明し、彼女に指輪を返せば問題解決する事をホネミンに伝えると、彼女も特に反対する事はなかった。ミズネの指輪を偶然にも拾った事にして彼女に渡せば問題はない。


「いいですか、怪しまれないようにレナさんは彼女の前を素通りする時に指輪を落としてください。そうすればミズネさんが指輪に気付いて拾うはずです。自分の指輪だと気が付けば必ずレナさんを引き留めて持っている理由を聞いてくるはずですから、その時は冒険都市で拾ったと説明して下さい」
「普通に指輪を渡すのじゃ駄目なの?」
「そんな事をしたらプロポーズと誤解されるでしょう。もしもミズネさんがレナさんを好きになったらどうするんですか」
「そんな事はないと思うけどな……」
「いやいや、分かりませんよ。あのシズネさんの母親ですからね。もしかしたらシズネさんの男の好みは母親似かもしれません」


ホネミンの言葉にレナは内心呆れながらもとりあえずは彼女の言う通りにミズネが一人になった時、偶々通り過ぎて指輪を落とす事を決める。彼女が落ちた指輪を見落とさないようにレナは派手な服装に着替え、しかも今回は女装を行う。


「……ところで何でこんな格好をするわけ?」
「その格好の方が一番似合うからです。闘技場で大活躍したルナちゃんの復活です」
「ルナちゃん言うなや」
「ぷるるんっ(旦那、似合ってるぜ)」
「やかましいわ」


現在のレナは女装をしており、闘技場でも女装して戦った事はあるが今回は髪の毛を染める道具がないので黒髪のままである。ちなみに女装の際にプルミンにも協力してもらい、彼の擬態能力を利用して顔立ちを少々変えている。


「その姿なら目立ちますし、顔を見られても大丈夫なはずです」
「別に男の姿で見られても平気でしょ。ミズネさんとは会った事が無いんだし……」
「何を言ってるんですか、もしもミズネさんがレナさんの事を娘のシズネさんに話したら怪しまれるでしょう」
「それ、無理があるんじゃない?単にお前、俺を女装させて楽しんでるだろ」
「……そんな事ないですよ」
「その間はなんだ!!」


酒場に一人で行って置いてけぼりにされたのが悔しかったのか、ホネミンが少々強引にレナを女装させた。女装はともかく、指輪を落とす際に目立つ格好をする事は悪くはないと思い、とりあえずはミズネが現れるまでレナ達は待機した。

営業時間を過ぎると酒場の客たちが帰り始め、ミズネは酒場の前を掃除を始めた。彼女が一人になった隙を狙い、レナは指輪を持ってミズネの元へ向かう事を決める。しかし、中々彼女は一人にならなかった。


「ミズネちゃんは本当に働き者だな。なあなあ、俺達の所で働かないか?」
「人魚族は回復魔法が扱えるんだろう?それなら俺達の冒険者集団に入ってくれよ」
「……すいません、私は魔法はあまり得意ではないのです」


掃除中のミズネに冒険者と思われる男達が話しかけ、彼女は迷惑そうな表情を浮かべても離れようとしない。その様子を見ていたレナは苛立ち、彼等が居るとミズネに近付けなかった。


「なんだあいつら……どうしてミズネさんから離れないんだ」
「ちょっと様子がおかしいですね」
「……確かに変だな」


ミズネは迷惑がっているのに冒険者達は彼女から離れようとせず、ずっと話し込んでくる。それを見たレナとホネミンは違和感を抱くと、流石に怒ったのかミズネが注意する。


「もう、いい加減にしてください!!私は仕事で忙しいので早く帰って下さい!!」
「……ちっ、仕方ねえか」
「おい、やれ!!」
「な、何をするのです!?」


男達はミズネを取り囲むと、網を取り出して彼女を捕まえる。それを見ていたレナとホネミンは驚き、男達は網で捕まえたミズネを連れてその場を立ち去ろうとした。


「よし、行くぞ!!」
「は、放しなさい!?」
「へっ、大人しくしやがれ!!」
「あうっ!?」


網で捕まえたミズネは無理やりに連れ出され、咄嗟にレナとホネミンは駆け出す。男達が逃げ去る前に彼女を救うため、レナは空間魔法を発動させて大剣を取り出す。


「行かせるか!!」
「うわっ!?」
「な、なんだお前!?」


逃げようとする男達の前にレナは立ち塞がり、大剣を振りかざして男達を牽制する。唐突に現れたレナに男達は慌てふためくが、その間にホネミンがミズネを捕まえている男の元に向かう。


「ホネミンキック!!」
「ぐあっ!?」
「きゃあっ!?」
「馬鹿、何してやがる!?」


某ライダーのように飛び蹴りを放ったホネミンによってミズネを捕えた網を抱えていた男が蹴り飛ばされ、その際にミズネは地面に倒れてしまう。彼女は打ち所が悪かったのか気絶してしまい、それを見た男は注意した。





※誕生日だというのに更新が遅れてしまいました(´;ω;`)
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