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蛇足編
久々の第三階層
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「――はい、と言う事で何事もなく第三階層に辿り着きました」
「いきなり何を言い出してるんだ」
レナとホネミンは第三階層に転移した後、特に問題も起きずに古城が見える範囲までの移動に成功した。途中で何度か魔物に襲われたが、今のレナ達にとっては敵ではなかった。
「途中で体長が10メートルぐらいあるサンドゴーレムに襲われた時は驚きましたけど、レナさんの合成魔術で一発で吹き飛ばせましたね」
「アリジコクみたいのに飲み込まれそうになった時はどうなるかと思ったけど、敵の位置を感知してホネミンの作り出した魔鎧術の槍で倒した時は痛快だったな」
「後は巨大なサンドフィッシュが現れましたが、レナさんのカラドボルグで一発でしたね」
『ははははっ』
普通の人間ならばとんでもない魔物ばかりに狙われているが、今のレナとホネミンにとっては大した問題ではなかった。むしろ砂漠の熱気の方がきつく、早々に用事を終わらせて帰りたかった。
「それでは私は今から古城に侵入して目的の魔石を盗んできます」
「盗むって、元々はホネミンの物じゃないの?」
「いや~私はここに勝手に住んでいるだけですし、別に私の魔石というわけでもないんですけどね」
「気付かれないように気をつけろよ」
「大丈夫です、記憶は曖昧ですがこの時代の私は一人遊びに熱中しているので余程騒がなければ気付かれる恐れはありません」
「悲しい思い出を聞かされた気がする……」
古城へ向けてホネミンは一人で移動し、その間はレナは待つ事しかできないでのとりあえずは古城から離れた場所で身体を休ませる。ホネミンが戻るまでの間、派手な行動は控えなければならない。
「暑い……魔法で何とかするか」
砂漠の熱気を浴びてレナはうんざりとした表情を浮かべ、熱耐性の技能があっても砂漠は暑さを感じた。彼は土塊の魔法で砂を操り、そこから氷塊の魔法で表面を固めていく。雪でかまくらを作るように砂を凍らせる事で砂山の家を作り出す。
凍らせた砂山の中にレナは入り込み、程よい冷気が漂って熱を帯びた身体を冷やす。ホネミンが戻ってくるまでの間は身体を冷やそうと思ったレナだったが、ある事に気が付く。こちらへ向かって近付いてくる気配を感じた。
「誰かがこっちに近付いてる?しかもこの気配……かなり強いぞ」
気配感知が作動したレナは外に出ると古城へ向けて近付いてくる存在を探す。距離はそれほど離れてはおらず、何処にいるのかと彼は砂漠を見渡すと、赤髪の女性を見つけた。
「ううっ……み、水……」
「うわっ!?ミイラ!?」
「だ、誰か……」
冒険者と思われる赤髪の女性を発見したレナはミイラと勘違いするほどに彼女の身体は干からびており、慌ててレナは女性冒険者の元に駆けつける。事前に用意していた水筒を異空間から取り出し、女性の口元に運ぶ。
「ほら、これを飲んで!!」
「んぐぅっ……ぷはぁっ!!し、死ぬかと思った……」
女性冒険者は水筒の水を飲み干すと元気を取り戻し、この時にレナは女性の容姿を見てある事に気が付く。それは彼の知る人物と非常によく似ていた。
(あれ、この人……なんかバルと似ている?)
バルと女性冒険者の容姿が酷似している事に気が付き、彼女程に筋骨隆々な体型ではないが、女性冒険者にしては珍しい大剣を背負っていた。見た目以外にも雰囲気や服装もバルと酷似しており、もしかしたら彼女の母親なのかもしれない。
マリアからかつて聞いた話だとバルの両親は彼女がまだ子供の頃に吸血鬼に殺されており、この時代のバルは既に生まれているはずだが両親はまだ健在のはずである。もしかしたらと思ってレナはバルの母親らしき人物に尋ねた。
「あの……貴女の名前を教えてくれますか?」
「あん?誰だいあんた……ああ、いや助けてくれたのに失礼な事を言ったね。あたしの名前はテンだよ」
「テン……!!」
名前を聞いてレナはバルの母親だと確信し、彼女の母親の名前は「テン」だと聞いていた。まさかこんな形でバルの母親と出会うとは思わず、まだ吸血鬼に殺される前のテンが大迷宮に挑んでいた事を知って動揺を隠せない。
「テンさんはどうしてここに?」
「いや、仲間と一緒に大迷宮に行く約束をしてたんだけどね。あたしが寝坊したせいで奴等は先に行ったみたいでさ。それで後を追いかけようと思ったんだけど、どうやら階層を間違えたみたいでね……」
「え?階層を?」
「本当は第四階層に向かうつもりだったのに、第三階層と言い間違えて転移しちまった。昨日の深酒のせいで記憶が曖昧でね……待ち合わせ場所を間違えちまった」
「ええっ……」
よりにもよって第四階層に向かうつもりが第三階層に転移してしまったらしく、何の準備も無しで砂漠地帯に転移したせいでテンは死にかけていたらしい。そこを偶然レナが発見して助けたから良かったものの、もしもレナが居なかったら今頃彼女は干からびて死んでいたかもしれない。
「いきなり何を言い出してるんだ」
レナとホネミンは第三階層に転移した後、特に問題も起きずに古城が見える範囲までの移動に成功した。途中で何度か魔物に襲われたが、今のレナ達にとっては敵ではなかった。
「途中で体長が10メートルぐらいあるサンドゴーレムに襲われた時は驚きましたけど、レナさんの合成魔術で一発で吹き飛ばせましたね」
「アリジコクみたいのに飲み込まれそうになった時はどうなるかと思ったけど、敵の位置を感知してホネミンの作り出した魔鎧術の槍で倒した時は痛快だったな」
「後は巨大なサンドフィッシュが現れましたが、レナさんのカラドボルグで一発でしたね」
『ははははっ』
普通の人間ならばとんでもない魔物ばかりに狙われているが、今のレナとホネミンにとっては大した問題ではなかった。むしろ砂漠の熱気の方がきつく、早々に用事を終わらせて帰りたかった。
「それでは私は今から古城に侵入して目的の魔石を盗んできます」
「盗むって、元々はホネミンの物じゃないの?」
「いや~私はここに勝手に住んでいるだけですし、別に私の魔石というわけでもないんですけどね」
「気付かれないように気をつけろよ」
「大丈夫です、記憶は曖昧ですがこの時代の私は一人遊びに熱中しているので余程騒がなければ気付かれる恐れはありません」
「悲しい思い出を聞かされた気がする……」
古城へ向けてホネミンは一人で移動し、その間はレナは待つ事しかできないでのとりあえずは古城から離れた場所で身体を休ませる。ホネミンが戻るまでの間、派手な行動は控えなければならない。
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砂漠の熱気を浴びてレナはうんざりとした表情を浮かべ、熱耐性の技能があっても砂漠は暑さを感じた。彼は土塊の魔法で砂を操り、そこから氷塊の魔法で表面を固めていく。雪でかまくらを作るように砂を凍らせる事で砂山の家を作り出す。
凍らせた砂山の中にレナは入り込み、程よい冷気が漂って熱を帯びた身体を冷やす。ホネミンが戻ってくるまでの間は身体を冷やそうと思ったレナだったが、ある事に気が付く。こちらへ向かって近付いてくる気配を感じた。
「誰かがこっちに近付いてる?しかもこの気配……かなり強いぞ」
気配感知が作動したレナは外に出ると古城へ向けて近付いてくる存在を探す。距離はそれほど離れてはおらず、何処にいるのかと彼は砂漠を見渡すと、赤髪の女性を見つけた。
「ううっ……み、水……」
「うわっ!?ミイラ!?」
「だ、誰か……」
冒険者と思われる赤髪の女性を発見したレナはミイラと勘違いするほどに彼女の身体は干からびており、慌ててレナは女性冒険者の元に駆けつける。事前に用意していた水筒を異空間から取り出し、女性の口元に運ぶ。
「ほら、これを飲んで!!」
「んぐぅっ……ぷはぁっ!!し、死ぬかと思った……」
女性冒険者は水筒の水を飲み干すと元気を取り戻し、この時にレナは女性の容姿を見てある事に気が付く。それは彼の知る人物と非常によく似ていた。
(あれ、この人……なんかバルと似ている?)
バルと女性冒険者の容姿が酷似している事に気が付き、彼女程に筋骨隆々な体型ではないが、女性冒険者にしては珍しい大剣を背負っていた。見た目以外にも雰囲気や服装もバルと酷似しており、もしかしたら彼女の母親なのかもしれない。
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「あの……貴女の名前を教えてくれますか?」
「あん?誰だいあんた……ああ、いや助けてくれたのに失礼な事を言ったね。あたしの名前はテンだよ」
「テン……!!」
名前を聞いてレナはバルの母親だと確信し、彼女の母親の名前は「テン」だと聞いていた。まさかこんな形でバルの母親と出会うとは思わず、まだ吸血鬼に殺される前のテンが大迷宮に挑んでいた事を知って動揺を隠せない。
「テンさんはどうしてここに?」
「いや、仲間と一緒に大迷宮に行く約束をしてたんだけどね。あたしが寝坊したせいで奴等は先に行ったみたいでさ。それで後を追いかけようと思ったんだけど、どうやら階層を間違えたみたいでね……」
「え?階層を?」
「本当は第四階層に向かうつもりだったのに、第三階層と言い間違えて転移しちまった。昨日の深酒のせいで記憶が曖昧でね……待ち合わせ場所を間違えちまった」
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