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蛇足編
第三階層には……
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「いえ、待ってください……思い出しました!!この装置を動かす魔石の在り処が分かりました!!」
「えっ!?本当に?」
「ああ、でもまずいですよ……あれがまさかこの装置を動かすための魔石なんて!!」
「落ち着けって、どうしたの急に?」
珍しく取り乱すホネミンをレナは落ち着かせると、彼女は本当に動揺した様子で頭を抱える。こんな彼女を見るのは滅多になく、どこで魔石を見たのかを尋ねた。
「その魔石はどこにあるの?」
「第三階層……私が暮らしていた古城の中です」
「えっ!?あそこに魔石があったの!?」
「はい、といっても古城の中でも最深部に存在します」
「となると第三階層の古城に行かないといけないわけか……」
「これはまずいですよ、あそこにはこの時代の私がいるのに……」
「ウォンッ?」
「ぷるんっ(行くしかないやろ)」
第三階層の古城に目当ての魔石がある以上、レナ達は塔の大迷宮へ向かわなければならない。だが、この時代には古城に暮らすホネミンもいるため、もしもレナ達が古城に乗り込む場合はホネミンと遭遇する可能性がある。
ホネミンはカイという老人(出会った当時は老人ではないが)と出会った後、それから数十年後にレナ達と遭遇した。これまでの間に彼女は他の人間とは誰とも遭遇しておらず、だからこそこの時代でレナ達がホネミンと遭遇した場合は歴史が変わってしまう。
「まさかこんな事になるとは……ですけど、あそこに行かないと魔石は取れませんし、う~ん」
「行くしかないだろ。要はホネミンに気付かれずに古城に忍び込んで魔石を回収すればいいだけだろ?」
「簡単に言わないでくださいよ。当時の私は既に魔鎧術を極めてるんです、魔鎧術を極めるという事は魔力を操る技術を身に付けているという事……もしも外部から魔力を持つ存在が訪れたら気付かないはずがないんです」
「魔力感知を覚えているという事か。だけどそこに行かないと魔石が採れないなら行くしかないだろ。まさかこのまま数十年も過ごすわけにはいかないし……」
「はあっ……それもそうですね」
レナ達が元の時代に戻るには大迷宮へ向かうしかなく、レナの言葉を聞いたホネミンは覚悟を決める。他に方法がない以上は塔の大迷宮へ向かい、この時代のホネミンに気付かれずに魔石の回収を行い、そしてこの地に戻ってタイムマシンを発動させる。
まずはレナ達がやるべき事は遺跡にあるはずの転移装置を探し出し、それを利用して深淵の森の遺跡まで転移を行う。その後はウルに乗り込んで塔の大迷宮へ目指す事にした――
――転移装置がある場所を探すのはそれほど手間は掛からず、無事にレナ達は深淵の森に存在する遺跡へと転移した。この場所にはまだ戦人形がいるため、早々にレナ達は遺跡を立ち去った。
『ゴオオオオッ!!』
「ウォオンッ!!」
「追いかけて来てますよ!!しつこい奴等ですね!!」
「大丈夫、あいつら遅いから追いつかないよ。最初に会った時もこうやって逃げ切った」
「ぷるんっ(あっかんべー)」
戦人形に追いかけられながらもレナ達は遺跡を抜け出し、森の中に入り込む。ウルに乗り込んだレナ達はまずは森の外へ向かうが、不意にレナは森の中にある屋敷が気になった。
「この時代の俺の家はどうなってるかな?」
「ああ、そういえばレナさんはこの森にある屋敷に暮らしてたんですよね。今は誰も住んでいないんじゃないですか?」
「どうかな、俺みたいな不遇職の人間が集められて暮らしているかもしれないけど……」
レナは不遇職だと判明した途端、父親はレナの母親のアイラと共に深淵の森の屋敷へと送り込んだ。深淵の森の屋敷は天然の監獄であり、この森は魔物が巣食うので屋敷から抜け出す事はできない。
元々はこの森は王族などの重要人物が罪を犯した場合、この森の屋敷に閉じ込める仕組みになっている。場合によっては罪が許された者は解放される仕組みとなっており、時には隠れ家として利用される。レナの場合はたった一人の跡継ぎだったために殺す事もできずにこの屋敷に送り込まれたが、彼の数年後に新しい子供が生まれた事でレナは暗殺されかけた。
(もしかしたら使用人や執事の皆はいるかもしれないけど……今は会えないな)
レナの実の周りの世話をしてくれた使用人や執事は彼と同じく不遇職の人間であり、彼等はレナと同じ境遇である事から親身に接してくれた。この世界の不遇職の人間はまともに生きられず、そういう意味では王族であるレナはまだ恵まれている方だった。少なくとも子供の頃は何不自由なく生活を送れており、他の不遇職の人間よりは平穏に生きられた。
尤も彼が平凡に生きられたのは10才までの話であり、その後はずっと信頼していた使用人のアリアに暗殺されかけたり、森で自給自足の生活を送ったり、王妃に命を狙われたりなど散々な目に遭っている。そう考えるとレナも壮絶な人生を送っている。
「えっ!?本当に?」
「ああ、でもまずいですよ……あれがまさかこの装置を動かすための魔石なんて!!」
「落ち着けって、どうしたの急に?」
珍しく取り乱すホネミンをレナは落ち着かせると、彼女は本当に動揺した様子で頭を抱える。こんな彼女を見るのは滅多になく、どこで魔石を見たのかを尋ねた。
「その魔石はどこにあるの?」
「第三階層……私が暮らしていた古城の中です」
「えっ!?あそこに魔石があったの!?」
「はい、といっても古城の中でも最深部に存在します」
「となると第三階層の古城に行かないといけないわけか……」
「これはまずいですよ、あそこにはこの時代の私がいるのに……」
「ウォンッ?」
「ぷるんっ(行くしかないやろ)」
第三階層の古城に目当ての魔石がある以上、レナ達は塔の大迷宮へ向かわなければならない。だが、この時代には古城に暮らすホネミンもいるため、もしもレナ達が古城に乗り込む場合はホネミンと遭遇する可能性がある。
ホネミンはカイという老人(出会った当時は老人ではないが)と出会った後、それから数十年後にレナ達と遭遇した。これまでの間に彼女は他の人間とは誰とも遭遇しておらず、だからこそこの時代でレナ達がホネミンと遭遇した場合は歴史が変わってしまう。
「まさかこんな事になるとは……ですけど、あそこに行かないと魔石は取れませんし、う~ん」
「行くしかないだろ。要はホネミンに気付かれずに古城に忍び込んで魔石を回収すればいいだけだろ?」
「簡単に言わないでくださいよ。当時の私は既に魔鎧術を極めてるんです、魔鎧術を極めるという事は魔力を操る技術を身に付けているという事……もしも外部から魔力を持つ存在が訪れたら気付かないはずがないんです」
「魔力感知を覚えているという事か。だけどそこに行かないと魔石が採れないなら行くしかないだろ。まさかこのまま数十年も過ごすわけにはいかないし……」
「はあっ……それもそうですね」
レナ達が元の時代に戻るには大迷宮へ向かうしかなく、レナの言葉を聞いたホネミンは覚悟を決める。他に方法がない以上は塔の大迷宮へ向かい、この時代のホネミンに気付かれずに魔石の回収を行い、そしてこの地に戻ってタイムマシンを発動させる。
まずはレナ達がやるべき事は遺跡にあるはずの転移装置を探し出し、それを利用して深淵の森の遺跡まで転移を行う。その後はウルに乗り込んで塔の大迷宮へ目指す事にした――
――転移装置がある場所を探すのはそれほど手間は掛からず、無事にレナ達は深淵の森に存在する遺跡へと転移した。この場所にはまだ戦人形がいるため、早々にレナ達は遺跡を立ち去った。
『ゴオオオオッ!!』
「ウォオンッ!!」
「追いかけて来てますよ!!しつこい奴等ですね!!」
「大丈夫、あいつら遅いから追いつかないよ。最初に会った時もこうやって逃げ切った」
「ぷるんっ(あっかんべー)」
戦人形に追いかけられながらもレナ達は遺跡を抜け出し、森の中に入り込む。ウルに乗り込んだレナ達はまずは森の外へ向かうが、不意にレナは森の中にある屋敷が気になった。
「この時代の俺の家はどうなってるかな?」
「ああ、そういえばレナさんはこの森にある屋敷に暮らしてたんですよね。今は誰も住んでいないんじゃないですか?」
「どうかな、俺みたいな不遇職の人間が集められて暮らしているかもしれないけど……」
レナは不遇職だと判明した途端、父親はレナの母親のアイラと共に深淵の森の屋敷へと送り込んだ。深淵の森の屋敷は天然の監獄であり、この森は魔物が巣食うので屋敷から抜け出す事はできない。
元々はこの森は王族などの重要人物が罪を犯した場合、この森の屋敷に閉じ込める仕組みになっている。場合によっては罪が許された者は解放される仕組みとなっており、時には隠れ家として利用される。レナの場合はたった一人の跡継ぎだったために殺す事もできずにこの屋敷に送り込まれたが、彼の数年後に新しい子供が生まれた事でレナは暗殺されかけた。
(もしかしたら使用人や執事の皆はいるかもしれないけど……今は会えないな)
レナの実の周りの世話をしてくれた使用人や執事は彼と同じく不遇職の人間であり、彼等はレナと同じ境遇である事から親身に接してくれた。この世界の不遇職の人間はまともに生きられず、そういう意味では王族であるレナはまだ恵まれている方だった。少なくとも子供の頃は何不自由なく生活を送れており、他の不遇職の人間よりは平穏に生きられた。
尤も彼が平凡に生きられたのは10才までの話であり、その後はずっと信頼していた使用人のアリアに暗殺されかけたり、森で自給自足の生活を送ったり、王妃に命を狙われたりなど散々な目に遭っている。そう考えるとレナも壮絶な人生を送っている。
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