1,759 / 2,083
蛇足編
旅行気分
しおりを挟む
「――まさかこうしてレナさんと二人で旅行に行く日が来るとは思いませんでしたよ」
「旅行じゃなくて捜索だろ。それにプルミンもウルもいるし……」
「ぷるっくりんっ(せやで)」
「ウォンッ!!」
ヨツバ王国の領地にてレナとホネミンはウルに乗り込み、プルミンはウルの頭に乗り込む。ちなみに彼はサンドワームの胃液を吸収した事で酸性の液体を生み出せるが、最近になって直に触れても問題ないぐらいに酸性の液を操れるようになった。
「この間は驚いたよ。まさかプルミンが潜水船を運転していたなんて……」
「ぷるっくりんっ(驚いたか)」
「この世界のスライムが一番謎が多いんですよ。魔物の中ではとびぬけて頭もいいし、能力の方も個体差がありますからね」
「頭の良さならウルだって負けてないよ」
「ウォンッ?」
スライムは魔物の中でも一番に謎が多く、人語を完璧に理解して人間に対して敵意を抱かない。水場がある場所ならばどんな場所でも適応するが、熱に弱いという弱点は全てのスライムが共通している。また、寿命の概念がなくてスライムは何百年、何千年も生きられると言われている。
レナが飼っているスラミンも分裂能力を持ち合わせ、ヒトミンは元々はスラミンの分身だったがガーゴイルの核を吸収して自我を得た。プルミンはサンドワームに飲み込まれた後に胃液を吸収して生き延び、偶然にもホネミンと遭遇した。スライムの生命力の高さは侮れず、しかも変身能力まで持つ。
「そういえばレナさんは知ってますか?スライムの中にはシルバースライムという凄い経験値があるスライムが……」
「あ、見えた。あれが遺跡じゃない?」
ホネミンが言葉を言い終える前にレナは前方を指差すと、遺跡らしき建物が見えてきた。近付いてみると建物全体が苔に覆われており、大分長い時を人が出入りしていない事が伺える。
「おおっ、これは凄いですね。どうやら遺跡の様ですけど……」
「一応聞くけど、ここには遺跡を守る戦人形とかはいないよな?」
「そこら辺は何も聞いてませんね。まあ、今のレナさんの敵じゃないから話していなかっただけかもしれませんけど」
「簡単に言うなよ……」
「ウォンッ!!」
これまでの遺跡には侵入者対策として戦人形が設置されている事が多かったが、今回の遺跡にはそれらしき気配は感じられず、何事もなくレナ達は建物の中に入る事ができた。建物はかなり大きく、ウルの巨体でも問題なく入る事ができた。
「結構奥まで続いているな」
「気をつけてください、壁が迫ってきたり後ろから大岩が転がってくるかもしれませんよ」
「ぷるぷるっ(脅かすなよ)」
「この子、レナさん達のスライムと違って生意気な態度を取ってる気がします」
「急に何を言い出してるんだ」
「クゥ~ンッ……」
レナ達は通路を進むとやがて広い場所に辿り着き、以前にも遺跡の中で見かけた転移台を発見する。少し前に立ち寄った勇者の訓練場と同じく大人数が移動できる転移台が設置されており、どうやら同じ目的で造り出された機器らしい。
「ここもどうやら次世代の勇者を育成するための施設のようですね」
「じゃあ、これを使うとまた別の場所に転移するのか」
「多分、そうだと思いますけど……でも、この魔法陣の紋様が気になりますね。これ、時計みたいじゃないですか?」
「あれ、本当だ……ミレトの時の聖痕と似ているな」
転移台に刻まれた魔法陣は従来の転移魔法陣とは異なり、まるでミレトの時の聖痕と瓜二つの魔法陣だった。不思議に思ったレナは転移台に近寄ると、この時に転移台の近くにある台座が僅かに動く。
台座の異変に気付かぬまま転移台をレナが覗き込み、完全に停止しているのか触ってみても反応はない。ホネミンも転移台を調べてみるが、機能は完全に停止している。
「う~ん、見ただけじゃ壊れているかどうかは分かりませんね。だけどエネルギーが補給されていない感じです」
「ハルナを連れてきて充電させるか」
「いえ、今までの傾向から魔法陣を動かすのに必要なのは純粋な魔力です。レナさんが魔力を送り込むだけで動くかもしれません」
「魔力を?」
「確かレナさんは付与強化という技を使えましたよね?それと同じ要領で魔力を送れば反応するかもしれません。まあ、今は発動しなくて結構ですよ」
「こういうパターンだと暴走して厄介事に巻き込まれるからな……」
「ウォンッ(いつもの事)」
「ぷるんっ(厄介事を引き込む体質か)」
これまでの経験則から無暗に機器を動かすと問題事に巻き込まれてきたため、今回は不用意に転移台を作動するような真似はせずにレナは引き返そうとした。だが、この時に彼は転移台の傍の台座が動いている事に気が付く。
「あれ?この台座、何だか下に下がってない?」
「本当ですね。どうやら下に収納されてるみたいですけど……ちょっと待ってください、この形なんだか見覚えがあるような」
「形?」
ホネミンの言葉を聞いてレナは台座を観察すると、言われてみて台座の形がある物と似ている事に気が付く。そのある物とは地球ではよく見かけた物であり、台座の正体は大きな「電池」だと判明した。
「旅行じゃなくて捜索だろ。それにプルミンもウルもいるし……」
「ぷるっくりんっ(せやで)」
「ウォンッ!!」
ヨツバ王国の領地にてレナとホネミンはウルに乗り込み、プルミンはウルの頭に乗り込む。ちなみに彼はサンドワームの胃液を吸収した事で酸性の液体を生み出せるが、最近になって直に触れても問題ないぐらいに酸性の液を操れるようになった。
「この間は驚いたよ。まさかプルミンが潜水船を運転していたなんて……」
「ぷるっくりんっ(驚いたか)」
「この世界のスライムが一番謎が多いんですよ。魔物の中ではとびぬけて頭もいいし、能力の方も個体差がありますからね」
「頭の良さならウルだって負けてないよ」
「ウォンッ?」
スライムは魔物の中でも一番に謎が多く、人語を完璧に理解して人間に対して敵意を抱かない。水場がある場所ならばどんな場所でも適応するが、熱に弱いという弱点は全てのスライムが共通している。また、寿命の概念がなくてスライムは何百年、何千年も生きられると言われている。
レナが飼っているスラミンも分裂能力を持ち合わせ、ヒトミンは元々はスラミンの分身だったがガーゴイルの核を吸収して自我を得た。プルミンはサンドワームに飲み込まれた後に胃液を吸収して生き延び、偶然にもホネミンと遭遇した。スライムの生命力の高さは侮れず、しかも変身能力まで持つ。
「そういえばレナさんは知ってますか?スライムの中にはシルバースライムという凄い経験値があるスライムが……」
「あ、見えた。あれが遺跡じゃない?」
ホネミンが言葉を言い終える前にレナは前方を指差すと、遺跡らしき建物が見えてきた。近付いてみると建物全体が苔に覆われており、大分長い時を人が出入りしていない事が伺える。
「おおっ、これは凄いですね。どうやら遺跡の様ですけど……」
「一応聞くけど、ここには遺跡を守る戦人形とかはいないよな?」
「そこら辺は何も聞いてませんね。まあ、今のレナさんの敵じゃないから話していなかっただけかもしれませんけど」
「簡単に言うなよ……」
「ウォンッ!!」
これまでの遺跡には侵入者対策として戦人形が設置されている事が多かったが、今回の遺跡にはそれらしき気配は感じられず、何事もなくレナ達は建物の中に入る事ができた。建物はかなり大きく、ウルの巨体でも問題なく入る事ができた。
「結構奥まで続いているな」
「気をつけてください、壁が迫ってきたり後ろから大岩が転がってくるかもしれませんよ」
「ぷるぷるっ(脅かすなよ)」
「この子、レナさん達のスライムと違って生意気な態度を取ってる気がします」
「急に何を言い出してるんだ」
「クゥ~ンッ……」
レナ達は通路を進むとやがて広い場所に辿り着き、以前にも遺跡の中で見かけた転移台を発見する。少し前に立ち寄った勇者の訓練場と同じく大人数が移動できる転移台が設置されており、どうやら同じ目的で造り出された機器らしい。
「ここもどうやら次世代の勇者を育成するための施設のようですね」
「じゃあ、これを使うとまた別の場所に転移するのか」
「多分、そうだと思いますけど……でも、この魔法陣の紋様が気になりますね。これ、時計みたいじゃないですか?」
「あれ、本当だ……ミレトの時の聖痕と似ているな」
転移台に刻まれた魔法陣は従来の転移魔法陣とは異なり、まるでミレトの時の聖痕と瓜二つの魔法陣だった。不思議に思ったレナは転移台に近寄ると、この時に転移台の近くにある台座が僅かに動く。
台座の異変に気付かぬまま転移台をレナが覗き込み、完全に停止しているのか触ってみても反応はない。ホネミンも転移台を調べてみるが、機能は完全に停止している。
「う~ん、見ただけじゃ壊れているかどうかは分かりませんね。だけどエネルギーが補給されていない感じです」
「ハルナを連れてきて充電させるか」
「いえ、今までの傾向から魔法陣を動かすのに必要なのは純粋な魔力です。レナさんが魔力を送り込むだけで動くかもしれません」
「魔力を?」
「確かレナさんは付与強化という技を使えましたよね?それと同じ要領で魔力を送れば反応するかもしれません。まあ、今は発動しなくて結構ですよ」
「こういうパターンだと暴走して厄介事に巻き込まれるからな……」
「ウォンッ(いつもの事)」
「ぷるんっ(厄介事を引き込む体質か)」
これまでの経験則から無暗に機器を動かすと問題事に巻き込まれてきたため、今回は不用意に転移台を作動するような真似はせずにレナは引き返そうとした。だが、この時に彼は転移台の傍の台座が動いている事に気が付く。
「あれ?この台座、何だか下に下がってない?」
「本当ですね。どうやら下に収納されてるみたいですけど……ちょっと待ってください、この形なんだか見覚えがあるような」
「形?」
ホネミンの言葉を聞いてレナは台座を観察すると、言われてみて台座の形がある物と似ている事に気が付く。そのある物とは地球ではよく見かけた物であり、台座の正体は大きな「電池」だと判明した。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
魔法使いじゃなくて魔弓使いです
カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです
魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。
「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」
「ええっ!?」
いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。
「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」
攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。