上 下
1,753 / 2,083
真・最終章 七魔将編

空中決戦

しおりを挟む
「行け!!全部俺が撃ち落とす!!」
「シャアッ!!」


白竜はレナの言う通りに炎龍に向けて正面から突っ込み、迫りくる炎塊に対してレナは掌を構えて魔法を放つ。合成魔術を発動させて炎塊に衝突させる事で誘爆を引き起こし、次々と炎塊を破壊しながら接近する。


「火炎弾!!火炎刃!!氷刃弾!!」
「ちぃっ……近づかせるな!!」
「オアアッ!!」


炎龍に炎塊を吐き出させるのを止め、ラストは熱線を放つように促す。炎龍は熱線を吐き出すために胸元に魔力を蓄積させるが、この時に海面を伝って黒色の蛇のような物が炎龍に纏わりつく。


「シャドウ・バインド!!」
「何だと!?」
「ムグゥッ!?」


人魚族に連れられたダインが影魔法を発動させ、海面に自分の影を伝わらせて炎龍の口元を塞ぐ。それを見たレナは驚いたが、これで炎龍は吐息を放つ事を封じられて遠慮なく近づく事ができる。

ダインの援護もあって白竜は炎龍に接近すると、レナは白竜の背中に乗り込んだまま退魔刀と鏡刀を構える。それを見たラストは自らが攻撃の構えを取ってレナに目掛けて炎の剣を構えた。


「いいだろう、この手で始末してやる」
「ちょっと、私達の事を忘れないでちょうだい!!」
「何!?」


何処からかシズネの声が響き渡り、ラストは振り返るとシズネは海面を走って渡っていた。彼女がどうやって海面を走っているのかと言うと、雪月花とリヴァイアサンを抜いた状態で駆け抜け、二つの刀身から放たれる冷気が海面を凍らせていた。

魔力を全開で発動させながらシズネは炎龍の元へ迫り、この時に彼女の身体が異変を生じる。肉体が成長を始め、瞳の色が朱色に染まる。吸血鬼化の能力を利用してシズネは一時的に身体能力と魔力を上昇させて迫る姿を見てラストは同じ七魔将の気配を感じ取った。


「馬鹿な、その力は……!?」
「はああっ!!」


七魔将のアルドラと同じ雰囲気を纏うシズネを見てラストは焦った声を上げるが、彼女は炎龍に目掛けて二つの刃を振り払う。すると冷気の斬撃が重なり合った状態で炎龍へと迫り、左半身が凍り付く。


「ッ……!?」
「ぐっ!?何をしている、早く溶かせ!!」


口元を塞がれ、左側も凍結された炎龍は呻き声を上げるがラストは炎龍に魔力を解放させて影も氷も溶かすように指示を出す。しかし、この時に炎龍の背中に飛びつく影が存在し、その正体は全身に電流を纏ったハルナだった。


「ついでに黒焦げになりやがれ!!」
「なっ!?」
「紫電!!」


紫色の電流を迸らせながらハルナは炎龍に拳を喰らわせると、炎龍は重いの寄らぬ衝撃と電撃を受けて身体を震わせる。ハルナは続けて拳を殴りつけ、電撃を喰らわせ続けた。


「おらおらおらおらっ!!」
「ぐぐっ……図に乗るな!!」
「うわっ!?」


ラストは電流が伝わる炎龍の背中を移動し、彼女に向けて炎の剣を振り払う。ラストも炎龍の背中に乗っている以上はハルナの電撃の影響を受けているはずだが、彼の場合はハルナの電撃を吸収する事で無効化ができた。しかし、炎龍の方はこれまでの損傷も蓄積されて追い詰められている。

聖剣所有者の連続攻撃によって炎龍は大きな損傷を負い、この状態ならばもう攻撃を避ける余力もない。レナは白竜の背中から飛び降りると、炎龍の首元に目掛けて退魔刀と鏡刀を振り下ろす。


「一刀――!!」
「させるか!!」


最強の剣技にてレナは炎龍に止めを刺そうとしたが、その前にラストが駆けつけてレナに炎の剣を繰り出す。だが、それを見越してレナは両手に武器を構え、鏡刀をラストに繰り出す。


「喰らえっ!!」
「何!?」


狙いを切り替えたレナは鏡刀の特性を生かしてラストの炎の剣を切り裂き、あらゆる魔法を跳ね返す鏡刀ならばラストの作り出す炎の剣も掻き消す事ができる。そしてラストの身体に鏡刀の刃が食い込み、そのまま炎龍の背中に押し倒す。


「刺突!!」
「ぐああああっ!?」


シズネ仕込みの剣技でラストを炎龍の背中に押し倒すと、腹部を突き刺されたラストは悲鳴を上げた。だが、腹を突き刺されようとラストは諦めず、残された魔力を利用してレナに最後の攻撃を行う。


「貴様も……くたばれっ!!」
「いや、終わりだ!!」


ラストが炎を解き放とうとした瞬間、レナは魔鎧術を発動させてラストの放った炎を蒼炎で抑え込む。最後の悪あがきも防がれたラストは目を見開き、その間にレナは鏡刀を引き抜く。そして退魔刀を両手で握り締めると、最後の一撃を繰り出そうとした。

だが、ここで予想外の事にラストが弱った事で支配力が弱化したのか炎龍が目元を開く。そして全身から凄まじい熱を放ち、火属性の魔力の波動を放つ。その結果、凍り付いていた左半身も口元を覆っていた影も消えてしまい、あまりの熱量に炎龍に乗り込んでいた者達も影響を受ける。


「あちちちっ!?」
「ハルナ!?」
「ぐううっ……炎龍、こいつらごと俺を殺す気か!?」


ハルナの悲鳴を聞いて咄嗟にレナは彼女の元へ向かい、抱きついて海へ飛び込む。ラストは炎龍の背中にて突き刺された腹を抑えながらも炎龍を再び支配しようとした。
しおりを挟む
感想 5,087

あなたにおすすめの小説

“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか

まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。 しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。 〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。 その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。