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真・最終章 七魔将編

誇りを賭けて

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「いや、そんな事よりもあたしはこの女を倒すためにここまで来たんだ」
「あら」
「貴様……マリア様になんて口を!!」


ハルナはマリアを指差すと、彼女の傍にいた氷雨の冒険者達が殺気立つ。それを見たレナは困った風にハルナを抑えつけようとするが、彼女はこのまま引き下がるつもりはないのかレナの腕を振り払う。


「レナ!!いくらあたしの男だからって今回ばかりはお前の言う事は聞かないぞ!!」
「お、男!?どういう事だ!!ティナと結婚しておきながらまた新しい女を作ったのか!?」
「国王陛下、落ち着いて下さい!!」
「いや、これが落ち着いていられるか!!どういう事だ!?」
「兄上も落ち着いて下さいましっ!?」


デブリとアルンがハルナの発言を聞いて激怒するが、慌ててリンダとノルンが抑える。面倒な事になってきたと思いながらもレナはハルナを止めようとすると、マリアがそれを手で制した。


「仕方がないわね。そこまで言うのなら相手をしてあげてもいいわ」
「マリア様!?本気ですか!?」
「わざわざマリア様が相手にしなくても……」
「貴方達では今のこの子の相手は荷が重いわ」


マリアの発言に氷雨の冒険者達は渋い表情を浮かべ、生憎だったが前よりも力を増したハルナに彼等が勝てる可能性は皆無に等しい。氷雨の冒険者の中でもハルナに対抗できるとすれば剣聖級の実力者のみであり、他の冒険者では足元にも及ばない。

ハルナと戦う事を承諾したマリアは氷雨の冒険者達を下がらせると、改めてハルナと向かい合う。ハルナも流石に緊張した様子でマリアと向かい合い、彼女は堂々と言い放つ。


「よし!!あたしが勝ったらレナを貰うぞ!!」
「何で!?」
「……いいでしょう」
「えっ!?承諾した!?」
「そ、そんなの困るよ~」
「それは許さない」


さらりと爆弾発言を行ったハルナに対してマリアはあっさりと承諾すると、それを聞いていたティナとコトミンが困った表情を浮かべる。その一方でデブリとアルンはひそひそと話し合う。


「父上、もしもマリア殿が負けたらティナは戻ってくるのでは……」
「むむむ……同族であるマリアを応援したい所だが、ここは娘のために負ける事を祈るべきか」
「もう、御二人とも何を言ってらっしゃるんですの!?」


父親と兄の発言にノルンは頭を抑え、彼女だけが一番まともな性格だった。その一方でハルナの発言にティナとコトミン以外に反応している者もいた。


「ハルナちゃん、そんなにレナ君の事を……」
「むむむ……またもや強敵が」
「その勝負、私も混ざるぞ!!」
「姉上、気持ちは分かるけどそれは無理」
「あ、いたんですか御二人とも」


ミナとジャンヌは複雑そうな表情を浮かべ、その一方でアンジュとサーシャも騒ぎ出す。どうやら二人とも冒険都市に戻っていたらしく、ちゃっかりとホネミンの姿もあった。もしもこの場にナオまで居たら彼女も騒ぎ出していた事は間違いない。しかし、一番騒ぎ出しそうなシズネの姿がなかった。


「あれ?そういえばシズネちゃんは何処に行ったの?」
「さっき、気分が悪いから家に帰ると言ってた」
『なぬっ!?大丈夫なのか?』
「大した事はないと言ってた」


シズネの姿が見えない事にティナが疑問を抱くと、コトミンが彼女がレナの屋敷に戻った事を伝えた。今回の旅は色々とあったので疲れていてもおかしくはなく、実際に他の者達も疲労を蓄積していた。

ハルナもずっと修行漬けの日々を送っていたので疲れが溜まっていてもおかしくはないが、彼女はマリアにリベンジを果たすために気合を込める。そして改めてマリアと向かい合い、全身から金色の電流を放つ。


「勝負だ!!」
「待ちなさい」
「って、なんだよ!?」


最初から全力で突っ込もうとしてきたハルナに対してマリアは手を伸ばして制すると、そんな彼女にハルナは拍子抜けしてしまう。しかし、マリアはハルナに対してある提案を行う。


「ここで戦うのも悪くはないけれど、どうせならもっと広い場所で戦いましょう」
「広い場所?」
「しっかりと付いて来なさい」


マリアは杖を振ると彼女の周りに風の精霊が集い、緑色の光が彼女の身体を包み込む。そしてマリアを包み込んだ精霊は浮上すると、そのまま彼女は遥か高く飛翔する。それを見たハルナは呆気に取られるが、彼女は面白そうな表情を浮かべて後を追う。


「私に付いてこれるかしら?」
「面白い!!追いかけっこなら負けないぞ!!」
「あ、ちょっと!?」
「……行っちゃいましたね」
「俺達も追いかけるぞ!!」


空を飛んだマリアとそれを追いかけてハルナは目にも止まらぬ速さで立ち去り、それを見ていた他の者達は慌てて後を追いかけようとした。しかし、この時にレナはホネミンに腕を掴まれる。


「レナさん、少しいいですか?」
「うわっ!?何だよこんな時に……告白なら後にしてくれ」
「いや、そういうのじゃないです。ていうかなんで私がレナさんの事を好きな事が前提なんですか」


レナの発言に若干呆れながらもホネミンは彼の腕を掴み、真剣な表情を浮かべていた。
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