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真・最終章 七魔将編

双子の気持ち

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「あ~あ……もうつまんない、もっと遊びたい!!魔法の練習もしたい!!」
「はあっ……シオンは相変わらずお子ちゃまね」
「何よ!!リアナだって同い年でしょ!?」
「そういう意味じゃなくて……ああ、もういいわよ」


シオンに対してリアナは呆れながらも彼女の言いたい事は分からないでもなかった。王妃が亡くなった後、彼女達の生活は一変した。王女でありながら二人はこの国を乗っ取ろうとした王妃に協力し、姉であるナオに王位継承権を破棄するように迫った。そのせいでナオと双子の関係に亀裂が入り、現在は顔を合わせる事も少ない。

双子を溺愛していたナオだったが、流石に王妃と結託していた二人を簡単に許すはずがなく、だからといって実の妹達に罰を下す事もできなかった。そこで彼女は二人が真っ当な人間に育つように厳しい教育を施すが、毎日勉強漬けの日々に双子は嫌気が差す。


「もういい!!こんなところ出て行きましょう!!」
「出て行ってどうするのよ。私達だけで生きていけるわけないわ」
「そんな事ないわよ!!私もリアナも魔法を使えるようになったのよ」
「……初級魔法の事を言ってるの?」


シオンとリアナは初級魔法を習得し、魔法さえ使えればシオンは外の世界でも生きていけると信じていた。その理由は彼女が敵意を抱いているレナが関係している。


「初級魔法だけでも使えれば十分に戦えるわよ!!だってあの男だって初級魔法しか使えないのに闘技祭に優勝したのよ!!」
「それはお兄様の事を言ってるの?」
「そうよ……って、どうしてリアナはあいつの事をお兄様なんて言うの?」


闘技祭でレナが優勝した事はシオンもリアナも知っており、実は二人とも闘技場内で観戦していた。世界中から集めた猛者を退けて優勝したレナを見てシオンは対抗心を抱くが、リアナの方は逆に憧れを抱く。


「闘技祭でのお兄様、本当に格好良かったわ。あんなに勇敢な人だなんて知らなかったわ……もっと早く知っていれば仲良くなれたかもしれないのに」
「な、何を言ってるのよ!!リアナ、あいつはお母様の仇よ!?」
「別にお母様を殺したのはお兄様じゃないわ。お兄様もお姉さまもお母様を殺そうとはしなかったし、それに私達の事を許してくれたのよ」
「ちょっと、本当にどうしたのよ!?あいつが現れたせいで私達はこんな目に遭ってるのよ!!リアナはムカつかないの?」
「私は今の生活は嫌じゃないわよ。ちゃんと勉強してたら褒めてくれるし、それにアイラお母様も優しいし……」


シオンはリアナの言葉に信じられない表情を浮かべるが、リアナとしては今の生活には大きな不満はない。確かに毎日休みもなく勉強を行うのは辛いが、そもそも本来であれば自分達は処刑されていてもおかしくはない立場だという事は理解している。それでも生かされているだけ有難く思い、彼女は今の立場に納得はしていた。

リアナは闘技祭での一件でレナの認識を改め、彼は尊敬に値する人物だと判断した。実際、不遇職でありながら圧倒的な力を持つ強者達を相手に戦い抜き、遂には誰よりも尊敬していた王妃の野望を打ち破ったのも彼である。最初は憎くて仕方なかったが、闘技祭で見せつけられた彼の実力を知って考えを改める。


「シオン、貴方だって初級魔法を覚えようとしたのは闘技祭でお兄様が戦う姿を見たからでしょう?」
「そっ、そんな事はないわよ!!」
「だったらどうして初級魔法を覚えただけで大丈夫だと思ったの?言っておくけど初級魔法は生活魔法と呼ばれるぐらいに力のない魔法なのよ。お兄様の場合は初級魔法と自分の職業の能力を生かしているからあんなに凄い魔法に強化できるの。私達にはお兄様のように初級魔法は使いこなせないわ」
「そ、そんなの分からないじゃない!!あいつにできる事なら私達にだってできるわよ」
「……呆れたわね」


レナの事を毛嫌いしながらもシオンは彼の扱う魔法自体は憧れを抱いていた。表向きは嫌っていながらもレナの実力は認めており、そんな彼女の心をリアナは見透かす。口では悪く言ってもシオンも昔の様にレナを恨んではおらず、彼の事を認めている。しかし、それを他人の前で口に出す事には拒否感を抱いている様子だった。

どちらにしろ初級魔法を身に付けただけでは役には立たず、レナの様に戦えるには何年も訓練しなければならない。レナが初級魔法を実戦で扱えるようになったのはアイリスの指導のお陰であり、並の人間ならば初級魔法の真の力は扱いこなせない。


「リアナ!!魔法の練習よ、今なら誰も見ていないから平気よ!!」
「もう、仕方ないわね……でも、練習が終わった後に勉強を教えて欲しいと言っても駄目だからね」
「そ、そんな事を言わないわよ!!」


リアナはシオンの言葉に冷や汗を流し、勉強嫌いの彼女は理由を付けては勉強をサボろうとする。そんなシオンにリアナは呆れながらも魔法の練習を付き合おうとした時、彼女は気配を感じ取って振り返った。
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