1,694 / 2,083
真・最終章 七魔将編
カノンと王妃の関係
しおりを挟む
「こんな物を書き残していたなんてね……まあ、どうでもいいわ」
大将軍だったとはいえ、カノンは国王とは殆ど面識がなかった。彼女が大将軍の地位に就けたのは王妃の計らいであり、どうして彼女が大将軍になれたのかと言うと彼女が信頼する配下は殆どが子供だったため、腕は確かで金さえ詰めばどんな仕事も行うカノンを王妃は招いた。
カノンも王妃と初めて会った時の事は忘れられず、ある時に大将軍のミドルと共に王妃は訪れた。王妃はカノンを自分に仕えるように説得はせず、あくまでも金の関係で自分に協力する様に促した。
『貴方は私の言う通りにしてくれればいい。そうすれば何不自由のない裕福な生活を与えてあげるわ』
『裕福な生活ね……もしも断ると言ったら?』
『別に何もしない。我々はここで帰らせてもらう』
いきなり訪れた王妃とミドルにカノンは警戒心を高めるが、意外にも彼女が頼みを断っても二人は何かするつもりはなかった。カノンはもしも自分の元に訪れた事を誰かに話せば王妃にとっては不都合になるのではないかと思ったが、彼女の次の言葉に衝撃を受ける。
『貴女が持つ魔銃は使用するのにお金が掛かるらしいわね。この地方の魔石も高騰しているし、色々と大変でしょう?』
『……ちょっと待ちなさいよ、どうしてその事を知ってるのよ』
カノンは魔銃の存在を知っている王妃に驚き、確かに彼女はこの時期から魔銃を所持していたが、人前で見せた事はない。この時のカノンは金銭的な問題で滅多に魔銃は使用せず、仕事を引き受ける際も人前では魔銃を一度も使用した事がない。
どうして自分しか知らないはずの魔銃の事を王妃が知っているのかとカノンは戦慄し、彼の後ろに立つミドルが懐から小袋を取り出してカノンに渡す。カノンは渡された小袋の中身を見て驚愕した。
『今日の所は挨拶だけにしておくわ。それは自由にしてちょうだい、王都一の鍛冶師に作らせた物だから問題なく使えるはずよ』
『な、何よこれは……!?』
小袋の中身を確認したカノンは衝撃の表情を浮かべ、彼女が渡された小袋には魔銃の弾丸に必要な魔石が大量に入っていた。しかも一つ一つが銃弾の形に削り取られており、それを見たカノンは焦りを抱く。
彼女が使用するバレットの魔銃は魔石を銃弾の形に削り取ってから装填する必要があり、普通の魔石では扱う事はできない。しかし、王妃はそれを事前に知っていたかのように鍛冶師に命令して彼女が最も欲する魔石の銃弾を大量に用意していた。
『では、失礼するわね』
『次に会う時にはちゃんとした服装に整えて置いた方がよろしいですよ』
『ま、待ちなさい!?』
挨拶代わりにカノンに大量の魔石弾を渡した王妃とミドルは立ち去ろうとすると、慌ててカノンは二人を引き留めようとした。しかし、この時に王妃に手を伸ばしたのはカノンに誤りであり、ミドルは凄まじい気迫を発してカノンの腕を掴む。
『王妃様に触れないように』
『ひっ!?』
優男だと思っていたミドルが凄まじい気迫を発して自分を掴んできた事にカノンは焦りを覚え、まるで別人のように豹変したミドルにカノンは焦りを抱く。そんな彼に対して王妃は困ったように告げる。
『止めなさい、彼女は脅しでどうにかなる相手じゃないわ』
『……失礼しました』
『な、何なのよあんたら……』
王妃の命令を受けてミドルはカノンの手を離すと、彼女は呆然と二人を見送る事しかできなかった。後にカノンは悩んだ末に王妃の陣営に加入する事を決め、こうして彼女は大将軍の地位に就いた――
――昔の事を思い出しながらカノンはベッドの上に座り込み、未だに彼女は王妃が死んだとは信じられなかった。彼女にとっては王妃は恐るべき相手でもあり、同時にある種の尊敬を抱いていた。
「怖い女だったけど……仕事相手としては最高だったわね」
カノンは貴族でもない自分を国の大将軍にまでさせた王妃の権力に恐れを抱いた一方、彼女が味方ならばこれ以上に心強い存在はいなかった。だから王妃に仕えていた時は裏切ろうとは一度も考えず、レナ達に負けて拘束された時も彼女が助けに来てくれると信じていた。
実際に王妃は助けてれたし、彼女の傍にはミドルを筆頭に年齢は若いが能力が優れた子供達が揃っていた。子供達は王妃の死後にほぼ全員が生き甲斐を失ったかのように廃人同然となり、現在は親元に戻っている。ナオの妹の双子も最初の頃は落ち込んでいたがアイラが二人の母親代わりとして接してくれるようになってから元気を取り戻す。
「……あの女の部屋、そういえば入った事はないわね」
王妃の部屋の事を思い出したカノンは彼女の部屋に何かないのかと考え、国王の部屋の掃除を中断して王妃の部屋に向かう事にした。幸いにも現在は監視の目がないため、カノンは王妃の部屋へ向かうのを妨げる存在はいない。城内には兵士はいるが、使用人の格好をしているカノンが怪しまれる事はない。
大将軍だったとはいえ、カノンは国王とは殆ど面識がなかった。彼女が大将軍の地位に就けたのは王妃の計らいであり、どうして彼女が大将軍になれたのかと言うと彼女が信頼する配下は殆どが子供だったため、腕は確かで金さえ詰めばどんな仕事も行うカノンを王妃は招いた。
カノンも王妃と初めて会った時の事は忘れられず、ある時に大将軍のミドルと共に王妃は訪れた。王妃はカノンを自分に仕えるように説得はせず、あくまでも金の関係で自分に協力する様に促した。
『貴方は私の言う通りにしてくれればいい。そうすれば何不自由のない裕福な生活を与えてあげるわ』
『裕福な生活ね……もしも断ると言ったら?』
『別に何もしない。我々はここで帰らせてもらう』
いきなり訪れた王妃とミドルにカノンは警戒心を高めるが、意外にも彼女が頼みを断っても二人は何かするつもりはなかった。カノンはもしも自分の元に訪れた事を誰かに話せば王妃にとっては不都合になるのではないかと思ったが、彼女の次の言葉に衝撃を受ける。
『貴女が持つ魔銃は使用するのにお金が掛かるらしいわね。この地方の魔石も高騰しているし、色々と大変でしょう?』
『……ちょっと待ちなさいよ、どうしてその事を知ってるのよ』
カノンは魔銃の存在を知っている王妃に驚き、確かに彼女はこの時期から魔銃を所持していたが、人前で見せた事はない。この時のカノンは金銭的な問題で滅多に魔銃は使用せず、仕事を引き受ける際も人前では魔銃を一度も使用した事がない。
どうして自分しか知らないはずの魔銃の事を王妃が知っているのかとカノンは戦慄し、彼の後ろに立つミドルが懐から小袋を取り出してカノンに渡す。カノンは渡された小袋の中身を見て驚愕した。
『今日の所は挨拶だけにしておくわ。それは自由にしてちょうだい、王都一の鍛冶師に作らせた物だから問題なく使えるはずよ』
『な、何よこれは……!?』
小袋の中身を確認したカノンは衝撃の表情を浮かべ、彼女が渡された小袋には魔銃の弾丸に必要な魔石が大量に入っていた。しかも一つ一つが銃弾の形に削り取られており、それを見たカノンは焦りを抱く。
彼女が使用するバレットの魔銃は魔石を銃弾の形に削り取ってから装填する必要があり、普通の魔石では扱う事はできない。しかし、王妃はそれを事前に知っていたかのように鍛冶師に命令して彼女が最も欲する魔石の銃弾を大量に用意していた。
『では、失礼するわね』
『次に会う時にはちゃんとした服装に整えて置いた方がよろしいですよ』
『ま、待ちなさい!?』
挨拶代わりにカノンに大量の魔石弾を渡した王妃とミドルは立ち去ろうとすると、慌ててカノンは二人を引き留めようとした。しかし、この時に王妃に手を伸ばしたのはカノンに誤りであり、ミドルは凄まじい気迫を発してカノンの腕を掴む。
『王妃様に触れないように』
『ひっ!?』
優男だと思っていたミドルが凄まじい気迫を発して自分を掴んできた事にカノンは焦りを覚え、まるで別人のように豹変したミドルにカノンは焦りを抱く。そんな彼に対して王妃は困ったように告げる。
『止めなさい、彼女は脅しでどうにかなる相手じゃないわ』
『……失礼しました』
『な、何なのよあんたら……』
王妃の命令を受けてミドルはカノンの手を離すと、彼女は呆然と二人を見送る事しかできなかった。後にカノンは悩んだ末に王妃の陣営に加入する事を決め、こうして彼女は大将軍の地位に就いた――
――昔の事を思い出しながらカノンはベッドの上に座り込み、未だに彼女は王妃が死んだとは信じられなかった。彼女にとっては王妃は恐るべき相手でもあり、同時にある種の尊敬を抱いていた。
「怖い女だったけど……仕事相手としては最高だったわね」
カノンは貴族でもない自分を国の大将軍にまでさせた王妃の権力に恐れを抱いた一方、彼女が味方ならばこれ以上に心強い存在はいなかった。だから王妃に仕えていた時は裏切ろうとは一度も考えず、レナ達に負けて拘束された時も彼女が助けに来てくれると信じていた。
実際に王妃は助けてれたし、彼女の傍にはミドルを筆頭に年齢は若いが能力が優れた子供達が揃っていた。子供達は王妃の死後にほぼ全員が生き甲斐を失ったかのように廃人同然となり、現在は親元に戻っている。ナオの妹の双子も最初の頃は落ち込んでいたがアイラが二人の母親代わりとして接してくれるようになってから元気を取り戻す。
「……あの女の部屋、そういえば入った事はないわね」
王妃の部屋の事を思い出したカノンは彼女の部屋に何かないのかと考え、国王の部屋の掃除を中断して王妃の部屋に向かう事にした。幸いにも現在は監視の目がないため、カノンは王妃の部屋へ向かうのを妨げる存在はいない。城内には兵士はいるが、使用人の格好をしているカノンが怪しまれる事はない。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。