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真・最終章 七魔将編

黄金の扉の先には

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「マリア殿は何処におられるのでござる!?」
「いや、本当にはっきりと感じたわけじゃないんだ……気のせいではないと思うんだけど」
「本当か?僕には何も感じないけど……」


マリアの魔力をレナは僅かに感じ取り、少なくともこの空間内に存在するのは確かだが何故か魔力が小さすぎて感じ取れない。マリアがもしも帝都内に存在するのならば彼女の魔力の強さならばレナが認識できないはずがない。

しかし、何故かマリアの魔力は感じ取れるがあまりにも小さすぎて居場所が特定できない。彼女の身に何かあったのか、あるいは故意にマリアが魔力を抑えているのかは不明だが、ともかく場所を特定できない以上は先に進むしかない。


「とりあえず、先に進んでみよう。もしかしたら叔母様も扉の奥に居るかもしれないし」
「でも、その黄金の扉は鍵が掛かってたんだろ?鍵だって僕達が見つけたんだから先に居る可能性は低いんじゃないのか?」
「叔母様なら鍵くらい開けるかもしれないし、もしかしたら別の場所から扉の中に入る方法があるかもしれない。もしくは何らかの方法で鍵を開けたけどオートロックの可能性もあるし……」
「お、おうとろっく?」


レナの言葉にハンゾウは戸惑うが、話している間にもレナ達は黄金の扉の前に辿り着く。扉を開く前にレナは鍵を取り出し、念のためにアイリスと交信を行う。


『アイリス、この先は?』
『おっ、遂にここまで辿り着きましたか。おめでとうございます!!ここが訓練場のゴールですよ!!』
『ゴールという事は……』
『はい、この扉を開けば訓練は終了されます』


アイリスの話を聞いてレナは安堵し、この扉を開けば勇者の訓練は終了して解放されるらしい。しかし、解放されるといっても全員が集まっていない以上は先に帰る事はできない。


『この扉を抜ければ元の世界に戻れるわけ?』
『そういう事になりますね。鍵を開けば扉を開けっぱなしにしておいてください。もしも閉じたら鍵は元の場所に転移されちゃうので気をつけてください』
『なるほど……ならここで休ませてもらうか』
『そうしたい所でしょうが、まだ用事は残っていますよ』
『え?何かあったっけ?』


ようやく訓練から解放される事にレナは安心仕掛けたが、アイリスは彼が出て行く事を止めた。この訓練場には隠された秘宝があり、それの回収を告げた。


『この訓練場には勇者を鍛えるためだけではなく、勇者を強くするための道具も隠されています。それを忘れずに回収しましょう』
『回収と言われても、一通り見て回ったけどそれらしい物はなかったよ』
『何言ってんですか、レナさんの目の前にある扉を見てください』
『扉って……これ?』


黄金の扉にレナは視線を向けると、改めてみるとこれまでに彼が通過した黒門と比べて豪勢な門だった。全体が黄金で構成されており、しかも世界に伝わる全ての聖剣の紋様が刻まれている。これらの聖剣は初代勇者が残した聖剣であり、その中にはレナが触れた聖剣が幾つも存在する。

扉を見てアイリスが何を言いたいのか不思議に思ったレナだったが、よくよく観察すると扉の聖剣の紋様は窪みのようにも見えた。聖剣の形をした窪みが扉に刻まれているといった表現が正しく、その窪みを見てレナはある事を思いつく。


『この窪み、まさか……!?』
『そうです。この扉の使い道は二つ、一つは黄金の鍵で扉を開く事で外へ脱出する事……そしてもう一つが扉に刻まれた窪みに全ての聖剣を嵌め込む事で別の空間に通じる新たな門へと変化します』
『新しい扉!?』


黄金の扉の窪みにそれぞれの聖剣を嵌め込めば新しい空間に繋がる出入口となるらしく、アイリスの目的はレナをその場所まで案内する事だった。炎龍との戦闘ではレナも参加しなければならないが、聖剣を持たない彼が炎龍と戦うためには今以上の力を身に着ける必要があった。


『炎龍と戦う以上はレナさんも強くならなければなりません。しかし、レナさんのレベルは99ですので肉体的に成長は見込めません。つまりは今のレナさんはステータスがカンストした状態なんです』
『ならどうしたらいいんだよ……』
『ステータスを上げる事ができないのであれば武器と防具に頼るしかありません。この扉を開く事ができればそこにはレナさんに相応しい武器を作り出す材料があるはずです』
『材料がある?』
『初代勇者は亡くなる前、聖剣を作り出すために世界中から集めた貴重な素材をこの訓練場に隠したのです。もしも他の人間に渡れば悪用される恐れがありましたからね。その材料をレナさんが利用すればレナさんだけの最強の武器を作り上げる事ができます。退魔刀や鏡刀を上回る最強の武器の誕生です!!』
『最強の武器……』


アイリスも興奮しているのか今まで以上に熱がこもった言葉をかけるが、そもそもの話としてレナ達は黄金の扉を開ける手段を持ち合わせていない。なにしろ扉を開けようにも必要な聖剣の数が足りないのだ。
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