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真・最終章 七魔将編

特殊転移台

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――戦人形が爆発した事によって岩山自体が崩壊し、岩山の内部に存在したはずの転移台は岩山の残骸に埋もれてしまった。そのためにレナ達は岩石を撤去しながら転移台を探す羽目になった。


「ふんっ!!」
「おお、流石はゴンちゃん。こんな大きい岩を持ち上げるなんて……」
「キュロロッ!!」
「アインも凄い」
『吾輩も負けんぞ!!』
「ゴウライ様、張り合わないくても……」


ゴンゾウ、アイン、ゴウライが率先して岩石が運び出し、他の者たちも三人に続いて岩石の撤去作業を行う。一方でマリアの方は何処から取り出した机と椅子に座り込み、カゲマルが紅茶を注ぐ。


「どうぞ、マリア様」
「ええ、ありがとう……相変わらず貴方の紅茶は美味しいわね」
「あの、マリア様……戦闘の後で疲れているのは分かりますがくつろぎ過ぎでは?」


優雅に休憩を取るマリアに流石のツバサも注意するが、彼女が休んでいる間にティナが岩を持ち上げて遂に転移台を発見した。


「あ~!!皆、こっちにあったよ~!!」
「おお、よく見つけまし……いや、凄い!?」


ティナは両手で自分の体長の何倍もの大きさを誇る岩石を持ち上げ、何事もなく遠くに岩石を放り投げた。下手したら巨人族を上回る怪力を誇る彼女にホネミンでさえも動揺するが、ティナは発見した転移台を指差す。


「見てみて!!これがホネミンちゃんの探していた物じゃないかな?」
「おお、まさしくこれですよ!!よく見つけましたね!!」
「深淵の森の遺跡にあったのと似ているが……」
「でも、何か色合いが違うな」
「そうね、それにこっちの方が大きいわ」


ティナが発見した転移台は深淵の森に存在する転移台よりも規模が大きく、この場に集まった全員が入り込める程の大きさだった。ホネミンは転移台の様子を伺い、先ほどの爆発に巻き込まれても傷一つない事から魔法に対して強い耐性を誇る物質だと見抜く。

これまでにレナ達が使用した転移台と異なる点は色合いが黒である事(深淵の森の転移台は灰色)、そして中心部には台座のような物が存在し、そこには銀色に輝く剣が突き刺さっていた。


「なにこれ?なんか剣が刺さってるけど……マスター〇ード?」
「違います。これは一見剣に見えますが、剣ではありません」
「どういう事?」
『どう見ても剣ではないか?』
「そう思うのなら引っこ抜いてみてくださいよ」
「……退け」


転移台の中央に存在する台座に突き刺さった剣にホムラが近付き、彼女は最初は片手で剣を抜こうとした。しかし、いくら引っ張っても反応はなく、彼女は両手を使うが剣はびくともしない。


「くっ……!!」
『何だ?抜けないのか?どれ、吾輩が代わってやろう』
「余計なお世話だ!!」


ホムラがいくら力を込めても抜けないのを見てゴウライが代わりに抜こうとしたが、彼女は意地でも自分の力で抜こうとする。しかし、いくら力を込めても剣は微動だにしない。


「なあ、もう諦めてゴンゾウかゴウライさんと代わった方が……」
「黙れ!!」
「そんな意地張らなくても……」
『ああ、もう見てられん!!吾輩が抜くぞ!!』


我慢の限界を迎えたゴウライはホムラの後ろに回り込むと彼女の手を掴み、そのまま力尽くで引き抜こうとした。その瞬間、後ろ向きに二人が引っ張ったせいか剣の台座が回転してしまう。


「うわっ!?」
「な、何だ!?」
「これは……起動に成功しましたね」


剣が突き刺さっていた台座ごと回転すると転移台に刻まれた紋様が光り輝き、それを見たレナ達は驚く。一方でホネミンは回転した台座に視線を向け、彼女は剣に突き刺さっていた台座の正体を話す。


「これは剣じゃありません、なんです」
「か、鍵?」
「ええ、これは台座に剣が突き刺さっているように見せかけただけの鍵です。だからいくら引っ張っても台座から剣は抜けませんよ。だってこの剣が台座に突き刺さっているわけじゃなく、台座その物が剣の一部なんですから」
「そういう事は早く言え!!」
『おおっ、これは一本取られたな!!』


ホムラとゴウライが二人がかりで引き抜こうとした剣の正体は台座に突き刺さった剣ではなく、台座と一体化した剣である事が判明する。正確に言えば剣と台座を合わせたような形をした鍵であり、この鍵が回転した事で転移台が反応したという。

二人の馬鹿力で鍵が回転した事で転移台が起動し、紋様が浮かび上がったのを確認したレナは無意識に掌を触れる。深淵の森の転移台は起動するとすぐに発動したが、こちらの転移台は起動しても反応がない。


「ホネミン、この転移台はもう発動しているの?」
「いいえ、起動しただけですからまだ転移はしません。転移するにはその剣を押し込めば……」
『こうか?』
「あ、ちょっと!?まだ駄目――!?」


説明の途中でゴウライは台座の剣を押し込むと、転移台に鍵穴のような窪みが誕生し、そこに台座型の鍵が射しこまれる。その瞬間、転移台の輝きが増して慌ててホネミンは全員に声をかけた。
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