1,632 / 2,083
真・最終章 七魔将編
特殊転移台
しおりを挟む
――戦人形が爆発した事によって岩山自体が崩壊し、岩山の内部に存在したはずの転移台は岩山の残骸に埋もれてしまった。そのためにレナ達は岩石を撤去しながら転移台を探す羽目になった。
「ふんっ!!」
「おお、流石はゴンちゃん。こんな大きい岩を持ち上げるなんて……」
「キュロロッ!!」
「アインも凄い」
『吾輩も負けんぞ!!』
「ゴウライ様、張り合わないくても……」
ゴンゾウ、アイン、ゴウライが率先して岩石が運び出し、他の者たちも三人に続いて岩石の撤去作業を行う。一方でマリアの方は何処から取り出した机と椅子に座り込み、カゲマルが紅茶を注ぐ。
「どうぞ、マリア様」
「ええ、ありがとう……相変わらず貴方の紅茶は美味しいわね」
「あの、マリア様……戦闘の後で疲れているのは分かりますがくつろぎ過ぎでは?」
優雅に休憩を取るマリアに流石のツバサも注意するが、彼女が休んでいる間にティナが岩を持ち上げて遂に転移台を発見した。
「あ~!!皆、こっちにあったよ~!!」
「おお、よく見つけまし……いや、凄い!?」
ティナは両手で自分の体長の何倍もの大きさを誇る岩石を持ち上げ、何事もなく遠くに岩石を放り投げた。下手したら巨人族を上回る怪力を誇る彼女にホネミンでさえも動揺するが、ティナは発見した転移台を指差す。
「見てみて!!これがホネミンちゃんの探していた物じゃないかな?」
「おお、まさしくこれですよ!!よく見つけましたね!!」
「深淵の森の遺跡にあったのと似ているが……」
「でも、何か色合いが違うな」
「そうね、それにこっちの方が大きいわ」
ティナが発見した転移台は深淵の森に存在する転移台よりも規模が大きく、この場に集まった全員が入り込める程の大きさだった。ホネミンは転移台の様子を伺い、先ほどの爆発に巻き込まれても傷一つない事から魔法に対して強い耐性を誇る物質だと見抜く。
これまでにレナ達が使用した転移台と異なる点は色合いが黒である事(深淵の森の転移台は灰色)、そして中心部には台座のような物が存在し、そこには銀色に輝く剣が突き刺さっていた。
「なにこれ?なんか剣が刺さってるけど……マスター〇ード?」
「違います。これは一見剣に見えますが、剣ではありません」
「どういう事?」
『どう見ても剣ではないか?』
「そう思うのなら引っこ抜いてみてくださいよ」
「……退け」
転移台の中央に存在する台座に突き刺さった剣にホムラが近付き、彼女は最初は片手で剣を抜こうとした。しかし、いくら引っ張っても反応はなく、彼女は両手を使うが剣はびくともしない。
「くっ……!!」
『何だ?抜けないのか?どれ、吾輩が代わってやろう』
「余計なお世話だ!!」
ホムラがいくら力を込めても抜けないのを見てゴウライが代わりに抜こうとしたが、彼女は意地でも自分の力で抜こうとする。しかし、いくら力を込めても剣は微動だにしない。
「なあ、もう諦めてゴンゾウかゴウライさんと代わった方が……」
「黙れ!!」
「そんな意地張らなくても……」
『ああ、もう見てられん!!吾輩が抜くぞ!!』
我慢の限界を迎えたゴウライはホムラの後ろに回り込むと彼女の手を掴み、そのまま力尽くで引き抜こうとした。その瞬間、後ろ向きに二人が引っ張ったせいか剣の台座が回転してしまう。
「うわっ!?」
「な、何だ!?」
「これは……起動に成功しましたね」
剣が突き刺さっていた台座ごと回転すると転移台に刻まれた紋様が光り輝き、それを見たレナ達は驚く。一方でホネミンは回転した台座に視線を向け、彼女は剣に突き刺さっていた台座の正体を話す。
「これは剣じゃありません、鍵なんです」
「か、鍵?」
「ええ、これは台座に剣が突き刺さっているように見せかけただけの鍵です。だからいくら引っ張っても台座から剣は抜けませんよ。だってこの剣が台座に突き刺さっているわけじゃなく、台座その物が剣の一部なんですから」
「そういう事は早く言え!!」
『おおっ、これは一本取られたな!!』
ホムラとゴウライが二人がかりで引き抜こうとした剣の正体は台座に突き刺さった剣ではなく、台座と一体化した剣である事が判明する。正確に言えば剣と台座を合わせたような形をした鍵であり、この鍵が回転した事で転移台が反応したという。
二人の馬鹿力で鍵が回転した事で転移台が起動し、紋様が浮かび上がったのを確認したレナは無意識に掌を触れる。深淵の森の転移台は起動するとすぐに発動したが、こちらの転移台は起動しても反応がない。
「ホネミン、この転移台はもう発動しているの?」
「いいえ、起動しただけですからまだ転移はしません。転移するにはその剣を押し込めば……」
『こうか?』
「あ、ちょっと!?まだ駄目――!?」
説明の途中でゴウライは台座の剣を押し込むと、転移台に鍵穴のような窪みが誕生し、そこに台座型の鍵が射しこまれる。その瞬間、転移台の輝きが増して慌ててホネミンは全員に声をかけた。
「ふんっ!!」
「おお、流石はゴンちゃん。こんな大きい岩を持ち上げるなんて……」
「キュロロッ!!」
「アインも凄い」
『吾輩も負けんぞ!!』
「ゴウライ様、張り合わないくても……」
ゴンゾウ、アイン、ゴウライが率先して岩石が運び出し、他の者たちも三人に続いて岩石の撤去作業を行う。一方でマリアの方は何処から取り出した机と椅子に座り込み、カゲマルが紅茶を注ぐ。
「どうぞ、マリア様」
「ええ、ありがとう……相変わらず貴方の紅茶は美味しいわね」
「あの、マリア様……戦闘の後で疲れているのは分かりますがくつろぎ過ぎでは?」
優雅に休憩を取るマリアに流石のツバサも注意するが、彼女が休んでいる間にティナが岩を持ち上げて遂に転移台を発見した。
「あ~!!皆、こっちにあったよ~!!」
「おお、よく見つけまし……いや、凄い!?」
ティナは両手で自分の体長の何倍もの大きさを誇る岩石を持ち上げ、何事もなく遠くに岩石を放り投げた。下手したら巨人族を上回る怪力を誇る彼女にホネミンでさえも動揺するが、ティナは発見した転移台を指差す。
「見てみて!!これがホネミンちゃんの探していた物じゃないかな?」
「おお、まさしくこれですよ!!よく見つけましたね!!」
「深淵の森の遺跡にあったのと似ているが……」
「でも、何か色合いが違うな」
「そうね、それにこっちの方が大きいわ」
ティナが発見した転移台は深淵の森に存在する転移台よりも規模が大きく、この場に集まった全員が入り込める程の大きさだった。ホネミンは転移台の様子を伺い、先ほどの爆発に巻き込まれても傷一つない事から魔法に対して強い耐性を誇る物質だと見抜く。
これまでにレナ達が使用した転移台と異なる点は色合いが黒である事(深淵の森の転移台は灰色)、そして中心部には台座のような物が存在し、そこには銀色に輝く剣が突き刺さっていた。
「なにこれ?なんか剣が刺さってるけど……マスター〇ード?」
「違います。これは一見剣に見えますが、剣ではありません」
「どういう事?」
『どう見ても剣ではないか?』
「そう思うのなら引っこ抜いてみてくださいよ」
「……退け」
転移台の中央に存在する台座に突き刺さった剣にホムラが近付き、彼女は最初は片手で剣を抜こうとした。しかし、いくら引っ張っても反応はなく、彼女は両手を使うが剣はびくともしない。
「くっ……!!」
『何だ?抜けないのか?どれ、吾輩が代わってやろう』
「余計なお世話だ!!」
ホムラがいくら力を込めても抜けないのを見てゴウライが代わりに抜こうとしたが、彼女は意地でも自分の力で抜こうとする。しかし、いくら力を込めても剣は微動だにしない。
「なあ、もう諦めてゴンゾウかゴウライさんと代わった方が……」
「黙れ!!」
「そんな意地張らなくても……」
『ああ、もう見てられん!!吾輩が抜くぞ!!』
我慢の限界を迎えたゴウライはホムラの後ろに回り込むと彼女の手を掴み、そのまま力尽くで引き抜こうとした。その瞬間、後ろ向きに二人が引っ張ったせいか剣の台座が回転してしまう。
「うわっ!?」
「な、何だ!?」
「これは……起動に成功しましたね」
剣が突き刺さっていた台座ごと回転すると転移台に刻まれた紋様が光り輝き、それを見たレナ達は驚く。一方でホネミンは回転した台座に視線を向け、彼女は剣に突き刺さっていた台座の正体を話す。
「これは剣じゃありません、鍵なんです」
「か、鍵?」
「ええ、これは台座に剣が突き刺さっているように見せかけただけの鍵です。だからいくら引っ張っても台座から剣は抜けませんよ。だってこの剣が台座に突き刺さっているわけじゃなく、台座その物が剣の一部なんですから」
「そういう事は早く言え!!」
『おおっ、これは一本取られたな!!』
ホムラとゴウライが二人がかりで引き抜こうとした剣の正体は台座に突き刺さった剣ではなく、台座と一体化した剣である事が判明する。正確に言えば剣と台座を合わせたような形をした鍵であり、この鍵が回転した事で転移台が反応したという。
二人の馬鹿力で鍵が回転した事で転移台が起動し、紋様が浮かび上がったのを確認したレナは無意識に掌を触れる。深淵の森の転移台は起動するとすぐに発動したが、こちらの転移台は起動しても反応がない。
「ホネミン、この転移台はもう発動しているの?」
「いいえ、起動しただけですからまだ転移はしません。転移するにはその剣を押し込めば……」
『こうか?』
「あ、ちょっと!?まだ駄目――!?」
説明の途中でゴウライは台座の剣を押し込むと、転移台に鍵穴のような窪みが誕生し、そこに台座型の鍵が射しこまれる。その瞬間、転移台の輝きが増して慌ててホネミンは全員に声をかけた。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。