1,604 / 2,083
真・最終章 七魔将編
魚人王の力
しおりを挟む
『むっ!?今のは……マリア様!!』
『ええ、聞こえたわ』
『聞こえた?何が?』
『これは……鳴き声か?』
最初に異変に気付いたのは人間よりも聴覚が優れる森人族のリンダとマリアであり、遅れてゴウライも気付いた。人間であるダインは特に何も聞こえなかったが、3人の耳には確かに鳴き声らしき音が後方から聞こえてきた。
『後ろからよ、気をつけなさい!!』
『後方!?』
『まさか……』
『緊急警報!!皆さん気をつけてください!!後方から奴が……』
潜水船からホネミンの声が響き渡り、彼女だけは操縦室に残っていた。ホネミンはレーダーで潜水船の後方から近づく反応を確認し、拡音石を利用した放送で警告を行う。その声を聞いたレナ達は後方へ視線を向けると、そこには予想外の存在が迫っていた。
――シャオオオオッ!!
後方から迫っていたのはリバイアサンの子供達であり、しかも1匹や2匹ではなく、数十匹の幼体が迫っていた。海底王国に向かう途中でも見かけたが、これほどの数の幼体がいるとは思いもしなかったレナ達は慌てて身構える。
『ちょちょっ!?多すぎだろ!!』
『戦うか!?』
『いいえ、慣れていない海中では不利よ。それに貴方達の魔法の効果も切れる、潜水船に戻りなさい!!』
『マリア様は!?』
『私はここで足止めを行うわ』
先に船内に戻るようにマリアは促すと、全員がそれに従って船の中に逃げ込む。一方でマリアだけは潜水船の甲板に残って杖を構えた。彼女は風の聖痕を発動させて迎撃の準備を行う。
杖に魔力を集中させて精霊の力も借りて彼女は魔法の準備を行い、迫りくる数十匹のリバイアサンの幼体に対して杖を構えた。下手に強力な魔法を繰り出すと洞穴が崩壊する恐れがあるため、リバイアサンの幼体のみに攻撃を絞って解き放つ。
『インパクト!!』
『シャアアアアッ!?』
杖先から広範囲に衝撃波が放たれると、潜水船を取り囲もうとした幼体は衝撃波を受けた瞬間に吹き飛び、岩盤や海底に叩き付けられる。威力を加減してリバイアサンの幼体だけに攻撃をする事に成功したマリアだが、この時に彼女を覆い込む風の鎧が縮小化した。
(やはり海中では聖痕の力を発揮できないわ……私も避難した方がいいわね)
マリアは甲板に残るのは危険だと判断すると、彼女も他の者に続いて避難しようとした。しかし、そんな彼女の元に近付く影が存在した。それは三又の槍を手にした魚人王アマネの姿だった。
『このぉおおおっ!!』
『なっ!?』
背後から迫ってきたアマネの声を聞いてマリアは驚愕の表情を浮かべ、振り返った時には既に彼女は目前まで迫っていた。アマネはトライデントを振りかざすと、マリアの胴体に目掛けて放つ。それに対してマリアは咄嗟に杖を構えたが、彼女が防御魔法を発動する前に何者かが二人の間に割り込む。
『はあっ!!』
『うわっ!?』
『レナ!?』
マリアとアマネの間に割り込んだのは退魔刀と鏡刀を手にしたレナであり、彼はアマネの繰り出したトライデントを二つの武器で受ける。刃同士が触れると二人の顔色が変わった。
一流の武芸者は剣を交えるだけで相手の力量を推し量れるため、たった一度の交差でレナとアマネは相手の強さを思い知る。アマネが繰り出したトライデントは退魔刀の刃に僅かに傷をつけ、それを知ったレナは冷や汗を流す。
(アダマンタイトで構成された退魔刀に傷を作るなんて……あの武器、かなりの業物だ!!)
退魔刀はこの世界で最高の硬度を誇る魔法金属アダマンタイトで構成され、この世界で制作された伝説の聖剣にも匹敵する代物と言っても過言ではない。しかし、アマネの持つトライデントはその退魔刀を傷つける程の切れ味を誇る事から普通の武器ではない。
(多分、レミトの持っているロンギヌスのような魔槍の類だと思うけど……それにしてもどうして女の子がここに?)
変わった格好をしているがコトミンと同じように人魚族と思われる少女が現れた事にレナは戸惑うが、マリアを本気で殺そうとしてきた事からレナは警戒心を強めて武器を構える。一方でアマネの方は唐突に現れたレナに戸惑い、自分の持つトライデントでも破壊できなかった彼の武器に驚く。
『お前、誰だ!?その黒い剣はなんだ!!』
『さあね、教えると思う?』
『このっ!!』
『叔母様、下がって!!』
『ええ、分かったわ……』
マリアに下がるように促すとレナは退魔刀を振りかざし、アマネに目掛けて振り下ろす。その攻撃に対してアマネはトライデントの柄の部分で受け止め、逆にレナを押し返してきた。
『うりゃりゃりゃっ!!』
『くうっ!?』
見かけに寄らず馬鹿力で押し返してくれるアマネにレナは戸惑い、慌てて踏ん張ろうとしたが海中では上手く力が入らず、身体が浮き上がってしまう。地上と違ってまともに戦う事ができないレナは仕方なく魔法も駆使して戦う。
『ええ、聞こえたわ』
『聞こえた?何が?』
『これは……鳴き声か?』
最初に異変に気付いたのは人間よりも聴覚が優れる森人族のリンダとマリアであり、遅れてゴウライも気付いた。人間であるダインは特に何も聞こえなかったが、3人の耳には確かに鳴き声らしき音が後方から聞こえてきた。
『後ろからよ、気をつけなさい!!』
『後方!?』
『まさか……』
『緊急警報!!皆さん気をつけてください!!後方から奴が……』
潜水船からホネミンの声が響き渡り、彼女だけは操縦室に残っていた。ホネミンはレーダーで潜水船の後方から近づく反応を確認し、拡音石を利用した放送で警告を行う。その声を聞いたレナ達は後方へ視線を向けると、そこには予想外の存在が迫っていた。
――シャオオオオッ!!
後方から迫っていたのはリバイアサンの子供達であり、しかも1匹や2匹ではなく、数十匹の幼体が迫っていた。海底王国に向かう途中でも見かけたが、これほどの数の幼体がいるとは思いもしなかったレナ達は慌てて身構える。
『ちょちょっ!?多すぎだろ!!』
『戦うか!?』
『いいえ、慣れていない海中では不利よ。それに貴方達の魔法の効果も切れる、潜水船に戻りなさい!!』
『マリア様は!?』
『私はここで足止めを行うわ』
先に船内に戻るようにマリアは促すと、全員がそれに従って船の中に逃げ込む。一方でマリアだけは潜水船の甲板に残って杖を構えた。彼女は風の聖痕を発動させて迎撃の準備を行う。
杖に魔力を集中させて精霊の力も借りて彼女は魔法の準備を行い、迫りくる数十匹のリバイアサンの幼体に対して杖を構えた。下手に強力な魔法を繰り出すと洞穴が崩壊する恐れがあるため、リバイアサンの幼体のみに攻撃を絞って解き放つ。
『インパクト!!』
『シャアアアアッ!?』
杖先から広範囲に衝撃波が放たれると、潜水船を取り囲もうとした幼体は衝撃波を受けた瞬間に吹き飛び、岩盤や海底に叩き付けられる。威力を加減してリバイアサンの幼体だけに攻撃をする事に成功したマリアだが、この時に彼女を覆い込む風の鎧が縮小化した。
(やはり海中では聖痕の力を発揮できないわ……私も避難した方がいいわね)
マリアは甲板に残るのは危険だと判断すると、彼女も他の者に続いて避難しようとした。しかし、そんな彼女の元に近付く影が存在した。それは三又の槍を手にした魚人王アマネの姿だった。
『このぉおおおっ!!』
『なっ!?』
背後から迫ってきたアマネの声を聞いてマリアは驚愕の表情を浮かべ、振り返った時には既に彼女は目前まで迫っていた。アマネはトライデントを振りかざすと、マリアの胴体に目掛けて放つ。それに対してマリアは咄嗟に杖を構えたが、彼女が防御魔法を発動する前に何者かが二人の間に割り込む。
『はあっ!!』
『うわっ!?』
『レナ!?』
マリアとアマネの間に割り込んだのは退魔刀と鏡刀を手にしたレナであり、彼はアマネの繰り出したトライデントを二つの武器で受ける。刃同士が触れると二人の顔色が変わった。
一流の武芸者は剣を交えるだけで相手の力量を推し量れるため、たった一度の交差でレナとアマネは相手の強さを思い知る。アマネが繰り出したトライデントは退魔刀の刃に僅かに傷をつけ、それを知ったレナは冷や汗を流す。
(アダマンタイトで構成された退魔刀に傷を作るなんて……あの武器、かなりの業物だ!!)
退魔刀はこの世界で最高の硬度を誇る魔法金属アダマンタイトで構成され、この世界で制作された伝説の聖剣にも匹敵する代物と言っても過言ではない。しかし、アマネの持つトライデントはその退魔刀を傷つける程の切れ味を誇る事から普通の武器ではない。
(多分、レミトの持っているロンギヌスのような魔槍の類だと思うけど……それにしてもどうして女の子がここに?)
変わった格好をしているがコトミンと同じように人魚族と思われる少女が現れた事にレナは戸惑うが、マリアを本気で殺そうとしてきた事からレナは警戒心を強めて武器を構える。一方でアマネの方は唐突に現れたレナに戸惑い、自分の持つトライデントでも破壊できなかった彼の武器に驚く。
『お前、誰だ!?その黒い剣はなんだ!!』
『さあね、教えると思う?』
『このっ!!』
『叔母様、下がって!!』
『ええ、分かったわ……』
マリアに下がるように促すとレナは退魔刀を振りかざし、アマネに目掛けて振り下ろす。その攻撃に対してアマネはトライデントの柄の部分で受け止め、逆にレナを押し返してきた。
『うりゃりゃりゃっ!!』
『くうっ!?』
見かけに寄らず馬鹿力で押し返してくれるアマネにレナは戸惑い、慌てて踏ん張ろうとしたが海中では上手く力が入らず、身体が浮き上がってしまう。地上と違ってまともに戦う事ができないレナは仕方なく魔法も駆使して戦う。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
魔法使いじゃなくて魔弓使いです
カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです
魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。
「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」
「ええっ!?」
いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。
「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」
攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。