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真・最終章 七魔将編

人魚族の対決

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『逃がさない!!』
『っ!?』


コトミンが後方から聞こえてきたに驚いて振り返った瞬間、そこに迫っていたのはアマネだった。彼女はコトミン以上の移動速度で迫ると、ティアラの宝玉を輝かせながら両手に精霊剣を手にしていた。

人魚族である自分に追いついたアマネにコトミンは驚きを隠せず、この時に彼女はアマネの姿を見て確信を抱く。アマネはコトミンと同様の「人魚族」である事が判明し、先ほどまで魚人族の格好を演じていたに過ぎない。


(まずい!!)


宝玉の力はコトミンも把握しており、水中であろうと宝玉が近くに存在すると彼女は精霊魔法を扱えない。先ほどのように宝玉に触れる事ができれば彼女も精霊を呼び出す事はできるが、その場合はアマネに近付かなければならない。


『ここまでだ!!大人しくしないと本当に痛い事しちゃうぞ!!』
『それはやだ……でも、捕まるつもりもない』
『何!?』


アマネが迫った瞬間にコトミンは彼女の下を潜り抜け、再び背後へ移動を行う。アマネは慌てて振り返ろうとしたが、移動速度は上でもコトミンの方が水中戦には慣れていた。


『ていっ』
『わあっ!?』


美味い具合にコトミンはアマネを蹴りつけると、彼女は通路の扉に目掛けて突っ込む。慌ててアマネは両手の精霊剣を突き出すと、扉に精霊剣が刺さっていとも容易く破壊に成功する。それを見たコトミンは即座に外へ抜け出す。


『ありがとう』
『こ、こらぁっ!!』


外への出入口を破壊してくれたアマネに礼を告げたコトミンは抜け出すと、慌ててアマネも後を追う。単純な移動速度はアマネが勝るが、その動作を見抜いてコトミンはジグザグに動き回って彼女の追撃を躱す。


『このっ、このっ!!』
『よっ、ほっ、はっ……』
『あ、当たらない!?』


アマネは精霊剣を繰り出すがコトミンは巧みに回避しながら先を急ぎ、遂に外へ繋がる通路へと辿り着く。彼女は通路を抜けると、そこには予想外の光景が広がる。海底王国と呼ばれるぐらいなのだから海底に存在すると思われたが、彼女の目に入ったのは青く輝くが視界に広がった。



――コトミンが抜けた先には太陽のように強い光を放つ巨大な光球が浮かんでおり、その光に晒された遺跡が広がっていた。かつては栄えていたと思われる国が海の底に沈んでおり、その中で一番大きな宮殿にコトミンは連れ去られていた事が判明する。



地上に存在する勇者が作り出した古代遺跡と雰囲気が似ており、そして海底王国を照らす青色の太陽は恐らくは魔力で構成されている。普通の太陽と違う点は熱は感じられず、常に光り輝いているが不思議と目は眩しくない。


(あの光……あれも精霊の輝き?)


青色の太陽から水の精霊の力を感じ取ったコトミンは驚き、その一瞬の隙を逃さずにアマネは両手の精霊剣を振りかざして水圧を放つ。彼女が剣を振ると三日月状の水圧が放たれ、コトミンの進行方向に存在した遺跡の柱を破壊した。


『てやぁっ!!』
『わっ!?』


油断していたコトミンは破壊された柱の瓦礫に避けるのに精一杯で逃げる暇もなく、その間にアマネが近付いて彼女を後ろから羽交い締めした。コトミン以上の力を誇るアマネは彼女を捕まえると決して離さず、そのまま抑えつける。


『大人しくしろ!!』
『むううっ……離して』
『駄目だ、お前は私の嫁になるんだ!!そして二人でこの海を支配して、地上を征服するんだ!!』
『そんな事、できるはずがない』
『できる!!!!』


アマネはコトミンを捕まえると無理やり引っ張り、自分の父親と言い張る魚人族の元へ連れて行こうとする。しかし、コトミンはアマネが父親と語る鮫型の魚人を思い出し、どうしてもこの二人が親子には思えない。

人魚族と魚人族の間には子を為す事はできるが、この二つの種族の仲は険悪だった。理由は不明だが海底王国が滅びた時に人魚族と魚人族は決定的な対立をして仲が悪いとコトミンは母親から教わっていた。但し、シークと遭遇した時は母親と聞いていた話が違って人懐っこい性格だったのでコトミンはシークに気を許したが、他の魚人族は人魚族である彼女に冷たく当たる。


(私を捕まえた魚人族は乱暴な奴ばっかりだった……なのに、この娘が魚人族に味方するのはどうして?本当に親子なの?)


コトミンの目から見てもアマネはどうしても人魚族にしか見れず、そもそも魚人族の格好に化けていた事も気にかかった。コトミンはアマネに捕まった状態で彼女に話を聞く。


『アマネ、だっけ?』
『そうだぞ、やっと大人しく捕まるつもりになったか?』
『そうでもないけど、聞きたいことがある。貴女の父親は……』
『アマネ!!何をしている、早くこっちに戻れ!!』


アマネからコトミンが話を聞き出す前に二人の前に慌てた様子の先王が現れ、彼はアマネに取り付けていた鮫の尻尾を手にした状態で慌てて彼女の元に向かう。
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