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真・最終章 七魔将編
ラストの元に訪れたのは……
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「竜種の核か……そういえば前に黒い鱗の竜を倒した事があるな」
「黒い鱗?」
「何だそりゃ?」
「そうだ!!黒龍だ!!」
「私達の島で暴れていた奴!!」
ハルナが何気なく思い出した風に黒龍の話をするとバルとシュンは不思議そうな表情を浮かべ、一方でアンジュとサーシャは思い出したように声を上げる。黒龍は二人の故郷に生息していた竜種であり、色々とあって竜人族とレナ達の力を借りて打倒した竜種である。
全身を黒色の鱗に覆われ、首を切り落とされようと再生する恐ろしい恐ろしい生物であり、聖剣を持つレミアとハルナの力を借りて強化した退魔刀でレナが止めを刺した。その後、黒龍の死骸は竜人族が始末する事になったが、もしかしたら黒龍の核も彼等が管理しているかもしれない。
「その黒龍とやらはあんた達の暮らしていた島にいるのかい?」
「ああ、うん……レナの奴はあそこは島じゃないとか言ってたけど」
「島じゃない?どういう意味だい?」
ハルナの故郷であり、アンジュとサーシャが生まれた島は本来はこの星でも一、二を誇る程の大きさの巨大生物の背中である事を話す。この生物は何百年、もしくは何千年も生きている生物であり、未だに多くの謎が包まれている。
この巨大生物の背中は自然に恵まれ、そこでダークエルフ、牛人族、竜人族と呼ばれる種族が暮らしていた。彼等は訳があって大陸から追放された種族であり、かつて召喚された勇者が彼等の生き場所として送り込んだ。
「……という事で私達が暮らしている島に居た黒龍は旦那様の手で倒された」
「なるほどね、黒龍か……あたしは聞いた事もないね」
「俺も知らねえな……師匠は?」
『聞いた事もない』
黒龍の存在は大陸に暮らす人間の間では存在すら伝わっておらず、ヨツバ王国出身のシュンもハヤテも知らない様子だった。黒龍はハルナ達の故郷で突然変異によって生まれた竜種であるため、大陸の人間が知らないのも無理はない。
竜種の中でも黒龍は火竜や牙竜を上回る戦闘力を誇り、その力は白竜にも見劣りはしない。実際に聖痕の所有者であるレミアとハルナ、更には二人に匹敵する力を持つレナと竜人族やダークエルフが協力して倒した強敵でもあった。そんな黒龍の核ならば潜水船の燃料としては申し分ない。
「その黒龍とやらの核が残っていれば潜水船の燃料にできるわけか。けど、どうやってその島に移動するんだ?」
「旦那様は深淵の森にある遺跡から転移できると言っていた」
「あの遺跡には転移門とかいうのがあったね。それを利用すれば他の遺跡にも転移できるとは聞いていたけど、まさかそんな場所にまで行けるなんてね……」
「でも、転移するには旦那様の力が必要」
「坊主に連絡を取るか?」
「それしかないだろう」
遺跡の転移門の起動方法を知っているのはレナだけのため、彼に連絡を取って黒龍の死骸があるはずの島に戻る事が決定した――
――同時刻、黒龍の核の回収のためにバル達が動いている頃、炎龍が封印されている火山の方では七魔将の最後の一人であるラストの元に意外な人物が訪れていた。その人物は冒険都市の氷雨のギルドで管理されていた「魔石」を持参し、それを彼に手渡す。
「アルドラ、オウガ、ブラクは死んだわ」
「……そうか」
「随分とあっさりしているわね、仲間じゃなかったのかしら?」
ラストの前に現れたのはバルトロス王国の元大将軍のカノンであり、彼女は現在は冒険都市を離れて行動していた。実は彼女はアルドラと手を結び、氷雨が管理していた魔石をラストの元に送り込んでいた。
どうして魔石をラストの元に送り込んでいたのかと言うと、それはラストとアルドラの間に交わした密約のためだった。ラストとアルドラは実は手を組んで共に炎龍の復活を果たすために必要な魔力を集め、いずれ炎龍が復活した時に二人はこの世界を支配すると約束をしていた。
「アルドラは死んだのは間違いないのか?」
「実際に死体を見たわけじゃないけど、氷漬けにされたとは聞いているわ」
「オウガとブラクは?」
「どっちも死体も残っていないそうよ。だけど、ブラクの方は跡形もなく消滅されたそうよ」
「随分と曖昧な情報だな」
「うるさいわね、こっちだって大変だったのよ……」
どうしてカノンがアルドラの代わりにラストに協力しているのかと言うと、それは彼女がアルドラから最も信頼されていたからである。彼女は他の女性陣と同じくアルドラの血を体内に流し込まれたが、彼女の場合は吸血鬼の血が適合して現在はもう人間ではない。
今のカノンは完全な吸血鬼と化し、以前よりも力を増していた。恐らくは彼女の先祖の中に吸血鬼が混じっており、その影響でカノンはアルドラの吸血鬼の血を得た事で秘めていた能力が覚醒し、完全な吸血鬼へと変貌した。
「アルドラが死んだ以上、あんたに協力できるのはあたしだけ……この機会に正式に手を組みましょうよ」
「……何が望みだ?」
「当然、私を虚仮にした連中の復讐よ」
カノンの瞳には復讐の炎が宿り、今までに自分を散々虚仮にしてきたレナ達に対して彼女は復讐を誓う。そして復讐を果たすためには彼女は悪魔にも魂を売る覚悟は出来ていた。
「黒い鱗?」
「何だそりゃ?」
「そうだ!!黒龍だ!!」
「私達の島で暴れていた奴!!」
ハルナが何気なく思い出した風に黒龍の話をするとバルとシュンは不思議そうな表情を浮かべ、一方でアンジュとサーシャは思い出したように声を上げる。黒龍は二人の故郷に生息していた竜種であり、色々とあって竜人族とレナ達の力を借りて打倒した竜種である。
全身を黒色の鱗に覆われ、首を切り落とされようと再生する恐ろしい恐ろしい生物であり、聖剣を持つレミアとハルナの力を借りて強化した退魔刀でレナが止めを刺した。その後、黒龍の死骸は竜人族が始末する事になったが、もしかしたら黒龍の核も彼等が管理しているかもしれない。
「その黒龍とやらはあんた達の暮らしていた島にいるのかい?」
「ああ、うん……レナの奴はあそこは島じゃないとか言ってたけど」
「島じゃない?どういう意味だい?」
ハルナの故郷であり、アンジュとサーシャが生まれた島は本来はこの星でも一、二を誇る程の大きさの巨大生物の背中である事を話す。この生物は何百年、もしくは何千年も生きている生物であり、未だに多くの謎が包まれている。
この巨大生物の背中は自然に恵まれ、そこでダークエルフ、牛人族、竜人族と呼ばれる種族が暮らしていた。彼等は訳があって大陸から追放された種族であり、かつて召喚された勇者が彼等の生き場所として送り込んだ。
「……という事で私達が暮らしている島に居た黒龍は旦那様の手で倒された」
「なるほどね、黒龍か……あたしは聞いた事もないね」
「俺も知らねえな……師匠は?」
『聞いた事もない』
黒龍の存在は大陸に暮らす人間の間では存在すら伝わっておらず、ヨツバ王国出身のシュンもハヤテも知らない様子だった。黒龍はハルナ達の故郷で突然変異によって生まれた竜種であるため、大陸の人間が知らないのも無理はない。
竜種の中でも黒龍は火竜や牙竜を上回る戦闘力を誇り、その力は白竜にも見劣りはしない。実際に聖痕の所有者であるレミアとハルナ、更には二人に匹敵する力を持つレナと竜人族やダークエルフが協力して倒した強敵でもあった。そんな黒龍の核ならば潜水船の燃料としては申し分ない。
「その黒龍とやらの核が残っていれば潜水船の燃料にできるわけか。けど、どうやってその島に移動するんだ?」
「旦那様は深淵の森にある遺跡から転移できると言っていた」
「あの遺跡には転移門とかいうのがあったね。それを利用すれば他の遺跡にも転移できるとは聞いていたけど、まさかそんな場所にまで行けるなんてね……」
「でも、転移するには旦那様の力が必要」
「坊主に連絡を取るか?」
「それしかないだろう」
遺跡の転移門の起動方法を知っているのはレナだけのため、彼に連絡を取って黒龍の死骸があるはずの島に戻る事が決定した――
――同時刻、黒龍の核の回収のためにバル達が動いている頃、炎龍が封印されている火山の方では七魔将の最後の一人であるラストの元に意外な人物が訪れていた。その人物は冒険都市の氷雨のギルドで管理されていた「魔石」を持参し、それを彼に手渡す。
「アルドラ、オウガ、ブラクは死んだわ」
「……そうか」
「随分とあっさりしているわね、仲間じゃなかったのかしら?」
ラストの前に現れたのはバルトロス王国の元大将軍のカノンであり、彼女は現在は冒険都市を離れて行動していた。実は彼女はアルドラと手を結び、氷雨が管理していた魔石をラストの元に送り込んでいた。
どうして魔石をラストの元に送り込んでいたのかと言うと、それはラストとアルドラの間に交わした密約のためだった。ラストとアルドラは実は手を組んで共に炎龍の復活を果たすために必要な魔力を集め、いずれ炎龍が復活した時に二人はこの世界を支配すると約束をしていた。
「アルドラは死んだのは間違いないのか?」
「実際に死体を見たわけじゃないけど、氷漬けにされたとは聞いているわ」
「オウガとブラクは?」
「どっちも死体も残っていないそうよ。だけど、ブラクの方は跡形もなく消滅されたそうよ」
「随分と曖昧な情報だな」
「うるさいわね、こっちだって大変だったのよ……」
どうしてカノンがアルドラの代わりにラストに協力しているのかと言うと、それは彼女がアルドラから最も信頼されていたからである。彼女は他の女性陣と同じくアルドラの血を体内に流し込まれたが、彼女の場合は吸血鬼の血が適合して現在はもう人間ではない。
今のカノンは完全な吸血鬼と化し、以前よりも力を増していた。恐らくは彼女の先祖の中に吸血鬼が混じっており、その影響でカノンはアルドラの吸血鬼の血を得た事で秘めていた能力が覚醒し、完全な吸血鬼へと変貌した。
「アルドラが死んだ以上、あんたに協力できるのはあたしだけ……この機会に正式に手を組みましょうよ」
「……何が望みだ?」
「当然、私を虚仮にした連中の復讐よ」
カノンの瞳には復讐の炎が宿り、今までに自分を散々虚仮にしてきたレナ達に対して彼女は復讐を誓う。そして復讐を果たすためには彼女は悪魔にも魂を売る覚悟は出来ていた。
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