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真・最終章 七魔将編
魂の性質
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「はあっ、はあっ……あれ?身体が急に楽になった」
「レナ!?」
「だ、大丈夫なのか!?」
「いったいどうして……」
「ふふふ……魔力を送り込む事ができるのはレナさんの専売特許ではないという事です」
ホネミンに触れられただけでレナは即時回復して意識を取り戻した。その事に他の者は驚き、マリアでさえも信じられなかった。通常ならば他人に魔力を送り込まれて自分の物にするまでは相当な時間が掛かるはずなのだが、ホネミンの魔力をレナは一瞬にして取り込む事に成功した。
「いったい何をしたの?どうして貴女の魔力をレナはこんなに早く受け入れたの?」
「えっとですね、それは……一言で言えば私とレナさんの魂の性質が似てるんです」
「性質が似ている?」
「はい、魂が近しい存在だと魔力の性質も似通っているんです。つまり、私とレナさんは殆ど同じ性質の魔力を持っているという事です」
「言っている意味が良く分からないんだけど!?」
説明を受けても誰も納得できず、治療を受けたレナさえもホネミンの説明はよく分からなかった。そこでレナはアイリスと交信を行って彼女の説明の解説を頼む。
『アイリス、どういう事?』
『端的に言えばホネミンさんとレナさんは同じ魂、というよりも同じ世界から来た魂だから性質が同じという事です。ホネミンさんもレナさんも同じ転生者同士だからこの世界の人間よりも魂の性質が似てるんです』
『へ、へえっ……つまり、俺もホネミンも元地球人だから似たような魂だったわけか』
『そんな感じです』
アイリスに寄ればレナもホネミンも前世は同じ世界の人間だったため、二人は元々はこの世界には存在しないはずの人間である。だからこそ世界でレナとホネミンは同じ境遇の人間と言え、その魂の性質はこの世界の人間の誰よりも近しい。
魂が似通っている事が原因で二人の魔力の性質も似通っており、だからこそレナはホネミンの魔力を即座に自分の魔力にする事ができた。しかし、その辺の事情を知らない他の者たちはホネミンの魔力を受け取った途端にレナが回復したように見えて訝しむ。
「貴女……いったい何者なの?レナからは私達の先祖だと聞いているけれど」
「まあ、私は結婚していないので子供もいませんでしたから直接的な血の繋がりはありませんけど、同じハヅキ家同士仲良くしましょうよ」
「…………」
マリアはホネミンの言葉に眉をしかめ、彼女はマリアにとっても先祖の一人であり、ハヅキ家が名家となったのは大昔のホネミンの功績のお陰である。だからこそマリアはそれ以上の追及はしなかったが、レナとホネミンの間に何か隠し事があるのではないかと疑う。
「……今回の問題が終わるまでは一先ずはこの話は置いておきましょう。それより、ここから先はどうするの?」
「そうですね、まさかこんな場所でリバイアサンに遭遇するとは……どうしましょうか」
「ま、また襲われたらどうするんだよ!?引き返した方が……いや、それだとコトミンが大変な事になるのか。くそ、どうしたらいいんだよ!!」
「落ち着きなさい、取り乱しても状況は変わらないわ」
海底王国に向かう途中でリバイアサンと遭遇し、奇跡的に撃退には成功した、しかし、再びリバイアサンと遭遇すれば今度は生き残れるのかは分からない。相手は海の上では最強の竜種であり、何の対策も無しに進むのは危険過ぎた。
「やっぱり人力でこの潜水船を動かすのは無理がありますね……仕方ありません、金と時間は掛かりますがこれしか方法はありません」
「何か策があるのね?」
「はい、この船を動かすための特製の魔石を調達します」
「何だ、そんなのがあるのなら最初から言えばいいのに……」
「そう簡単な話じゃないんですよ」
ホネミンによれば潜水船を動かすには膨大な魔力を蓄積した魔石を用意しなければならず、市販で販売されているような魔石では到底使い物にならないという。どれほどの代物が必要なのかと言うと、竜種の核ぐらいに膨大な魔力を蓄積させた魔石でなければ潜水船を動かせないらしい。
そのような魔石を簡単に用意できるはずがなく、仮に魔石を用意したとしてもそれを加工する必要があった。だからこそレナ達に必要なのは竜種の核と同程度の魔力を有する魔石と、それを加工するための技術を持つ鍛冶師が必要不可欠である。
「魔石の方は当てがありませんけど、鍛冶師の方は氷雨のギルドなら専用の鍛冶師がいますよね?」
「……ええ、腕のいい鍛冶師は何人かいるわ。私が呼び出せばすぐに応じてくれるでしょう」
「流石は叔母様、そこに痺れる憧れる」
「そこまで敬わなくてもいいのでは……」
鍛冶師に関してはマリアの人脈で腕のいい鍛冶師を呼び出せるらしく、問題があるとすれば魔石だった。竜種の核と同程度の魔石を用意するとなると簡単な事ではないが、ここでレナは空間魔法を利用して冒険都市に残っている者達に連絡を伝えた――
「レナ!?」
「だ、大丈夫なのか!?」
「いったいどうして……」
「ふふふ……魔力を送り込む事ができるのはレナさんの専売特許ではないという事です」
ホネミンに触れられただけでレナは即時回復して意識を取り戻した。その事に他の者は驚き、マリアでさえも信じられなかった。通常ならば他人に魔力を送り込まれて自分の物にするまでは相当な時間が掛かるはずなのだが、ホネミンの魔力をレナは一瞬にして取り込む事に成功した。
「いったい何をしたの?どうして貴女の魔力をレナはこんなに早く受け入れたの?」
「えっとですね、それは……一言で言えば私とレナさんの魂の性質が似てるんです」
「性質が似ている?」
「はい、魂が近しい存在だと魔力の性質も似通っているんです。つまり、私とレナさんは殆ど同じ性質の魔力を持っているという事です」
「言っている意味が良く分からないんだけど!?」
説明を受けても誰も納得できず、治療を受けたレナさえもホネミンの説明はよく分からなかった。そこでレナはアイリスと交信を行って彼女の説明の解説を頼む。
『アイリス、どういう事?』
『端的に言えばホネミンさんとレナさんは同じ魂、というよりも同じ世界から来た魂だから性質が同じという事です。ホネミンさんもレナさんも同じ転生者同士だからこの世界の人間よりも魂の性質が似てるんです』
『へ、へえっ……つまり、俺もホネミンも元地球人だから似たような魂だったわけか』
『そんな感じです』
アイリスに寄ればレナもホネミンも前世は同じ世界の人間だったため、二人は元々はこの世界には存在しないはずの人間である。だからこそ世界でレナとホネミンは同じ境遇の人間と言え、その魂の性質はこの世界の人間の誰よりも近しい。
魂が似通っている事が原因で二人の魔力の性質も似通っており、だからこそレナはホネミンの魔力を即座に自分の魔力にする事ができた。しかし、その辺の事情を知らない他の者たちはホネミンの魔力を受け取った途端にレナが回復したように見えて訝しむ。
「貴女……いったい何者なの?レナからは私達の先祖だと聞いているけれど」
「まあ、私は結婚していないので子供もいませんでしたから直接的な血の繋がりはありませんけど、同じハヅキ家同士仲良くしましょうよ」
「…………」
マリアはホネミンの言葉に眉をしかめ、彼女はマリアにとっても先祖の一人であり、ハヅキ家が名家となったのは大昔のホネミンの功績のお陰である。だからこそマリアはそれ以上の追及はしなかったが、レナとホネミンの間に何か隠し事があるのではないかと疑う。
「……今回の問題が終わるまでは一先ずはこの話は置いておきましょう。それより、ここから先はどうするの?」
「そうですね、まさかこんな場所でリバイアサンに遭遇するとは……どうしましょうか」
「ま、また襲われたらどうするんだよ!?引き返した方が……いや、それだとコトミンが大変な事になるのか。くそ、どうしたらいいんだよ!!」
「落ち着きなさい、取り乱しても状況は変わらないわ」
海底王国に向かう途中でリバイアサンと遭遇し、奇跡的に撃退には成功した、しかし、再びリバイアサンと遭遇すれば今度は生き残れるのかは分からない。相手は海の上では最強の竜種であり、何の対策も無しに進むのは危険過ぎた。
「やっぱり人力でこの潜水船を動かすのは無理がありますね……仕方ありません、金と時間は掛かりますがこれしか方法はありません」
「何か策があるのね?」
「はい、この船を動かすための特製の魔石を調達します」
「何だ、そんなのがあるのなら最初から言えばいいのに……」
「そう簡単な話じゃないんですよ」
ホネミンによれば潜水船を動かすには膨大な魔力を蓄積した魔石を用意しなければならず、市販で販売されているような魔石では到底使い物にならないという。どれほどの代物が必要なのかと言うと、竜種の核ぐらいに膨大な魔力を蓄積させた魔石でなければ潜水船を動かせないらしい。
そのような魔石を簡単に用意できるはずがなく、仮に魔石を用意したとしてもそれを加工する必要があった。だからこそレナ達に必要なのは竜種の核と同程度の魔力を有する魔石と、それを加工するための技術を持つ鍛冶師が必要不可欠である。
「魔石の方は当てがありませんけど、鍛冶師の方は氷雨のギルドなら専用の鍛冶師がいますよね?」
「……ええ、腕のいい鍛冶師は何人かいるわ。私が呼び出せばすぐに応じてくれるでしょう」
「流石は叔母様、そこに痺れる憧れる」
「そこまで敬わなくてもいいのでは……」
鍛冶師に関してはマリアの人脈で腕のいい鍛冶師を呼び出せるらしく、問題があるとすれば魔石だった。竜種の核と同程度の魔石を用意するとなると簡単な事ではないが、ここでレナは空間魔法を利用して冒険都市に残っている者達に連絡を伝えた――
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