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真・最終章 七魔将編

封印までの経緯

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「す、凄い船だけどさ……これ、何でこんな所にあるんだ」
「……この船は私が調べたところ、海底王国が滅びた時に地上へ脱出する際に利用されたんです」
「脱出?という事は……」
「ええ、現在の地上に存在するはこの船で逃げてきたんです」
「生き残り?逃げてきた?」
「その話、もう少し詳しく聞かせてくれるかしら?」


ホネミンはレナを通してアイリスから伝えて貰った情報を自分が調べたかのように語り、他の者も気になって詳細を尋ねると彼女はアイリスから教わった内容を話す。





――遥か昔、地上には人魚族はそもそも存在はしなかった。彼等は生まれた時から海に暮らし、海底に築き上げた国に暮らしていた。人魚族は地上で生きるには厳しい体質のため、大抵の人魚族は海で一生を過ごす。

しかし、海底王国は突如として出現した魔物の群れによって滅ぼされた。王国に暮らしていた殆どの人魚族は犠牲となったが、王族だけは潜水船に乗って地上へと脱出する。国を失った彼等は地上へと暮らすしかなく、そのまま分かれて暮らす。

現在の地上に存在する人魚族の先祖は海底王国の王族であり、コトミンもシズネも実は遠い親戚という事になる。二人とも人魚族の王族に血を継いでおり、だからこそ水属性の聖痕に適応できたのかもしれない。




「魚人が語る人魚姫というのは水属性の聖痕を継承した王族の女性の事を差します。人魚族は女性の方が魔力が強いですから、聖痕を継承してきた人物は全員が女王となりました」
「女王……それだと人魚姫というよりは人魚女王じゃないの?」
「そんな事を私に言われても知りませんよ。文句があるなら当時の人達に言ってください」
「なるほど……私とコトミンは親戚だったのね。道理でコトミンが私の母と似ていると思ったわ」


シズネは自分とコトミンが親戚関係だった事を知り、二人とも海底王国の王族の血を継ぐ事が判明した。シズネが水属性の聖痕に適応したのは偶然ではなく、コトミンと同じく人魚族の王族の血筋である事が理由の一つだったのかもしれない。

聖痕の継承者は先代の継承者の血を継ぐ人間である事が多く、マリアもダインも先代の血を受け継いでいる。ハルナのように突発的に聖痕の力に目覚める者もいるが、大抵の継承者は先代の継承者の血を継いでいた。


「コトミンとシズネが親戚か……その割には二人とも似てはないけどな」
「私の場合は父親が人間だし、私自身も人間よ。でも、私の母はコトミンの面影があるわ」
「そういえば貴女はあのギラン大将軍の娘だったわね。あの人は姉さんも尊敬していたわ、私とは反りが合わなかったけど」
「……そう」


マリアはギランの事を知っており、彼女が冒険者として有名になった時に国に呼ばれて顔を合わせた事もある。その時はギランとはあまり話さなかったが、彼女の姉であるアイラは武人としてギランの事を尊敬していた。ギランは当時のゴウライと互角に渡り合える実力を誇り、正に大将軍に恥じぬ人物だった。


「話が脱線しましたね、この船がここに封じられているのは生き残った人魚族の仕業なんです。彼等は海底王国が滅んだあと、王国の民を残して自分達が生き残った事を恥じて二度と海に戻らない事を決めたそうです。そしてこの船は万が一の場合に備えてこの地に封印し、自分達は地上へ残ったそうです」
「よく、そんな事まで調べたわね」
「まあ、色々と頑張ったんですよ」


ホネミンの言葉にマリアは感心した風に頷き、実際の所は今のホネミンの話は全部レナがアイリスから教わった内容である。詳しく話すと色々と面倒なのでレナは船を封印した理由を尋ねる。


「どうしてこの船は封印されたままだったの?」
「この船は言ってみれば伝説の船ですからね、もしも生き残った人魚族の身に何か起きた場合、国と交渉して助けてもらうつもりだったんでしょう。この船を引き渡す代わりに自分達を保護して欲しいとね」
「でも、ずっと放置されたままという事は……」
「コトミンさんもこの船の事を知らなかったようですし、きっと忘れ去られたんでしょうね」


潜水船はこの地に封じられたのは当時の人魚族の王族が子孫のために残し、万が一に何か起きた場合はこの船を利用して国と交渉を行うためにこのような場所に守られていた。しかし、結果から言えばこの船の存在は子孫に伝えられる事もなく忘れられてしまい、今までこのような場所に封じられていた。

森人族と同様に魔法に長けた人魚族だからこそ数百年も間、この潜水船を封印し続ける事ができた。この場所に張り出された結界は特殊な物らしく、マリアが先日まで封じ込められていた結界と似通り、事前に潜水船の位置を知らなければ見破る事はできなかったという。
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