1,566 / 2,083
真・最終章 七魔将編
コトミン奪還大作戦
しおりを挟む
――アイリスの助言を得てレナは一旦仲間達の元へ戻ると、一先ずは冒険都市へと帰還してマリアに相談を行う。この時に拘束したバクも連れて行き、彼女に何が起きたのかを離す。
「魚人王?聞いた事もないわね……」
「叔母様も知らないの?」
「ええ、そもそも魚人は本来は住処を持たないはずよ」
「……ふん、貴様等に俺達の何が分かる」
バクは拘束された状態で氷雨の冒険者達に取り囲まれ、自分の立場を理解していないのか不遜な態度を貫く。そんなバクに対してマリアの元に訪れていたバルが背中を蹴飛ばす。
「おうこら!!うちのレナのコトミンをどうしたんだい!!」
「ぐおっ!?な、何だ貴様!?俺を誰だと思って……はぐぅっ!?」
「ふん、誰だろうと関係ないね!!とっとと話しな!!」
「止めなさい」
無理やりにでもバルはコトミンを何処へ連れ出そうとしたのかをバクに話させようとしたが、それを制止したのはマリアだった。マリアはバクを痛めつけた所で情報を吐かないと判断し、ここで彼女は指を鳴らす。
「ここは彼女に任せましょう」
「彼女?」
「はいは~い、私の出番ですね」
「ぷるっくりん」
「お前は……プルミン!?お前雌だったのか!?」
「いや、私ですよ!!ホネミンですよ!!」
頭の上に帽子を被ってその上にプルミンを乗せたホネミンが姿を現すと、彼女はバルに抑えつけられているバクを見下ろす。この時にバクは言いようのない恐怖を浮かべ、何故かホネミンを前にすると嫌な予感を抱く。
ホネミンはまるで実験動物を見るかのような目つきで薬瓶を取り出し、その中身は白色の液体が入っていた。彼女は薬学にも精通し、回復薬や魔力回復薬や聖水など様々な薬を作り出してきた。しかし、今回の薬は人の怪我や病気を癒す薬ではなく、どちらかと言うと毒薬の類である。
「この私特製の薬を飲めばどんな秘密も話しますよ。名付けて自白しちゃうぞ剤です」
「それ、自白剤じゃん!!」
「じ……はく?」
レナの突っ込みに他の者たちは不思議そうな表情を浮かべ、この世界には自白剤は存在しないらしい。ホネミンは自作の自白剤(のような物)をバクの大きな口の中に注ぎ込み、無理やりに飲ませるようにバルも口を開かせる。
「はいは~い、ごくっとしてくださいね」
「ふががっ!?」
「おら、男なら覚悟を決めな!!」
「やばい絵面だな……」
無理やりにバクに自白剤(のような物)を飲み込ませると、効果が現れるまでしばらくの間は全員がバクを見下ろす。特にバクの身体に異変は起きないが、ホネミンが試しに質問を行う。
「貴方の名前は何ですか?」
「バクバクだ……はっ!?な、何故!?」
「バクバク?ちょっと可愛い名前だな」
「人間に飼育されていた時に名付けられた……な、何だこれは!?」
「何だ、こいつ人間に買われてたのかい?」
質問されるとバクは勝手に答えてしまい、本人は戸惑っているがそれを気にせずにレナ達は次々と質問を行う。自白剤の効果が持続している間に情報を集めなければならず、色々と質問をする。
「年齢は?」
「30才」
「何処から来たの?」
「獣人国」
「他に仲間はどれくらいいる?」
「俺が知っている限りでは100体ほど……」
「コトミンを何処へ連れて行った」
「俺達が住処にしている場所だ」
「その場所は何処にある?」
「海の中……かつて人魚族が支配していた海底王国が存在した場所だ」
「海底王国への行き方は?」
「海に潜るしかない。魚人と人魚族以外は入るのは不可能だ」
質問した結果、バクの話によればかつては海底王国と呼ばれた場所に魚人達は住処を形成し、そこにコトミンを連れ出した事が判明した。厄介な事に名前の通りに海底王国は海底に存在するらしく、魚人や人魚族以外は入るのは難しい。
海底王国へ向かう方法は後で考えるとしてどうしてコトミンを攫ったのかが気にかかり、彼等はコトミンの事を「人魚姫」と呼んでいた。しかし、当のコトミンは人魚姫と呼ばれても心当たりはなく、彼女も困惑していた。
「人魚姫というのはどういう意味だ?」
「そのままの意味だ。あの娘は間違いなく、海底王国を治めていた人魚族の血筋を継いでいる」
「どうしてそんな事が分かる?」
「あの娘の魔力に宝玉が反応した。宝玉は王族の血筋の人間が近くにいると真の効果を発揮する……だから我々はあの娘が王族の血を継ぐ存在だと見抜いた」
「また宝玉か……いったい何なんだあれは」
「人魚族が海底王国を統べるために作り出した特殊な魔道具だ。水の精霊を水晶玉に封じ込め、必要時にその力を発揮する。伝説によれば人魚族は宝玉を使って竜巻を作り出して伝説の魔獣を打ち倒したらしい」
「伝説の魔獣……まるでおとぎ話ね」
コトミンを彼等が誘拐した理由は人魚族の王族の血筋を彼女が継いでいる事は間違いなく、魚人族はコトミンが王族の血筋の人間である事を利用して計画を立てていた。
「魚人王は人魚族の王族の血を取り込み、海を完全に支配する。その後は陸上にも進出し、この世界を征服するのがあの方の目的だ」
「とんでもない事を考えているな……」
「ふん、その魚人王だか何だか知らないけどあたらしらを舐めるんじゃないよ。魚人如きに後れを取ると思ってるのかい?」
「お前達はあの御方の恐ろしさを知らないから言えるんだ。魚人王の強さは並ではない……あの御方はたった一人で竜種を殺すほどの力を持つ」
「竜種を……!?」
バクの言葉にレナ達は驚き、この世界における竜種は魔物の生態系の頂点に位置し、その存在こそが「災害」の象徴として扱われるほどに恐ろしい存在だった。
「魚人王?聞いた事もないわね……」
「叔母様も知らないの?」
「ええ、そもそも魚人は本来は住処を持たないはずよ」
「……ふん、貴様等に俺達の何が分かる」
バクは拘束された状態で氷雨の冒険者達に取り囲まれ、自分の立場を理解していないのか不遜な態度を貫く。そんなバクに対してマリアの元に訪れていたバルが背中を蹴飛ばす。
「おうこら!!うちのレナのコトミンをどうしたんだい!!」
「ぐおっ!?な、何だ貴様!?俺を誰だと思って……はぐぅっ!?」
「ふん、誰だろうと関係ないね!!とっとと話しな!!」
「止めなさい」
無理やりにでもバルはコトミンを何処へ連れ出そうとしたのかをバクに話させようとしたが、それを制止したのはマリアだった。マリアはバクを痛めつけた所で情報を吐かないと判断し、ここで彼女は指を鳴らす。
「ここは彼女に任せましょう」
「彼女?」
「はいは~い、私の出番ですね」
「ぷるっくりん」
「お前は……プルミン!?お前雌だったのか!?」
「いや、私ですよ!!ホネミンですよ!!」
頭の上に帽子を被ってその上にプルミンを乗せたホネミンが姿を現すと、彼女はバルに抑えつけられているバクを見下ろす。この時にバクは言いようのない恐怖を浮かべ、何故かホネミンを前にすると嫌な予感を抱く。
ホネミンはまるで実験動物を見るかのような目つきで薬瓶を取り出し、その中身は白色の液体が入っていた。彼女は薬学にも精通し、回復薬や魔力回復薬や聖水など様々な薬を作り出してきた。しかし、今回の薬は人の怪我や病気を癒す薬ではなく、どちらかと言うと毒薬の類である。
「この私特製の薬を飲めばどんな秘密も話しますよ。名付けて自白しちゃうぞ剤です」
「それ、自白剤じゃん!!」
「じ……はく?」
レナの突っ込みに他の者たちは不思議そうな表情を浮かべ、この世界には自白剤は存在しないらしい。ホネミンは自作の自白剤(のような物)をバクの大きな口の中に注ぎ込み、無理やりに飲ませるようにバルも口を開かせる。
「はいは~い、ごくっとしてくださいね」
「ふががっ!?」
「おら、男なら覚悟を決めな!!」
「やばい絵面だな……」
無理やりにバクに自白剤(のような物)を飲み込ませると、効果が現れるまでしばらくの間は全員がバクを見下ろす。特にバクの身体に異変は起きないが、ホネミンが試しに質問を行う。
「貴方の名前は何ですか?」
「バクバクだ……はっ!?な、何故!?」
「バクバク?ちょっと可愛い名前だな」
「人間に飼育されていた時に名付けられた……な、何だこれは!?」
「何だ、こいつ人間に買われてたのかい?」
質問されるとバクは勝手に答えてしまい、本人は戸惑っているがそれを気にせずにレナ達は次々と質問を行う。自白剤の効果が持続している間に情報を集めなければならず、色々と質問をする。
「年齢は?」
「30才」
「何処から来たの?」
「獣人国」
「他に仲間はどれくらいいる?」
「俺が知っている限りでは100体ほど……」
「コトミンを何処へ連れて行った」
「俺達が住処にしている場所だ」
「その場所は何処にある?」
「海の中……かつて人魚族が支配していた海底王国が存在した場所だ」
「海底王国への行き方は?」
「海に潜るしかない。魚人と人魚族以外は入るのは不可能だ」
質問した結果、バクの話によればかつては海底王国と呼ばれた場所に魚人達は住処を形成し、そこにコトミンを連れ出した事が判明した。厄介な事に名前の通りに海底王国は海底に存在するらしく、魚人や人魚族以外は入るのは難しい。
海底王国へ向かう方法は後で考えるとしてどうしてコトミンを攫ったのかが気にかかり、彼等はコトミンの事を「人魚姫」と呼んでいた。しかし、当のコトミンは人魚姫と呼ばれても心当たりはなく、彼女も困惑していた。
「人魚姫というのはどういう意味だ?」
「そのままの意味だ。あの娘は間違いなく、海底王国を治めていた人魚族の血筋を継いでいる」
「どうしてそんな事が分かる?」
「あの娘の魔力に宝玉が反応した。宝玉は王族の血筋の人間が近くにいると真の効果を発揮する……だから我々はあの娘が王族の血を継ぐ存在だと見抜いた」
「また宝玉か……いったい何なんだあれは」
「人魚族が海底王国を統べるために作り出した特殊な魔道具だ。水の精霊を水晶玉に封じ込め、必要時にその力を発揮する。伝説によれば人魚族は宝玉を使って竜巻を作り出して伝説の魔獣を打ち倒したらしい」
「伝説の魔獣……まるでおとぎ話ね」
コトミンを彼等が誘拐した理由は人魚族の王族の血筋を彼女が継いでいる事は間違いなく、魚人族はコトミンが王族の血筋の人間である事を利用して計画を立てていた。
「魚人王は人魚族の王族の血を取り込み、海を完全に支配する。その後は陸上にも進出し、この世界を征服するのがあの方の目的だ」
「とんでもない事を考えているな……」
「ふん、その魚人王だか何だか知らないけどあたらしらを舐めるんじゃないよ。魚人如きに後れを取ると思ってるのかい?」
「お前達はあの御方の恐ろしさを知らないから言えるんだ。魚人王の強さは並ではない……あの御方はたった一人で竜種を殺すほどの力を持つ」
「竜種を……!?」
バクの言葉にレナ達は驚き、この世界における竜種は魔物の生態系の頂点に位置し、その存在こそが「災害」の象徴として扱われるほどに恐ろしい存在だった。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。