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真・最終章 七魔将編

魔法の鍛錬方法

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「今よりも魔法の力を強くするにはどうしたらいいかな?」
「普通の魔術師ならば精神統一の修行や、魔法の精度を上げるために同じ魔法を繰り返して発動するのを勧めるわ。けど、貴方の場合はどちらも必要はない」
「え、どうして?」
「貴方は精神力を鍛える必要はないぐらいに強い心を持っている。それに普段から魔法を使用しているでしょう?」
「まあ、そうだけど……」


戦闘の際はレナは支援魔法を使用して肉体や初級魔法の強化を行っており、今更魔法の精度を上げる必要はないらしい。しかし、それならばどのような手段で魔法の腕を上げればいいのかとレナは尋ねると、マリアは今のレナに必要な修行法を教える。


「今の貴方がしなければならないのは魔力を練る技術を極める事よ」
「魔力を練る技術……?」
「切っ掛けは私が教えてあげるわ。だけど、それを生かせるかどうかは貴方次第よ」


マリアはレナの背中に手を差し伸べた状態で彼を前に向かせ、自分の魔力を送り込む。この時にナイは体内にマリアの魔力が流れ込まれ、どんどんと身体が熱くなっていく感覚を覚えた。


「うっ……な、何か熱くなってきたような気がする」
「私の魔力を送り続けているからよ。このまま何もしなければ貴方の身体は風船のように膨らんで破裂するわよ」
「えっ!?」
「冗談よ、だけど必要以上の魔力を体内にため込むと身体に悪影響を与えるのは本当よ」
「なんでそんな事を……」
「自分で考えなさい、今の貴方がするべき事を……」


先ほども言った通りにマリアはあくまでもレナには全て教えず、自分の状況を理解した上で次に取る行動を考えるように促す。レナは背中にマリアから魔力を流し込まれ、体内に魔力が溢れていく感覚を覚える。

このまま魔力がレナの身体に流し込まれ続ければ危険な状態に陥り、何とか体外に魔力を放出しなければならない。そこでレナは考えたのは自分も魔法を発動させ、魔力を消費しようと考えた。


(叔母様もきっと何か考えがあるんだろうけど……このままだと身体が持たないや。魔法で魔力を少しでも消費しないと……)


両手を構えたレナはいつも通りに合成魔術を発動して魔力を消費しようとした。しかし、魔法を発動させようとした時にレナはいつも通りに上手く魔法が発動できない事に気付いた。


「あ、あれ?どうして……」
「魔力を上手く練れないでしょう?それは私の魔力が貴方の魔力をかき乱しているからよ、さっきは貴方の魔力の乱れを直してあげたけど、こうして必要以上に魔力を送り込む事で今の貴方の魔力の流れをかき乱す事もできるのよ」
「えっ!?」
「でも、もしも貴方がこの状態から魔力の乱れを自力で戻す事ができた時……今以上の力を手に入れるはずよ」


説明を終えたマリアは掌をレナから離すと、これ以上に魔力を送り込む必要はないと判断したのか座り込む。レナはマリアが離れた事で魔力は送り込まれずに済んだが、今現在もレナの体内にはマリアの送り込んだ魔力と自分の魔力が混ざり合っている状態だった。


(うっ……身体中が熱い、まるで無理やり輸血されたみたいだ……)


今のレナは自分の魔力容量の限界以上の魔力が注ぎ込まれた状態であり、体内の魔力を上手く扱う事ができない。そのせいでいつも通りに魔法を扱う事ができず、意識も朦朧としてきた。どうにかレナは魔力を外部に放出しようとするが、魔法が使えなければ魔力を消費する方法はない。

初級魔法でも支援魔法でも錬金術師の能力でもなんでもいいので魔力を消費しようとするが、どの魔法も能力も上手く扱えない。どうしてマリアが自分をこんな目に遭わせるのかと彼女に視線を向けると、マリアは黙ってレナを見つめていた。


(叔母様……そうだ、さっき叔母様は「魔力を練る技術を極める」と言ってた。もしかしてこの状態で魔力を練って魔法を使えという事なのか?)


先ほどのマリアに言われた事を思い出し、今のレナの体内には自分の魔力とマリアの魔力の二つの魔力が混じっている。だからこそいつも通りに自分の魔力だけで魔法を発動しても上手くいかず、体内に送り込まれたマリアの魔力を制御しなければ魔法を使う事はできない。

二つの魔力を組み合わせて魔法を練るのは極めて困難であり、まずはマリアの魔力をレナは自分の魔力に変換しなければならない。意識を集中させてレナは体内の魔力を感じ取り、二つの魔力を一つにしようと集中する。


(落ち着け、焦るな……精神が乱れたら上手く魔法は練れない。冷静になるんだ……要は合成魔術と一緒だ。別々の属性の魔力を組み合わせるのと同じ具合にやればいい)


焦る気持ちを抑えてレナは冷静に自分の体内の魔力を把握し、最初に行うのはマリアの魔力と自分の魔力を統合させる事だった。二つの魔力を統合させて一つの魔力に変換させた時、レナは魔法を練る事ができると信じた。
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