1,538 / 2,083
真・最終章 七魔将編
状況整理
しおりを挟む
「さて……再会を喜び合うのもほどほどにしておきましょう。それより、状況を整理する必要があるわね」
「マリア様、会議室の準備はできています」
「流石ね、では行きましょうか」
シノビの言葉を聞いてマリアは会議室に移動すると、レナ達の他に集まった冒険者には解散を命じる。彼等にも仕事が残っており、七魔将が居なくなったとはいえ仕事は山の様にある。
「貴方達は住民達に私が戻ってきた事を知らせて安心させなさい。それと監獄に送り込まれた女性冒険者も解放しなさい。もう操られる事はないのでしょう?」
「ええ、そうね……アルドラは始末したわ」
「分かりました!!ではすぐに行ってきます!!」
アルドラが倒された以上は女性冒険者が操られる事はなく、すぐに氷雨の冒険者が監獄に送り込まれた女性冒険者の解放へ向かう。都市の住民達もマリアが戻ってきたと知れば安心するだろう。彼女は冒険都市の代表的な存在であり、実質的に冒険都市を管理しているのはマリアであって王国の人間よりも信頼されていた。
ちなみに表向きは冒険都市の管理はアルトという王国軍人が任されているのだが、彼の場合は氷雨の冒険者と同様に今ではマリアに忠義を尽くしており、彼女が戻ってきたと知ると大急ぎで戻ってきた。
「マリア殿!!ご無事でよかった……心配していました!!」
「アルト、私がいない間に言い付けを守っていたようね。バル達と一緒に私の都市を守ってくれたようね。褒めてあげるわ」
「あ、ありがとうございます!!」
マリアはアルトを褒めると彼は顔を明るくさせるが、立場的にはこの都市の表向きの管理は彼に任されているはずである。しかし、実際の所は冒険都市はマリアが実質的に実権を握っており、この都市において彼女に逆らえる人間はいない。
アルトにねぎらいの言葉を掛けると彼女は会議室からアルトを下げらせ、状況確認を行うためにレナ達から話を聞く。この時に彼女は初めて見る顔が居る事に気付き、レナに何者なのかを尋ねた。
「そっちの娘達は……ダークエルフかしら?」
「あ、そうだった……叔母様、紹介するよ。こっちの二人はアンジュとサーシャ、俺が飛ばされた場所で暮らしていた部族なんだ」
「アンジュだ」
「サーシャ……よろしく」
「そう……それにしても驚いたわね。まさかヨツバ王国以外にダークエルフの里があったなんて」
「我々も驚いている。大昔にヨツバ王国から去ったダークエルフの部族がいるとは聞いていたが……」
レナが転移した島から訪れたダークエルフの存在はマリアも北聖将のハシラも驚き、二人ともヨツバ王国の西聖将が管理する里以外にダークエルフの部族がいるとは夢にも思わなかった。アンジュとサーシャの先祖達は色々な理由があってヨツバ王国を離れ、大陸から遠く離れた島で暮らしていたダークエルフの部族である。
アンジュ達の事をレナは紹介すると、マリアもハシラも大昔にダークエルフが去ったという話を聞かされていたが、まさか子孫が生き残っていたとは思ってもいなかった。アンジュとサーシャからすれば自分達の先祖を大陸から追い出したヨツバ王国の森人族の子孫と会う事になるが、特に何とも思っていない。
『二人とも自分達の先祖を追い出した相手の子孫の事をどう思ってる?』
『別に何とも思ってないぞ。私達が生まれる前の話だし……』
『大陸を追い出されたのは私達の先祖が弱かったせい。それに先祖を追い出した人たちも死んでるなら恨みはない』
マリアと会う前にレナは念のためにアンジュとサーシャに確認を行い、彼女達が自分達の先祖を追い出したヨツバ王国の子孫の事をどう思っているのか聞いた。そして二人の答えは「どうでもいい」らしく、別に自分達の先祖を追い出した子孫だからといって恨む理由はないらしい。
二人は先祖が大陸から追い出された事は先祖の責任であり、弱かったから大陸から逃げ出したと考えている。彼女達以外の者も同じ考えらしく、大昔の先祖同士の争いなど自分達には関係ないと考えている。自分達の先祖が追い出されたのはあくまでも先祖の責任であり、復讐など毛頭考えていない事をレナに告げた。
「私も母様から聞いたけど、ダークエルフの一部がまさか大陸の外に逃れていたなんて……」
「一応は聞くけど、ヨツバ王国はダークエルフの人達を捕まえたりとかしないかな?」
「それは……有り得ないだろう。確かに当時の王国は逃げ出したダークエルフを追っていたらしいが、その時に生きているダークエルフは流石に死んだはずだ」
「うん、100年か200年前にぽっくり死んだって長老が言ってた」
「ぽっくりって……」
森人族と同様にダークエルフも長命のため、当時生きていたダークエルフもかなり長い期間生き延びていたらしいが、流石に時が経過し過ぎて既に死んでいる。その話を聞いて六聖将であるハシラもハヅキ家の当主であるマリアも今更罪を問う事はないと判断した。
「マリア様、会議室の準備はできています」
「流石ね、では行きましょうか」
シノビの言葉を聞いてマリアは会議室に移動すると、レナ達の他に集まった冒険者には解散を命じる。彼等にも仕事が残っており、七魔将が居なくなったとはいえ仕事は山の様にある。
「貴方達は住民達に私が戻ってきた事を知らせて安心させなさい。それと監獄に送り込まれた女性冒険者も解放しなさい。もう操られる事はないのでしょう?」
「ええ、そうね……アルドラは始末したわ」
「分かりました!!ではすぐに行ってきます!!」
アルドラが倒された以上は女性冒険者が操られる事はなく、すぐに氷雨の冒険者が監獄に送り込まれた女性冒険者の解放へ向かう。都市の住民達もマリアが戻ってきたと知れば安心するだろう。彼女は冒険都市の代表的な存在であり、実質的に冒険都市を管理しているのはマリアであって王国の人間よりも信頼されていた。
ちなみに表向きは冒険都市の管理はアルトという王国軍人が任されているのだが、彼の場合は氷雨の冒険者と同様に今ではマリアに忠義を尽くしており、彼女が戻ってきたと知ると大急ぎで戻ってきた。
「マリア殿!!ご無事でよかった……心配していました!!」
「アルト、私がいない間に言い付けを守っていたようね。バル達と一緒に私の都市を守ってくれたようね。褒めてあげるわ」
「あ、ありがとうございます!!」
マリアはアルトを褒めると彼は顔を明るくさせるが、立場的にはこの都市の表向きの管理は彼に任されているはずである。しかし、実際の所は冒険都市はマリアが実質的に実権を握っており、この都市において彼女に逆らえる人間はいない。
アルトにねぎらいの言葉を掛けると彼女は会議室からアルトを下げらせ、状況確認を行うためにレナ達から話を聞く。この時に彼女は初めて見る顔が居る事に気付き、レナに何者なのかを尋ねた。
「そっちの娘達は……ダークエルフかしら?」
「あ、そうだった……叔母様、紹介するよ。こっちの二人はアンジュとサーシャ、俺が飛ばされた場所で暮らしていた部族なんだ」
「アンジュだ」
「サーシャ……よろしく」
「そう……それにしても驚いたわね。まさかヨツバ王国以外にダークエルフの里があったなんて」
「我々も驚いている。大昔にヨツバ王国から去ったダークエルフの部族がいるとは聞いていたが……」
レナが転移した島から訪れたダークエルフの存在はマリアも北聖将のハシラも驚き、二人ともヨツバ王国の西聖将が管理する里以外にダークエルフの部族がいるとは夢にも思わなかった。アンジュとサーシャの先祖達は色々な理由があってヨツバ王国を離れ、大陸から遠く離れた島で暮らしていたダークエルフの部族である。
アンジュ達の事をレナは紹介すると、マリアもハシラも大昔にダークエルフが去ったという話を聞かされていたが、まさか子孫が生き残っていたとは思ってもいなかった。アンジュとサーシャからすれば自分達の先祖を大陸から追い出したヨツバ王国の森人族の子孫と会う事になるが、特に何とも思っていない。
『二人とも自分達の先祖を追い出した相手の子孫の事をどう思ってる?』
『別に何とも思ってないぞ。私達が生まれる前の話だし……』
『大陸を追い出されたのは私達の先祖が弱かったせい。それに先祖を追い出した人たちも死んでるなら恨みはない』
マリアと会う前にレナは念のためにアンジュとサーシャに確認を行い、彼女達が自分達の先祖を追い出したヨツバ王国の子孫の事をどう思っているのか聞いた。そして二人の答えは「どうでもいい」らしく、別に自分達の先祖を追い出した子孫だからといって恨む理由はないらしい。
二人は先祖が大陸から追い出された事は先祖の責任であり、弱かったから大陸から逃げ出したと考えている。彼女達以外の者も同じ考えらしく、大昔の先祖同士の争いなど自分達には関係ないと考えている。自分達の先祖が追い出されたのはあくまでも先祖の責任であり、復讐など毛頭考えていない事をレナに告げた。
「私も母様から聞いたけど、ダークエルフの一部がまさか大陸の外に逃れていたなんて……」
「一応は聞くけど、ヨツバ王国はダークエルフの人達を捕まえたりとかしないかな?」
「それは……有り得ないだろう。確かに当時の王国は逃げ出したダークエルフを追っていたらしいが、その時に生きているダークエルフは流石に死んだはずだ」
「うん、100年か200年前にぽっくり死んだって長老が言ってた」
「ぽっくりって……」
森人族と同様にダークエルフも長命のため、当時生きていたダークエルフもかなり長い期間生き延びていたらしいが、流石に時が経過し過ぎて既に死んでいる。その話を聞いて六聖将であるハシラもハヅキ家の当主であるマリアも今更罪を問う事はないと判断した。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
魔法使いじゃなくて魔弓使いです
カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです
魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。
「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」
「ええっ!?」
いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。
「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」
攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。