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真・最終章 七魔将編
ハヤテとツバサ
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「くそっ、どうなってるんだ!?一瞬消えかけた癖に……」
「確かに一時的に魔力は弱まった……だが、先ほど街の方から黒色の煙のような物があの雲に吸収された」
「あの気持ち悪いのっすね、何だったんでしょうか……」
「離している場合か、腕を止めるな!!」
シュン達は必死に黒雲を押し返すために風属性の魔法剣や矢を放つが、もう彼等の力だけではどうしようもない段階に入ろうとしていた。既に他の者たちは倒れ込み、黒雲は冒険都市の上空へと徐々に迫る。
遂に冒険都市の上空へ黒雲が広まろうとした瞬間、雲から人面のような物が浮き上がった。それを見た3人は驚き、その人面はブラクの顔の形に代わっておぞましい声を発した。
『ユルサン……コロシテヤルゥッ!!キサマラゼンイン、ミチヅレダァアアアッ!!』
「ひいいっ!?お、お化け!?」
「悪霊か!?」
「なんとおぞましい……これ以上は抑えきれん、下がるぞ!!」
黒雲に吸収されたブラクの魂の破片が集まり、その正体を露にするとハシラは全員に下がるように指示を出した。もうこれ以上は抑えきれず、せめて被害を食い止めるために彼は避難を命じたが、その前に何者かが城壁の上に降り立つ。
『居合一式……斬!!』
「師匠!?」
「うひゃあっ!?」
魔剣「青嵐」を手にしたハヤテが姿を現すと、彼女は黒雲に向けてシュンよりも強力な風の斬撃を放つ。その結果、冒険都市の上空を覆い込もうとした黒雲は押し返され、雲の中の人面が苦しげな声を上げた。
『グウウッ!?』
「き、効いた!!今、苦しそうな声を上げましたよ!?」
『……駄目だ、この程度では時間稼ぎしかできていない』
「師匠、今まで何処に行ってたんだ!?」
『それは後で話す、今は集中させろ』
ハヤテは鞘に刃を戻すと再び魔力を込め始め、その姿を見たシュンはハヤテが先ほどの攻撃で魔力を最大限に集中させていた事を察する。ハヤテの「居合」の剣技は風属性の精霊の力を借りて強化するため、魔力を溜めなければ使う事ができない。
先ほどのハヤテの攻撃を受けた黒雲は押し返されたが、それでも時間をほんの10秒程度稼いだに過ぎない。たった10秒ではハヤテは次の攻撃を繰り出す事はできず、黒雲は冒険都市の上空を覆い込もうとする。
『ムシケラドモガァアアアッ!!』
「わああっ!?今度こそ駄目っす!!」
「諦めるな、とにかく時間を稼げ!!」
「待てっ……この気配は!?」
『……来たか』
今にも黒雨を降り注ぎそうな黒雲に対してエリナ達は慌てふためく中、ハシラとハヤテは何かに気付いたように空を見上げる。遅れてシュンとエリナも顔を上げると、空に人影を発見した。
「クサナギ!!」
『グアアアアッ!?』
空を飛んで現れたのは六聖将の一人にして「護衛将」を務める「ツバサ」だった。彼女はハヤテの実の姉であり、六聖将の中では「聖剣クサナギ」を所有する女将だった。ツバサが現れた事に全員が驚き、北聖将のハシラだけは安堵の表情を浮かべる。
「ようやく到着したか……全く、焦らせおって」
「ツ、ツバサさん!?どうしてここに……」
『……ツバサのクサナギは空を飛ぶ事ができる。それを利用してここまで来たんだろう』
「師匠、急に不機嫌になったな……ぎゃあっ!?な、何しやがる!?」
姉の翼が姿を現した瞬間にハヤテは顔をしかめるが、それを指摘した弟子に対して脛を蹴りつける。その一方で黒雲を押し返したツバサは城壁に視線を向けて他の者たちを確認する。
彼女は風の魔力を纏った状態で空を飛び、この飛行能力はクサナギと彼女の魔鎧術を応用している。ツバサは魔鎧術で自分に魔力を纏い、そしてクサナギで風圧を発生させて空を飛ぶ。高等な魔力操作の技術がなければ彼女の真似はできず、ツバサは城壁へと降りたつ。
「皆さん、ご無事でしたか!!」
「た、助かったぜ……」
「ツバサさん!!ありがとうございます!!」
「間一髪だったぞ……」
『……ふん』
ツバサが降り立つとハヤテ以外の者達は彼女を迎え入れ、ツバサはハヤテに視線を向けると何か言いたげな表情を浮かべるが、すぐに彼女の隣に立って黒雲と向かい合う。
「お互いに言いたい事はあるでしょうけど……今はあの怨念を何とかすべきですね」
『……足を引っ張ったら許さない』
「ふふふ、了解しました」
ハヤテの言葉にツバサは笑みを浮かべ、二人は魔剣「青嵐」と聖剣「クサナギ」を構える。氷雨に所属する剣聖の中ではゴウライと双璧を為すと言われる剣士「ハヤテ」六聖将の中では聖剣の使い手にして最も国王からも信頼が厚い「ツバサ」が集まり、それだけ周囲の者達は冷や汗を流す。
バルトロス王国とヨツバ王国の中でも指折りの剣士がここに集い、二人は改めて黒雲と向き合う。黒雲の人面は二人の攻撃を受ける度に顔をゆがめるが、やがて口元の部分を開くと思いもよらぬ攻撃を行う。
「確かに一時的に魔力は弱まった……だが、先ほど街の方から黒色の煙のような物があの雲に吸収された」
「あの気持ち悪いのっすね、何だったんでしょうか……」
「離している場合か、腕を止めるな!!」
シュン達は必死に黒雲を押し返すために風属性の魔法剣や矢を放つが、もう彼等の力だけではどうしようもない段階に入ろうとしていた。既に他の者たちは倒れ込み、黒雲は冒険都市の上空へと徐々に迫る。
遂に冒険都市の上空へ黒雲が広まろうとした瞬間、雲から人面のような物が浮き上がった。それを見た3人は驚き、その人面はブラクの顔の形に代わっておぞましい声を発した。
『ユルサン……コロシテヤルゥッ!!キサマラゼンイン、ミチヅレダァアアアッ!!』
「ひいいっ!?お、お化け!?」
「悪霊か!?」
「なんとおぞましい……これ以上は抑えきれん、下がるぞ!!」
黒雲に吸収されたブラクの魂の破片が集まり、その正体を露にするとハシラは全員に下がるように指示を出した。もうこれ以上は抑えきれず、せめて被害を食い止めるために彼は避難を命じたが、その前に何者かが城壁の上に降り立つ。
『居合一式……斬!!』
「師匠!?」
「うひゃあっ!?」
魔剣「青嵐」を手にしたハヤテが姿を現すと、彼女は黒雲に向けてシュンよりも強力な風の斬撃を放つ。その結果、冒険都市の上空を覆い込もうとした黒雲は押し返され、雲の中の人面が苦しげな声を上げた。
『グウウッ!?』
「き、効いた!!今、苦しそうな声を上げましたよ!?」
『……駄目だ、この程度では時間稼ぎしかできていない』
「師匠、今まで何処に行ってたんだ!?」
『それは後で話す、今は集中させろ』
ハヤテは鞘に刃を戻すと再び魔力を込め始め、その姿を見たシュンはハヤテが先ほどの攻撃で魔力を最大限に集中させていた事を察する。ハヤテの「居合」の剣技は風属性の精霊の力を借りて強化するため、魔力を溜めなければ使う事ができない。
先ほどのハヤテの攻撃を受けた黒雲は押し返されたが、それでも時間をほんの10秒程度稼いだに過ぎない。たった10秒ではハヤテは次の攻撃を繰り出す事はできず、黒雲は冒険都市の上空を覆い込もうとする。
『ムシケラドモガァアアアッ!!』
「わああっ!?今度こそ駄目っす!!」
「諦めるな、とにかく時間を稼げ!!」
「待てっ……この気配は!?」
『……来たか』
今にも黒雨を降り注ぎそうな黒雲に対してエリナ達は慌てふためく中、ハシラとハヤテは何かに気付いたように空を見上げる。遅れてシュンとエリナも顔を上げると、空に人影を発見した。
「クサナギ!!」
『グアアアアッ!?』
空を飛んで現れたのは六聖将の一人にして「護衛将」を務める「ツバサ」だった。彼女はハヤテの実の姉であり、六聖将の中では「聖剣クサナギ」を所有する女将だった。ツバサが現れた事に全員が驚き、北聖将のハシラだけは安堵の表情を浮かべる。
「ようやく到着したか……全く、焦らせおって」
「ツ、ツバサさん!?どうしてここに……」
『……ツバサのクサナギは空を飛ぶ事ができる。それを利用してここまで来たんだろう』
「師匠、急に不機嫌になったな……ぎゃあっ!?な、何しやがる!?」
姉の翼が姿を現した瞬間にハヤテは顔をしかめるが、それを指摘した弟子に対して脛を蹴りつける。その一方で黒雲を押し返したツバサは城壁に視線を向けて他の者たちを確認する。
彼女は風の魔力を纏った状態で空を飛び、この飛行能力はクサナギと彼女の魔鎧術を応用している。ツバサは魔鎧術で自分に魔力を纏い、そしてクサナギで風圧を発生させて空を飛ぶ。高等な魔力操作の技術がなければ彼女の真似はできず、ツバサは城壁へと降りたつ。
「皆さん、ご無事でしたか!!」
「た、助かったぜ……」
「ツバサさん!!ありがとうございます!!」
「間一髪だったぞ……」
『……ふん』
ツバサが降り立つとハヤテ以外の者達は彼女を迎え入れ、ツバサはハヤテに視線を向けると何か言いたげな表情を浮かべるが、すぐに彼女の隣に立って黒雲と向かい合う。
「お互いに言いたい事はあるでしょうけど……今はあの怨念を何とかすべきですね」
『……足を引っ張ったら許さない』
「ふふふ、了解しました」
ハヤテの言葉にツバサは笑みを浮かべ、二人は魔剣「青嵐」と聖剣「クサナギ」を構える。氷雨に所属する剣聖の中ではゴウライと双璧を為すと言われる剣士「ハヤテ」六聖将の中では聖剣の使い手にして最も国王からも信頼が厚い「ツバサ」が集まり、それだけ周囲の者達は冷や汗を流す。
バルトロス王国とヨツバ王国の中でも指折りの剣士がここに集い、二人は改めて黒雲と向き合う。黒雲の人面は二人の攻撃を受ける度に顔をゆがめるが、やがて口元の部分を開くと思いもよらぬ攻撃を行う。
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