1,512 / 2,083
真・最終章 七魔将編
真の鬼人化
しおりを挟む
「大丈夫ですか!?」
「いったい何が……」
「吾輩の事はいい……それより、気を付けた方がいいぞ」
「えっ?」
ゴウライの言葉にゴンゾウとミレトは呆気に取られると、直後に3人から離れた場所にあった瓦礫の山が吹き飛ぶ。驚いたゴンゾウ達は視線を向けると、そこには頭から血を流したオウガの姿が存在した。
「ふうっ、ふうっ……何処だ、何処に居る!?」
「あれは……オウガ!?」
「まさか!?」
「くっ……吾輩以上にタフな奴だな」
オウガは血走った目で周囲を見渡してゴウライの姿を探す。しかし、肝心のゴウライは既に甲冑が壊れて負傷しており、仮に彼女の姿を見ても気付く事はないだろう。気付いたところで相手が女性ならばオウガは手を出さず、これ以上の戦闘はできない。
それでもゴウライはゴンゾウとミレトを押し退けて戦おうとしたが、彼女は手元にデュランダルがない事に気付く。先ほどの戦闘の最中でまだ瓦礫の山に埋まってしまったらしく、彼女は慌てて瓦礫の山からデュランダルを探す。
「しまった!?吾輩の武器が……お前達も吾輩の武器を探してくれ!!」
「ええっ!?」
「……ミレト、手伝ってやれ。俺はオウガと戦う」
「何!?こら、待たんかっ!!」
「すまないが待つ事はできない……それにオウガに借りがあるのは俺の方だ」
ゴウライは勝手に戦おうとするゴンゾウを引き留めようとしたが、彼はそれを拒否して上着を脱ぎ去る。そして改めてオウガの元へ向かうと、彼はゴンゾウを見て鼻を鳴らす。
「ふんっ……誰かと思えば巨人族の小僧か」
「この前の様には行かないぞ……」
「ほう……それは楽しみだ」
頭に血が上がっていたオウガだったが、自分の前に再び現れたゴンゾウを見て笑みを浮かべ、ここで冷静さを取り戻す。ゴンゾウはオウガの気迫に冷や汗が止まらないが、それでも師匠の言葉を思い返して再び勝ち目のない戦いに挑む。
「行くぞぉおおっ!!」
「何……!?」
最初からゴンゾウは本気で戦うために「鬼人化」を発動させると、オウガはその姿を見て落胆してしまう。前回の時もゴンゾウは鬼人化を発動させて挑んだが、その時は手も足も出ずに彼に敗れた。
しかし、今回の場合はゴンゾウは鬼人化を発動した瞬間、彼の身体が一回り程小さくなった。それを見たオウガは驚愕し、彼は今まで「鬼人化」の使い手とは何人も戦った事はあるが、体型が縮まる変化など初めて見た。但し、ゴンゾウの場合は身体が小さくなったわけではなく、全身の筋肉が凝縮されて小さくなったように見えるだけである。
「ふううっ……!!」
「貴様……ぐふぅっ!?」
「うおおおおっ!!」
鬼人化を極めたゴンゾウはオウガに対して拳を繰り出すと、そのあまりの速度にオウガは反応できずに腹部に強烈な衝撃が広がった。あまりの威力にオウガの肉体が吹き飛び、彼は後方に存在した瓦礫の山に埋もれる。
(馬鹿なっ……何だ、今の速度は!?)
鬼人化を発動させたゴンゾウは肉体の限界以上に身体能力を引き延ばし、反面に肉体に大きな負担を与えていた。ゴンゾウは一撃放っただけで全身が張り裂けそうな痛みを味わうが、それでも彼は歯を食いしばってオウガへ突進した。
「うおおおおっ!!」
「ぐううっ!?」
ゴンゾウは突っ込むとオウガは咄嗟に両手を伸ばしてゴンゾウを抑えようとした。だが、まるで猛牛の如く突っ込んだゴンゾウはオウガの力で抑えきれず、瓦礫の山が吹き飛んで二人は街道に転がり込む。
(何という力だ……面白い!!)
街道に転がり込んだオウガは笑みを浮かべ、自分が窮地に立たされたにも関わらずにゴンゾウの強さに感動していた。前回に会った時よりも彼は強くなっており、しかも自分を最初から殺しに来ていた。
精神的にも肉体的にも甘さがあったゴンゾウだが、今回の彼は自分の全てを費やしてでもオウガを倒すつもりで訪れた。最悪の場合、相打ち覚悟で彼はオウガに挑む。
「うおおおおっ!!」
「がああああっ!!」
ゴンゾウは両拳を振りかざすと、オウガも全身に紅色の魔力を宿して二人は拳を交わす。お互いに一歩も引かずに相手を殴りつけ、その衝撃だけで地面に振動が走る。二人は激しく殴り合い、血塗れになりながらも彼等は殴り合いを止めない。
(強い……今まで戦ってきた誰よりも強い!!だが、こいつを倒せば俺は……!!)
殴り合いながらもゴンゾウはオウガから一瞬たりとも目を離さず、彼に目掛けて全力の拳を叩き込む。オウガの強さは彼の師匠よりも上だが、それでもゴンゾウは逃げずに正面から戦う。血塗れになろうと骨が折れようとゴンゾウは引き下がらず、ここで下がるようなら「漢」ではない。
それでも彼の意志と反して肉体の方は限界を迎え、鬼人化の限界時間を迎える。ゴンゾウの鬼人化は元々長続きはしないが、肉体に大きな負担を与える事を条件に更なる力を引き出した。その反動で彼は鬼人化を維持できるのは「30秒」足らずである。既に戦闘開始してから20秒以上経過しており、もう間もなく彼の鬼人化は解除される。
「いったい何が……」
「吾輩の事はいい……それより、気を付けた方がいいぞ」
「えっ?」
ゴウライの言葉にゴンゾウとミレトは呆気に取られると、直後に3人から離れた場所にあった瓦礫の山が吹き飛ぶ。驚いたゴンゾウ達は視線を向けると、そこには頭から血を流したオウガの姿が存在した。
「ふうっ、ふうっ……何処だ、何処に居る!?」
「あれは……オウガ!?」
「まさか!?」
「くっ……吾輩以上にタフな奴だな」
オウガは血走った目で周囲を見渡してゴウライの姿を探す。しかし、肝心のゴウライは既に甲冑が壊れて負傷しており、仮に彼女の姿を見ても気付く事はないだろう。気付いたところで相手が女性ならばオウガは手を出さず、これ以上の戦闘はできない。
それでもゴウライはゴンゾウとミレトを押し退けて戦おうとしたが、彼女は手元にデュランダルがない事に気付く。先ほどの戦闘の最中でまだ瓦礫の山に埋まってしまったらしく、彼女は慌てて瓦礫の山からデュランダルを探す。
「しまった!?吾輩の武器が……お前達も吾輩の武器を探してくれ!!」
「ええっ!?」
「……ミレト、手伝ってやれ。俺はオウガと戦う」
「何!?こら、待たんかっ!!」
「すまないが待つ事はできない……それにオウガに借りがあるのは俺の方だ」
ゴウライは勝手に戦おうとするゴンゾウを引き留めようとしたが、彼はそれを拒否して上着を脱ぎ去る。そして改めてオウガの元へ向かうと、彼はゴンゾウを見て鼻を鳴らす。
「ふんっ……誰かと思えば巨人族の小僧か」
「この前の様には行かないぞ……」
「ほう……それは楽しみだ」
頭に血が上がっていたオウガだったが、自分の前に再び現れたゴンゾウを見て笑みを浮かべ、ここで冷静さを取り戻す。ゴンゾウはオウガの気迫に冷や汗が止まらないが、それでも師匠の言葉を思い返して再び勝ち目のない戦いに挑む。
「行くぞぉおおっ!!」
「何……!?」
最初からゴンゾウは本気で戦うために「鬼人化」を発動させると、オウガはその姿を見て落胆してしまう。前回の時もゴンゾウは鬼人化を発動させて挑んだが、その時は手も足も出ずに彼に敗れた。
しかし、今回の場合はゴンゾウは鬼人化を発動した瞬間、彼の身体が一回り程小さくなった。それを見たオウガは驚愕し、彼は今まで「鬼人化」の使い手とは何人も戦った事はあるが、体型が縮まる変化など初めて見た。但し、ゴンゾウの場合は身体が小さくなったわけではなく、全身の筋肉が凝縮されて小さくなったように見えるだけである。
「ふううっ……!!」
「貴様……ぐふぅっ!?」
「うおおおおっ!!」
鬼人化を極めたゴンゾウはオウガに対して拳を繰り出すと、そのあまりの速度にオウガは反応できずに腹部に強烈な衝撃が広がった。あまりの威力にオウガの肉体が吹き飛び、彼は後方に存在した瓦礫の山に埋もれる。
(馬鹿なっ……何だ、今の速度は!?)
鬼人化を発動させたゴンゾウは肉体の限界以上に身体能力を引き延ばし、反面に肉体に大きな負担を与えていた。ゴンゾウは一撃放っただけで全身が張り裂けそうな痛みを味わうが、それでも彼は歯を食いしばってオウガへ突進した。
「うおおおおっ!!」
「ぐううっ!?」
ゴンゾウは突っ込むとオウガは咄嗟に両手を伸ばしてゴンゾウを抑えようとした。だが、まるで猛牛の如く突っ込んだゴンゾウはオウガの力で抑えきれず、瓦礫の山が吹き飛んで二人は街道に転がり込む。
(何という力だ……面白い!!)
街道に転がり込んだオウガは笑みを浮かべ、自分が窮地に立たされたにも関わらずにゴンゾウの強さに感動していた。前回に会った時よりも彼は強くなっており、しかも自分を最初から殺しに来ていた。
精神的にも肉体的にも甘さがあったゴンゾウだが、今回の彼は自分の全てを費やしてでもオウガを倒すつもりで訪れた。最悪の場合、相打ち覚悟で彼はオウガに挑む。
「うおおおおっ!!」
「がああああっ!!」
ゴンゾウは両拳を振りかざすと、オウガも全身に紅色の魔力を宿して二人は拳を交わす。お互いに一歩も引かずに相手を殴りつけ、その衝撃だけで地面に振動が走る。二人は激しく殴り合い、血塗れになりながらも彼等は殴り合いを止めない。
(強い……今まで戦ってきた誰よりも強い!!だが、こいつを倒せば俺は……!!)
殴り合いながらもゴンゾウはオウガから一瞬たりとも目を離さず、彼に目掛けて全力の拳を叩き込む。オウガの強さは彼の師匠よりも上だが、それでもゴンゾウは逃げずに正面から戦う。血塗れになろうと骨が折れようとゴンゾウは引き下がらず、ここで下がるようなら「漢」ではない。
それでも彼の意志と反して肉体の方は限界を迎え、鬼人化の限界時間を迎える。ゴンゾウの鬼人化は元々長続きはしないが、肉体に大きな負担を与える事を条件に更なる力を引き出した。その反動で彼は鬼人化を維持できるのは「30秒」足らずである。既に戦闘開始してから20秒以上経過しており、もう間もなく彼の鬼人化は解除される。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。