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真・最終章 七魔将編

エリナの合流

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「だ、誰だ!?」
「あ、すいません!!大丈夫ですか!?当てる気はなかったんですけど……」
「え、この声は……まさか、エリナ!?」
「うぃっす!!兄貴、お久しぶりです!!」


屋根の上に立っていたのはエリナであり、彼女はヨツバ王国へ援軍要請のために王国から離れていたはずだが、何故かここに居る事にレナもダインも驚く。しかも彼女の傍には子供のユニコーンも控えていた。


「ヒヒンッ!!」
「あれ、そのユニコーンは……」
「そうです、ユニコです!!ユニコにここまで運んできて貰ったんですよ!!」


エリナの傍に控えるユニコーンの子供は彼女が「ユニコ」と名付けたヨツバ王国に残してきた愛馬であり、エリナが背中に乗り込むとユニコは屋根の上から地上へと降りたつ。

どうやらエリナはユニコに乗ってヨツバ王国からここまで辿り着いたらしく、彼女がここに居るという事はヨツバ王国の援軍がやっと到着したのかとレナ達は期待した。しかし、残念ながらこの場にはエリナ以外にヨツバ王国のエルフは見当たらない。


「エリナ、どうしてこんなに早く戻ってきたの?」
「ユニコのお陰で移動時間を削る事ができたんです!!それでヨツバ王国の援軍の方なんですけど、もう少しで私の師匠の軍隊が到着します!!」
「師匠……北聖将のハシラさんの?」


エリナの師匠は北聖将のハシラであり、彼の領地はヨツバ王国の北側なので王国とは最も近い。その北聖将の軍隊があと少しで辿り着くらしく、他の六聖将も既に動き出しているらしい。


「師匠だけじゃなくて東聖将の叔父さんも来てくれるはずです!!」
「それは心強いな……そうだ、丁度良かった。エリナ達の中にあの雲をなんとかできる人は居る?」
「ええっ!?どういう意味ですか!?」


レナは来たばかりのエリナに簡単に状況を説明すると、冒険都市に迫る黒雲の正体が敵が作り出した「黒雨」という恐ろしい魔法だと説明する。黒雨が降り注げば大勢の人間が犠牲になるかもしれず、どうにか黒雲を止める方法はないのか相談した。

この場に存在する援軍はエリナだけなのでこんな話を聞かされても困るかと思ったが、話を聞き終えたエリナは腕を組んで考え、迫りくる黒雲を見て何とかできるかもしれないと告げる。


「要するにあの黒雲を近づけさせないようにすればいいんですよね?」
「そうだけど……まさか、できるの?」
「いや、私には無理です。ですけど、時間を稼ぐ事はできるかもしれません」
「時間を?」


エリナは自分の黒弓に手を伸ばし、この弓は彼女の師匠である北聖将ハシラから受け取った代物である。そしてもう間もなく北聖将のハシラと彼の配下が到着するはずであり、彼等の力を借りれば一時的に黒雲が冒険都市に迫るのを阻止できるかもしれないと語った。


「私だけじゃ無理ですけど、もしも師匠の軍が到着すれば黒雲ぐらいなら吹き飛ばせるかもしれません」
「吹き飛ばす?」
「師匠の軍はほぼ全員が弓の使い手なんです。だから全員が付与魔術で矢に風属性の魔力を付与させて、それを黒雲に撃ち込めば風の力で吹き飛ばせるかもしれません」
「えっ!?そんな事までできるの!?」
「はい、私も雲を吹き飛ばす練習は何回かした事がありますから!!」


レナ達はエリナの話を聞かされて驚くが、彼女によれば北聖将は弟子や配下に弓を教える際、風の魔力を宿した矢で雲を貫く練習をさせていたらしい。黒雲の正体はただの雲ではないが、それでも風の力で吹き飛ばせば時間を稼げるかもしれない


「……分かった、ならエリナは北聖将の軍隊が到着したら城壁の上からあの黒雲を何とかしてくれる?」
「はい!!任せてください!!」
「よし、時間が稼げればその間に死人将を見つけ出した倒そう!!そうすればあの黒雲も消えるかもしれない!!」
「よ、よし……なら早くあいつらを見つけないと!!」


ダインはレナの言葉に頷いて彼は聖痕に手を伸ばし、何処から死人将の魔力を感じ取るのか感知する。しかし、この時にダインは複数の魔力を感知して顔色を変えた。


「あ、あいつ……正気か!?」
「ダイン、どうしたの?」
「何かあったんですか?」
「あ、あのくそ爺……また自分の影を分割して冒険都市のあちこちに送り込んでやがる!!」
「ええっ!?」
「えっ?どういう意味っすか?」


思いもよらぬダインの発言にレナは驚くが、詳しい事情を知らないエリナは不思議そうな表情を浮かべた。どうやらブラクは再び自分の影を切り離し、しかも今回は一つや二つではなく、相当な数の影の分身を作り出した事が発覚する。

ダインが感じ取った影の数は少なくとも10個は存在し、この影の一つ一つがブラクの意志を持つ。つまりはブラクを完全に倒すためには全ての影を倒して本体も見つけ出さなければならない。
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