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真・最終章 七魔将編

やばいやばいやばい!!

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「とりあえず、広場へ向かおう。そこへ行けばもしかしたら王国まで転移できるかもしれないし……」
「そう上手くいくと良いんですけどね。まあ、他に行く当てもないし……駄目元で行きましょうか」
「だ、大丈夫だって……多分」
「チュチュッ……」


ダインはミイネとリボンを連れて慎重に遺跡の中を進み、戦人形に警戒しながら広場へと向かう。ちなみに遺跡の広さは小さな街ほどはあるため、隠れられる場所はいくらでもあるのが幸運だった。

ちなみに深淵の森の遺跡とは同じぐらいの広さがあり、レナ達が使用した転移装置に関しても遺跡の中心部に存在する。昔の時代は勇者は転移装置を使用して他の国に移動した事は間違いなく、塔の大迷宮も勇者が作り出した建造物である。



――塔の大迷宮の管理者であるリーリスによれば大迷宮が作り出された理由は、勇者が元の世界に戻るために必要な素材を作り出すための建造物らしく、転移装置を起動するには「転移石」と呼ばれる特殊な魔石が必要だった。大迷宮とは転移石を作り出すための建物である事は一般人には知らされていない。



ダイン達が訪れた遺跡も勇者が何らかの目的で造り出した場所なのは間違いなく、遺跡を守護する戦人形は勇者の残した物を守るために戦う。そして既にダインは勇者の残した宝物に手を出してしまった。


「ダインさん、ここで何を仕出かしたんですか?」
「ひ、人聞き悪い事を言うなよ……僕は遺跡にあるお宝をちょっと貰っただけだぞ」
「まあ、お宝探しは僕も好きですけどね。そのせいで戦人形とやらに狙われたんじゃないですか」
「レナにも似たようなことを言われたよ……け、けどお宝を前にして逃げる様な奴が冒険者なんて務められないだろ!?」
「チュチュッ(知らんがな)」


遺跡の戦人形が稼働した原因はダインにある事は間違いなく、彼は勇者が残した聖剣レーヴァティンに触れてしまった。聖剣を奪われまいと戦人形は動き出し、この遺跡を守る存在を呼び起こしたのはダインだった。

尤もダインが訪れずともいずれ他の人間がここへ訪れ、聖剣の存在を知ったら誰もが無視するはずがない。聖剣はこの世界では聖遺物として扱われ、金に換えられない価値のある代物だった。それにダインの言葉にも一理あり、冒険者であれば多少の危険を犯しても宝を手に入れたいと考えるのは当たり前の話である。


「いいか、冒険者の仕事は魔物や悪党と戦う事ばかりじゃないんだよ。名前の通りに僕達は冒険する者なんだ。だから、危険に巻き込まれる可能性があるにしてもお宝を前にして逃げる様な奴は冒険者じゃないんだ!!」
「何だかそれっぽく行って誤魔化してますけど、結局のところはダインさんの不注意でこの遺跡に危険な存在が蘇ったんですよね?」
「はい、すいません……僕のせいです」
「チュチュッ(素直に謝るのは良い事だよ)」


ミイネの冷静な突っ込みにダインは言い返す事もできず、仮にダインが聖剣に触れていなければ今でもこの遺跡は安全な場所だった。結局のところは欲をかいて聖剣にまで手を出そうとしたダインの自業自得と言えるが、もう事を起こした以上は覆す事はできない。


「さてと……ダインさんの後始末も兼ねて、とりあえずはその転移門とかいう場所に行きましょう」
「ううっ……上手く戻れるといいけど」
「大丈夫ですよ、リボンが居る限りは急に襲われる事はありません。この子の感知能力なら敵が近付いて来ればすぐに気づけますから」
「チュチュッ!!」


リボンはミイネの頭の上で自分に任せろとばかりに胸を叩き、その様子を見てダインは不安に思うが実を言えばここまでの道中もリボンには助けられていた。

見た目は鼠に似ているがリボンは魔獣であり、身体は小さくて力も強くはないがその分に感知能力はずば抜けて高かった。これまでも旅の途中でリボンは危険な存在を察知すると、すぐにミイネ達に伝えてくれた。そのお陰で夜営を行っている時や旅の途中で魔物に襲われる前に二人は身を隠してやり過ごす事ができた。


「ほ、本当に頼りにしてるからな……もしもここを脱出できたら好きなだけチーズを買ってやるからな」
「チュチュッ(わぁいっ!!)」
「あんまりやりすぎると太るんでほどほどにしといてくださいね……それで、道はあってるんですか」
「ああ、それは大丈夫だ。僕もここで何日も過ごしたからな」


ダインは遺跡に数日程暮らしていたため、地理に関しては把握していた。魔物や戦人形に怯えながら生活していたせいで遺跡で過ごした記憶は根強く残り、そのお陰で道に迷う心配はない。

しばらく歩くとダイン達は遂に「転移門」と呼ばれる台座が埋め込まれた広場まで近づくが、広場が見える距離まで近づくとダインは顔色を変えて慌ててミイネの腕を掴んで近くの建物の陰に隠れる。


「や、やばい!!」
「うわっ!?ど、どうしたんですか!?」
「チュチュッ……!!」


ミイネは気付かなかったが、彼女の頭の上に居るリボンも何かを察したように全身の体毛が逆立ち、ダインは怯えた様子で広場を指差す。ミイネは不思議に思いながら視線を向けると、そこには転移門の前にて鎮座する石像の姿が存在した。
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