1,479 / 2,083
真・最終章 七魔将編
やばいやばいやばい!!
しおりを挟む
「とりあえず、広場へ向かおう。そこへ行けばもしかしたら王国まで転移できるかもしれないし……」
「そう上手くいくと良いんですけどね。まあ、他に行く当てもないし……駄目元で行きましょうか」
「だ、大丈夫だって……多分」
「チュチュッ……」
ダインはミイネとリボンを連れて慎重に遺跡の中を進み、戦人形に警戒しながら広場へと向かう。ちなみに遺跡の広さは小さな街ほどはあるため、隠れられる場所はいくらでもあるのが幸運だった。
ちなみに深淵の森の遺跡とは同じぐらいの広さがあり、レナ達が使用した転移装置に関しても遺跡の中心部に存在する。昔の時代は勇者は転移装置を使用して他の国に移動した事は間違いなく、塔の大迷宮も勇者が作り出した建造物である。
――塔の大迷宮の管理者であるリーリスによれば大迷宮が作り出された理由は、勇者が元の世界に戻るために必要な素材を作り出すための建造物らしく、転移装置を起動するには「転移石」と呼ばれる特殊な魔石が必要だった。大迷宮とは転移石を作り出すための建物である事は一般人には知らされていない。
ダイン達が訪れた遺跡も勇者が何らかの目的で造り出した場所なのは間違いなく、遺跡を守護する戦人形は勇者の残した物を守るために戦う。そして既にダインは勇者の残した宝物に手を出してしまった。
「ダインさん、ここで何を仕出かしたんですか?」
「ひ、人聞き悪い事を言うなよ……僕は遺跡にあるお宝をちょっと貰っただけだぞ」
「まあ、お宝探しは僕も好きですけどね。そのせいで戦人形とやらに狙われたんじゃないですか」
「レナにも似たようなことを言われたよ……け、けどお宝を前にして逃げる様な奴が冒険者なんて務められないだろ!?」
「チュチュッ(知らんがな)」
遺跡の戦人形が稼働した原因はダインにある事は間違いなく、彼は勇者が残した聖剣レーヴァティンに触れてしまった。聖剣を奪われまいと戦人形は動き出し、この遺跡を守る存在を呼び起こしたのはダインだった。
尤もダインが訪れずともいずれ他の人間がここへ訪れ、聖剣の存在を知ったら誰もが無視するはずがない。聖剣はこの世界では聖遺物として扱われ、金に換えられない価値のある代物だった。それにダインの言葉にも一理あり、冒険者であれば多少の危険を犯しても宝を手に入れたいと考えるのは当たり前の話である。
「いいか、冒険者の仕事は魔物や悪党と戦う事ばかりじゃないんだよ。名前の通りに僕達は冒険する者なんだ。だから、危険に巻き込まれる可能性があるにしてもお宝を前にして逃げる様な奴は冒険者じゃないんだ!!」
「何だかそれっぽく行って誤魔化してますけど、結局のところはダインさんの不注意でこの遺跡に危険な存在が蘇ったんですよね?」
「はい、すいません……僕のせいです」
「チュチュッ(素直に謝るのは良い事だよ)」
ミイネの冷静な突っ込みにダインは言い返す事もできず、仮にダインが聖剣に触れていなければ今でもこの遺跡は安全な場所だった。結局のところは欲をかいて聖剣にまで手を出そうとしたダインの自業自得と言えるが、もう事を起こした以上は覆す事はできない。
「さてと……ダインさんの後始末も兼ねて、とりあえずはその転移門とかいう場所に行きましょう」
「ううっ……上手く戻れるといいけど」
「大丈夫ですよ、リボンが居る限りは急に襲われる事はありません。この子の感知能力なら敵が近付いて来ればすぐに気づけますから」
「チュチュッ!!」
リボンはミイネの頭の上で自分に任せろとばかりに胸を叩き、その様子を見てダインは不安に思うが実を言えばここまでの道中もリボンには助けられていた。
見た目は鼠に似ているがリボンは魔獣であり、身体は小さくて力も強くはないがその分に感知能力はずば抜けて高かった。これまでも旅の途中でリボンは危険な存在を察知すると、すぐにミイネ達に伝えてくれた。そのお陰で夜営を行っている時や旅の途中で魔物に襲われる前に二人は身を隠してやり過ごす事ができた。
「ほ、本当に頼りにしてるからな……もしもここを脱出できたら好きなだけチーズを買ってやるからな」
「チュチュッ(わぁいっ!!)」
「あんまりやりすぎると太るんでほどほどにしといてくださいね……それで、道はあってるんですか」
「ああ、それは大丈夫だ。僕もここで何日も過ごしたからな」
ダインは遺跡に数日程暮らしていたため、地理に関しては把握していた。魔物や戦人形に怯えながら生活していたせいで遺跡で過ごした記憶は根強く残り、そのお陰で道に迷う心配はない。
しばらく歩くとダイン達は遂に「転移門」と呼ばれる台座が埋め込まれた広場まで近づくが、広場が見える距離まで近づくとダインは顔色を変えて慌ててミイネの腕を掴んで近くの建物の陰に隠れる。
「や、やばい!!」
「うわっ!?ど、どうしたんですか!?」
「チュチュッ……!!」
ミイネは気付かなかったが、彼女の頭の上に居るリボンも何かを察したように全身の体毛が逆立ち、ダインは怯えた様子で広場を指差す。ミイネは不思議に思いながら視線を向けると、そこには転移門の前にて鎮座する石像の姿が存在した。
「そう上手くいくと良いんですけどね。まあ、他に行く当てもないし……駄目元で行きましょうか」
「だ、大丈夫だって……多分」
「チュチュッ……」
ダインはミイネとリボンを連れて慎重に遺跡の中を進み、戦人形に警戒しながら広場へと向かう。ちなみに遺跡の広さは小さな街ほどはあるため、隠れられる場所はいくらでもあるのが幸運だった。
ちなみに深淵の森の遺跡とは同じぐらいの広さがあり、レナ達が使用した転移装置に関しても遺跡の中心部に存在する。昔の時代は勇者は転移装置を使用して他の国に移動した事は間違いなく、塔の大迷宮も勇者が作り出した建造物である。
――塔の大迷宮の管理者であるリーリスによれば大迷宮が作り出された理由は、勇者が元の世界に戻るために必要な素材を作り出すための建造物らしく、転移装置を起動するには「転移石」と呼ばれる特殊な魔石が必要だった。大迷宮とは転移石を作り出すための建物である事は一般人には知らされていない。
ダイン達が訪れた遺跡も勇者が何らかの目的で造り出した場所なのは間違いなく、遺跡を守護する戦人形は勇者の残した物を守るために戦う。そして既にダインは勇者の残した宝物に手を出してしまった。
「ダインさん、ここで何を仕出かしたんですか?」
「ひ、人聞き悪い事を言うなよ……僕は遺跡にあるお宝をちょっと貰っただけだぞ」
「まあ、お宝探しは僕も好きですけどね。そのせいで戦人形とやらに狙われたんじゃないですか」
「レナにも似たようなことを言われたよ……け、けどお宝を前にして逃げる様な奴が冒険者なんて務められないだろ!?」
「チュチュッ(知らんがな)」
遺跡の戦人形が稼働した原因はダインにある事は間違いなく、彼は勇者が残した聖剣レーヴァティンに触れてしまった。聖剣を奪われまいと戦人形は動き出し、この遺跡を守る存在を呼び起こしたのはダインだった。
尤もダインが訪れずともいずれ他の人間がここへ訪れ、聖剣の存在を知ったら誰もが無視するはずがない。聖剣はこの世界では聖遺物として扱われ、金に換えられない価値のある代物だった。それにダインの言葉にも一理あり、冒険者であれば多少の危険を犯しても宝を手に入れたいと考えるのは当たり前の話である。
「いいか、冒険者の仕事は魔物や悪党と戦う事ばかりじゃないんだよ。名前の通りに僕達は冒険する者なんだ。だから、危険に巻き込まれる可能性があるにしてもお宝を前にして逃げる様な奴は冒険者じゃないんだ!!」
「何だかそれっぽく行って誤魔化してますけど、結局のところはダインさんの不注意でこの遺跡に危険な存在が蘇ったんですよね?」
「はい、すいません……僕のせいです」
「チュチュッ(素直に謝るのは良い事だよ)」
ミイネの冷静な突っ込みにダインは言い返す事もできず、仮にダインが聖剣に触れていなければ今でもこの遺跡は安全な場所だった。結局のところは欲をかいて聖剣にまで手を出そうとしたダインの自業自得と言えるが、もう事を起こした以上は覆す事はできない。
「さてと……ダインさんの後始末も兼ねて、とりあえずはその転移門とかいう場所に行きましょう」
「ううっ……上手く戻れるといいけど」
「大丈夫ですよ、リボンが居る限りは急に襲われる事はありません。この子の感知能力なら敵が近付いて来ればすぐに気づけますから」
「チュチュッ!!」
リボンはミイネの頭の上で自分に任せろとばかりに胸を叩き、その様子を見てダインは不安に思うが実を言えばここまでの道中もリボンには助けられていた。
見た目は鼠に似ているがリボンは魔獣であり、身体は小さくて力も強くはないがその分に感知能力はずば抜けて高かった。これまでも旅の途中でリボンは危険な存在を察知すると、すぐにミイネ達に伝えてくれた。そのお陰で夜営を行っている時や旅の途中で魔物に襲われる前に二人は身を隠してやり過ごす事ができた。
「ほ、本当に頼りにしてるからな……もしもここを脱出できたら好きなだけチーズを買ってやるからな」
「チュチュッ(わぁいっ!!)」
「あんまりやりすぎると太るんでほどほどにしといてくださいね……それで、道はあってるんですか」
「ああ、それは大丈夫だ。僕もここで何日も過ごしたからな」
ダインは遺跡に数日程暮らしていたため、地理に関しては把握していた。魔物や戦人形に怯えながら生活していたせいで遺跡で過ごした記憶は根強く残り、そのお陰で道に迷う心配はない。
しばらく歩くとダイン達は遂に「転移門」と呼ばれる台座が埋め込まれた広場まで近づくが、広場が見える距離まで近づくとダインは顔色を変えて慌ててミイネの腕を掴んで近くの建物の陰に隠れる。
「や、やばい!!」
「うわっ!?ど、どうしたんですか!?」
「チュチュッ……!!」
ミイネは気付かなかったが、彼女の頭の上に居るリボンも何かを察したように全身の体毛が逆立ち、ダインは怯えた様子で広場を指差す。ミイネは不思議に思いながら視線を向けると、そこには転移門の前にて鎮座する石像の姿が存在した。
0
お気に入りに追加
16,545
あなたにおすすめの小説
“金しか生めない”錬金術師は果たして凄いのだろうか
まにぃ
ファンタジー
錬金術師の名家の生まれにして、最も成功したであろう人。
しかし、彼は”金以外は生み出せない”と言う特異性を持っていた。
〔成功者〕なのか、〔失敗者〕なのか。
その周りで起こる出来事が、彼を変えて行く。
魔法使いじゃなくて魔弓使いです
カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです
魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。
「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」
「ええっ!?」
いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。
「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」
攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。